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ルソーと福沢の対話。天皇永続の原因と意義【16】ルソーの社会契約は人が作り、日本の社会契約は神が作らせた (15863)
日時:2025年11月22日 (土) 22時36分
名前:政治思想マニア

ルソーの社会契約は人が作り、日本の社会契約は神が作らせた

ルソー
「それでは福沢さんのご質問に答えましょう。ここで私の話の流れが一旦途切れてしまいますが、福沢さんのご質問にお答えします。福沢さんのご質問は、なぜルソーの社会契約が横に広がる構造になっているのに、日本の社会契約は上から下に広がる構造になっているのか…ということでした。その理由は色々ありますが、特に大きな理由が二つあります。

まず、一つ目の理由です。私が生きていた18世紀フランスのブルボン王朝は話にならない王朝でした。だから、フランス人は革命を起こして国家を解体せざるをえなかった。そのために私は新しい国家理論をゼロから作らざるをえなかった。その結果、『はじめに対等でバラバラの人民ありき』という論理構造にならざるをえなかった。この理由で私の社会契約が、『バラバラの人民が集まって、契約する者の数が横へ水平に増えていく構造』にならざるをえませんでした。」

龍馬
「ふむ。」

学生
「何となくわかる。」

ルソー
「それに対して日本の社会契約です。日本の社会契約は、最初に言い出した人が神武天皇であろうがホームレスであろうが、その人の目の前に、革命を起こして解体しなければならないほど酷い国家があったわけではなかった。考古学者の調査によると、日本の古代社会には激烈な部族間闘争や部族内闘争が行われた形跡がない。また、歴史家の研究によれば、古代日本の社会は古代ギリシアのような奴隷制社会でもなかった。日本古代の社会は、よくいえば温和な社会。悪くいえば中途半端な社会だった。

だから古代日本の権力者たちは、国民に『一般意志の遵守』を訴えるときに革命による国家解体を前提とする必要がなかった。つまり古代日本の権力者は、周囲の者に向かって、『まず私が一般意志に従うから、お前も従え。』という程度の言い方で、相手の賛同を得ることができた。その結果、日本の社会契約は上から下へ一応スムーズに広がったのです。」

海舟
「ふ~む」

龍馬
「なるほど。」

福沢
「それならば、ルソーさん。」

ルソー
「なんですか?」

福沢
「しつこくこだわるようで恐縮ですが、敢えて質問します。それならばなぜ日本の権力者つまり神武天皇が自分から、『私は一般意志を遵守します』と言い出したのですか。もし本当に日本が温和な国であったのならば、神武天皇がわざわざ『私は一般意志に従います』などと言わなくても済んだのではありませんか。本当に古代の日本が温和で仲のよい国だったのならば、わざわざ『一般意志』などを持ちださなくても国民全員が仲良くやれたはずです。」

ルソー
「それはもっともなご質問です。実は、それが、私が今から申し上げようと思っていた二つ目の理由なのです。」

海舟
「ほう…」

龍馬
「二つ目の理由…」

福沢
「それは失礼しました。どうぞ続けてください。」

ルソー
「神武天皇がわざわざ自分から、『私は一般意志に従います』と宣言したのは、天照大神の神勅が原因です。

龍馬
「天照大神の神勅が原因…?」

ルソー
「そうです。まず…繰り返しになりますが…福沢さんのご説明によると、最初に天照大神が子孫にむかって、『今から地上におりて、私の子孫(天皇)と国民全体が幸福になる国家を建設しろ』と、命令したのでした。」

福沢
「そうです。」

ルソー
「しかしこの命令は無理な命令です。」

福沢
「無理な命令…?」

海舟
「なぜ無理なのですか?」

ルソー
「国民が1000人しかいないとしても、1000人の利益が完全に一致することは不可能です。だから天皇と国民の利害が一致することはありえません。天照大神の神勅は実際には不可能な命令でした。不可能な命令だから永遠の命令として残ります。神勅のように無理な命令……私の言葉でいうならば『最高の国家』……を実現するために、ヨーロッパに住んでいる私は次善の策として、『一般意志に従うという社会契約を自由に交わして新国家を創造すること』を考えた。これ以外にないと考えた。」

龍馬
「なるほど。」

ルソー
「それに対して日本の場合です。神武天皇は、ご先祖・天照大神の命令に背くことは許されない。『それならば、いっそ自分から…』というわけで、神武天皇は率先して、『私は一般意志に従う』と言い出した。自分から約束(社会契約)を交わした。そのうえで豪族たちにも賛同を求めたのです。」

福沢
「…」

海舟
「ふ~む」

龍馬
「なんとなくわかる。」

ルソー
「さて、私がここまで説明すると、おそらく福沢さんから、『それならば、なぜヨーロッパの神は国王たちに天照大神のような命令を与えなかったのか?』というご質問が出るでしょう。しかし、これは人間にとって回答不可能な質問です。なぜならば、神様のことは人間に分からないからです。人間である私に言えることは、
(1)日本の社会契約は、究極的には天照大神の命令に起源があり、
(2)それを人間天皇が何とか実現しようと努力した結果である。
(3)それに対して、ヨーロッパには良くも悪くも天照大神がいなかった。
(4)だから人間ルソーが一般意志の理論を作る以外になかった…。これだけです。」

福沢
「ふ~む。」

龍馬
「ふむ。ふむ。」

学生
「なんとなくわかるような…。」

ルソー
「それでは、ここで先ほどの話にもどっても宜しいでしょうか。」

海舟
「先ほどの話…?」

ルソー
「先ほどの話とは、ルソーも神武天皇も『最高の国家』を一旦あきらめて、『一般意志を遵守する社会契約による新国家建設』を理想としたのだ…という内容でした。」

海舟
「おお。そうだった。」

ルソー
「そこまで話をもどしても良いでしょうか?」

福沢
「そこまで話をもどす…?」

海舟
「そのあとも、まだ話が続くのですか?」

ルソー
「もちろんです。私はまだ言いたいことの半分も言っていません。私は今回の冒頭で、『ここで私の話の流れが一旦途切れてしまいますが…』と申したはずです。」

福沢
「あ…」

海舟
「そうだった。」

龍馬
「ぜひ、その続きを。」

学生
「できれば、ぼくにも分かるようにお願いします。」





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