《谷口雅春先生に帰りましょう・第二》

 

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ルソーと福沢の対話。天皇永続の原因と意義【14】一般意志に従わない者の日本追放と 「天皇国日本」 (15859)
日時:2025年11月21日 (金) 22時13分
名前:政治思想マニア

一般意志に従わない者の日本追放

ルソー
「龍馬さん。海舟さん。あなたたちのお気持ちはよくわかります。おそらく今の日本国は利己主義者にとって都合のよい社会システムになっているのでしょう。それでは、なぜそのような社会システムになってしまったのでしょうか。それは今の日本人民のなかに、金もうけを第一に考える資本家、その子分のような政治家、あるいは大学や高校で私を利用するだけの偏向教員、さらには無責任な言葉をまき散らすマスコミ文化人のために、結局、『一般意志』に従わない人民が増えてしまったからです。そういう人間や政治家を国外に追放すれば、今の日本も、『国民全体のためになる国家』に生れ変ります。」

龍馬
「おっしゃるとおりです。」

学生
「そうだ!そうだ!」

ルソー
「だから私は、日本のなかに『一般意志に従わない者』がいることを許せません。」

海舟
「『許せません』とおっしゃっても…。実際には、どうなさるのですか?」

ルソー
「日本から追放します。」

海舟
「日本から追放する…」

福沢
「日本から追い出すのですか?」

ルソー
「そうです。」

福沢
「…と言うことは、ルソーさんは『一般意志に従わない者』を合法的に国から追い出すつもりなのですか?」

ルソー
「そうです。私は合法的に私の国から追い出します。」

学生
「ふえ~。」

龍馬
「何とも厳しいご意見…。」

福沢
「ルソーさんは、どういう理由で追放なさるのですか?」

ルソー
「理由もなにもありません。私の理想国は『一般意志に従う契約を行った人民だけで創った国家』です。その国のなかに、『一般意志に従わない者』が住んでいるはずがありません。たとえ新しく生まれた人間であっても……もちろん『従わない自由』はあるけれども……その人間が一般意志に従わないのならば、私の国に住むことは許されません。」

龍馬
「それはまあ、理屈で言えば、そうなるけれども…」

海舟
「ルソーさんは、そのことを『社会契約論』の中に明記しておられるのですか?」

ルソー
「もちろん明記していますよ」

海舟
「どのように?」

ルソー
「私は、第四編の第二章『投票について』のなかに、『私の理想国家に住む人は一般意志に従わなければならない。私の国に住むこと自体が、一般意志に従うと約束したことである』と明記しました。これを逆に言うと、『一般意志に従わない人は、私の国から出て行ってもらう』ということです。」

海舟
「ずいぶん厳しい。…そのように厳しいことをルソーさんは本当に書いたのですか?」

ルソー
「書きました。」

龍馬
「式神。証拠を!」

式神
「へい…。『中公版』の324頁に、『もし、社会契約のさいに反対者が存在するとしても…国家が設立されたならば、同意はそこに居住しているという事実により成立する。領域内に住んでいるということは、主権に服従していることである』と、書いてあります。」

福沢
「ふむ。」

式神
「次に、『岩波版』の148頁には、『たとえ社会契約の時に、反対者がいても…国家がつくられた時には、その国に住んでいるということ自体が、その国家を承認していることだ。国土に住むこと、それは主権に従うことである』と、書いてあります。」

学生
「ふえ~。」

龍馬
「何とも厳しい。」

式神
「それからついでに…」

龍馬
「ついでに…?何のことだ?」

式神
「もっと厳しそうなことが書いてありますよ。まず『中公版』の245頁に、『一般意志に服従を拒む者はだれでも、政治体全体の力によって服従を強制される』と、書いてあります。

龍馬
「ほう。」

式神
「それと同じことが『岩波版』の35頁には、『何びとにせよ一般意志への服従を拒むものは、団体全体によってそれに服従するように強制される』と、書いてあります。」

学生 
「なんだか全体主義国家のような…。」

福沢
「要するにルソーさんの意見は、ルソーの国にいる以上は絶対、一般意志に服従しろ。それが嫌ならば出て行け…と。」

ルソー
「そうです。それは当然のことです。…あっ。そうだ。…福沢さん。今思いついたのですが、このついでに日本人のために申しておきます。これからもし日本国が外国の人を迎え入れるのならば……もちろん外国の人を暖かく迎え入れるのは結構なことですが……天皇の存在を認めない人を日本国民としてはいけません。」

福沢
「ほう…。」

ルソー
「たとえ難民として入国を認められた者でも、天皇存在を認めない本心を隠している者は国外に追放すべきです。日本国籍をもっている場合は国籍を剥奪すべきです。なぜならば、天皇を認めない人を国内に迎え入れてしまうと、結局は日本国が、『一般意志を否定し、一般意志のシンボル天皇を拒否する者の集団』になってしまうからです。これはよく覚えておいてください。」 

海舟
「ふ~む。ルソーさんの思想は極端な国家主義なのか、それとも極端な個人尊重主義なのか…。どうにもよく分からないところがある。しかし徹底した論理である。これは間違いない。」

福沢
「たしかに…。」

龍馬
「しかし…まあ、実際に日本から『一般意志に従わない者』を追放したら、膨大な日本人と学者と政治家と在日外国人が消えるだろうな。」

学生
人間がいない日本列島になったりして…。」

龍馬
「うむ。その可能性は、ゼロではない。」

ルソー
「いや。天皇だけは残ります。」

龍馬
「はあ…?」

ルソー
「天皇だけは日本に残ります。なぜならば、さきに申したように、天皇は『一般意志のシンボル』だからです。一般意志のシンボルである天皇が、『一般意志によって創られた国』から追放されることなど、ありえません。たとえ日本列島からすべての人間が消えても、天皇が消えることはありえない。その意味で、日本は『天皇国・日本』です。」
 
龍馬
「それは少し極端なような…。」

海舟
「しかし論理の筋は通っている。ルソーさんのご意見は極端だが、合理的だ。」






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