言論封殺裁判は不法行為です。 (15196) |
- 日時:2024年06月16日 (日) 11時26分
名前:ジャージ姿の自転車弁護士
1)スラップ訴訟が「不法行為」となる場合
訴訟を提起することは、「裁判を受ける権利」として憲法上保障を受けるので、尊重される必要があります。 しかし、訴えられた側は、いや応なしに訴訟に対応せざるを得ず、精神的・経済的に大きな負担が生じます。 そのため、「不当な目的のある訴訟も、何ら違法とはならないのか?」という議論は、従来よりなされてきたのです。
この問題について、最高裁判所が初めて判断した判例(昭和63年(1988年)1月26日判決)では、下記のように述べられています。 「訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係(以下「権利等」という。)が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である。」
つまり、最高裁は、裁判を受ける権利から訴えの提起は原則として正当な行為ではあるもの、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときには、違法であり不法行為が成立する、としているのです。
具体的には、以下の二つの要件を満たす場合には、提訴が違法であり不法行為となり得ます。
① 提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである場合 ② 提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起した場合
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