ウクライナと(ソ連)ロシアとの関係を知る上で参考になると思い取り上げました (14213) |
- 日時:2022年03月15日 (火) 20時25分
名前:コスモス
https://www.facebook.com/makoto.naruke/posts/4892280460809031
成毛 眞
命よりも大事なものはないのだから、ウクライナは降伏するべきだというような発言をしているTVコメンテーターたちがいるらしい。お気楽なことだなあと思う。
彼らはホロモドールとその後のウクライナについて何の知識もなく、映像を見て延髄反応をしているのだろう。共感不安に陥っているのかもしれない。知っていてもせいぜい映画を観た程度であろうか。手元にある『悲しみの収穫』を読み直してみた。
1933年ころ、スターリンのソ連は穀物の収奪だけでなく、ウクライナ民族主義を潰すためにウクライナ人を徹底的に虐げた。結果的に1450万人死亡、ウクライナは人口の20%以上もソ連に殺された。
これをホロモドールという。もう90年も昔の話なのだから、歴史上の事件でしかないと思われるかもしれない。
ウクライナ民族主義はその後も屈することはなかった。1944年からのソ連再占領下においてもパルチザンは続いた。数千人が銃殺になり、それ以上の人たちが強制収容所に入れられた。それでもまだ太平洋戦争とおなじく歴史上の事件でしかないと思われるかもしれない。
しかし、1956年以降もウクライナ民族主義者組織(OUN)の55,000人も囚われて刑に服していた。その後のウクライナの歴史はテレビでも解説されているだろう。
ともあれ、そんなことも知らずにウクライナに対して降伏しろというTVコメンテーターたちのなんという無知と傲慢。呆れるばかりである。
要するにウクライナの人々は、いったんソ連≒プーチン独裁ロシアの統治下に入ってしまうと、戦争以上の地獄に堕ちるということを知っているのだ。
今回の戦争での市民の死者数は1万人を超えるかもしれないが、ロシアに支配されるとその何十倍も殺される可能性があるのだ。
少なくとも西ウクライナはロシアと兄弟どころではなく、歴史的な一方的被害者でしかない。
本書は1986年に出版され、2007年に邦訳された。ボクが読んだもの2007年だった。その後フランク・ディケーターが『毛沢東の大飢饉』を書いている。こちらも凄まじい。
本書は638ページの大部である。しかし、訳者あとがきが非常に良く本編をまとめているので、もし図書館で借りることができたら、ぜひそこから読んでほしい。この訳者あとがきだけでもネット上で公開できたら、日本人の現代ウクライナ理解は深まるであろう。
ちなみに本書の定価は5000円であったが、いまマーケットプレースでは3万円である。このたぐいの本は出版されたときに買っておくべきなのだ。知はTVの中ではなく本の中にある。そして情報はネットの中にある。
ーーーーーーーーーー ウクライナとロシアの戦争が、「9条信仰信者」達を目覚させてくれることを祈ります。
ロシアの苦戦は、中国の台湾進攻に大きな影響を与えたのではないかと思っています。
天皇陛下を戴く日本は、皇祖皇宗の御徳に護られていると思い改めて深く皇恩に感謝申し上げました。
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