吾輩は神の子無限力である。(その弐) (13961) |
- 日時:2022年01月06日 (木) 12時24分
名前:夏目偽漱石
吾輩が進んだ大学は田舎大学だったが、そのころは都会も田舎も大学は左翼学生たちが「大学を革命の拠点に」を合言葉として暴れまわっていた。
吾輩の田舎大学も日共系と新左翼のセクトが大学を牛耳っていて「人間神の子」を宣布する学生はないに等しい状態だった。
しかし吾輩が生高連の委員長だったことを知った隣県の生学連メンバーがわざわざ会いに来て話をしてくれた。
それはいわゆるオルグ活動だったのだが、田舎者には全国の大学がどれほど異常な状態であるかを具体的に教えてくれる刺激的な内容だった。
吾輩は今の生長の家とちがって「尊皇・敬神・愛国」をモットーとする「人間神の子」を標榜する生長の家に感化されたから「尊皇」と「無限力」の血が騒いだ。一年生だった吾輩は生学連の全国集会や大学生練成会に参加した。
ところがそのころの生学連は政治活動に熱心で、吾輩のように田舎の生長の家、「合掌ありがとうございます。みんな神の子大調和…」を語る生長の家とは少し感触が違っていた。
「生学連は少しおかしいのではないか。政治に走りすぎているのではないか…」
田舎者は生学連や生学連を指導する青年会中央部に疑問を抱いた。
そこへ「神の子無限力」の言葉が頭に浮かんだ。
吾輩は、「生学連と青年会中央部が生長の家の教えを捻じ曲げるのならば、吾輩が生学連を潰してやる」と勝手に決意した。
ところが、吾輩が生学連の首都圏ブロックの集会に参加していたときに日大の七回生だったか八回生だったKさんが吾輩たち新入りの学生に向かって、
「生学連は単なる学生運動ではない。生長の家の教えを実行して日本を守る運動体だ。生長の家は『天地一切のものに感謝せよ』と教えている。君達。鉄パイプを振りかざして自分に向かってくる左翼過激派に合掌して感謝できるか!」と、質問というか説教をした。
それを言われた新入りたちは何も言えずに黙ってしまった。
「そんなこと、できるはずがない。」
相手の過激派はこちらをゴキブリのように思って、「右翼を殺しても社会のためになる」と本気で信じている連中である。「その連中に対して、合掌ありがとうございます…」
人間神の子無限力とはいっても、これは無理な命令だ。
これが禅宗の問答ならば返答を間違えたり答えられなかったりしても、せいぜい老師から「喝!」を入れられたり、警策や金剛棒で引っぱたかれるだけだ。
しかし相手が過激派の場合は合掌したまま頭を鉄パイプで殴られることになる。実際に怪我を負った先輩もいたとのこと…。
吾輩は思った。「生長の家は無茶苦茶な教えだ。しかし大学を革命の拠点とする左翼を抑えて大学を正常化しようとすればこうなるのは避けられない。必然だ…」
そうかといって、生学連の活動が危険だから生学連を去る…というのは癪にさわる。そもそも人間神の子無限力のはずだ。
人間は神の子無限力。
吾輩は生学連の集会に参加を続け、高校生練成会の裏方を本部派遣の青年局員といっしょに担当して青年会中央部の真意を探った。
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