| 安倍一強、安倍政権は、しばしば朝日新聞などにそう批判される。 朝日新聞は「ためにする批判だ。 民主党政権を一方的に批判したか?」 櫻井 よしこ (5722) |
- 日時:2017年04月08日 (土) 20時38分
名前:童子
言うまでもなく民主主義を支える根幹に言論の自由、報道の自由があります。 メディアが時の政権を監視し、必要とあれば批判するのは当然です。 むしろメディアには政府に対する “チェック機能” の役目が期待されています。ただしそうした報道や批判は、あくまでも事実に基づいていなければなりません。
ところが朝日新聞などの安倍批判は往々にして 「ためにする批判」 でしかないと思います。
一例が今年1月22日付の社説です。 朝日新聞は安倍首相の施政方針演説についてこう書きました。
〈「意見の違いはあっても、真摯かつ建設的な議論をたたかわせ、結果を出していこう」 首相は演説で、民進党など野党にそう呼びかけた。 だが先の臨時国会での安倍政権のふるまいは違った。 (中略) 与党は採決強行を繰り返した〉 〈数の力で自らの案を押し通すやり方を 「建設的」 とは言わない〉
これだけを読むと、安倍政権がいかにも “独善的” だというふうに見えます。 しかし、野党のふるまいはどうだったでしょうか。
例えば安保法制の議論では、民進党をはじめとする野党の議員は、国会を出てデモの列に加わりました。 野党の議員たちは、「建設的な議論」 どころか立法府の役割を放棄したのです。
また、〈数の力〉 を否定することは多数決の否定であり、これでは民主主義は成り立ちません。
民主党政権時代、与党としての民主党は3年3か月の間に、衆参両院の委員会で24回も強行採決をしています。
朝日新聞がその時、安倍政権に対するのと同じように民主党を批判したでしょうか。 そうではなかったと思います。
朝日新聞は一方の非を棚に上げて、安倍政権に狙いを定めたかのように、そう思われても仕方がないほど、一方的に批判しているわけです。
米軍普天間飛行場の移設問題についても同日付の朝日新聞社説は、
〈沖縄の未来をつくる主人公は沖縄に住む人々だ。 その当たり前のことが、首相の演説からは抜け落ちている〉
と批判しました。 沖縄に辺野古移設への批判があるのはよくわかっています。 同時に、私は辺野古地区にも実際に行って取材しましたから、反対論ばかりではないことも知っています。 むしろ、久辺3区と呼ばれる地元では受け入れ派のほうが圧倒的に多いのです。
久辺3区という地元の中の地元の人たちは、米海兵隊と長年にわたって非常によい関係を築いてきました。 また、この人々は地政学上、沖縄が中国に席巻されてしまえば、沖縄だけでなく日本全体が危機に瀕することを理解しています。
普天間飛行場の移設はもちろん沖縄の問題ですが、日本全体の問題でもあるのです。 この社説にはこうした視点が完全に 〈抜け落ち〉 ています。
1月26日の社説では 〈財政再建 決意ばかりの無責任〉 と題して、安倍首相の国会答弁を糾弾しました。
〈首相は経済成長による税収増を強調するが、それだけでは達成はおよそ見通せない。 にもかかわらず、歳出の抑制・削減や、消費税を中心とする増税には及び腰である。 どうやって実現するのか、決意ばかりで具体的な説明はない。 あまりに無責任だ〉
財政再建は、民主主義国家においては極めて難しい課題です。 予算のどこかを削れば必ず反対が起きます。
日本経済は為替レートなど外的要因を受けて、経済成長の目標達成は思い通りにいきません。 アベノミクスによる成長は足踏みしているのは事実だと、私も思います。 それでも税収は増え、失業率が下がるなど、かつての民主党政権下の経済よりずっと好転しています。
朝日新聞はそうした改善された面は見ないかのように 〈歳出の抑制・削減や、消費税を中心とする増税には及び腰〉 と批判しています。
ということは、歳出の削減や増税をすべきと考えているのでしょうか。 であるなら、そういう主張も展開してほしいですね。 しかし、もし政府が歳出削減や増税を打ち出せば、また朝日は大きな批判を繰り広げるのでしょう。
SAPIO2017年5月号
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