| 今は亡き谷口雅春先生の幻影を追いかける老人たちの悲しい自己への慰めなのか 『AERA』はいう (4564) |
- 日時:2017年01月15日 (日) 13時21分
名前:童子
宗教的にみれば、日本会議の“源流”は「生長の家」である。 創始者である故・谷口雅春は、宗教指導者であるとともに、20世紀の日本を代表する保守の政治活動家であった。
谷口は 「天皇国日本」 「日の丸か赤旗か」 といったスローガンを掲げ、全盛期には100万人超を誇った信徒らを団結させて活発な政治運動を展開した。 稲田朋美防衛相や衛藤晟一首相補佐官など、生長の家から影響を受けたと公言する者は多い。
かつて生長の家が政治活動の中で目指したものは、優生保護法(現在の母体保護法)の改正、つまり人工中絶の規制だった。
生長の家の教義とは、谷口雅春の 「人間神の子。 本来罪も病もない」 という言葉に象徴される。 生まれてくる 「神の子」 を人間の都合で抹殺する人工中絶は、生長の家にとって許されざる行為だった。 これに制限をかけるため、生長の家の政治部門が動きだしたという背景がある。
しかし生長の家がどれだけ強硬にそれを求めても、自民党は日本医師会との力関係から、優生保護法を改正しようとしなかった。 自民党への絶望、また自分たちの政治力のなさを痛感させられたこと、それも要因となって83年、生長の家は政治活動から撤退する。
昨年6月9日、生長の家は7月の参院選において自公の連立与党を 「支持しない」 と表明した。
今も日本会議の中枢にいるとされる生長の家出身者らは、多くが70歳を超える。 だが、日本会議に後継者になるような若手の姿がほとんど見えてこない。 生長の家の元信者は語る。
「われわれは谷口雅春先生の教えを絶対として、『天皇国日本』 を守るため闘ってきた。 しかし教団は政治から撤退し、今は安倍政権を支持しないとまで言う。死期まで見えてきたわれわれに、青春を捧げてきた教団による“救済”はどこにもない。 雅春先生の思想の片鱗(へんりん)だけでも感じられる日本会議の活動には、少しだけでも心が落ち着くところがあるんです」
日本会議とは現実政治への真剣な参画活動というより、今は亡き谷口雅春の幻影を追う老闘士たちの、悲しい自己への慰めであるのかもしれない。(一部敬称略)
(季刊「宗教問題」編集長・小川寛大)
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