情報 と 戦略こそ、外交の要(かなめ) (11876) |
- 日時:2020年04月28日 (火) 20時41分
名前:明鏡
前掲書では、日米戦争の開戦後も < 何らかの講和ができた可能性 > についても、
観察されている。これは、岡崎久彦氏も渡部昇一氏も同じ見解である。
少し長いが、以下に引用させていただきたい。
< 日米戦争は 「 ベトナム化 」 できた
岡 崎 しかも、たとえ真珠湾攻撃が行われたあとでも、まだ日本には リカバリー・チャンスは
残されていたのです。
それは開戦後にハル・ノートを公表するという手段です。つまり、「 日本が開戦を決断せざるを
えなかったのは、アメリカが難癖(なんくせ)をつけてきたからである。日本と日本国民は、
みずからの生存を賭(か)けて、この戦いを始めたのだ 」 ということを、ハル・ノートという
証拠を見せてアピールすればよかった。
そうすれば、日米戦争は 「 ベトナム化 」 できたのです。
アメリカ民主主義の健全さというのは、こういう事実が日本から出された場合、
「 やっぱりアメリカのほうが道義的に問題があるのではないか 」 という議論が出てくる
ところにあるわけです。
ハル・ノートを公開し、日本の立場をアメリカ国民に知らせておけば、硫黄島の戦いあたりで、
幕引きができた可能性は充分にあります。アメリカ海兵隊員二万の犠牲を出した時点で、
反戦・厭戦(えんせん)の世論が出てきたことでしょう。「 これほどの犠牲者を出してまで、
やる戦争だろうか 」 という話がきっと出たと思います。・・・・・・
・・・・・ 日露戦争が始まり、日露間の外交文書が公表されると、国際世論の同情は
みな日本に集まった。「 そこまで日本は低姿勢にロシアと交渉していたのか。それなら、
日本がロシアに宣戦布告するのも理解できる 」 というわけです。これが戦略というものです。
もし、日露戦争当時の知恵が昭和前期の日本にあれば、あんな日米交渉にはならなかった
ことでしょう。
・・・・・・ そして、それでも戦争するのであれば、とことん騎士道的に戦う。
つまり、ことさらにアメリカの捕虜を優遇し、しかも硫黄島のような勇猛な戦いを見せ付ける
わけです。そうすれば、間違いなくアメリカには厭戦(えんせん)気分が満ち溢(あふ)れた―
私はそう思います。>
米国について、岡崎氏は < 世論が最終決定権をもっている >といい、渡部氏も< 「 皆の衆 」
の国 > であるといい、アングロ・サクソン世界との付合いは、情報を公開することで、
米国 国民に語り掛ける外交こそが、日本の課題であると述べている。
|
|