多くの日本人が安保法制について誤解している点についての正しい、詳しい解説なので、大変勉強になります (11270) |
- 日時:2019年09月20日 (金) 00時34分
名前:コスモス
https://www.facebook.com/michio.ezaki/posts/871101696339662
〇デモに参加した若者の「疑問」
安保法制の国会採決があった18日夜、永田町の安保反対デモに参加した大学生と、本日、話をした。写真は、デモに参加した大学生からもらったお土産。
その大学生は、安保法制には賛成の立場のようだが、実際にデモに参加している人と話をしてみたかったからだという。
実際に、喧噪の中、その大学生は、デモに参加している若い男性と話をしたところ、「中国の脅威に対抗するために日本が防衛力を強化することには賛成だ」と答えてくれたいう。では何に反対しているのかといえば、以下の二点。
第一に、アメリカの言いなりになって安保関連法案を制定することは、結果的に、日本の防衛のためではなく、アメリカの都合で日本の自衛隊が犠牲になっていくことになるので反対だ。
第二に、一内閣の判断で憲法解釈を覆すようなことを認めると、今後、どんどん、政府の都合で憲法解釈が変更されることになる。それは、極めて危険だから。
つまり、単純に「戦争法案だから」デモに参加しているわけではない、というのだ。確かに、労働組合や革マルのような過激派がデモの主体のようだが、普通に現状を心配して参加している若い人もいる、ということだ。
では、二つの理由についてどう考えるべきか。
第一の点についていえば、安倍政権がアメリカ政府の言いなりになっているという印象がかなり広まっていることに気付かされる。
それは、「アメリカのいいなり」という日本共産党の反米宣伝がかなり浸透していることを意味しているが、その一方で、月刊正論でも指摘したが、国防を対米依存で進めている政府自民党の姿勢にも問題があると言わざるを得ない。
安倍政権が「自分の国は自分で守る」という原則をしっかりと打ち出したうえで、その不足を同盟国との連携で補うということをもっともっと強調すべきだったということだ。
この点、日本の防衛当局は、来年度に向けた防衛予算でもあいかわらず、対米依存を前提にした概算要求をしており、「アメリカ依存の防衛体制をとっている以上、日本はアメリカに逆らえず、自衛隊は、アメリカの都合でいいように使われるのではないのか」という国民の不安を解消する方向にはなっていない。
ただ、現実の政治情勢を踏まえるとき、「安倍政権が、アメリカ政府の言いなりになっている」という批判については、日米同盟の現状を知っている者からすれば、噴飯ものだ。
何よりもアメリカ軍は、日本に対して求めているのは防衛費の増加だが、安倍政権は「アメリカ軍の要求を断固として跳ねつけている」。
法律を通すよりも防衛費をあげることの方が政治的には楽なはずなのに、敢えて法律改正を先行させている安倍政権は、アメリカ政府の、特に軍当局の要求を見事に断っているのであり、そんな安倍政権を「アメリカのいいなり」だと批判するのは、見当違いも甚だしいといわざるを得ない。
それに、今回の安保法制では、アメリカとともに外国で本格的な戦争をする仕組みになっていないし、自衛隊にそんな能力がないことは、アメリカ軍が一番よく知っている。
今回の安保法制が成立したことを受けて、まずは、アメリカやオーストラリア、インドなどと、合同の訓練を重ねることで、補給や通信などでの連携を強化することになるし、アメリカ軍はそうした多国籍の合同訓練の場所を急いで構築している最中だ。どちらにしても当面は、訓練が増えるだけだろう。
よって、アメリカの都合で、自衛隊が世界各地で戦争をさせられる、というのは、あまりに現実を知らない話だと言わざるを得ないのだが、そうした丁寧な説明をしてきていないこちら側の責任は、自覚せざるを得ない。
第二の、憲法解釈については、倉山満先生らが強調している通りで、日本政府は、限定的な集団的自衛権の行使をこれまで認めてきたのだが、昭和47年に内閣法制局が一方的に「行使を禁止」してしまった。それを安倍政権は再び、行使できるよう解釈をもとに戻しただけだ。
これをあたかも、安倍政権がこれまでの憲法解釈を覆したかのように主張するから、おかしなことになっているだけだ。
「内閣法制局は戦後、現行憲法下でも集団的自衛権の解釈をころころ変えてきているが、基本的には、行使を容認してきた。
日米安保条約に基づいて日本国内に米軍基地の設置を認めること自体が、集団的自衛権の行使にあたる。
ところが、昭和47年に内閣法制局は、国際法を無視して、集団的自衛権の行使を禁止してしまったことから、話がおかしくなったのだ。よって、昭和47年の内閣法制局の見解は間違いであり、本来の解釈に戻しただけだ」
こうはっきりと言っておけば、誤解を招かなくても済んだのだ。
安倍政権が、内閣法制局に対して妙な気兼ねをしてしまったことから、国民に妙な誤解を与えてしまったのだ。
官僚依存の政治が、国民に無用な不審感を抱かせてしまったケースとして、今回の集団的自衛権の解釈問題は、語り継がれるべきであろう。
忘れないうちにメモとして書いておく。乱文をお許し願いたい。
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