宗教法人が「選挙運動」「政治活動」を主たる目的とすることは許されていない理由について (11113) |
- 日時:2019年07月07日 (日) 20時18分
名前:護法の天使
宗教法人法は、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする団体を「宗教団体」と定義(第2条)して、宗教法人認証の前提としています。
宗教法人は、その宗教活動に伴う収入や境内地や境内建物について、法人税や固定資産税等の非課税などの税制上の恩典が与えられているのもこれを前提としています。
従って、宗教法人は、選挙運動や政治活動をその主たる目的とすることは許されていません。
(ちなみに、アメリカ合衆国では牧師が説教で政治活動や選挙運動を行ったとのことで、内国歳入庁(IRS)からその教会が免税特権を剥奪された事例があります。)
このため、我が国でも、信者が政治活動を行う場合は、宗教団体とは別に政治団体(従前の政治結社)を自主的に結成し、規約や政治綱領を定め、その会費は、宗教上の献金や会費とは区分して政治活動を行っています。(公明党や神道政治連盟、かつての政治結社生長の家政治連合等)
すなわち、政治資金規正法の定めにより、政治活動を行う団体は、法定の届出を行い、その収支の明細(領収書等の写しも添付して)を報告し、一般国民の自由な閲覧を受けなければなりません。
従って、宗教団体のままで、指導者や執行部が直接、その団体の信者に、選挙運動や、選挙に当選させないための投票行動を命じることは許されないことです。もし、そうするのであれば、宗教法人格を返上するとともに、政治資金規正法に基づき、その宗教団体自身の経理の明細を選管等に届け出て公開(領収証の写しまでつけて)し、一般国民の閲覧に供しなければならないことになるのです。
特定の政党や候補者への投票を働きかける行為は、公職選挙法で規定された「選挙運動」であり、不支持を強要することも実質的に反対党の候補者に利するものですから、事実上の「選挙運動」であり、少なくとも「政治活動」であって純粋な宗教活動ではないことは疑いありません。
宗教団体の執行部が、組織をあげて信者に特定の投票行動を強要することは、基本的人権である信者の参政権の侵害となることは衆目の一致するところです。
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