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[9617] Pathetic courtship 21
A・Y - 2008年03月22日 (土) 15時06分

コンフェ「二本目行きまーす」
夢幻「本当にストック溜めたからねぇ」
コンフェ「ええ、仮眠を挟みながら昨晩から書き続けましたから」

response to 宙さん
其処は「何処が普通やねん」とか「普通の定義が分かりません」て言うと思った(´・ω・`)
双方敵意がない。それが正解です。
ふむ、宙ちゃんの予想はそうなりますか。>プール側長期戦。
ゴメン、観覧車に居た目的の人はしっかり移動させられてます。

コンフェ「じゃあ投下行きまーす」
夢幻「ENTER」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


見つかってしまった。けれど先に見つけた。だから問題ない。
捕まってしまった。けれどすぐに逃げられる。だから問題ない。
そして、もうすぐ主賓が来る。だからこれからが本当に騒々しくて愉快になる。

「フッ……」

そう思うと途端に彼は、笑った。
そして、携える短剣で切り裂いた。
自分をあと一息で握り潰そうとする影が、紙切れのように散り散りになって消えた。
足が床に着けばすぐに蹴って離れる。
下から斜め横の軌道で駆け出す。
壁に、スロットマシーンに、競馬台の縁を足場にして、対象に近寄る。

「っ!兄者!!」

影使いの弟が兄を守ろうと前に出る。
彼は疾風の如く迫ってくる。
斧を縦に構えた。いつでも振り下ろせるように。
けれど、彼は緑の頭をした兄弟は無視して行った。

「何っ!?」

彼は首に待とう灰色をはためかせながら、短剣を両逆手に持って飛び掛った。
対象は予想の反応速度でこれを打ち返す。
鞭のようにしなる武器。
金髪の丸い頭の大男は、鼻から出したそれを自在に操る。
これを受けて、流す。
相手もそれを見越して、追撃する。
唸り続ける鞭を幾らか避けながら短剣で滑らせながら、彼はやっと床に着いた。





「お初にお目にかかります」

剣を下げて急に喋りだし、意思疎通を示したカタアリを見て全員は追撃を止める。
灰色の布マフラーを揺らしながら、似た色の髪をした少年は自己紹介する。

「シーカー。と、お呼び下さい。ところで」

橙色の眼をさっきより細めた。元々細目の方だろう。
けれど、その細め方は悪意を含んでいた。

「――――あなたが、コンフュジョンの『旦那さま』でございますか?」

直後、カジノの壁が外から爆破された。








(どうやら、来たようですね)

複数の強き人間を相対しているバーバロウスは、彼の波動を感じ取る。
この大量の水が一気に蒸発する程度の力を持つ、彼の到着を知る。

(――――だが、見事にうちの悪戯者に引っかかったようでもある。
 ……予定より早い到着でしたから、狂わせられない確率が上がって良いですけど)

バーバロウスは表情を変えないまま。目の前の相手を見やり続ける。








(……来たか)

奴の前から消えて三ヶ月少し。長いようで短い追いかけっこだった。
とうとう、追いつかれてしまった。何時でも覚悟出来ていたこと。……そうでもないこと。
最悪の場合の対抗策も幾つか考慮した。
一人で逃げる選択肢は頭にない。それが最も得策だけど、『コンフェとして』許さない。
先ずはやるべきことを片付けてからだ。

(とりあえず、アイツが誰にも構わないことを祈るのみだ)

兄弟が自分の友人達に危害を加えないように。
そんな些細な願いは、純然たる破壊の前には叶わない。







「…………あら」

タイラストは顔を僅かに持ち上げた。

「来たのね」
「誰が?」

訝しげにレムが聞いた。
タイラストは指を使いながら方角を確かめた。

「大体八時の方向かしら。デストロイが来たわ。……一番密度の濃い部分にぶつかったわね。
 でも、ちょっとダイレクトね。方角からしてこれは狙わないとって、感じ?
 誰かが誘導したのかしら?此の頃の破壊くんはとても乗り易いから」
「デストロイ……て」
「原罪四部よ。ずっとコンフュジョンを探し回ってたらしいわ。
 …………あら、つまり今夜やっと再会出来るのね。良かったわぁ。こっちの観戦が終わったら見に行こうかしら」

タイラストはコロコロ笑いながら傘をくるりくるりと回す。
コンフュジョンがコンフェのことだとレムはまだ知らなかったが、薄々気付いた。
再会はきっと良くないものだと、レムは彼らの関係を知らないが、そう思った。







最初に見えたのは赤と金の影だった。
形が明るみに出ると、その鮮烈で端整な容姿に呆けたことだろう。あくまで普通の状況だったら。
身体を覆う金髪に真っ赤な服の少年が居た。
目元は見えない。多過ぎる量で括らない髪が隠しているからか、ほんの少しだけ彼が俯いているからか。

そして、誰かに似ているような気がした。
身近な人物だった気がする。……正確に誰なのかは、まだこの時の面子では分からない。

穴を空けられた壁の縁にやる手が、更に穴を広くした。砕いたかもしれない。溶かしたかもしれない。
後方は火の河が燃え盛り、燻られた土が煙を上げていた。彼の足跡なのだろうか。
熱気が入り込んできた。いきなりの温度上昇でカジノがサウナ化してしまう。
だが、人間達が伝う汗は、突然舞い込んできた暑さからではない。

「な、な、な……!?!」
「何だコイツは……!?」

破天荒は鍵を、ソフトンは手刀を乱入者に向けた。どちらも腕を震えながら。
圧倒的なプレッシャー。気を抜いた瞬間潰されてしまう位の。
只者ではないことは悟れた。

「あ、兄者。彷徨の群れが、熱気だけで消されて……」
「まさかコイツ……」

彼が強引な入場をした瞬間に、彷徨は悶え嘆きながら掻き消されてしまった。
駄々漏れする感情の波だけで脆弱な部類を一掃した。
暑さに反して悪寒がした。
緑竜の想像は、おそらく当たっている。

「コンフュジョンの……匂い…………」

彼は、幽かな声で呟いた。
余りに小さな声で、周りの火の音も遮っている。
けれど、確かに耳に入った。此処に揃う面子の聴力が高いのだろう。

「『旦那さま』……」

彼の呟きは続く。
火は点けられていた。さっきまで猛っていたが、今は静かに揺らぐ頃だった。

「誰が、どの野郎が、『旦那さま』ってぇ…………」

そしてこれからまた激しく炎を盛らせる。
怒りと嫉妬を原料にするものとして。

「デストロイ様」

彼の登場から始めて声を発したシーカー。
デストロイは目をやらない。向けば炎の進行が決められてしまうから。
だからシーカーは、ベストな間を作って、この時を待って行動に移った。
簡単な作業だった。

「きっと、この方でしょう」

一人涼しい顔をしていたシーカーは、掌で指し示した。
――――ボーボボを。
同時に、赤い眼がかっきり開いた。





「……なぁ!!?」
「お前かああああぁぁぁああぁぁぁあ!!!!!」

シーカーとデストロイ以外の者達は呆気に取られ、感情を爆発させたデストロイはボーボボに業火を放つ。

「っ!鼻毛真拳奥義!スロットガード!!!」
ボーボボは近くにあったスロットマシーンを強引に自分の前へ寄せた。
ギリギリ間に合い、業火がマシーンにぶつかる。
直後に、ボーボボを拾う影。本体である緑竜の隣まで引っ張った。

「すまん。助かった」

緑竜は返事は出さず頷いた。
一方、スロットマシーンは溶けて灰になった。

「いつものバカガードでも防げ切れないだろうな。今のは……」
首領パッチや天の助が居たら涙目どころじゃないことを言う。
だが声色は緊張に満ちていた。ビュティが見てもボーボボが弱気だと察するだろう。

緑竜は、もう一体のカタアリに目を向ける。

(コ、コイツ……!!!)

嵌めやがった。
仕組みはよく分からないが、ボーボボを標的に仕立て上げる算段だったのだ。最初から。
理由?きっと誰でも良かったのだろう。
この凶悪な獣を誘導する条件さえ持っていれば、そいつらは生贄に過ぎないのだ。

「フッ……」

策謀を裏付けるように。
彼……シーカーは、もう一度笑った。




あとがき
絶賛発狂中のデストロイを利用してみる→コンフェと長い間一緒だった男性をとりあえず『旦那さま』と呼ぶ
→疑いなくターゲットにした→サーセンwww
とんだ悪戯っ子ですねぇ。

[9618]
宙 - 2008年03月22日 (土) 15時24分

あ、その単語スルーしてましたw
そりゃ移動するでしょw

うっわー・・・ついにご登場ですか、デストロイ君。
それぞれカタアリの実力者達は気付きましたか。
少なくとも『旦那さま』はその中にはいないと思うよ。聞かないと思うけど。
相手は原罪四部の1人。しかも感情がかなり昂ぶっている。
かなり厄介者を誘導しましたねシーカー君。
うーん、どうなることやら(オイ)



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