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[9615] Pathetic courtship 20
A・Y - 2008年03月22日 (土) 14時40分



コンフェ「さ、出すか」
夢幻「今日はストック溜めたんだね」
コンフェ「うん。後は細かいミスがないか見るだけ」

response to 宙さん
うん。なんだかんだで協力してます。変に長引かせると苦しいだけだし。
ですよねーwこっちも印象に残るの食パンさんしかw
いや、華爪家で働く人の半分以上が花マニアでしてね。(そうなの!?)
とりあえず王子って言えばいいよ。本当は歌王だけど。(なんか凄いネタバレさらりと出したり)
神霊側の『隔世』は辞書の正式的な意味でも正しいんですよね。先代だし。

コンフェ「まずは一本目どうぞー」
夢幻「ではENTER」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



「味方…………ですってぇ?!」

タイラストの台詞に返事したのは、この場で唯一向けられなかったエイロネイアだった。
「うん。そうすることにしたの」
聞いてない相手だがタイラストは律儀に答えた。
「あの風を見て、此処に来るまでは、悩んだけどね。大半の方々が決めた、見て見ぬフリも考えた。
その前は『光』のお嬢様のところへ遊びに行こうと決めていたから。本当に悩んでしまった。
ふふふ。久しぶりに頭が痛くなるくらい迷ったわ。それくらい大きな出来事が、点々とした位置で同時に起こるのだから。
……これくらい世界を自由に行き来する能力が欲しいと願ったのは、何時振りかしらねぇ。初めてじゃないと思うけど」

傘をくるりと半回転させながら、黄色い少女は語る。
誰も居ない星も少ない夜の空を見ながら、呟いた。

「……結局は、此処に決めたの。夜のアミューズメントパークって楽しいわね。きっと――――」

それから、彼女はまたふんわりと微笑んだ。

「――――ここにタイラストの望んでいるものが、あるかもしれないよ?」

きっと、その笑顔には黄色い花々が似合っている。
けれど薔薇でも負けてしまうだろう。それ位、華やかで清らかで美しい。
そして、この笑顔がエイロネイア始めとする多くのカタアリにとっては、恐怖の象徴にしか見えなかった。

――――タイラスト。渇望するタイラスト!!
原罪四部と同等の力を持つカタチだけアリしもの。
一度望まれたら最期、その対象は髪の毛一本まで絞り奪い弄られ尽くされるだろう。
そう、同族の中で畏れられる存在。



「さぁ。さっきの続けていいわよ」

彼女は微笑んだままで中断された戦いを促す。
ティネートとの勝負を続行せよと言うのか。
そちらに付くと言っておいて。タイラストというカードが含まれる陣地で戦えと申すのか。

「じょ、冗談じゃないわぁ!!!!」

エイロネイアは悲鳴に等しい怒号を吐き捨てて、翼を羽ばたかせ飛んだ。
逃走したのだ。その選択肢は間違ってない。
……だが、タイラストは微笑を揺らがせることもなく、更に小さくなっていく人形を見据える。

「ヴィーヴィー」

余り聞き慣れない独特の連続した発音。
それは、誰かの名前だった。
タイラストの背中からだろうか、音もなく影が現れた。

「なるべく友達水入らずしてあげてね」

青年らしい影は、ティネートを担ぎ上げた。いや引っ張り上げた。
「え…」
そのまま加速し、エイロネイアが逃走した方向へ向かって飛んでいく。
怪力であるティネートが何の抵抗も出来ず、斧も手にしたままで。

「ちょっ!!?」
あっという間の出来事に、レムは
そんな反応を見てか、タイラストは気付いたようにポンと両掌を合わせる。

「ああ、そうね。ママも同伴させなくちゃね」
「は!?」

タイラストはレムの頭へ手を伸ばす。
何をすると叫ぶ有余もなく、レムの意識は消えた。








消えたといっても、ほんの一秒か二秒くらいだった。
頭部を強打されての目眩に近い状態。幸い傷みは全く無いが。

(……………………ええっ!?)

眼下には、遠く離れた地面と自分。
ビュティ達が倒れたレムの体を支えて、何か叫んでいる。

レムは、すぐに自分の状態を理解する。
『飛翔』した……否、させられていた。
前に、菊之丞から『飛翔』は助力あっても可能と聞いたが、完全に他人の力で発動出来るものだったのだろうか。
調べるのも微妙だが、自分が幽体になっている以外は特に異常は無かった。

「不思議な気分?」
「ええ、まあ……;;」

隣で傘を差しながら、生身で翼も無く普通に飛んでいるタイラストの方が、よっぽど不思議だと思う。

「あなた素直ね。わたしが促さなくてもすぐにでも使うつもりでいたでしょう?だからすんなりその成る形に」
「そりゃアンタがあんな強引なことするから!」
「え……?」

キョトン。という音を立てるように笑顔が疑問符に相応しい間抜けな、けれど憎めない形へと変えた。

「……強引だった、かしら。二人っきりで遊べるところを、選んであげようと、……余計なお世話だった?」
「そんな問題じゃないんです。私達は全員あの場所で待機しなくちゃいけなくて。
 ……それに、あの子とティネートは友達じゃないんですけど…」
「あら?………………」

疑問符が二重で付くような顔をするが、不思議と苛立ちはない。寧ろ首を傾げる仕種に愛らしさがあったりする。
タイラストは少し考え込み入ってから、答えた。

「ところで確か…………ビュー…ティー…?……いいお名前ね」
「いえ、私はレムです」
「ああ、そっちだった。……レェームゥー……いい響きね」
「なんでわざわざ伸ばすんですか…?」

というか、何故話を摩り替える。
レムは最初に感じた不気味さも危うさも消えてしまっていた。
今あるのは、理不尽な目に合わされている気分と、安心感。
安心?まだタイラストに油断してはいけない筈だ。
けれど、今は大丈夫だ。彼女が味方なのは信じていいと、自分の中で勘が諭していた。





「――――みんな、激しいのが好きね」

タイラストがまた関係のない意味が分からないことを発言する。
きっと彼女の中ではティネートを連れ去った理由は忘れたに違いない。
今度は夜の遊園地全体を眺めながら。

「あそことか、あそことか、あそこも、みんな一生懸命ね」
「みんなって…………何処に誰か居るのか、分かるの!?」
「誰が誰まではー……分からないけどね。ただなんとなくで言えば……」





タイラストは人差し指を使いながら教えた。

「あそこは、少し煩いわ。それに小さいものがたくさんと大きい命に寄りかかろうとして、窮屈そうね」
其処は、ボーボボ達が戦っているカジノハウスだった。



「其処だな!?」
緑竜が渇を入れて影を伸ばす。

カジノの隅っこ。スロットマシーンの端。テーブルに挟まれた壁に彼は隠れていた。
「……!」
特に抵抗は出来ず……それともしなかったのか、あっさりと影に捕まえられる。

「兄者!」
「本体でも見つけたってか!?」
「似たようなものだ。おそらくコイツがありったけの彷徨を呼んだんだろう」
平原と破天荒が群がる雑魚を蹴散らしながら聞く。緑竜も同じように分散した影で自分の周りを払う。

緑竜の見解は間違ってない。
彼こそが、この場所を担当とし、訪れた敵を彼の能力で殲滅させる役割をバーバロウスから受け取った。

「………………」

締め付ける影。このまま握り潰すのだろう。
彼は、何も言わず、顔は形も色も変えなかった。









「あそこは、逆に空か空かね。光がないから人間には辛いじゃないかしら。
 ……あ、熱い火を感じる。人間側が何か出したのね」
其処は、広大なドーム。イベントやショーに使うスタジオだった。



今正にタイラストの感と予見通り、久耶子が火を司る人形を駆使し始めたのである。
「すこーし熱いですから気をつけて!」
トランクを脇に抱えて、久耶子は左手を振り上げる。

火の玉はゴオッと自らの体を熱くたぎらせ、暗い世界を駆け回る。
近くにあるものを片っ端から轢き捨てて、燃やした。
勿論ランバダやライスに当たらない様にして。

一方ゴブリンの人形はさっきから目立つ……おそらく一番図体の大きいカタアリと打ち合っている。
黒い電球頭が白く瞬けば電撃が来る。タイミング今のところ外してない。ヒットアンドアウェイで攻めていた。

久耶子は右手でゴブリン人形を、左手で火の玉の人形を操る。
彼女だけに任せてられないと、ライス、ランバダも動く。
視界が火の明るさで少し有利になった。
敵はそれ程多くない。けれど油断ならない。
なんたって素早く。身軽だ。格が高いか知らないが、知能もある。
二人は互いの背中を守るように戦った。








「あっちは…………うん。ワンサイドゲームになりそうね。コンフュジョンじゃ仕方ありませんわ。
 こっちの、水場らしいところでは。……あらあら、程好い匙加減で遊んでいるわ。これはバーバロウスね」
「一部は分かるんですね」
「質と大きさによってなの。原罪四部とその系脈は非常に分かり易い波を持ってますので」
タイラストは胸を張るように答えた。あなたの波はとっても伸びやかで気持ち良いわ。と付け加えて。
レムは彼女に微笑み返してから、宵闇の先を見た。

「ティネートはこっちですか?」
「ええ。状況や彼女らの特性を踏まえても、この区域で一番戦い易い所でしょう?」

目的地はおぼろ気だが見えてきた。闇夜に慣れた目なら、浮かんでくる巨大な車輪のような物体。
此処が遊園地という区域を考慮すれば、レムにも正体は分かっていた。




あとがき
出てきてすぐにとんだ行為。ツッコミどころ満載でっせ。>タイラスト
ちなみに勘と感は似て非なるよね。敢えて感だけど。

[9616]
宙 - 2008年03月22日 (土) 14時56分

まぁ花が好きな人じゃないと働けませんねぇ>華爪家
そうか王子か。あ、さらっと出たw

原罪四部と同等の実力者ですか>タイラスト
エイロネイアの行動は正しいですね・・・でも逃げられそうにないですね;今は;
レムの方は凄い和んでるの、何故。
あ、双方に闘志がないからか。

各地の動き。カジノはどうも担当者を見つけたみたいで。
少なくともロウスさん側とのバトルはケリがつくのかな・・・?
ドームは苦戦中。がんばれー。
ティネートちゃん達は観覧車の近く?
・・・動かされてなければ目標がいる所ですね。



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