| [9615] Pathetic courtship 20 |
- A・Y - 2008年03月22日 (土) 14時40分
コンフェ「さ、出すか」 夢幻「今日はストック溜めたんだね」 コンフェ「うん。後は細かいミスがないか見るだけ」
response to 宙さん うん。なんだかんだで協力してます。変に長引かせると苦しいだけだし。 ですよねーwこっちも印象に残るの食パンさんしかw いや、華爪家で働く人の半分以上が花マニアでしてね。(そうなの!?) とりあえず王子って言えばいいよ。本当は歌王だけど。(なんか凄いネタバレさらりと出したり) 神霊側の『隔世』は辞書の正式的な意味でも正しいんですよね。先代だし。
コンフェ「まずは一本目どうぞー」 夢幻「ではENTER」
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「味方…………ですってぇ?!」
タイラストの台詞に返事したのは、この場で唯一向けられなかったエイロネイアだった。 「うん。そうすることにしたの」 聞いてない相手だがタイラストは律儀に答えた。 「あの風を見て、此処に来るまでは、悩んだけどね。大半の方々が決めた、見て見ぬフリも考えた。 その前は『光』のお嬢様のところへ遊びに行こうと決めていたから。本当に悩んでしまった。 ふふふ。久しぶりに頭が痛くなるくらい迷ったわ。それくらい大きな出来事が、点々とした位置で同時に起こるのだから。 ……これくらい世界を自由に行き来する能力が欲しいと願ったのは、何時振りかしらねぇ。初めてじゃないと思うけど」
傘をくるりと半回転させながら、黄色い少女は語る。 誰も居ない星も少ない夜の空を見ながら、呟いた。
「……結局は、此処に決めたの。夜のアミューズメントパークって楽しいわね。きっと――――」
それから、彼女はまたふんわりと微笑んだ。
「――――ここにタイラストの望んでいるものが、あるかもしれないよ?」
きっと、その笑顔には黄色い花々が似合っている。 けれど薔薇でも負けてしまうだろう。それ位、華やかで清らかで美しい。 そして、この笑顔がエイロネイア始めとする多くのカタアリにとっては、恐怖の象徴にしか見えなかった。
――――タイラスト。渇望するタイラスト!! 原罪四部と同等の力を持つカタチだけアリしもの。 一度望まれたら最期、その対象は髪の毛一本まで絞り奪い弄られ尽くされるだろう。 そう、同族の中で畏れられる存在。
「さぁ。さっきの続けていいわよ」
彼女は微笑んだままで中断された戦いを促す。 ティネートとの勝負を続行せよと言うのか。 そちらに付くと言っておいて。タイラストというカードが含まれる陣地で戦えと申すのか。
「じょ、冗談じゃないわぁ!!!!」
エイロネイアは悲鳴に等しい怒号を吐き捨てて、翼を羽ばたかせ飛んだ。 逃走したのだ。その選択肢は間違ってない。 ……だが、タイラストは微笑を揺らがせることもなく、更に小さくなっていく人形を見据える。
「ヴィーヴィー」
余り聞き慣れない独特の連続した発音。 それは、誰かの名前だった。 タイラストの背中からだろうか、音もなく影が現れた。
「なるべく友達水入らずしてあげてね」
青年らしい影は、ティネートを担ぎ上げた。いや引っ張り上げた。 「え…」 そのまま加速し、エイロネイアが逃走した方向へ向かって飛んでいく。 怪力であるティネートが何の抵抗も出来ず、斧も手にしたままで。
「ちょっ!!?」 あっという間の出来事に、レムは そんな反応を見てか、タイラストは気付いたようにポンと両掌を合わせる。
「ああ、そうね。ママも同伴させなくちゃね」 「は!?」
タイラストはレムの頭へ手を伸ばす。 何をすると叫ぶ有余もなく、レムの意識は消えた。
消えたといっても、ほんの一秒か二秒くらいだった。 頭部を強打されての目眩に近い状態。幸い傷みは全く無いが。
(……………………ええっ!?)
眼下には、遠く離れた地面と自分。 ビュティ達が倒れたレムの体を支えて、何か叫んでいる。
レムは、すぐに自分の状態を理解する。 『飛翔』した……否、させられていた。 前に、菊之丞から『飛翔』は助力あっても可能と聞いたが、完全に他人の力で発動出来るものだったのだろうか。 調べるのも微妙だが、自分が幽体になっている以外は特に異常は無かった。
「不思議な気分?」 「ええ、まあ……;;」
隣で傘を差しながら、生身で翼も無く普通に飛んでいるタイラストの方が、よっぽど不思議だと思う。
「あなた素直ね。わたしが促さなくてもすぐにでも使うつもりでいたでしょう?だからすんなりその成る形に」 「そりゃアンタがあんな強引なことするから!」 「え……?」
キョトン。という音を立てるように笑顔が疑問符に相応しい間抜けな、けれど憎めない形へと変えた。
「……強引だった、かしら。二人っきりで遊べるところを、選んであげようと、……余計なお世話だった?」 「そんな問題じゃないんです。私達は全員あの場所で待機しなくちゃいけなくて。 ……それに、あの子とティネートは友達じゃないんですけど…」 「あら?………………」
疑問符が二重で付くような顔をするが、不思議と苛立ちはない。寧ろ首を傾げる仕種に愛らしさがあったりする。 タイラストは少し考え込み入ってから、答えた。
「ところで確か…………ビュー…ティー…?……いいお名前ね」 「いえ、私はレムです」 「ああ、そっちだった。……レェームゥー……いい響きね」 「なんでわざわざ伸ばすんですか…?」
というか、何故話を摩り替える。 レムは最初に感じた不気味さも危うさも消えてしまっていた。 今あるのは、理不尽な目に合わされている気分と、安心感。 安心?まだタイラストに油断してはいけない筈だ。 けれど、今は大丈夫だ。彼女が味方なのは信じていいと、自分の中で勘が諭していた。
「――――みんな、激しいのが好きね」
タイラストがまた関係のない意味が分からないことを発言する。 きっと彼女の中ではティネートを連れ去った理由は忘れたに違いない。 今度は夜の遊園地全体を眺めながら。
「あそことか、あそことか、あそこも、みんな一生懸命ね」 「みんなって…………何処に誰か居るのか、分かるの!?」 「誰が誰まではー……分からないけどね。ただなんとなくで言えば……」
タイラストは人差し指を使いながら教えた。
「あそこは、少し煩いわ。それに小さいものがたくさんと大きい命に寄りかかろうとして、窮屈そうね」 其処は、ボーボボ達が戦っているカジノハウスだった。
「其処だな!?」 緑竜が渇を入れて影を伸ばす。
カジノの隅っこ。スロットマシーンの端。テーブルに挟まれた壁に彼は隠れていた。 「……!」 特に抵抗は出来ず……それともしなかったのか、あっさりと影に捕まえられる。
「兄者!」 「本体でも見つけたってか!?」 「似たようなものだ。おそらくコイツがありったけの彷徨を呼んだんだろう」 平原と破天荒が群がる雑魚を蹴散らしながら聞く。緑竜も同じように分散した影で自分の周りを払う。
緑竜の見解は間違ってない。 彼こそが、この場所を担当とし、訪れた敵を彼の能力で殲滅させる役割をバーバロウスから受け取った。
「………………」
締め付ける影。このまま握り潰すのだろう。 彼は、何も言わず、顔は形も色も変えなかった。
「あそこは、逆に空か空かね。光がないから人間には辛いじゃないかしら。 ……あ、熱い火を感じる。人間側が何か出したのね」 其処は、広大なドーム。イベントやショーに使うスタジオだった。
今正にタイラストの感と予見通り、久耶子が火を司る人形を駆使し始めたのである。 「すこーし熱いですから気をつけて!」 トランクを脇に抱えて、久耶子は左手を振り上げる。
火の玉はゴオッと自らの体を熱くたぎらせ、暗い世界を駆け回る。 近くにあるものを片っ端から轢き捨てて、燃やした。 勿論ランバダやライスに当たらない様にして。
一方ゴブリンの人形はさっきから目立つ……おそらく一番図体の大きいカタアリと打ち合っている。 黒い電球頭が白く瞬けば電撃が来る。タイミング今のところ外してない。ヒットアンドアウェイで攻めていた。
久耶子は右手でゴブリン人形を、左手で火の玉の人形を操る。 彼女だけに任せてられないと、ライス、ランバダも動く。 視界が火の明るさで少し有利になった。 敵はそれ程多くない。けれど油断ならない。 なんたって素早く。身軽だ。格が高いか知らないが、知能もある。 二人は互いの背中を守るように戦った。
「あっちは…………うん。ワンサイドゲームになりそうね。コンフュジョンじゃ仕方ありませんわ。 こっちの、水場らしいところでは。……あらあら、程好い匙加減で遊んでいるわ。これはバーバロウスね」 「一部は分かるんですね」 「質と大きさによってなの。原罪四部とその系脈は非常に分かり易い波を持ってますので」 タイラストは胸を張るように答えた。あなたの波はとっても伸びやかで気持ち良いわ。と付け加えて。 レムは彼女に微笑み返してから、宵闇の先を見た。
「ティネートはこっちですか?」 「ええ。状況や彼女らの特性を踏まえても、この区域で一番戦い易い所でしょう?」
目的地はおぼろ気だが見えてきた。闇夜に慣れた目なら、浮かんでくる巨大な車輪のような物体。 此処が遊園地という区域を考慮すれば、レムにも正体は分かっていた。
あとがき 出てきてすぐにとんだ行為。ツッコミどころ満載でっせ。>タイラスト ちなみに勘と感は似て非なるよね。敢えて感だけど。

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