| [9555] Pathetic courtship 14 |
- A・Y - 2007年12月14日 (金) 17時44分
コンフェ「明日こそ!わたしは、缶詰、する!!」 夢幻「……頑張ってね(この前は出来なかったってことか)」 コンフェ「家には整理整頓って話もあるもの。読書もするもの」 夢幻「動画に入り浸っているよりはマシかな」
response to 宙さん それくらいしかあの子らを使う道なかったので。 余り役立てないと思うけどね>『飛翔』 分断は以下のようになりました。 レムが気付いた後ですからね。まあ先に気付いたけど流れに任せるしかないってのも居たでしょ。
コンフェ「今日はデススマイル出来るかなぁ。ラストステージ以外はノーミスが目標」 夢幻「凡ミス多いものね、昔っから」 コンフェ「とりあえずやる気を満タンにしながらENTERです!」
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菊之丞は、意識と無意識の境に居た。 眠りに近いようで、頭は澄み切っている。 体に力が全く篭らない。紙粘土のように柔らかくなり過ぎている。 首を項垂れていた。腕は指先まで動く気がしない。
菊之丞は観覧車に乗っていた。 おそらく、動いている。今、上昇中だろう。多分。 深夜で消灯しているから、景色は深い藍色……闇に染まっていて、面白味がない。 星は瞬いているが、今の菊之丞は首を上げる気力すらない。
「……懐かしいですか?」
楽しそうに語りかける声。 主は、夜の闇と同じ色の男。菊之丞を此処に連れて来た張本人だった。 一体何のことを訪ねて懐かしいと言うのだろう、この男は。と菊之丞は思った。
「かなり様変わりしてしまいましたが、想い出の土地ですよ」
見た覚えがない。 菊之丞にとって遊園地とは、自分達の城のことがまず頭に浮かぶ。 そもそも想い出の土地なんて、ない。 とても遠い時間の隙間に、消えてしまっているから。
「どんなに姿形が変わり面影を失っても。また、此処に来たかったんでしょう。一緒に」
一緒に。とは菊之丞と誰某を指しているのだろう。 レムか、ジェダか、コンバットか、他の仲間達のことか。 目の前の男は知っていますよと言う風に涼しい微笑。
「……『百年前から』、連れて来たかったでしょうね。貴方は――――」
――――ダカラ。 コイツハ、何ヲ、言ッテイルノダ?
「……はぐれたねぇ」 飄々とした振る舞いで、ジェダは呟いた。
雑魚はあらかた片付けた。 だが、味方も半分以上見なくなっていた。
気付けば壁に囲われていた。 それまで、何らかのヴェールが掛けられていたのか、見えなかった。 触れるとなんてことない。ただの冷たいタイルの壁。 高さはジェダの倍くらい。 天井は開いていた。闇夜の濃い空で、星々が囁き程度に煌めいていた。
どうやら誘い込まれたらしい。 気付いたところでもう遅いけど。
「まんまと誘導させられちゃった?」 大して慌てない調子の、黒猫が聞く。 「選んだって感じはなかったから、ただの分断だろうねぇ」 似たような調子で、ジェダが答えた。
「……じゃあ、このまま進んでもオーケーってこと?」 「こっちの目的は菊之丞の救出だからね。とりあえずそっちを優先するね」 「ふふっ、早い者勝ちっていいかも」 「そんな勝負事じゃないんだけどねぇ」
と、二人は前進しようとしていた。
「またんかい」 後ろに掛かる声は、光闇のものだった。 「コレ以上分断するなっつの」 「勝手な行動は命取りになるよ」 賛同する声はなのこだ。
それもそうだな。と二人共踵を返す。
「俺達以外は?」 「あっちにコンフェと夢幻。夢幻が気絶しちゃって、コンフェが看ているの」 「負傷はしてない。疲労からだ。……だから車内で仮眠しとけって注意したっス」
なのこが指した方向は行くのと逆方向だ。 戻るのか、と少し憤慨しそうになったが、置いてけないことも確かだし。 黒猫は早足で向かったし。 ジェダは溜息を堪えながら、彼女達に付いて行った。
これから向かう側に待ち構えている気配に、一つ睨んでから。
「見事に分断されてしまいましたね」 「想定の内だろう」 「ただ、僕たち三人は少な過ぎるんじゃない?」 「一人よりはマシだと思うが」
久耶子、ランバダ、ライスが互いの背中の向きを合わせるようにして、声を掛け合う。
「あの状況じゃ無理もないがな。なぁに、完全に単体で孤立するよりはマシだ」 「コンフェは夢幻に付きっきりだったし、高い確率で離れてないだろ。首領パッチ先輩の周りも人が多かった」 「華爪家の二人と、おでんの方達は重なるようにして戦ってたから、あの辺りも大丈夫でしょう」 「他にコンビとして残ってそうなのが、とこ屁組と、へいげんとお兄さん」 「光闇やジェダが心配だな……。コンバットはああ見えて戦場の視野が広いから、誰かのフォローに回ってるだろう」 「ボーボボさんも、天の助にはアレだったけど、誰かを庇いながら戦っていましたよ」 「なのこはどうだろう。黒猫もかなりの実力者っぽいけど……」
思いつくことから口にしているから、相槌を打つ流れは曖昧だ。 誰かが途切れそうになる毎に誰かが話している。 とにかく存在を確認し続けたかった。 夜目が強い以前の闇の中だから。
「おやびぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜ん!!!!」 「諦めろ。それにアイツなら大丈夫だろ」 「しっかりお傍に付いていれば……ちきしょー!!」 男泣きする破天荒を宥めるソフトン。 その後ろでボーボボは、黙って立ち尽くし、現状を見定めていた。 「俺達は、五人か…」 ふざけ合える奴らとツッコミが急に居なくなった時は、こうして真面目になっている。
「兄者。此処は…」 「また妙なところに誘い込まれたものだ」 平原と緑竜はざっと辺りの景色を見回した。
スロット台が何十も並び。 メダルケースが各種台に添えるように置かれてあり。 トランプやダイズ、ミニチュアの競馬場もある。 しかし、それらで遊ぶ人間は一人も居ない。 灯りがなく、静まり切ったその場所は、本来の姿を考えると正に停止状態と言うに相応しい。
「ふん、カジノか。動くかな?」 「電源は入ってないようだから、無理だと思う」
……ビッ。
「……でも無かったな」
文字通り、スイッチが入ったその娯楽施設は。 歓迎するように、騒々しい音と眩いばかりの光を広げた。 ジャラジャラと鳴るメダルに、ケラケラと笑う声が混じる。 ガラガラと鳴りながら回るルーレットやミニチュアの競馬場に、影が覆う。
「てめぇらのせいか!まとめてぶっ飛ばしておやびん探してやるぜえぇぇぇぇ〜〜〜!!!」 「(関係ないと思うけど)……弁償代は考えなくていいな?」 「ああ、金ヅルならある……来いっ!」
「ぷる〜ん。ぷるる〜ん」 「わ〜い!おいちゃん飴さん貰っちゃったw」 「……ふざけてももう敵は居ないよ」
ナマモノらは、彼らなりの戦い方で人形を撃破していた。 天の助が巨大ゼリー……プリン?と化しているのも、首領パッチが幼稚園児化しているのも。 なんというか、いつものノリなのだ。 へっぽこ丸が控え目なツッコミをするのも、そんな彼らを思いやって……ではなく、激戦後でちょっと疲れたから。
「師匠!こっちはカスリ傷一つ負ってません!」 「よし」 ハンペンとチクワンが師弟の掛け合いを取る。 「とりあえず、お前達だけなのだな?」 「他に見ない」 「うぬ」
浜木綿が自分の背丈以上の棍を立てて、気を配る。 「散り散りにされちまったのはしょうがない。けど、微妙な面子になっちまったな……」 「此処は何処でしょう……」 藤宮人が灯りが届かない場所を見回す。 「と、足元に気をつけて下さい。何があるのか分からないので」 「夜目をもっと鍛えて置くべきでした。つくづく修行不足です」
「いや、此処はまだやり易い方だぞ。……夜でもな」 「えっ……と、コンバット殿。どういうことですか?」 「耳を澄ましてみろ」 言われたとおりに、手で髪を避けてみた。
……ピチャン……。
「水の音……?」 「フッ、どうやら俺の苦手な場所のようだ。狙ったつもりはないだろうが、やってくれるじゃん」
コンバットがふんぞり返る様に鼻で笑った。 目も少し凝らすと、仄かな光が地面に篭っている。いいや、水面か。 激しく揺れると尚ハッキリとする。 中に何かが潜んでいるらしい。 息は立てないが、飛沫が舞おうとしていた。
あとがき 分断されたパーティの内訳は ジェダ、光闇、黒猫、おんなのこ、コンフェ、夢幻:迷路っぽいところ 毛の王国コンビ+ソフトン、黒乃兄弟:カジノのようだ ランバダ、ライス、久耶子:まだ分からない 華爪家の二人、旧毛狩り隊A・E・H隊長、とこ屁組+パッチ:おそらくプール場 レム、ビュティ、田楽マン、ティネート:入り口のゲート作業室 菊之丞:観覧車らしい です。

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