| [9530] とある日の風景 ぜんぺんのまき |
- 望月澪那 - 2007年10月26日 (金) 20時41分
「ねぇねぇ、神猫さん神猫さん!」
とある学校への道。 つまり、登下校に使われる道ということだろう。 眉間に皺を寄せている青年―名を久世神猫という―は、同じく男子生徒であろう金髪小柄で見た目は小学生なまさに腐女子(腐っている女子)の度ツボをついているだろう少年(あくまでも少年なのだ。)に今、まさに生徒への愛を試されているところだった。
「神猫さんは、何でろりこんと、しすこんと、ふけがおって言うあだ名がついてるの?」
―とある日の風景〜神猫の苦労はたえない。〜― ぜんぺんのまき。
「はあああぁあ!?え、何俺そんなあだ名ついてんのかよ?!」
朝だと言うにもかかわらず、低いボイス(※注:諏訪部ボイス)が通学路を支配した。 勿論、叫んでいるのは普段注意すべき人物であろう教師の久世神猫だった。 それに笑顔で答えているのは、金色のショートヘアをなびかせ、横に白いリボンをつけた小学生並の身長の持ち主―ミカル・アリスハルトである。
「…あンなあ、俺がシスコンなのは認める。」
認めていいのかよ、お前。
「だけどなあ、ふけ顔は微妙だし、ロリコンは断じて違う、違うぜェ!? た、確かに俺はミカルや猫チャンみたいな低い身長の持ち主が可愛くて可愛くて入ったとかそんなんjドバンッ!
何者かのとび蹴りが神猫の頭にヒットする。
「おーにーいーさーまー……?」
ぴくぴく、と眉間の皺を小さく動かしつつ、構えていた少女は彼、神猫の妹―久世黒猫である。 もうお分かりであろう、彼女も実は身長低めサイズの持ち主である。
「貴方仮にも頭首でしょう!?何をそんな生意気な言葉ばかりつぐんでいるんですの!?私よりもはるかに絵は下手だし料理も下手くそだし何もかも鈍すぎでしかもロリコンだしシスコンだしああもう何言ってるかわからなくなってきたじゃない!そもそもお父様は間違ってるのよ、あんたみたいな人を頭首にできるはずがないわ!でも私には頼るべき身内がいないじゃない!私はやりたくないし架雅深お兄様は相変わらず馬鹿で女たらし!しかも聞いて、アノ人また彼女できたのよ!?コレで何股目だかわかる!?18人目よ!?まったくふざけんのも対外にしろっつってんのわかんない!?ったく、ホントアンタと一緒にいると疲れる!YOU FOOL!って英語の演劇で言われた台詞そのままそっくりバッドで打ち返してそのままリバウンドで殺してやるわ!本当、いい加減にしてほしいわね!だいたいなんで妹を愛しちゃってんのよ、キモすぎなのよきーもーすーぎ!おまけにムカつくしウザいし!キモくてムカついてウザい、略してキムザイ!アァ!?わかってんでしょ、金正日なんて間違っても言うんじゃないわよ!いったらその場でバットでどすどす☆ドクロちゃん♪にしてやるんだから!それにねェ、あたしアンタにすっげェ恨みもってんのわかる!?シスコンの妹ーなんて何度馬鹿にされたことか!いいもん私お兄様に愛されてるからって気色悪い台詞何度はかせたら気が済むのかしら、この能無し!クソ頭!もういっそのこと脳みそぶちまけて死ねばいいんだわ!」
まるで某演劇のように神猫のネクタイをもってがたがたと上下へと揺らし、まるで暴言極まりない発言を何回も繰り返していた少女、黒猫。 お疲れ様です、とでも言いたげな表情ではぁはぁと息をする彼女と、まるで魂が抜けかけた人形のように真っ白になっている神猫。 その光景を後ろで見ていた赤髪の少女は、小さくこう漏らした。
「ふっふふ、おね、え、ちゃん、お疲れ、さま・・・!」
爆笑していたのだろう―クスクスと小さく上品そうに笑うこの子は、黒猫の異母妹である―赤月未懸猫だった。 「まったくよね、いい迷惑。」 はん、と小さく鼻で笑っては、彼を突き放し眼鏡をくい、とあげる黒猫。 今まさに彼女の格好は生徒会長とでも言えるだろう格好―実際はそうではないのだが。
「ぶは、超サイコーッスよ、せ〜んせv」
ミカルに似た金髪、珍しい金色の眉毛などをした少年が、片方を黒猫の肩へ、片方を未懸猫の肩へ乗せ。ぐぃ、と自身の方向へ引っ張ってはにぃっこりとした笑みを浮かべた。 彼の名前は、 セシア・アリスハルト。勿論のこと、彼はミカルの兄上様である。 二年生のミカルたちに対し、この人だけは三年生である。
「ってー…おい、セシア!てめ、この状況なんとかしろっつーの。」
まるで情事後のように乱れまくったシャツとネクタイを直しつつ、縁取りされた眼鏡をくい、とあげてそう問う神猫。 それにたいし、 セシアは。
「やーだね、神猫センセ、俺達のこと助けてくれたことなんてねェんだもん。」
べぇ、と舌を出しては反抗するセシア。 ついに、神猫の堪忍袋の緒が切れる。
「ッてめぇら仲良く死に晒せェェェ!」
があ、と襲い掛かるかのような神猫。 それをミカルはいとも簡単によけ、猫兄弟は案の定猫になってどこかへと飛び去った。
…残るは、セシアのみ。
俺ェェェ!?
そんな声が虚しく響いた。
******
「「んで、さっきの続きを聞かせてちょーだい♪」」
アリスハルト兄弟は仲が非常によかった。 はもった、コレってディスティニー♪なんて某有名アイドルグループの番組で行われていた会話を繰り返してみては、シクヨロ!なんてミカルが呟くものだ。
「…だーかーら、俺は老け顔でもロリコンでもねえよ。生粋のしすk
ドバンッ!
首が飛びそうな勢いで神猫の頭がすっとんだ。 まあ、こんなことは彼女たちの通う学校―氷海学園の高等部、屋上で起きている日常茶飯事のことである。
「…ったく、誰だンな噂流しやがったの。」
チィ、と小さく舌打ちをしたのは久世家三男でもあろう、久世架雅深。(新キャラ!皆さんこれテストにでますよ!)
「コレじゃますますキャバクラいけねェっつの。ロリコンの弟とかどんだけー…いかほどー、だよな」
けぇ、と小さく漏らしてはおにぎりを頬張る彼。 どうやら好物のようだ。 彼のライトブラウンの髪の毛が小さくそよそよと揺れている。
「事情、つきとめるしかねェか。」
こうして探偵教師、神猫の苦労は始まった。
To be continue...
と、とりあえず今は急いでるのでここまで、つーことで!

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