| [9468] ESP element 9 |
- A・Y - 2007年09月03日 (月) 15時45分
モルフォン「ずっとこの時を待っていた……」 凪「やっと活躍しますよねー、モルフォンさんが」
response to ゆいさん 例えレスが消えてても覚える限り、返すお!
ふぬ、ゆりかさんは由音さんだと常にデレデレなのですな。 じゃあ今回は「頼ってくれない!」ってちょいと臍曲げててツンったことにしてねw 次からはもっとデレデレさせますから〜。 レイさんは巫女服で合ってましたか。良かったです。 六さんに対する態度について何も言わなかった辺り男嫌いの表し方はこれで良さそうね。
腹黒なんてとんでもない!三人とも自分に正直な良い娘さんですよ。 それに本当に酷い子が居るしな……あふふ。(何か含んだ笑み) 最後に神のお薬渡して、全回復して下さいね。 ではでは〜w
response to 宙さん 言ってみただけですお。でも金は欲しいのは確か、せめて眼鏡代まで…。 なんとか〜、大体調子戻ってきたので〜。 そうですかぁ。じゃあ本編中に語ることになるでしょう。たぶん。
打ち切りしないでってことね、それなら大丈夫だよ。にぱー☆ これ以上不憫になるかどうかは私のノリ次第ということ。
ボボ一行とコンフェは普通に接しています。正体を知らないがイイヤツとして。ただそれだけのこと。 宙さんそーゆー神的なものに騒がないでしょう。サンホラーは脇に置いといて。 夢幻さんは……普通に流せますね。 もう3、4年は経つからねぇ。色々思い出せないこともあるかもしれないし。 変わってくる設定もあるですのよ。
あれ?そういやクライブ氏移動早いなぁ(ちょっと待て) そっすね。平原さんは大丈夫ですな、今のところ。
モルフォン「ささ、ENTERしちゃいましょう♪」 凪「こんなにウキウキするなんて……よっぽど我慢してたんですね」(ほろり)
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ゲェムは呆然としていた。 常に笑っているその顔と、大玉を器用に乗り転がしてる様を見るとその感情を嗅ぎ取れないが。 驚愕と困惑もあったかもしれない。 それよりも大きい感情が唖然というものだった。
ゲェムは寂しかった。遊び相手が突然消えてしまったことに。それもゲェムの目の前で。 姿だけじゃなく匂いも音も消えてしまった。 まるで何かに丸呑みされてしまったように。 そのまま大玉を転がして移動するが、彼らの気配が見当たらない。
何所へ行ってしまったんだろう。彼らは。 何所へ行ってしまったんだろう、『彼は』。 ゲェムは珍しく、想起した。 思い出すということ。いつもはすり抜けるだけの思い出が、ここぞと云う時に彼の心に浮かぶ。 鮮やかになっていく面影と、同時に浮かび上がるのは寂しさ。 ゲェムはすぐ忘れることにした。正確には気にしない、考えないようにした。 それから早く次の遊び相手を見つけなければならない、と彼は思った。 退屈だからなのだと彼は強く思い続ける。 一人遊びはつまらないからと強く足を蹴る。 此処にはきっと遊び相手が居るのだと信じる。
ほら見つかった。遊び相手。 さっきと違うヒトだけれど、数は多い。人間が四人。 そこそこ強そう。きっと退屈しない。 よし、遊んで貰おう。
本来欲するものがどうしても得られなくて、 けれど飢えは堪え凌げそうもなくて、 だから他で補おうとする。 人として言い換えれば、それは代償行動というもの。
「モルフォンさん、私が気絶している合間に何があったんですか?」 「……おそらく歪みが生じたのではないでしょうか。 このようなアストラル界では、支柱に些細な傷が入るともう維持を保つことが出来なくなります」
アストラルとは精神を指す。 本来現実には不可視物質と言われ、単純要素と不確定要素が最も多いもの。 精神の働きが現実の物質となったもの。 分かり易く言えば、固有結界を張れる能力。あれは使用者の精神を具現化したものだ。 魔法の原点、という例えもあながち間違ってはいない。 カタアリ・精霊等はこのアストラルの塊という説が定評である。
「この空間がA・Y嬢の精神をなら、先ほど戦った綺羅星にダメージが与えられて、歪みが発動したもの考えられます。 しかし彼女は直前まで無事でした。となるともう片方の影帽子に危害が加わったのか。 ……それともは作った支柱に何か起こったのか」 「支柱って?」 「この空間は、彼女一人が作り上げた結界とは違う……と思うんですよ。根拠はありませんが」 「黒幕がお姫様を操っているっていうパターンかい?で、その黒幕の身に何か起こったってことか」 「……あくまで推測ですが」
凪とモルフォン、神猫と千凪の四人は状況を理解しようと話し合っていた。 足を動かすことは忘れていない。周囲に警戒を張ることも。 歪みが発生し、彼らが綺羅星が居た地点から飛ばされておよそ10分は経つ。 場所を移されても相変わらず白い世界だ。何もない。 何も見えなくする闇よりマシかもしれないが、この場所も闇に満ちた処と変わらないかもしれない。 色を黒ではなく白に変えただけの、闇。
変化が訪れた。 まずは地響き……のような音。何かが凪達に近付いて来る。
「ちょっと!」 「今度はなんだ!?」
気付いて見やる方向に、異変の正体があった。 緑の服を着た、道化の少年が巨大な鉛色の玉を転がしている。 口からある言葉を楽しそうに紡いでいた。
「ア、ソ、ボ、ウ」
……懸命な気もするのは考え過ぎか。
「ちょっと厄介なのが現れたね」 「カタアリ……なんですか?」 「そう、この世界から出る幻でもないよ。ある程度力が溜まって魔力や精霊力がない人間でも視えるようになる」 凪に答えたのは神猫だった。後を継ぐように千凪も説明する。 「夜に出なくても良いものが、日中にも出て好き勝手する。日中に火を灯すようなことをね。 ぼんやりしているような居ても居なくても良いような存在を嘲ってこう言うのよ」 「昼行灯と、な」
ゲェムは興奮していた。 勢い付け過ぎてあっさり終わらせてしまいそうだった。 けれど人間達はゲェムの睨み通りそこそこ強くて、最初の体当たりもとい玉当たりを避けた。 慌てふためるようにではなく、冷静に、楽々と。 こいつらはかなり楽しめてくれそうだ。とゲェムは思った。 攻撃スタイルを変えよう、武器を変えよう。 大玉を弾けさせる。その場で爆発を起こす。 水風船が破裂したように、鈍い銀色の液体が飛び散った。 人間達はこれには驚いたらしい、男が女を庇うようにしながら避けた。 黒い髪の人間の男が幾らか傷付く。蒼い髪の人間の女の盾になったから。 ゲェムは追い討ちをかける。 自分寄りに掛かった液体を集めて、ぶつけた。 小さな津波、大きな水鉄砲のような液体が、黒髪のと蒼髪のを覆るか貫こうとする。
一条の光束。 横から遮るように、神猫と千凪に届く前に鈍い銀色の水飛沫を消し止めた。
おっと、もう一方の男女を忘れていた。 妨害したのは薄い紫の髪の、青い服の人間…?の男だけだった。 そういえば、アレにはヒトの感じが余りしない。生き物の筈なんだけれど。 なんだかアレを見てると苛々する。彼の出した光が、波長がとても厭だ。 まずあの男から消してしまおう。 ゲェムは精霊に対する知識は然程持ってないが、やはり本能が嫌悪する辺りはカタアリだった。
モルフォンはゲェムの注意がこちらに向いたことを察した。そのつもりの精霊力の放出だった。 凪に神猫を任すと背中で一言し、己の相手を睨みつける。 内側から力が漲って来るのを感じた。そろそろ……使うか。
ゲェムは手を揮って、液体から無数の弾丸を放つ。 相手が蜂の巣になるイメージを先に浮かばせながら。 だが予想に反して対する敵が、髪の毛一本散らせることなく突進してくる。 紙一重で避けているのか。 さっきと同じ光を放ちながら。 光がゲェムに掠る。 ゲェムはこの瞬間焦り、憤った。外観でも固まった笑顔が僅かに崩れる。
――――これなら、どうだ!
怒りかけた道化少年は身を浮かせながら、液体を集める。 瞬時に最大まで溜めて、一気に拡散させる。 薄く広がる粘土のように、波打った海のように。 その波状弾幕は、蜘蛛の巣という極めて少ない穴より酷いもの、壁だった。 避ける隙間は皆無。
なのに敵は……逃げなかった。 光を放ち続けている。強引に押し切ろうとするつもりだ。 そういうつもりならば、こっちも負けるものか。 ゲェムは一層、液体を重ねて、力を込める。
鈍い銀色の波動と、玉虫色の輝く波動が押し合う。 不思議な色同士のぶつかり合いから火花が散らされる。 グンと、大きく傾いたのは光の波動だった。 中心から激烈な力、精霊が目覚めた。
ゲェムはその刹那、気付いた。 押されている。 陰影が、おかしい。 奴の、形が、変わっている。
「あ……」
蝶の翅が、近づいてくる。 光に、呑まれる――――。
精霊の光が、凶器の液体を押し切った。
凪達は援護を入れなかった。入れられなかった。 余計な横槍は必要ないと悟ったからだ。 モルフォンの圧倒的な精霊力と、それ以前に彼が変身した姿に見惚れてしまったから。
「モルフォンさん……なんですか?」 「――――そうよ」
モルフォン……彼女は、先程の彼であった。 限りなく薄い紫の髪。サファイアのような青い瞳は共通している。 しかしその体形は明らかに違っていた。 彼の時に一束に纏めていた長い髪は、首元くらいのさっぱりした短さになっている。 睫毛も長く鋭い。頬や唇には女性らしい赤みがあった。 服も変わっていた。表地は煌めく純白、よく翻る裏地は銀の混じった青。 彼の時にはズボンだったのに、今の姿に合わせて短パンと白いタイツになっている。 脚周りだけでなく、豊満な胸元も開いていた。谷間よりやや上の位置に、碧色の石が埋め込まれていた。
「聞いたことがあります……。エレメンツには、男と女の姿を両方持っているものが居るって……」 「そう……なの……?」 「作り話だと思ってたのに。まさか、本当に居たなんて……!」 介抱されながら神猫は女性化したモルフォンを潤んだ目で見据えていた。 千凪は呆然を通り越して、感動に近い声を上げる。
音楽的な、よく響く、とても心地良い声でモルフォンは話した。 「わたしのこの姿はね、精霊力がある程度の出力を超えると自動的になっちゃう姿なのよ。 分かり易く言えば本気モードってところかしら。なりたければ何時でもなれる姿だけどねw」 男の時とは違って口調も砕けていて威勢が良い。 どうやら性格も変わるらしい。 「ところで神猫さんの傷は?」 「あ、大丈夫っスよ。かすり傷だったし」 「そう、無事で良かった」 さっきまでの真剣な顔から明るくくだけた顔に切り替わったり、 心配になったり、ホッとしたり、それから笑顔になったりと、顔もコロコロと変わる。 表情豊かな人だなぁ。と、凪含めこの場の人間はそう思った。 この魅力的な美女は、先程の男性のモルフォンとは別人と感じる。同一人物だと分かっているのだが。
「――――!……」 「モルフォンさん?」 「待って。……まだ、終わってないようね」
強張った顔のモルフォンに促されるように、凪は目を向ける。 さっき、勝利して、消し飛ばした筈のカタアリが居た方へ。
とても痛い。 自分が焼かれたことが分からない程、ゲェムは愚鈍じゃない。 痛くて痛くて、体が思うように動いてくれない。 辛うじて、飛べるくらいか。 液体が鎧になってくれたから、ゲェムを完全に消す火力までに至らなかった。 服と共に焼き焦げて倒れたから、人間達はゲェムが死んだと……カタアリなら消えたと思っている。 此処はこっそりと逃げるより、このまま灰と硝煙に隠れて過ごした方が良いのかもしれない。
そんな時だった。 懐かしい匂いがした。 黒い薔薇の花弁が、見えた。 会いたい彼の、欠片を見かけた。
ゲェムは何も考えず、敵が近くに居ることを忘れて、匂いがした方へ飛んだ。
「死にぞこないとは、あのようなものと言うのでしょうね」 「トドメをさすか?」 「待って、何か、様子がおかしい……」
フラフラと、空中に漂っていくゲェムは、一見して逃走しようとしてると思われる。 けれど違う。凪は感じた。ゲェムは何かを追おうとしている。 凪は駆け出した。ゲェムを追って。
「あ、凪さん?!」 「攻撃をしないで下さい!」
理由は分からない。けれど凪はモルフォン達に釘止めを与えた。 戸惑うままに凪の後を付いていく三人。 彼の、ゲェムの向かう先には、何か、重要なことがある。 ありそうな気がする。 何かは、行って見ないと分からない。 漠然としているが、凪は確信していた。
心臓の音を数えて五十くらい、そこで凪は唐突に足が止まってしまった。 同時に、目を大きく見開いた。 だって、其処に居たのは。 同じ時にゲェムが震えた言葉を零した。
「――――コンフュジョン……」
真っ白い世界に、一輪の黒い薔薇が佇んでいた。 足元に届きそうな髪と、透き通るような白い肌をした少年の姿の。
あとがき 東方の弾幕は最高難易度で蜘蛛の巣だが、CAVEの弾幕は壁だ、 それは置いといてモルフォン覚聖。おっとここでは精霊だから覚精だな。今までスランプってゴメンよモルフォン;

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