| [9170] Forest guardian 2 |
- A・Y - 2007年03月15日 (木) 19時54分
彼方「どーもー、通称蟲守編前置き担当組でーす」 透「蟲守さま編!さまを付け忘れちゃ駄目だぞ!」 彼方「細かいな。てかわざわざさま付けなくてもいいだろ」 透「元ネタの虫姫だって『虫姫さま』が正式名称なんだぞ。蟲守さまって呼んだ方がいいって」
response to 宙さん ま、先にレナちゃんがやっちゃったんだけどねw(でも細かいことは気にしないよーに) もっと甘く濃厚に書きたかったんですけど場所が場所ですので遠慮しましたw クリムゾンは何気に初めて名前を呼んだよ記念にもw え?;;そんなに殺伐に見えましたか?無駄な動きはしない二人かなー、と思ったんですが。 あさきファミリーは色々と分かり易くてこっちも助かったりw 最後は大団円っぽく仕上げたかったので、ああなりましたっとw
彼方「なんだって……大体コレに対して熱くなり過ぎだ」 透「コレ言うなっ!」 彼方「虫じゃねーか……」 透「蟲守さまは人間だって!」 彼方「いやそれは分かってるから……」
宙「アイツラ何やってんだか……。じゃ、本編にENTERだ」
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険しい山道を乗り越えて。 見えてきたのは、一つの集落。 その名は、カイコの里。
「……ド田舎だな」 「うん、これぞ田舎って感じ」 「てゆーか時間移動しちまったような……縄文くらい昔に……」 以上、今日ここに訪れた人達の第一印象。
訪れた人達は、まず数は三人。 金髪碧眼の青年に、黒髪黒目の青年と少女が一人ずつ。 少女の方は、一見して少年と見紛う雰囲気ではあるが。間違えられても本人は気にしないだろうし。
「でも家は普通の建物だよ?縄文まではいかないでしょ」 「そーだけどな……貝塚っぽいものもあちこちあるし」 金髪の青年……透は黒髪の本当に男性の方とこの里の外観についての感想を言い合う。 この男の名は烏丸 彼方(からすま かなた)。 先に述べた黒髪黒目もだが、服も首から足まで黒一色。 「レイヴン。透。そっちじゃねーと思うぞ」 黒髪の少女……宙が、透と彼方を呼んだ。 ちなみに彼方は本名を嫌っている。どちらかというと本名で呼ばれることを嫌うといった感じだが。 だから、レイヴン……漆黒という異名が通称だ。 「分かってるよ!でも宙こそこっちで合ってるのか」 「……合ってないかもしれない」 そこで三人は立ち止まる。
「そもそもこの里に着いたはいいけど」 「まず、何処の、どの家に、向かえばいいんだ?」
ここは完全な情報不足である。 村長らしい屋敷くらいはあるだろうと思ったら、どれも似たような建築物が点々と並ぶ。 田舎らしく、距離を置いた一軒一軒を当たってたら日が暮れそうだ。 交番もないし。地図もないし。……後者くらいあっても良かったハズなのに。
「あのー……」 そこに三人以外の声がかかる。 「旅の方ですよね?」 三人は、振り返った。
その人は、村の青年のようだった。 此処では妙に浮いていた。いや、透達も人の事は言えないが、彼は別の意味で。 それは、こんな山村育ちの割には気品を感じさせることからで。 上は薄い青。下はややくすんだ白。羽織りは銀色。 光具合で良く透ける紫の髪には、男が付けても違和感のないような木彫りの髪飾り。 目は緑柱石のような、浅く強い輝きをしている。
「こんな村まで足を運ぶとは、ただの観光目当てとは思えません。何か、御用でも?」 もしかしたら……と、透は、その青年に尋ねてみた。 「あの、ここで一番偉い人……村長さんか領主さんの家を探してるんですけど、それらしい家が見当たらなくて」 「ここの長に当たる家なら、うちですよ」
ビンゴ。 自分から寄って来るとは運が良い。 透達は早速彼の家へと案内された。
村長の家にしては、他とそう変わらないような風体で。 ただ、目安としては里の奥……この中で世界樹に一番近い位置にあったくらいである。
中は一言で表せば大家族が住んでいた。 10人兄弟で、一番小さな子はまだ9つ。 その内三人はもう結婚して子供も居るとか。 流石に核家族化した兄弟とは同じ家に住んではいないが、それでも隣家に住んでいるので実質一緒と変わらない。 透達を連れてきた青年、トスはここの長男だった。
「父上。この方達かと思います」 トスの父で、ここの家長、そして村長は、それらしい威厳と、穏やかな優しさを備えた雰囲気を持っていた。 三人は客室にて、彼らと同じく正座する。彼方は胡坐だが、誰も咎めないのでこのまま。 五人も居ればやや狭い空間。だがここは我慢しよう。 「うむ。モクの村の村長の手紙より、予告された若者だろう」 透のことだ。 「コレを」 透は証文を見せた。 モクの村の村長から預かった。判子である。 「確かに……よし。それは預かる」 「あの、俺達は……」 透の発言に、トスとその父は何かと注目する。 待ったはかけないようだ。 透は、一つ深呼吸してから。頭でまとめた言い分を口に出す。 「……俺達は、蟲守さまの周りに起こった奇妙な事件について、捜査したいと自ら望んで此処まで来ました。 もし良ければ、協力を申し上げたいんです。或いは、許可とでも言いますか。 捜査の際に、貴方達の迷惑にならない範囲で行うことを約束します」 (ま、俺らはお前に付き合っただけなんだけどな) 彼方は心内だけにその言葉を付け加えた。
透は真摯とした顔で、返事を辛抱強く待った。 ここの村長の顔は、変化なしのように見えた……が、目線はしっかりと透のと重なっていた。 捉えたままで、続けた言葉は息子のトスに向けてだが。 「……トス。虫獣達のここ最近の様子は?」 「なにも変わらないようです。けれど、ずっと前から……妙な違和感がしていました。 モクの村の村長からの手紙を見て、更に心配になって来ました」 「叔父上はなんと言っていた?」 「まだ聞いてませんけど。……でも御爺様ならきっと」
トスは目線をゆっくりと、透へ、その後ろの彼方、宙も見た。
「連れて来い。…と言いそうです」 「言うだろうな」
確信を持って彼らは言った。 それまでのやり取りから不思議な間の意味は何気に気になる。 透は首をやや傾げ、彼方は宙と顔を合わせようとして、してくれなかった宙。 果たして彼らの言う叔父(祖父)とは何者なのだろうか。
「では、案内しましょう。暗くなる前に」 トスはシュタっと真っ直ぐにした手を挙げて、促した。
外に出たトスは、森に向かって叫んだ。
「ミズイロー!」
ガサガサと、出てきたのは。 彼方曰く。 (名前そのままの色したデカイカブト虫が出てきた……! つかデケェ、大人一人分乗せそうな、え?ホントに乗んの?不安定そうだな、そんな所に仁王立ちしてさ。 てか気持ち悪くねーのかよもし脆いところ踏んじまったら偉く気持ち悪そうだし) 「ゴチャゴチャ五月蝿いぞレイヴン」 「俺何も口に出してねーぞ!?」 「態度で分かる」 「なんだそりゃ」 「すみませーん。行く前にちょっとだけ待って下さい。すぐ終わりますんで」 「分かりましたー」
トスを乗せたミズイロ……その名の通り、体が水色の虫獣が、甲殻から翅を羽ばたかす。 あっという間に夕暮れ時の茜空へ。 鱗粉のような光の雫が、その虫獣の翅から漏れ落ちては、消えて行った。 なんとなく、一枚絵になりそうな光景。
「うわぁ……あんな虫が世の中に居たもんなんだなぁ」 「ありえないものなんてない」 彼方の横で宙が言った。 「この世に不思議なことなんてない。……そうだろ?」 宙は、やや鼻にかけるような笑みを彼方に向けた。
それから間も無く、ミズイロは下降した。準備らしい何かは、本当にすぐ終わったようだ。
「ここから先は、今、大丈夫みたいです」 そう言って、トスはミズイロから降りた。 歩いても充分行ける距離、という訳か。
「何を調べてたんですか?」 「虫獣の気配です。最近は特に動きが活発だから。元々この辺には余り来ないですけど」 幸い被害は出てない。でも油断は出来ないし、だから子供辺りはここから先で遊ぶことを固く禁止されている。 其処に、立ち入ることを許可されたというのだ。
時間にしては5分も経たない距離だった。 日が傾くだけで、闇が濃くなる森の中。 其処に、一つの社が建てられていた。 かなり古ぼけた社。まるで外界から切り離されたかのような。
「今晩和、御爺様!お客人も来ましたよ!!」
トスが張り上げた声をその社にかければ。 引き戸が開いた。 中からまず出てきたのは、戸を開ける為の手。 皺一つない。老いというものが全くない綺麗な手だった。 次に出てきたのは頭。 トスと同じ紫の髪……こちらはまだ白髪に近かった。 だがその顔は、どう見ても「爺様」と呼ぶには相応しく無い。 全体像を明かした時に、透達……特に彼方の疑念はかなり深まった。
(なんだコイツ……?) その少年……そう、どう見ても少年にしか見えない。 彼は、深い緑と茶色の服を着ていた。 背格好からして、宙と同年代くらいだ。……あくまで外見的に。
「この方は、レーフォ様。先代の蟲守さまを務め上げた御方です」 「今はしがない楽隠居だけどね」 生真面目な態度で紹介するトスと打って変わり、そのレーフォという人物は気安く笑った。 声変わりもしていない、高い声だった。
あとがき 蟲守さまの一族が迎えましたよって話。 先に自分でツッコムと、宙さんが不思議キャラになっている。 彼方さんもっと落ち着いているハズだったけど……あるぇー?

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