| [9650] Pathetic courtship 34 |
- A・Y - 2008年03月31日 (月) 13時51分
コンフェ「久しぶりに動画見てた。から原稿遅れちゃったって」 夢幻「そろそろぐだぐだしそうな頃だよねぇ」 コンフェ「次のストック、間に合うんだろうか」
response to 宙さん 彼女、書いてる内に不思議キャラに決定しちゃったから……。 風神さま。あなたもか。誰?発言は心当たりないって意味じゃないけどね。 うちは桜と薔薇が好きですね。関係ないけど。 これ以上分断したくなかったんだ。してるけど。そろそろ別の陣営と合流させたかったんだ。 この土地に染み込んだ最大級の憤怒の記憶です。 ヴァニティの叫びがコンフェに与えた影響はとても大きいです。 罠というか、コンフェの場合わねぇ…………なんていやいいんだろか。 他の奴って敵陣営も含まれますか?大いに有りですね。>鉢合わせ
夢幻「間に合えばいいかなって思って」 コンフェ「ENTER〜」
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緑竜が指した方角。其処はガイの窮地を乗り越えられるかもしれない場所。 大型食料販売店。つまり巨大なレストランだ。 古今東西の料理が取り揃えられていて、バイキングや持ち帰り形式も選べる贅沢さ。 当然、飲み物も揃えられているだろう。それこそジュースから酒まで様々に。
向う途中で案の定、さっきのカタアリの一団に見つかってしまい追いかけられる。 数は二、三人程だったが、援軍をいつでも呼べる可能性があった。 ので、返り討ちにするのは惜しんで、そのままひたすら目的地に走り続ける。
「あそこだ!」
黄色いダチョウに変身したボーボボの上で、緑竜が叫んだ。 影を伸ばして生茂る梢の山を薙ぎ払う如く取り除く。 大きな看板にはハンバーグにフォーク、ナイフ食事のセット。 隣にジュースかワインかもしれない紫の飲み物がグラスに注がれていた。 その真下に玄関が覗かせている。
追われるもので全力疾走する彼らは、玄関を蹴り破るようにして、店に雪崩れ込んだ。 店内からボーボボはUターンし、そのまま鳥キックをお見舞いしてやった。 背中に乗っていた緑竜、ガイが転がり落ちる。それぞれ破天荒とソフトンが助け取った。
「へいげん!酒がある場所を!」
兄に強く命じられて平原は頷き、間もなくガイの腕を引っ張っていく。 先の二人は既にボーボボの援護に向い、緑竜はその場で影を展開させて三人のフォローをした。 閉店時間のレストランにはガラスケース内の見本品しか食料は置いてなくて、 戦闘の余波によって打ち砕かれ、床に捨てられるのはそんな粗品か、片付ける必要のない洗ったまま置いた食器ぐらいだった。
四人が引き付けている間に、平原はガイを店中に連れまわす。 店内は幾つかジャンル分けにされていた。 洋風、和風、中華風、土産物用のコーナーまで。 だが、肝心の必要な飲み物が見当たらなかった。 酒倉庫か。其処に全て片付けられてしまったのだろうか。 隣でガイの顔色が貧弱さを濃くし始めている。心なしか、息も少ない。 焦りが生まれ始めた。その時、やっと見つけられた。 成人指定の飲酒コーナーを。
「あった……!」
真っ暗なところだった。 幸いこの店はかなりハイテクで、人間か生き物に反応するらしく、踏み込みだけで自動点灯してくれる仕組みだった。 平原とガイが入った瞬間、其処の電灯も点いてくれた。
バーテンは、薄い橙色の灯りで静かに包まれていた。 灯りに合う、落ち着いた色の椅子とテーブル。 奥にあるカウンターには、各種のアルコール飲料が並べられていた。
「ガイ!酒だ、酒が大量にあるぞ!……」
平原はガイに歓喜の声をかけた直後、気付く。 カウンターの前に、薄い影が見えた。 人が座って居た。
――――……たくよぉ。……なんだってこんな安月給なトコに押し込まれなきゃならないんだ……。
一人の男が、酒を呑んでいた。 愚痴っている。明らかにヤケ酒だろう。 平原は居残っている人間かと思った。すぐに違うと思った。 何故なら、その男は『其処に居た人間』だったのだ。
――――あんたもそう思うよな……なぁ、なぁ?なぁ!?
平原達を最初から知っているような目で、誰でも構わない目で声は荒んでいる。 男は酒瓶を持って暴れ始めた。 「クッ!」 咄嗟に、平原は男の手首を捕まえた。 だがぐいぐいと押し込まれていく。普通の人間とは思えない力だ。 平原は、ガイを肩で突き飛ばして、男の手を放し、酒瓶を掻い潜る。 酒瓶はすぐ傍のテーブルにガシャン、とぶつかって砕けた。 逆手持ちに使っていた底が丸から棘山になり、更に凶器らしくなった。 ポタリ、ポタリと中身が滴っていく。
(…………酒の、匂い)
ガイは、朦朧とし始めた意識を僅かながら取り戻す。 目と鼻の先には、酒がたくさんあった。 ガイの目蓋が大きく開かれたのを、平原は見逃さなかった。 「ガイ!早く飲むんじゃ!!お前の欲するものだろだったらいけええぇぇぇぇ!!!」 例のテンション上昇によるおかしい口調で、平原は斧を横平にして悪酔い男の影に突進する。 ガイはほぼ本能的に動いた。 真っ直ぐカウンターへ。一番アルコールの強い酒に手を伸ばす。
酒場が謎の爆発を遂げた。 五分五分だがあちらの数が増え、徐々に苦戦し始めたボーボボらも振り向いた。 誘発するように次々と爆散していく。 霧のような、粉のような視える気体が積もり集まって広がる。 やがて店中に収まりきれず、外に漏れる……もとい弾き出される。
そして、今に至る。
「うぃ〜……ww」
ガイは出来上がっていた。 片手には焼酎瓶。時折ぐびぐびと呑んでいる。
「いっひひ。ひひw……うぇっぷ」
瓦礫の山に佇んでいる、二つの角を持つ鬼が居た。 そいつは完全なる、酔っ払いであった。
「ふーん。あいつねぇ……」 ラークリが厄介事に遭ってしまったなぁと書いた顔で言った。
「もう10人も殺られた!」 「ふざけてるとしか思えん動きばっかで、近付く事も出来ねぇよ!」 「ブレイク、さっきみたいに仕留められるか!?」 ああだここだと喚き散らしてる同属達を脇目に、ブレイクはじっと見定めた。 一見してただの酔っ払いだが……実際はこの様か。 強敵だろう。けど、まあ、タイラストに比べたらかなりマシだ。 「やってみるぜ」 太刀を真っ直ぐに持ち構える。
「ラークリ、彼のサポートをしなさい」 この中で唯一、地に足を着けないファンナが言った。 「ん?」「いいの?」 「彼の破損能力が、鬼の疎の力に対して最も有効よ」
あくまで止めるだけ。其の為には敵としてぶつかってたかもしれない相手を利用することも惜しまない姿勢のようで。
「つー訳だ。鬼退治に協力するよ」 「その後はその時、だな」
ラークリに余り好ましくない視線ばかりが集まるが、最初っから無視無視。 紅玉石の槍を作り出し、先陣を切って酔っ払う鬼に飛び込んだ。
「っ!ラークリ!?」 「ちょ、おま、そっち側なのかよ!?」
瓦礫の一部に隠れてた、知っている人間らから予想通りのブーイング。 言い訳はしたくないけど一応返事はしといた。
「いや、本当は君達側だって分かってるんだけどねー!」
出たものが結局言い訳なのが、ちょっと悲しい。
「彼らには後で事情を説明するから、目の前の目標に集中」 ラークリに付き添う如く、横に飛行して指図するファンナ。 「ブレイクがガイに接近するまで凡そ4秒。攻撃はほぼ同時」 「つまり奴が疎の力ってのを、使わせるに2秒くらいかけろってことか」 「正確じゃないけど、正解ね。タイムラグは起こらないわね」 「一撃じゃん」
例えその一撃が囮だと分かりきってても。 ラークリは、自分の体を丸ごと飛び込まれる勢いでルビー・スピアーを振り下ろした。 ガイは、よろけた足で避けもしない。 赤い顔のままで霧散した。 間もなくブレイクが割り込む。 同属でもないのに、見事な連携だった。
ブレイクの太刀が気体化したガイを切った。 入った。確実なる破損の攻撃だ。
「……へ?」 ブレイクは笑わなかった。代わりに呆けた。
気体に手応えがなかったのだ。 まるでただの霧か煙を斬ったようで。 (いや、奴は気体化してない!?) ならガイは何処に行った。 ブレイクはあちこちに振り返った。
その時、ラークリは仰天した。 何故なら、彼の頭におかしいものが乗っかってたから。
「ブレイク!頭、頭ぁ!」
頭。つまり頭上か! ブレイクは梢らに覆われた夜空を見上げた。 「いやいや!上見ろって意味じゃなくて!」
じゃあ何処に居るんだ!と怒鳴りたくなった。 鼻先に酒臭さを感じなければ。 ……そういえば、頭に微妙な違和感が。
ブレイクの頭に奴は寝そべっていた。 小さい。奴が。 「あらま、可愛い」 と、横でファンナが一言思ったままを。
「ぷはぁ〜」 小さな鬼が、体一杯に伸ばして、黒い頭を占拠していた。 気持ち良さそうに欠伸をしている。
「て、てめ!離れろ!!」 半分混乱して、とかく頭に乗っかっているものを振り落とそうとするブレイク。 それで簡単に落ちる小鬼じゃなかった。気に入ったのか、髪の毛をしっかり握っている。 いくら振り被っても落ちない事に業を燃やして、とうとう直接触った。両手を使ってがっしりと。 「離れろ〜!!」 「う〜!」
その内、ブレイクの腕力にでも押し潰されたのか。 ポンっ! ……という音を立てて小さな鬼は消えた。
とりあえず、なんだったんだと。ブレイクかラークリが息を吐かす暇は、なかった。
小鬼は再び出てきた。 それもわらわらと。わーわーとはしゃぎ声を上げながら。 ブレイクの肩に、ラークリの膝頭に、彼らの足元に。
小くなって、たくさんになったガイがあちこちを泳いだり駆け回っていた。
こんな中でも冷静というか暢気なのはファンナくらいだ。 「元々この気体自体、鬼が自分を分裂したもの。分裂したままで本来の姿と形成するのも有りといえば有りかもね」 「んなあほなあぁぁぁ!!」
小さなガイ達は無邪気に飛びついてきたり弄ってきたりする。 それが普通に食らったら痛い。腹への飛び込みはブロー。顎だったら立派なアッパーだ。 こちらの反撃は利く。槍や太刀が当たればすぐにポンッと消えた。 しかしすぐにまた出てくる。しかも対象が小さいから、当たり難い。 全体攻撃?そんなことしてる暇もなく殴られ続けられていた。
「しょうがないわねぇ……」
ファンナが、なんとなく溜め息でも付いてそうな声を漏らしていた。 一呼吸分置いて伏せた灰色の双眸には、不思議な瞬きが混じる。
空中を舞う小型機械が、姿を現してファンナの近くに集まった。 ファンナを映す映写機だ。それがファンナ自身を映している物を含め、七個あった。 内の何個かが射出する突起を向ける。 青い光を点滅させながら、同じ色の弾を発射した。 ププププ……と虫が鳴くような音が連続して、瞬間的に弾き出される。
「いたたたたたたたたたたたたたっ!!!?」
無数の豆鉄砲が打ち付けられたような痛さだった。 だが、ラークリ達以上に彼らに纏わり付く小鬼のガイ達に利いていたようだ。 次々と消えて、当たらなかったものも遊び玩具を放って逃げた。泣き声を上げながら。
「鬼の弱点。炒った豆みたいなもの」
ファンナはにっこりと簡潔に説明した。 ラークリ、ブレイクに感謝の言葉は出なかった。恨みがましい目と最もなツッコミ。
「最初からソレを使えよ!」 「しょうがなくなった時だけよ」 即行で素っ気無く返すのだった。
小鬼のガイ達は、同じ方角へと向って途中で霧と化していった。 ガイそのものである気体は、強大な濃度を露にしたままで、遠くに流れて行った。 あっという間に去ったそれを見て、ブレイクは舌打ちをする。
「……逃げやがったか……」
ガイが流れた方角は、遊園地でも花園迷路として形造られてたところ。 集まっていくな。とラークリ、又はファンナは思い感じた。
あとがき だから呑み過ぎるなっていったのに(byA・Y) ファンナの戦闘披露。こんなものじゃございません。ちゃんと加減してますし。 そしてラークリのぐだぐだ感は続くのでした。

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