| [9637] Pathetic courtship 29 |
- A・Y - 2008年03月27日 (木) 21時34分
コンフェ「空気読んでくれてありがとうございます」 夢幻「で、次に来れるのは朝方辺りなんだね」 コンフェ「ええ。無理やり引っ張っても来ますよ」(何を)
response to 宙さん 敵前逃亡は卑怯じゃないよ!戦略的撤退なのだ。 方や弱ってて方や体力激無し設定ですので。>担いだ二人 そう、そういうことです。>呑み過ぎ注意。 彼らの再会までカウントダウン入りましたー。 いや、その、この後がもっと弱る展開というか(ごにょごにょ)・・^^; 言い訳っぽいのはあとがきに;;
コンフェ「というわけで〜」 夢幻「今夜二本目のENTER〜」
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――――ああ。なんて。懐かしい。 菊之丞は次に意識を取り戻した瞬間。そう感じた。
此処の土が育んだ草木も、この数少ない憩いの森に住む鳥や虫達の声も。 赤から青まで咲いている花の香りも、ささやかに流れる豊かな水の匂いも。 何よりも――――
目の前には、二人。少年と少女が立っていた。
少年は白い髪に白い服を着ている。 目もとても薄い。けれどそれは生来の視えない病からで、本来は黒い瞳をしてる。 歌声に大きな魅力が宿ってて、多くの人の心を動かすくらいだ。 けど、自分を男と分かっている上でマイ・ブライド=私の花嫁とか言い抜かすアホ王子でもある。
少女は凛とした黒瞳を開きながら、深い緑の髪を腰以上に下ろしている。 男の服を着て、男の言動をする姫君。自分を王子と扱って欲しい女の子。 母国想いで家族想いの、勇ましく、強く、可愛らしい子。 そして、自分をやっぱり嫁として求婚するあべこべな姫王子である。
「マイ・ブライド!」 白い王子が右を指しながら言った。 「こっちから良い匂いがしますよ。きっと花がたくさんあります」
「薔薇百合菊之丞!」 緑の姫が左を指しながら言った。 「こっちに美しい小川があったぞ。陽射しも良い、寝転がるのに丁度いいぞ」
明らかな逆方向に誘おうとする二人は睨み合った。
「……あなた、反対の方向を指しましたね?」 「ほぉ?盲目の癖に指の匂いまで分かるのか。正に犬並みだな」 「犬は余計です。わざと花を避けるなんてマイ・ブライドに嫌がらせですか?」 「そんなつもりはない。だが花はそこら中に咲いている。お前が紹介する花畑もここらに咲くのと大差ないよ」 「だからって川はないでしょう。それも寝転がるなんて……埃だらけになるのが好きなんですね、相変わらず」 「ふん。汚れても構わんのは貴様も同じだろうに」 「それでも咽ます」 「臭いよりはマシじゃないか」 「何がですか」 「何を」
いつものことだと呆れつつも、笑ってしまう。 今日は特別な日だったから、和みも付け加えられる。
――おいおいお前ら。折角のピクニックだろ。こんなところまで戦争すんなよ。
そう、怒りながら声を掛けてやれば。 白い王子は犬の尻尾を振るように愛想を浮かべて。 緑の姫はふん。と鼻で悪態を吐きながらも機嫌は宜しいようで。 菊之丞に抱き寄って来るのだった。
「入っていいのかしら。…………そうね、きっと駄目だと思う。やっぱり勧めないわ」 「なんで!?」 「行っても、あなたが無駄な傷を負う」
タイラストは、声そのものは静かなものの、断定した口調でレムに告げる。
「あなたに限らない。……此処に居るもの全てに等しく。今の彼には、声が届かない」
微笑みはない。無表情で、淡々と伝えていた。
「夢が覚めるまで待つしかないのよ。……悲しい、夢の終わりまで」
「私の花嫁ですから」 「僕の嫁だろう」 「何言ってるんですか、私の嫁ですよ」 「いいや、僕の嫁なんだ」 「私の!」 「僕の!」
菊之丞の腕を取ったまま口喧嘩している。 いい加減にしろお前らと、拳骨の一つをやりたくてもこんな状態じゃあ。 どうしたもんだかと、あの時は和みつつも呆れていたものだっけ。
そうだ。こんなに幸せだったんだな。と嬉し涙が流れてた。
幸せな想い出は、別の処にも芽吹き返していた。
「此処は…………」
意識をはっきり取り戻した時に見た光景は、遊園地とは大きく違っていた。 緑の木々が生い茂る。柔らかな香りと仄かな明るさが満たす世界だった。
(また移動させられたのか?さっきより明るい。気絶しててもものの数分の筈だ)
――――ランバダ様。
ある愛らしい声が鳴り響いた。
「――――え?」
その声は、ランバダにとって。よく知っている声だった。 記憶に刻み付けて忘れないと誓った。もう、二度と聴けないだろう声。 振り返る。ランバダ自身が思うより、ゆっくりと。
「……あ…………そん……な…………」
何だコレはと、彼は思った。 その直後にある感情が込み上げてくる。
一人、少女が佇んでいた。 この木々の緑より深い色をした髪を、背中まで靡かせて。 薄紫のワンピースドレスを着て、白い肌を少し晒して。 緑の混じった黒い瞳を向けながら、手を差し伸べて。 小さな緑の姫が、其処に居た。
「夢……なの、かな……」
懐かしい。温かい。 ランバダの中で一番綺麗に映った瞬間の彼女が、此処に現れた。 こんなに、嬉しいことが目の前に起こるなんて……まるで奇跡だ。
――――ランバダ様。此処は美しいところですね。 「ああ……信じられないくらい……良い所だよ……」
あの時より断定していた事を言う声は、涙で濡れていた。 小さな緑の姫は、微笑んだまま次を促す。
――――ほら、姉様達を見失ってしまいますよ。
そう言って、先に先に移動する、ランバダから離れていく。 鈴を転がすように笑いながら、蝶々のようにふわりと舞いながら。
「あ、ああ……待ってくれ……」
夢でいい。まだ、長引かせて欲しい。 ランバダは、小さな緑の姫を追いかけた。
運が良いことに、久耶子が彼の背中を見つけられた。
「あ、あれはランバダさん!……なんだか様子がおかしい……」 「……ランバダ…!?何処に行くんだ!!?ランバダ!!!!」
ライスはどんなに強く叫んでも、今のランバダには聞こえなかった。
あとがき やっと本題に入れた。 でも、完全に説明が入ってないオリジナルを出しても、訳が分からないよね^^; 事情は後々話しますので、今は流されて下さい。

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