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[9633] TIPS
A・Y - 2008年03月26日 (水) 19時27分

些細な変化はあなたに関わることでしょう。全てに関わらないかもしれない。
世界の変動は全てに関わる。あなたに関わらないかもしれない。

                             ibn・Prophete

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



【光の護符】

移動中の夜行列車の中でのこと。
具体的なカタアリ対策の為にあれこれ提案を述べようとした。

「そういや、へいげんの斧って対カタアリにもなってるんだよな」
「ああ、クライブが作った」
「光闇は魔力のあるレンズを持ってたな。つか虫眼鏡?」
「格安だったからな。持って無いよりマシ程度っス。……けどやっぱり眼鏡タイプが良いかもな」

光闇は、話題に出された虫眼鏡を晒してみる。

「これがたくさんあれば楽なんだけど」
「量産してみるか?」
「やだよ。なんか失敗して壊されるだけな気がするっス」
「えー?やってみなきゃ分かんないぞー?」

ボーボボの手から虫眼鏡を守る光闇。
格安という割にはぞんざいな扱いも出来ない辺り、やはり高く付いたようだ。

「ちょっと、我輩に貸してもらえるか?」

平原の兄、緑竜だった。
彼ならいいかな、と光闇は虫眼鏡を渡した。
緑竜は興味深そうな眼差しで、時折眼鏡を外しながら調べた。

「……ふむ。成る程な。幾らした?」
「高かったけど…………一万はいかなかったと思う」
「ぼったくられなくて良かったな。このレンズをそのまま加工しても、中々良質な眼鏡になれるぞ」
「マジで?」
「割とマジで」

嬉しいのか呆ける光闇の横で、感心したらしいビュティが口を挟んだ。

「強力な魔力の篭ったレンズだったんですね」
「いいや、へいげんの斧はともかく、そのレンズに特別な力は乗ってないさ」
「え?どーゆうこと?」
「ただ、光の集め方が特殊なんだ。この素材は」
「光の集め方……?」
「そもそも光は真空でも漂える電子の波で伝えている。視力はそれらの影響の大部分を受ける機能に過ぎない。
 霊的物体が見える見えんのも実は光が関わっててな。眼そのものが受け入れる光の情報量の差なんだよ。
 目力には視力、動体視力、以外の個人差があってだな。いわゆる幻視力というのがコレに当たるんだ」

緑竜は自分の緑の瞳孔を指しながら説明した。
だが、急になんだか専門的な話を聞かされて、周りはほぼ呆気に取られる。

「また、人間は視力に頼るところが大きい。まず目に見えてからでないと認識も出来ないだろう。
 逆に盲目の人間の方が見えない分、本来冴えない第六感・霊感が働き易くまた認識し易い。
 幻視力は備わっている人間が少ないんだ。……魔法使いが見えるのは定説ではなく、あくまで多い方。
 幻視力はあっても魔力がない人間も居れば、その逆もあるってこと」

周囲の苦しい表情を見て、難しかったか?と弟に振る。
平原はとりあえず簡単に纏めてと答えた。
……だから、つまり、人間ははっきり視える為についついレンズや眼鏡に頼ってしまう。
と言いたいのだ。

「我輩は、その幻視力に関して研究する内に、もうちょっと簡単にする方法を思いついた。それがこの装置だ」

それは、薄っぺらい板のように見えた。
田楽マンの掌でも隠せる小ささなので、誰の懐にも携えることは出来そうだ。

「いうところのカタアリ感知装置。
 仕組みは面倒だしどうせ言っても分からんから省くと、要するにカタアリの醸し出す雰囲気をコレは察知して、
 付けている人間に直接知らせ、視えるようにする。まぁ、嘘発見器みたいなものだろ
 そして一旦視力から認識すれば、自然に聴・触・嗅・味も認識されるさ。あ、最後は別にいらんか」

つまり、これを身に付けていれば幻視力のない人間にもカタアリが見えると。
大量生産を目処に作ってあったようで、人数分は揃っていた。
皆は胡散臭いようなものを見つつも、受け取った。

「前に戦った狩人って奴らも……?」
「見えるさ。強い奴ほどはっきりしてくれる。……たぶん」
「たぶん!?」
「まだ試験段階だからな。完成してると祈ってる」
「微妙だなー……;;」

もしかしたら、カタアリ対策でこの感知装置を出すタイミングを見計らってたのかもしれない。
とりあえず、これで一段落はつけられた。

「……ところで兄者。多分きっと嘘発見器って例えは間違ってると思うぞ」
「そうだったか?……そうかもしれんな。まあどうでもいい」
「確かに」










【サーチェスについて】

「父の最高傑作の片方よ」

A・Yは先ず切り出した紹介がそれだった。

「彼と、もう一体の屋敷で眠ってたエレメントドールは能力が対になってるの。
 わざと部分特化した機能を、もう片側に偏らせた機能で補う形。父がそういう風に設計したのね」

心から感心する様子で語ってた。
父親、科学者だったのか。とクリムゾンは尋ねた。

「あら言わなかった?わたしの父って、所謂天才なの。
 記号に強くて、計算が凄く速くて、お薬とか医術とかお星さまの知識も豊富で、とっても頭の良い人。
 わたしが言うと説得力ないけどね。所謂出来損ないの娘なの」

へらへら笑いながら自虐する彼女を見て、触れたくない部分を突いてしまったことに後悔する。
悲しさを彼の眼から読んだか読んでないか、ビールやウィスキーもあるよと酒庫から色々取り出すA・Y。
彼女が笑っていられるなら、酒の席に付き合うのが良いのだろう。
クリムゾンは目元と唇を柔らかくして、グラスを手に取ろうとした。
……ふと、ある事実に気が付く。

「……ちょっと待て!?お前、もしかしてA・Yの名前を、本名を知っているんじゃないか!?」

A・Yの父に作られたドール。
それは彼が健在していた頃から居たということ。A・Yの過去も知ってて可笑しくない。
だが、彼の返事は機械らしい冷たさがあった。

「……データにありません」
「なっ……!そんな筈ないだろう!」

クリムゾンは詰めかかろうとした。勢い加わって襟首を掴もうとしたかもしれない。
しかし憤慨を一気に消沈させる発言が、彼の背後から与えられた。

「サーチェスは本当に知らないよ。名乗った覚えはないもの」
「……は?」

冷たい水をかけられたようだった。
他ならぬA・Yが言ったのだ。つまり事実無根。
なら…………どういうことだ。

「そんなことより、お酒飲みましょ」
「そんなことって……!お前の名前なんだぞ!?」
「わたしはわたしよ?A・Yで間違ってないし、いいじゃない」

その、いいじゃない。は、本当に気にしてない顔で言ってて。
名前も分からなくていい彼女は浮き浮き足で酒を自分のグラスに注いでいた。










【釣り人の余談】

「講師なんてすると思わなかったな。あんな感じで良かったかな?」
「いいんじゃね?少なくとも退屈させなかったし」

カジカは相変わらず、手頃な精霊結晶の上に腰を下ろしていた。
ジェードは鉱石掘りをしておらず、土に尻を着けて結晶に背中を預けて休んでいた。
ジェードの方から再び口を開く。

「にしても、良く引き受けたな」
「……モルフォンとの約束だったから」
「あの娘か」
ジェードは迷いなく指摘した。
カジカは、頷いた。
「彼女、気付いてないみたいだね。……モルフォンも敢えて教えてないようだ。いずれ報せるんだろうけど」
「精霊を昨日今日知ったばかりの相手に、告げるのは酷だろな。繊細っぽいしなー……」

ジェードが息を深く吐いてからしばらく、静寂が洞窟内を満たした。
次に言葉を発したのも、ジェードだった。

「――――精霊って、生き物だったのか」
「解釈は人それぞれ。僕は、そう思っている。……特に、人としての記憶が宿った魂わね」
「そっか……」

ちなみに彼らは顔を合わせていない。
互いの姿は見えないところで陣取っており、声だけを洞窟を利用して伝え合わせていた。
……だけれど、カジカはなんとなく、ジェードがどんな顔をしてるのか分かった。

「寿命は無いっていったけど。……もし有ったら。精霊から見ればヒトなんて、蜉蝣みたいなものさ」

悠久に在るモノと、限りある現実に在るヒト。
この境界は、既に決まっているコト。どちらも超えてはいけない筈だ。
――――ヒトそのものになろうとするのは、やはり罪だろうか。
――――悠久を得ろうとするヒトは、やはり愚かなのだろうか。

孵化した蜉蝣が、幽かな鱗粉を撒きながら舞っていた。










【蝶は花を求めてナく】

菊之丞、菊之丞、菊之丞――――!
何処に居るの!?何処に捕まったの!?あなたはにそう!なのに分からない!何処に居るの!
(落ち着きなさいってば!んな闇雲に探したって見つからないわよ!)
と怒鳴っても、彼の心に冷静さは取り戻せない。美歌は分かってはいつつも、何度も声をかけた。
そうして、美歌は思考を巡らせていた。

いつか、菊之丞が砂漠の中に埋められたことがある。
幸い場所は特定できてたし、そのおかげで迅速に救出したので、彼に戦いの傷以外の手当てはなかった。
今回は其の時以上の危機感が迫っているってことだ。

(これ、TVとか撮られてないわよね……?)

美歌の心配は杞憂だった。
謎の流星の目撃情報は増え続けているが、神霊は一般の科学機材であるビデオには納めることは出来ない。
今回は一般の眼にも視える程放出した精霊力だが、巨大な稲光の中から美歌を見出すことはまず不可能だろう。
……影からその映像をジャックし、隠蔽する輩も居たりするが、それは別の話である。

(まったく、取り乱す気持ちは分からなくもないけど……ホントに周りのこと考えてよね)

彼を抑えられない自分が言うのも難だが。
美歌が出来ることは、冷静に務めるしかないこと。
ここで美歌まで我を忘れたら、この暴走は本当に手の付けられないものと化すだろう。
荒れ狂わす風を抑えられるのは限界がある、けど酷くしないようにすることは可能だ。

お願い無事で居て。此処から居なくならないで。わたしより先に消えないで――――!

世界中に吹き荒れる春一番。
美歌にしか聞こえない彼のなき声。
美歌は迷惑をかけられる人々の為にも、そして彼の為にも早く菊之丞の居場所を知らなければならなかった。










【白鯨が飛んで――――・その1】

こんな心安らげない夜は何百年ぶりだろう。
彼らの世界の時間が訪れた頃から、苛々淡々と足がうろついている。
連続して飲み干すワインの味も分からないなんて。なんとか落ち着こうとしているのだが。

「アッシュはどうしたっけ」
「買出しに出かけたんじゃなかったか?」

肝心な時に居ないバカ犬め。
否、彼だけを責める訳にはいかないだろう。
この城から出払ってない者で、信頼や色々置けるものが……残念ながら当て嵌まらない。
スマイルのことは信頼している。だが、彼一人に任せられるかと言われれば、微妙だった。
当人が聞けば落胆するのは目に浮かぶが。

「……放っておけない事柄のようだな。あの、巨大流星を。……そもそも星じゃないな」
「ああ、私はアレの正体を知っている。おそらくだが華爪家にも影響があるだろう……あくまで、おそらくだが」
「目の前で起きた、或いは起ころうとする凶兆か。……後方の憂いと板挟みされてるんだな」
「…………そういうことだ」
「俺が行こうか?」

久々に酒を交わしたばかりの同族の、突然の申し出に足が止まった。
全開になった眼差しを向ける。
彼は、涼しい目元と微かに引き寄せた口元を返した。

――――厄介な事になるかもしれないぞ?
――――余計な処までは首を突っ込まないつもりさ。……暇な駒は遠慮なく使ってくれ。

それだけで、互いの気持ちの確認は伝わった。

「――――すまない。華爪家に向った者達を任せた。……我が古き友よ」

彼はようやく安堵して、笑みを作った。
彼らの頭上で、月より大きな流星が幾度目かの通過を果たした。










【白鯨が飛んで――――・その2】

閉鎖された空間の中で、静かに響き渡る声たちがあった。
一つ一つが、ささやかな光を纏いながら。

「予想すべき事態の一つ、『大気』の隔世が生じました」
「現在、世界中を駆け回り、強風を発生させています。ミスティーション、俗世間にも観測されたと」
「……分かりました」

「……『大地』の隔世も、起こりえますか?」
「『大気』との接触の際。双方が暴走状態という可能性はどの程度でしょう?」
「…………万一が、確実へと傾こうとしています」
「…………」

「精鋭はどの位集まった?」
「世界中から粗方ですが。……荒れ狂うアレを見て事態の深刻さを察したのでしょう、半数は揃いました」
「ヴィルヘルムに封印の解禁許可は?」
「とうに出しました」
「念の為に……黒薔薇党は?」
「……駄目でした」
「そう……」

「……わたくしも。赴かねばなりませんね」
「いけません!」
「何故でしょう?東風が吹いているのです。きっと、大きな始まりが起こります」
「私は賛同します」
「……!」

「……転送の準備を」

その内の、もっとも穢れなき光が、強く輝き始めていた。











【白鯨が飛んで――――・その3】

夜が深くなりつつも、屋敷の光は消えなかった。
といっても、一室だけだが。
世間から断絶した土地に佇む其処だけ、まるで夜空に唯一輝く星のようだった。

「墨染、め、の、花ああぁぁ〜!!ここでぇ〜!二人ぃ〜!悲しーみと喜びぃーをー分かち合いー。
 ずっとぉー。生きてー行くーこと信じてぇたぁー…」

こぶしを唸らせながら歌うA・Y。
合いの手を打つホーミーも、すっかり眠り扱けてる睦海も皆和やかな顔だ。
サーチェスは見ない。宴会の席から完全に外したらしい。

「ほら見て、『鯨』よ」

それは、歌い終えた直後の唐突な一言だった。
A・Yが指差した窓を、闇に煌めく星々をぼんやりと、眺めた。
そういえば、今夜は本当に荒れた風だ。
先程から窓がギシギシと悲鳴を上げていたが、宴会の、主にA・Yの賑やかさに忘れ去られていた。

刹那に流れたのは、美しい現象だった。
例えるなら、空を駆ける、白鯨。

「――――今のは、何だ?」
クリムゾン、ホーミーも唖然とする顔が感想を示していた。
さっき言ったが睦海は完全に熟睡している。
「今度こそタイミングビンゴ〜wクリムゾンも見れたわね〜。あっふふ。知ってた?もう三回もこの上を通ってたのよ」
「三回も……!?今の一瞬も、お嬢様が御報せしなければ、察知出来ませんでした!」
「うん。視れただけでラッキーよ。もう此処を通る可能性はかなり低いだろうし、もう一回くらい通るかもしれないけど」

A・Yは白鯨の正体を把握しているようだった。探してるだろう場所も。

「アレが向かうから、ラークリ達は行かなくても良かった。
 まあきっとホーミーより凄いものが見れるかもしれないから、行かせたけど」

どういうことだと問い質そうとすれば、
「明日になれば分かるわ」
と、返されるだけだった。

……ただ、酔いから貰った陽気な様子は変わらないが。
A・Yは誰の視線から顔を隠すように背けて、窓ガラスに歩み寄って。
ささやかな声で口ずさむ。

「――――もしも私が、あなたのように長く生きる気になれたなら……」

おそらくさっきと同じ曲調の歌だった。

「あんな想いも、知ることもなく、んでいたのでしょう……か?…」

「……さっきと、歌詞が違わないか?」
「ん……そうかもね」









あとがきもとい
response to 宙さん
他の章もちゃんと進んでるよって示したいが為のTIPSでした。
正解。リメンスは彼の下位互換だからねぇ。見様によっちゃバーバロウスより上だけど。
本来の範囲はせいぜいリメンスから半径10mくらいです。だから今回みたいな大範囲は他から力分けなきゃ無理ぽ。
首領パッチっていうかパチ美らしい扱われ方です。
ここまで引っ張ってあげたのは置いてけぼりにした償いってことで。
戻ればどうみても雑魚になります。シーカーはまだ居ました。
斜め上を目指してますのでどうか楽しみに眺めて下さりませ。

それと、いつぞや依頼しました<こたえ>が次送りになっちゃてスミマセンでした><;;

[9634]
宙 - 2008年03月27日 (木) 02時01分

そういえば皆カタアリ見えてましたね・・・。
うっかりスルーしてました(待て)こういうことがあったのか。
ちょっとボーボボには・・・博打だから・・・;
味覚はいりません!;寧ろ知りたくねーです;;

おや、プラネタリウムさんの一片が。
・・・今でも心底から敬愛してるんですね。
名前云々は知らない、と>サーチェス

・・・一応、彼女はアレで募集に書きましたからね。
図太い所もありますが、その部分に関しては繊細で間違いないです。
いずれにせよ乗り越えなければ前にも後ろにも進めない。名前通りのままです。

王子は超御乱心中です。美歌さんの声も勿論届かないと・・・;
どうやって場所を知るのでしょうね。

あ、やつだ。もしよければ華爪家に向かわせようかと此方で思っていたら本当に向かうんですね!
そんなに、驚かなくても。そこまで予想外ですか。
こっちは『協会』でしょうか?
なんとも・・・ですねぇ(ぁ
宴会をやるA・Yさんら。酒も入ってノリノリである。

辻褄が合う程度の斜め上、楽しみにしてます。
あ、気にしてませんよ〜(^^)



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