| [9626] Pathetic courtship 25 |
- A・Y - 2008年03月22日 (土) 21時53分
コンフェ「はい。作者がまたドジやらかしたけど、無事に六本目完成でーす」 夢幻「一話分の区切りを勘違いしてたんだね」 コンフェ「いえいえ」
response to 宙さん フジヤマはアレです掛け声みたいなものです。 それは言っちゃ駄目だ。反応するから。 ボムがモデルの人形ですから、この用途は使いたかったのです。>自爆 いや、漫才してたのはへっぽこ丸かコンバットだと思います。あそこは自由でいいけど。 とりあえず最後の最後でノリノリになれて良かった。>プール 爆破の結果は、一箇所を残して今回の以下の通り。
夢幻「あ!?そういえばオレ達の視点全然出てこないよ!!?六本も投下したのに!!?」 コンフェ「僕は21話でちょっと出れたから別に…」 夢幻「結局何がしたいんだアイツは!?」 コンフェ「心躍るままに。らしいですよ。ちなみに今回以外は会話形式がずっと同じだったの、気付いた?」 夢幻「相変わらず、どうでもいいところに何か仕掛けてるんだねぇ……」 コンフェ「ハハハ…それじゃあ、本日最後の投下です。ENTER」
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シーカーは一つの即興の終わりに拍手しようとした。 だが、予想外のことが起こり、顔色も驚愕に染まった。 デストロイの方も同じく。 彼は不愉快さを益々深めた顔で、彼らを救った乱入者を見た。
「……誰だ、てめぇ……」
何が起こったかと言うと。 ――――鬼が現れた。 その頭には、最も典型的な、御伽噺に出てくる双角が生えていた。
鬼は何をしたのだろう。 爆発する直前の炎を触れて、消したのか。 否、間に合わなかった筈だ。熱気を凝縮された炎の塊は、爆発してしまっていた。 それでも鬼は腕を一杯に伸ばして、炎を広げて……『拡げて』!? 信じられない光景が広がっていたのだ。洒落ではなく。
鬼は炎に直撃するかと思いきや、炎を爆散させたのだ。 集められた高エネルギーをまた個々に散り散りに戻すように、八方へ弾き返した。 まるで、寄り固まって巨岩と化していた石達を最初の小ささに戻すように。更に石を砂に、砂を土に返すように。
ボーボボ達は、彼に助けられた、ということか。 だが、突然現れた男。誰も心当たりが無かった。それであのデストロイの炎を消し去った能力。 礼を述べるのも躊躇われてしまう。
鬼の青年は、ニッと悪餓鬼らしい笑顔を浮かべて振り返った。 こちらに指をさしながら。
「――――かーっこよく!俺様登場!ってか」
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……どうやら、かなりファンキーな奴だった 「あれ?もしかして決まんなかった?うっそー……これでも今日考えた中で一番カッコイイポーズを選んで いや、これ三番目だったけかな?」 ……ていうかバカらしい。
その角を生やした男は、光の具合で青に見える黒髪を、癖も多いのに背中まで伸ばしている。 背は破天荒より高く、ボーボボより低い。角を含めればボーボボも抜くが。 青のタンクトップにジーンズと、身軽さを重視したスタイル。 向き出しにした肩から腕の筋肉は細すぎず太すぎない程良い筋肉質だ。 青い光沢の混じる黒い双眸は、どうでも良いことで悩ましく細めたり広げたりしている。 顔自体が子供のようにコロコロと変わる。あのポーズが良かったか、こんな決め台詞が宜しかったのかと、 ぶつくさ言っている。本当にどうでもいいことだ。
どうやら、緊張させるようなタイプじゃないみたいだ。 皆は顔を合わせあわせ、代表として平原が前に進んだ。
「窮地のところだった。助太刀、感謝するぞ」 「お、おお!どういたしましてだな!」 「それで、ええと……」
何と呼ぶ必要があるか分からず口篭る。 彼は揚々として言った。
「ガイって呼んでくれ!」
「オイ…………」
つい、忘れるところだった。 とんでもない奴に襲われている最中だったこと。 ボーボボ達は再び体を強張らせる。 その面前に、ガイの背中が立ち塞がった。
「任せな。元々アイツのダダ漏れするくらいデッカイ気に引き寄せられたんだからな」
誰かが制止を出す間もなく、ガイはデストロイに向かって突進した。 彼らから見て愚者にも程がある行為だった。よりによって破壊の化身に正面から攻めようとするのだから。 デストロイはまた超高温の炎を生み出す。 このまま行けば灰になるだけだった。
「例えお前の支配下でも、本来は自然に属するものだろう?」
ガイは、何も怯まず、決して慄かず、真っ直ぐ向いて腕を突き出した。 ……ボーボボ達を救った奇跡を、再現して見せた。
「だったら拡散させられるさ!俺様の十八番だからなぁ!!!」
鬼の咆哮が鳴り、その腕が大きく振るうと。 炎が、また飛び散った。小さな火の粉だけが、無数となって火の海に帰っていく。
「テメェ!!!ふざけんなよおおぉ!!!!」
怒りを爆発させ続けながらデストロイは、赤い剣を手にしだす。 怒涛の速度で一太刀入った。 その瞬間、ガイの体が霞んだ。
「何っ!?」
デストロイは剣を振り回す。 だが、斬っているのは霧。ガイの姿は何処にも居なくなっていた。 何時の間にか火の海で漂う、目に見える気体。 しかもこの霧は、火の手が近い方から更に火から遠ざけられ、ついには消されていた。
「ハハッ!流石の破壊でも霧は壊せないかぁ!!?」
デストロイは、ただただ怒りをぶつけるように剣を振る。しかし、ガイには痛くも痒くもないようだ。 さっきまでどうしようもなかった強敵が、手も足も出ない。 突然の状況の逆転に、彼らは何かの幻覚かと眺めていた。
「…………父が残した古い文献で読んだ事がある。失われた筈の種族だ」
緑竜が突然呟いた。 彼はすらすらと読むように続けた。
「その昔、鬼という種族は実在したらしい。彼らは神の一種と崇められ畏れられていた。 鬼の能力は森羅万象を自らの手足のように扱い。自らと同一とするもの。 よく御伽噺で出る百万力の天手刀の他に、己を含む自然・現象を疎遠したり集束したり出来た。 今の霧と化す術も、後の吸血鬼が派生という説を裏付けるのだが……だが何故、失われた種族がこんなところに!?」 「森羅万象を……途方もないな」 「あ、あの……つまり、どういうことだ?」
破天荒が頭を掻きながら質問する。 ソフトンは一つ咳払いして、簡潔に教えた。
「つまり、さっきからガイという彼が繰り出す技は、自然や自分を好きなように分裂、拡散出来るという事だ」 「へぇ……って拡散!?」 「デストロイの炎球も同じ理屈ってことだな。それなら納得出来る」
その時、シーカーは撤退を決定することにした。 所属不明、それも幻の鬼の乱入。……シーカーも見るのは初めてだった。 物知りなバーバロウスもきっと食い付きそうな種だなと思った。 デストロイは知らない。彼は放って置いても問題ないだろう。自分の範囲としては。
「おっと」
ボーボボと、平原。 デストロイを忘れていたからこっちも忘れていただろうに。
「デストロイに次いで思い出したんだよ」 「ちょっと貴様には口を割らせて貰おうか」 それぞれ斧を向けて、鼻毛の鞭を波打たせて。
シーカーは面倒臭くなって彼らと目を合わせず、短剣を遊ばせた。
「めんどくさ……けど、結構面白いものが見れたな」
予想より、遥かに大きな爆発が起きた民間の為の娯楽施設。 天井から大きく崩されて、きっと被害額は大変なものになってるだろう。 まあ彼らにはそんなこと関係ないだろうが。或いは今は考えないようにしているのである。
「ケホッ、コホッ」 「皆〜、生きてるか〜?」 「棒読み?棒読みで確認かよ」
瓦礫を押し退けて、埃を払いながらまず顔を出したのは藤宮人、コンバット、浜木綿。
「油使うなら最初から言ってくれよ〜、オレの身体にも少し入っちゃってたんだから……」 「ああ、すまん。だから焼きところてんになっちゃったもんな」
程好く焦げててちょっとだけ美味しそうな感じがしないでもない天の助と、彼を介抱するへっぽこ丸。
「みかんの箱が無ければ危うかったぞい」 「全くです!マスターハンペン!」
次の瞬間完全に崩れ落ちた箱を看取り、おでんの師弟は「押忍っ!」の掛け合いをした。
「よし、全員無事だな。んでもって外にも出れた」
後は…………と、コンバットはさっきまでの戦場を見やる。 バーバロウスの気配は、消えていた。 あの程度で死ぬような奴じゃない。 おそらくだと思うが、足止めが主目的だったんだろう。だからこうして強引に脱出した彼らを見て、追撃は止した。
バーバロウスが戻る配置…………其処こそ、菊之丞が居る。
「なんだ。此処の勝負は既に着いたのか」
振り返ると、少年と女性の二人組み。 少年は中世の貴族のような格好におかしな兜。女は巫女装束に眼鏡を掛けていた。 人のことは言えないが、おかしな連中が来たもんだとコンバットは鼻で息を吐く。
「協会か。そちらが崇め祭る神霊さまの緊急事態にしちゃたった二人ですかい?」 「私だけがたまたま足があったのだ。夜が明ける前に援軍は来る筈だ」 「次に急ぐぞ」
協会の回し者に言われるまでもなく、コンバットは足を進めた。 その時、藤宮人は立ち止まったまま、プールを見やっている。 どうしたと、へっぽこ丸が声をかける。
「いえ、ただ……途方もなく広いところかと思ってました。 あんなに駆け回ったのに、出口が全然見つからなかったんです」 「けど、実際このくらいしかなかったんだな……」 「ああ、空間も弄ってたんだろう」
市民プールとはいえ、戦っていた時は概観の十倍はあったんじゃないだろうか。 だが、しみじみするのはまだ早い。 彼らは足を急がせるのだった。
しかし、少し歩いてから、また藤宮人が足を止める。 今度はなるたけ肝心なことを尋ねてきた。
「……あの、そういえば、一人誰か足りないような……?」 「え?いや、天の助は居るし…………………………あっ!!!!」
瓦礫の上に、二厘の花が咲いていた。 一厘は、季節外れの向日葵。 一厘は、名も無きオレンジの花。 二つは互いに健闘を称えるように、微笑みあっていた。 ただ片方は、涙を一つ垂らしながら。
珍しく置いてけぼりにされたショックで人面花と化していた首領パッチに仲間が戻って迎えたのは、十分後のことである。
あとがき 鬼っ子の参戦だぜ。テンション上がってたとはいえはっちゃけ過ぎた。 ガイとは、まあほぼオリキャラです^^;

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