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[9623] Sterminio Z
宙 - 2008年03月22日 (土) 20時40分


ビクッ!と体を縮込ませる1人の女。
電撃を浴びて痺れたように身を引いた。



「ちょっとぉ・・・・・・!?」
ありえない、ありえない、ありえないありえないありえない!
黒い青年が呆気なく倒された。
しかもきっちりと媒介品まで壊された。
その相手は先日、始末した筈の相手だった。
「何よ・・・・・・?確かにあそこで始末した筈でしょお!?」
あの時彼の青年に見せたのは紛れもない現実だったというのに。
相打ちにもつれ込んでいたが。


「まさか・・・?それじゃあやっぱりあの話は本当だったワケ・・・・・・?」
『あの話』
呪い名“咎櫛”は極薄くであるが妖の血が混じっているということ。
同じく呪術師でも、その話は真偽が不確かな物と分類されていた。
何処にも仕えない、己の意思で動く呪術師は異端なのだ。
咎櫛はその異端を――出来た当時から貫いている。
情報交換などありはしないのだ。
尤も呪術師同士のネットワークがある時点で何かがおかしいが。
しかし、ある程度の情報は入ってくるのだ。
咎櫛は他と大きく隔たっているので全く伝わってこない。
対決した呪術師もいるハズ。なのに何も伝わらない。
それが意味するのは――――





咎櫛の徹底的なまでの『完全勝利』。











ごくり、と唾を飲んだ。
妖の血を奴が引いているのであれば、あの術も使える。
難易度は非常に高い。そもそもの条件が酷い。
呪術というよりは妖術といって差し支えない。
問題はその寄り代が何かということだ。
全く分からない。
見当がつかない。












突如、空気が、質量を増した。







急いで振り返る。
自分の表情が引きつっているのを、女は感じた。
しかしそれが何になるというのか。

視線の先には、例の咎櫛。
奥にもう1人いるが・・・遠い。
その咎櫛はよくわからない表情で女を見ていた。








「―――――なぁ」
少し低めの声で宙は呼びかけた。
ゆっくりと近づいてくる。
目線はしっかりと固定されている。
女は僅かほども動けなかった。
蛇に睨まれた蛙となっていた。
「今私さぁ、凄い怒ってる気がするんだよね」
戦闘態勢でないまま、言った。
けれどどうしようもなく恐怖した。

「ねぇ、わかる?なんでか、わかる?」
「さ、さぁ・・・・・・?」
見せまい、と自分に言い聞かせる。
だが声は微かに震えていた。
白を切った。

「お前さぁ・・・私の所有物に手出したろ?そういうのってすっごく・・・腹立つんだよね」
口角が僅かに吊り上がった。
本当に、極僅かに。注視していなければ気付かないほどに。
「な、なんのつもりよ・・・・・・?」
「えー?あれ?言ってなかったっけ?」
「言ってないわよ!」
「あぁ、そうそう。そうだった。悪い子にはお仕置きが必要だよね」

ニコッ
目を閉じて満面に笑みを作った。






次に開くと、目が変わっていた。
色は紫。これは自力で調べたデータの中にもある。
しかしその中の模様は・・・・・・



逆五芒星










まさか
そんなまさか!
そんなものただの伝説だと、迷信だと思っていた
それがこいつにはある――――――!!









今度こそ本当に動けない。
逸らしたいけどそらせない。
瞳の中の逆さの五芒星から目が離せない。
金縛りだ。



星のラインが強調された。
光っているのかそうでないのか何も分からない。
ただ、それを見た瞬間、全身を形容しがたい“何か”が駈け巡った。











「―――――ッ!!!!!?」


「お、成功〜」
間延びしたような、油断ならない声。
緊張感のない雰囲気だ。彼女1人だけなら。

「何を・・・したの・・・・・・?」
「腕、見てみ」
一気に腕まくりをして、見る。
そこに描かれた模様に絶句した。
―――ヤツの瞳の模様と同じ、逆五芒星。
呪いの証。





「安心して。一思いには殺さないから。でも折角だから役立ってもらうよ」
アハハと笑った。
対し女はサッと顔が蒼白になった。
これは一種の所有印でもある。
一度つけられたら最後だ。少なくとも女には解除法がわからない。
――今からこの咎櫛が使う呪詛の寄り代になってしまう。
それがこの印の意味する所。
身代わり。

『人を呪わば穴二つ』
この言葉がさすように、自分に呪詛が跳ね返らないために術者は身代わりを立てる。
多くはヒトガタ。まぁ蛙等のか弱い生物を利用する事もあるが。
――生身の人間を身代わりに、という事は滅多にできない。
それ自体が高位の呪術だ。
しかし成功すれば最後。そこから受ける影響は呪い返しが出来ない。
防御不可能だ。




「ご安心を。身の安全はしっかりと保障してやっから」
多分、身代わりとしてくるダメージ以外で、だろう。
自殺は出来ない。かといって殺される事も出来ない。
唯一の終わりは――――

「く・・・・・・!!」
「おっと!逃がさねぇよ?」
背を向けた女には何を取り出したか分からない。
一目散に逃げようとしたが、それはかなわなかった。








気付けばそこは、全く別世界。
とらわれたのだと、思い知った。
――――箱庭の中。

















「よぉーし、しゅーりょー!終わったー!!」
いきなり明るい声。周囲の雰囲気を塗り替えるほどの。
ただ、宙はくらりと足をよろめかした。
それをさりげなく支えたのは珠姫。
「マスター・・・・・・」
「・・・もう、限度かな」
よく見れば顔色がかなり悪い。血色がない、ともいえる。
異常なほどだ。体温も落ちてきている。冷たい。
珠姫は意味を知っていた。また、これから己が主の行動も。
――とても、悔しい。









再び瞬間移動した。
正しくは、戻った。














戻ってきた宙と珠姫。
前者の様子はおかしかった。素人目から見てもそうだろう。
その様子に彼方は目を見開いたが、青年――更夜は表情を変えなかった。

焦点の定まらない目で宙は彼方の方に目を向ける。
何かを切るように手を動かした。貫いていた氷が消えた。
バランスを失い、かつ負傷している彼方はそのままドサッと倒れた。






よろよろしながら珠姫から離れる。
二、三歩歩いた所で崩れ落ちる身体。
近寄って真正面から受け止めたのは更夜だった。

「・・・もう無理はしないでゆっくりおやすみなさい」
「ん・・・・・・」
宙の声は微かに聞えた。
そのまま完全に意識を失った。
――――呼吸すらせずに。







「お、オイ・・・・・・?」
「脈もありません。大丈夫、ただの仮死状態ですよ」
しれっととんでもないことを更夜は吐いた。
普通そんな単語はつかない。
繋げる言葉を捜しあぐねていると更に続ける。
「体力と気力を使い果たしただけですから。しばらくこうすれば治りますよ」
「お前は・・・・・・?」
「おや、彼女から聞いてませんか?」
薄笑いを浮かべながら質問で返す。
答える気はなさそうだ。

ちらりと珠姫を見ると、更夜を睨みつけていた。
混じり気のない純粋な敵意が滲み出ている。
けれど手は出さない。出せなかった。
それが主君の命令であり望みだから。












2人分の足音。
「昴!?・・・・・・それに、透!?」
「お前・・・生きてたのか!宙も・・・・・・ん?お前は・・・?」
「――――ッ!更夜!!」
昴の疑問は透の叫びで遮られた。
名前はわかった。透と面識があるという事で、薄々だが関係も。
ただ透からは嫌悪と憎悪のオーラが見えている。
静電気が彼の周囲で起こる。
加減はされているだろうが。

「何しに来た!?」
「・・・付き添い、ですよ」
「何を・・・・・・!莉久で充分だろうが!!」
「あいにくと彼女は別件で駄目でしたので」
「こんの・・・・・・!!」
ギリ、と歯を食いしばる。
文字通り火花が散る。ただし一方的に。




それを止めたのは透と同じ人物を睨みつけていた珠姫。
「・・・アンタが、透ちゃんね?」
「え?うん・・・」
「マスターがこれをアンタに渡しといてって。通信手段になるから・・・」
そう言って黒い小さな球体を透に渡す。
更夜が持っているものと同じだと、彼方は気付いた。



次に更夜に視線を向けた。
負の感情を込めた視線を。

「マスターの命令さえなければ・・・アンタなんかとっくに殺してるのに・・・・・・!!」
「おやおや」
「・・・・・・ッ!!」
これ以上話すのも癪だ、といわんばかりに瞬間移動した。
珠姫も、宙も更夜も消えた。









「・・・・・・クソッ!!」
悪態をつく透には話しかけることもできず、自分の姉に尋ねてみた。
「何で此処に?」
「・・・例の本拠地を潰しに。もう、終わった」
「そうか・・・・・・」
「傷が酷いが・・・何があった?」
「後でちゃんと説明する・・・」
「その傷じゃ、動けないでしょ。肩貸すよ」
「あ、あぁ・・・・・・」
落ち着いたのか透が乱入。
素直に提案に乗る事にした。
・・・拒んでも仕方ない。







「アイツが・・・身体全部他人に任せてるの初めて見た・・・・・・」
ふと、零された一言。
黒い青年から漏らされた呟き。
2人共聞えているだろうが、誰も何も言わなかった。













Fin









************************************************************
はい、『Sterminio』終了です。
補完として断片集を入れる予定です。流石にこれだけだと、ね・・・。
敵さんの名前は出さず。あってもなくても同じですので。
今回の“仮死状態”が宙がロストのような存在を欲してた最大の理由。
この状態のとき、本当に無防備なので。
その間に身体を守ってくれる存在が必須でした。
・・・あのいや、一番はそこまで消耗しないことなんですけど;

*A・Yさん
残念。彼女ではありません。あの子そういう事はしないんよ。
んー・・・どうでしょうね・・・。
まぁなんだかんだ、今回双方無意識のうちに手加減はしてるんです。一応。
珠姫の瞬間移動は限られてます。今回は操ってた媒介が必須アイテムでした。
休みが続くと曜日感覚がおかしくなる人は結構いると思いますよ。

[9627]
A・Y - 2008年03月22日 (土) 22時10分

あら、単なるやられ役さんでしたか。
彼女だったらいつぞやの独白集で一人ぼっちにされて逆恨み・・て推測したんですけどね。
間違ったでしょう。

ふーん。身代わりの呪い、ね。
穴二つどころか、蜂の巣ほどはあるんじゃないんですか?w宙ちゃん。

更夜さん嫌われてるなぁ。まあ、殺されないって分かってる態度も、素敵だけどねw
はいはい。じゃあ移動方法も今回のパターンのみですね。

彼方さんの最後の台詞の解釈をわざと間違えてみると。
身代わりの呪いの人か、ロストさんかしら。

ではでは。



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