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[9619] Pathetic courtship 22
A・Y - 2008年03月22日 (土) 15時29分

コンフェ「三本目ですよ〜」
夢幻「……ねぇ;;どれくらい溜めたの?;;」
コンフェ「作者が本気出しましたからねぇ、まだまだあります」

response to 宙さん
とうとうデストロイ参戦です。
彼らが否定したり押し付けあったりしても無駄でしょう。>『旦那さま』
本当に厄介な奴だぜぇ。

コンフェ「じゃあ本日三本目いくよ〜」
夢幻「ENTER〜」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


バーバロウスは、誰にも問われていないのに、此処に纏わる物語を話した。

「人に切り開かれた今では、見る影が無いでしょう。
けれどこの豊満たる大地の命は、其の程度で息絶えることはありません。
大地に染み込むのは数多の樹木や動物の生命、そして人の感情らです。
感情は千差万別。各々の憎悪もあるなら、各々の思慕もあります。
きっと今でも、後者の感情が多く、この大地に深く染み込んでいるでしょう――――」
「……何が、言いたい?」

銃弾を放ち続けながら、コンバットは問う。
バーバロウスは軽々しく避け、或いは自分の影を盾にして弾幕を越える。

「まだ、気付きませんか?」

首を横にやや倒す。小馬鹿にしているような態度が、悟らせるような姿勢が気に入らないとコンバットは思った。
言われなくても気付いてやるさ。答えを見つけてみせるさ。
眼前の死闘を忘れないようにしつつ、意識は推理の課程に入った。

まず、バーバロウスの言い分だ。
詰まる所、奴は俺達に何かを思い出させようとしている。又は心当たりを尋ねている。

与えられた謎のヒントを挙げる。
一つ、この土地。
二つ、菊之丞を此処に連れた理由。
三つ、百年前。

ノイズは三つ目にあるんだろう。
百年の時間。人間にとっては寿命を使い切れる頃合。
当時開発中の途方もない建築物が現代に完成していれば、当時生えたばかりの苗木が巨木に生長している。
そりゃ、土地だって大幅に変わってしまうだろう。実際、たったの100年で世界は復興した。
コンバット達は百年という空白を空けて、此処に顕在している人間で。
……それがなんだってんだ。
点は揃っている。だが線が見えない。一体面の正体は何だ?

考えながらも、銃と薬莢は動かし続ける。バーバロウスに睨み続けている。
しかし、お見通しらしい。哀れむような顔をして皮肉った。

「……人間にとって、やはり時の流れは残酷らしい。絵を変えた地図如く気に晦まされているのですから」

バシャアァン!

其処にハンペン承が叩きつけられた。巨大な一本の水柱が上がる。
だがバーバロウスは無傷だ。既に位置を変えていた。

「おのれ、意味のわからん縮地法を使いおって」
「移動してるっつーか位置そのもの変えてるっつーか」

………………位置?
浜木綿の何気ない一言が、コンバットの水面にも石を落として小さな波紋を起こす。



うっすらとだが、線が見え始めた。
点がどの距離を置いて、どの位置に繋ぐか。
線の長さや繋ぎ方が見えてくると、面の形も見えてきた。

しかし、その形は……。








過去の光景がフラッシュバックする。



あの日は、気持ちの良い快晴だった。
白い雲を久しぶりに眺めたような気がした。
戦争はまだ続いていたが、この頃はまだ睨み合いだけで少し平和だった。
その日は、アイツが空を見て笑っていた。
金色の目はいつもより生き生きしていて、頬も髪も薔薇色で。
白く小さな少年を小突いたりしていた。
少し、寂しくてけど嬉しかった。



あの日は、雨が降っていた。
どんよりとした黒雲が搾り注いでくれた水に、赤い色が交じっていた。
別に、戦場じゃあなかった。もう戦争は終結していた。
その日は、アイツが空を見て泣いていた。
金色の目に光がなくて、薔薇色の髪がずぶ濡れで。
横たわって、胸から血を流していた。
かなり、寂しくて悔しかった。








そして、全て炎で焼き払った。

「はぁ…………ぜぇ…………はぁ…………」

不思議な荒げた呼吸をするのは、デストロイ。
彼は、対象が髪一本も灰になればいいと、それだけで頭が一杯になっている様子だ。
感情が昂ぶり過ぎてるのか。間を置いてるのが唯一幸いするところ。
こちらに息継がせる暇も与えないラッシュ攻撃なら、とっくの昔に全滅してる。

「ふ、ふふ……グギャギャ……わざと……外してやった……だぜ……?」

虚勢ではない。本音だろう。
下手に逃げ回っていれば焼死している。そんな型の攻撃だった。
百聞は一見にしかず。カジノは原型を殆ど失ってしまった。
僅かに残ったのは数台のスロットマシーンと、黒焦げになり床に転がったミラーボールらしき物体である。

「次…………次こそ……当てる…ぜ……………グ、ギャギャ……」

狂気の者の顔のすぐ傍で、巨大な炎の塊が生み出されていた。
最初以降と明らかにケタが違う熱気。
逃げ場は、あるのだろうか……?

ボーボボ達は考えられるだけの可能性を搾り出しながら、構えた。

シーカーはというと、すっかりこの即興の観客気分のようで。
腕を交差して組みながら、片手で短剣を遊ばせている。









そして、火の海は広がろうとしていた。









コンバットは次に用意した重火器でバーバロウスに攻撃した。
火炎放射器だ。
ここが水浴場という時点で最も無用の長物を、敢えて使う。

「っ!おっと……これはなかなか……」

バーバロウスは音もなく引き下がる。
亡霊の影も、一旦水場に潜った。
だがハンペン承が叩き込まれる。水の圧力程度で軽減されない。二、三体は滅しただろう。

「――――良い連携ですね」

表情が驚きに変わったのは、一瞬だけだったようだ。
また笑みを刻んでいるかもしれない。闇の奥に隠れたから分からない。
火の手が消えたと察したら、すぐに這い上がらせる。

だが、コンバットが待ち伏せていた。

…ザシュ!

それは銃弾を弾く音でなく、刃が物を斬った音。
バトルナイフ。
コンバットにしては珍しい代物。そのまま格闘戦で何体かの幻影と応酬した。
浜木綿がまた一体撃破し、三節棍を横に構えた丁度にその軍人の姿勢を見て、何かを感じ取る。
斜め隣では首領パッチが回転ゴマとなって敵を擦り切っていた。

コンバットの頭の中にはある仕掛けが図式化していた。
まずは、弾を温存して置くこと。
次に、早めに発動する為に自分以外の足を使うこと。
段階に必要な若者二人組みを捕まえる。

「お前ら、手短に言う」

コンバットはへっぽこ丸と藤宮人に耳打ちした。
小声で口早だったが、幸い二人の耳と理解力は優秀だった。

「……ちょ!?マジかおっさん!」
「黙れ!ここをさっさと切り上げる為だ」
「一理あるんですか……正気ですか……?」
「戦場に正気もクソもあるか。アイツにとっては遊びなんだろうがな……。付け入る隙は其処しかないんだよ」

コンバットは闇に包まれた水場から目を離さずに、続けた。

「いいか、消耗された『フリ』だ。決してアイツに悟られるな」
「……浜木綿達は」
「彼なら言わなくても気付く筈だ。ハンペン様以外のナマモノは分からんがな。念の為やつらを後手に回してくれ」
「……分かったぜ。相当焦ってんだな」
「勘が唸ってんだよ……」

歯を軋らせる。冷静さを失ってはいけないのに急げと体の中から訴えてくる。
酷く胸の辺りが気持ち悪いんだ。嫌な予感しかしない。
バーバロウスが投げた謎の答えが、もし自分の推理が正解だとしたら尚更に……本当に最悪な心地だ。
だから、一刻も早く、菊之丞を救出しなければ。




あとがき
プール場にてバーバロウスの話の続き。またなんかの伏線。
デストロイはまだ不安定。最初から全力で行ってたらカジノの面子全滅してるお。

[9620]
宙 - 2008年03月22日 (土) 18時54分

百年前の記憶。
・・・この場所、もしかして昔歌王の王国があったんですか?
さてさて、コンバットは何をしでかすつもりなんでしょう?
菊之丞ピンチ。
・・・場違いだとは思いますが、モテモテだなぁ、彼。

そりゃあ原罪だし、なんといっても嫉妬に狂ってるし・・・>デストロイ君
軽くグギャリつつ超不安定。
ボーボボ達どうすんのかなぁ・・・。
ではー。



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