| [9619] Pathetic courtship 22 |
- A・Y - 2008年03月22日 (土) 15時29分
コンフェ「三本目ですよ〜」 夢幻「……ねぇ;;どれくらい溜めたの?;;」 コンフェ「作者が本気出しましたからねぇ、まだまだあります」
response to 宙さん とうとうデストロイ参戦です。 彼らが否定したり押し付けあったりしても無駄でしょう。>『旦那さま』 本当に厄介な奴だぜぇ。
コンフェ「じゃあ本日三本目いくよ〜」 夢幻「ENTER〜」
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バーバロウスは、誰にも問われていないのに、此処に纏わる物語を話した。
「人に切り開かれた今では、見る影が無いでしょう。 けれどこの豊満たる大地の命は、其の程度で息絶えることはありません。 大地に染み込むのは数多の樹木や動物の生命、そして人の感情らです。 感情は千差万別。各々の憎悪もあるなら、各々の思慕もあります。 きっと今でも、後者の感情が多く、この大地に深く染み込んでいるでしょう――――」 「……何が、言いたい?」
銃弾を放ち続けながら、コンバットは問う。 バーバロウスは軽々しく避け、或いは自分の影を盾にして弾幕を越える。
「まだ、気付きませんか?」
首を横にやや倒す。小馬鹿にしているような態度が、悟らせるような姿勢が気に入らないとコンバットは思った。 言われなくても気付いてやるさ。答えを見つけてみせるさ。 眼前の死闘を忘れないようにしつつ、意識は推理の課程に入った。
まず、バーバロウスの言い分だ。 詰まる所、奴は俺達に何かを思い出させようとしている。又は心当たりを尋ねている。
与えられた謎のヒントを挙げる。 一つ、この土地。 二つ、菊之丞を此処に連れた理由。 三つ、百年前。
ノイズは三つ目にあるんだろう。 百年の時間。人間にとっては寿命を使い切れる頃合。 当時開発中の途方もない建築物が現代に完成していれば、当時生えたばかりの苗木が巨木に生長している。 そりゃ、土地だって大幅に変わってしまうだろう。実際、たったの100年で世界は復興した。 コンバット達は百年という空白を空けて、此処に顕在している人間で。 ……それがなんだってんだ。 点は揃っている。だが線が見えない。一体面の正体は何だ?
考えながらも、銃と薬莢は動かし続ける。バーバロウスに睨み続けている。 しかし、お見通しらしい。哀れむような顔をして皮肉った。
「……人間にとって、やはり時の流れは残酷らしい。絵を変えた地図如く気に晦まされているのですから」
バシャアァン!
其処にハンペン承が叩きつけられた。巨大な一本の水柱が上がる。 だがバーバロウスは無傷だ。既に位置を変えていた。
「おのれ、意味のわからん縮地法を使いおって」 「移動してるっつーか位置そのもの変えてるっつーか」
………………位置? 浜木綿の何気ない一言が、コンバットの水面にも石を落として小さな波紋を起こす。
うっすらとだが、線が見え始めた。 点がどの距離を置いて、どの位置に繋ぐか。 線の長さや繋ぎ方が見えてくると、面の形も見えてきた。
しかし、その形は……。
過去の光景がフラッシュバックする。
あの日は、気持ちの良い快晴だった。 白い雲を久しぶりに眺めたような気がした。 戦争はまだ続いていたが、この頃はまだ睨み合いだけで少し平和だった。 その日は、アイツが空を見て笑っていた。 金色の目はいつもより生き生きしていて、頬も髪も薔薇色で。 白く小さな少年を小突いたりしていた。 少し、寂しくてけど嬉しかった。
あの日は、雨が降っていた。 どんよりとした黒雲が搾り注いでくれた水に、赤い色が交じっていた。 別に、戦場じゃあなかった。もう戦争は終結していた。 その日は、アイツが空を見て泣いていた。 金色の目に光がなくて、薔薇色の髪がずぶ濡れで。 横たわって、胸から血を流していた。 かなり、寂しくて悔しかった。
そして、全て炎で焼き払った。
「はぁ…………ぜぇ…………はぁ…………」
不思議な荒げた呼吸をするのは、デストロイ。 彼は、対象が髪一本も灰になればいいと、それだけで頭が一杯になっている様子だ。 感情が昂ぶり過ぎてるのか。間を置いてるのが唯一幸いするところ。 こちらに息継がせる暇も与えないラッシュ攻撃なら、とっくの昔に全滅してる。
「ふ、ふふ……グギャギャ……わざと……外してやった……だぜ……?」
虚勢ではない。本音だろう。 下手に逃げ回っていれば焼死している。そんな型の攻撃だった。 百聞は一見にしかず。カジノは原型を殆ど失ってしまった。 僅かに残ったのは数台のスロットマシーンと、黒焦げになり床に転がったミラーボールらしき物体である。
「次…………次こそ……当てる…ぜ……………グ、ギャギャ……」
狂気の者の顔のすぐ傍で、巨大な炎の塊が生み出されていた。 最初以降と明らかにケタが違う熱気。 逃げ場は、あるのだろうか……?
ボーボボ達は考えられるだけの可能性を搾り出しながら、構えた。
シーカーはというと、すっかりこの即興の観客気分のようで。 腕を交差して組みながら、片手で短剣を遊ばせている。
そして、火の海は広がろうとしていた。
コンバットは次に用意した重火器でバーバロウスに攻撃した。 火炎放射器だ。 ここが水浴場という時点で最も無用の長物を、敢えて使う。
「っ!おっと……これはなかなか……」
バーバロウスは音もなく引き下がる。 亡霊の影も、一旦水場に潜った。 だがハンペン承が叩き込まれる。水の圧力程度で軽減されない。二、三体は滅しただろう。
「――――良い連携ですね」
表情が驚きに変わったのは、一瞬だけだったようだ。 また笑みを刻んでいるかもしれない。闇の奥に隠れたから分からない。 火の手が消えたと察したら、すぐに這い上がらせる。
だが、コンバットが待ち伏せていた。
…ザシュ!
それは銃弾を弾く音でなく、刃が物を斬った音。 バトルナイフ。 コンバットにしては珍しい代物。そのまま格闘戦で何体かの幻影と応酬した。 浜木綿がまた一体撃破し、三節棍を横に構えた丁度にその軍人の姿勢を見て、何かを感じ取る。 斜め隣では首領パッチが回転ゴマとなって敵を擦り切っていた。
コンバットの頭の中にはある仕掛けが図式化していた。 まずは、弾を温存して置くこと。 次に、早めに発動する為に自分以外の足を使うこと。 段階に必要な若者二人組みを捕まえる。
「お前ら、手短に言う」
コンバットはへっぽこ丸と藤宮人に耳打ちした。 小声で口早だったが、幸い二人の耳と理解力は優秀だった。
「……ちょ!?マジかおっさん!」 「黙れ!ここをさっさと切り上げる為だ」 「一理あるんですか……正気ですか……?」 「戦場に正気もクソもあるか。アイツにとっては遊びなんだろうがな……。付け入る隙は其処しかないんだよ」
コンバットは闇に包まれた水場から目を離さずに、続けた。
「いいか、消耗された『フリ』だ。決してアイツに悟られるな」 「……浜木綿達は」 「彼なら言わなくても気付く筈だ。ハンペン様以外のナマモノは分からんがな。念の為やつらを後手に回してくれ」 「……分かったぜ。相当焦ってんだな」 「勘が唸ってんだよ……」
歯を軋らせる。冷静さを失ってはいけないのに急げと体の中から訴えてくる。 酷く胸の辺りが気持ち悪いんだ。嫌な予感しかしない。 バーバロウスが投げた謎の答えが、もし自分の推理が正解だとしたら尚更に……本当に最悪な心地だ。 だから、一刻も早く、菊之丞を救出しなければ。
あとがき プール場にてバーバロウスの話の続き。またなんかの伏線。 デストロイはまだ不安定。最初から全力で行ってたらカジノの面子全滅してるお。

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