| [9617] Pathetic courtship 21 |
- A・Y - 2008年03月22日 (土) 15時06分
コンフェ「二本目行きまーす」 夢幻「本当にストック溜めたからねぇ」 コンフェ「ええ、仮眠を挟みながら昨晩から書き続けましたから」
response to 宙さん 其処は「何処が普通やねん」とか「普通の定義が分かりません」て言うと思った(´・ω・`) 双方敵意がない。それが正解です。 ふむ、宙ちゃんの予想はそうなりますか。>プール側長期戦。 ゴメン、観覧車に居た目的の人はしっかり移動させられてます。
コンフェ「じゃあ投下行きまーす」 夢幻「ENTER」
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見つかってしまった。けれど先に見つけた。だから問題ない。 捕まってしまった。けれどすぐに逃げられる。だから問題ない。 そして、もうすぐ主賓が来る。だからこれからが本当に騒々しくて愉快になる。
「フッ……」
そう思うと途端に彼は、笑った。 そして、携える短剣で切り裂いた。 自分をあと一息で握り潰そうとする影が、紙切れのように散り散りになって消えた。 足が床に着けばすぐに蹴って離れる。 下から斜め横の軌道で駆け出す。 壁に、スロットマシーンに、競馬台の縁を足場にして、対象に近寄る。
「っ!兄者!!」
影使いの弟が兄を守ろうと前に出る。 彼は疾風の如く迫ってくる。 斧を縦に構えた。いつでも振り下ろせるように。 けれど、彼は緑の頭をした兄弟は無視して行った。
「何っ!?」
彼は首に待とう灰色をはためかせながら、短剣を両逆手に持って飛び掛った。 対象は予想の反応速度でこれを打ち返す。 鞭のようにしなる武器。 金髪の丸い頭の大男は、鼻から出したそれを自在に操る。 これを受けて、流す。 相手もそれを見越して、追撃する。 唸り続ける鞭を幾らか避けながら短剣で滑らせながら、彼はやっと床に着いた。
「お初にお目にかかります」
剣を下げて急に喋りだし、意思疎通を示したカタアリを見て全員は追撃を止める。 灰色の布マフラーを揺らしながら、似た色の髪をした少年は自己紹介する。
「シーカー。と、お呼び下さい。ところで」
橙色の眼をさっきより細めた。元々細目の方だろう。 けれど、その細め方は悪意を含んでいた。
「――――あなたが、コンフュジョンの『旦那さま』でございますか?」
直後、カジノの壁が外から爆破された。
(どうやら、来たようですね)
複数の強き人間を相対しているバーバロウスは、彼の波動を感じ取る。 この大量の水が一気に蒸発する程度の力を持つ、彼の到着を知る。
(――――だが、見事にうちの悪戯者に引っかかったようでもある。 ……予定より早い到着でしたから、狂わせられない確率が上がって良いですけど)
バーバロウスは表情を変えないまま。目の前の相手を見やり続ける。
(……来たか)
奴の前から消えて三ヶ月少し。長いようで短い追いかけっこだった。 とうとう、追いつかれてしまった。何時でも覚悟出来ていたこと。……そうでもないこと。 最悪の場合の対抗策も幾つか考慮した。 一人で逃げる選択肢は頭にない。それが最も得策だけど、『コンフェとして』許さない。 先ずはやるべきことを片付けてからだ。
(とりあえず、アイツが誰にも構わないことを祈るのみだ)
兄弟が自分の友人達に危害を加えないように。 そんな些細な願いは、純然たる破壊の前には叶わない。
「…………あら」
タイラストは顔を僅かに持ち上げた。
「来たのね」 「誰が?」
訝しげにレムが聞いた。 タイラストは指を使いながら方角を確かめた。
「大体八時の方向かしら。デストロイが来たわ。……一番密度の濃い部分にぶつかったわね。 でも、ちょっとダイレクトね。方角からしてこれは狙わないとって、感じ? 誰かが誘導したのかしら?此の頃の破壊くんはとても乗り易いから」 「デストロイ……て」 「原罪四部よ。ずっとコンフュジョンを探し回ってたらしいわ。 …………あら、つまり今夜やっと再会出来るのね。良かったわぁ。こっちの観戦が終わったら見に行こうかしら」
タイラストはコロコロ笑いながら傘をくるりくるりと回す。 コンフュジョンがコンフェのことだとレムはまだ知らなかったが、薄々気付いた。 再会はきっと良くないものだと、レムは彼らの関係を知らないが、そう思った。
最初に見えたのは赤と金の影だった。 形が明るみに出ると、その鮮烈で端整な容姿に呆けたことだろう。あくまで普通の状況だったら。 身体を覆う金髪に真っ赤な服の少年が居た。 目元は見えない。多過ぎる量で括らない髪が隠しているからか、ほんの少しだけ彼が俯いているからか。
そして、誰かに似ているような気がした。 身近な人物だった気がする。……正確に誰なのかは、まだこの時の面子では分からない。
穴を空けられた壁の縁にやる手が、更に穴を広くした。砕いたかもしれない。溶かしたかもしれない。 後方は火の河が燃え盛り、燻られた土が煙を上げていた。彼の足跡なのだろうか。 熱気が入り込んできた。いきなりの温度上昇でカジノがサウナ化してしまう。 だが、人間達が伝う汗は、突然舞い込んできた暑さからではない。
「な、な、な……!?!」 「何だコイツは……!?」
破天荒は鍵を、ソフトンは手刀を乱入者に向けた。どちらも腕を震えながら。 圧倒的なプレッシャー。気を抜いた瞬間潰されてしまう位の。 只者ではないことは悟れた。
「あ、兄者。彷徨の群れが、熱気だけで消されて……」 「まさかコイツ……」
彼が強引な入場をした瞬間に、彷徨は悶え嘆きながら掻き消されてしまった。 駄々漏れする感情の波だけで脆弱な部類を一掃した。 暑さに反して悪寒がした。 緑竜の想像は、おそらく当たっている。
「コンフュジョンの……匂い…………」
彼は、幽かな声で呟いた。 余りに小さな声で、周りの火の音も遮っている。 けれど、確かに耳に入った。此処に揃う面子の聴力が高いのだろう。
「『旦那さま』……」
彼の呟きは続く。 火は点けられていた。さっきまで猛っていたが、今は静かに揺らぐ頃だった。
「誰が、どの野郎が、『旦那さま』ってぇ…………」
そしてこれからまた激しく炎を盛らせる。 怒りと嫉妬を原料にするものとして。
「デストロイ様」
彼の登場から始めて声を発したシーカー。 デストロイは目をやらない。向けば炎の進行が決められてしまうから。 だからシーカーは、ベストな間を作って、この時を待って行動に移った。 簡単な作業だった。
「きっと、この方でしょう」
一人涼しい顔をしていたシーカーは、掌で指し示した。 ――――ボーボボを。 同時に、赤い眼がかっきり開いた。
「……なぁ!!?」 「お前かああああぁぁぁああぁぁぁあ!!!!!」
シーカーとデストロイ以外の者達は呆気に取られ、感情を爆発させたデストロイはボーボボに業火を放つ。
「っ!鼻毛真拳奥義!スロットガード!!!」 ボーボボは近くにあったスロットマシーンを強引に自分の前へ寄せた。 ギリギリ間に合い、業火がマシーンにぶつかる。 直後に、ボーボボを拾う影。本体である緑竜の隣まで引っ張った。
「すまん。助かった」
緑竜は返事は出さず頷いた。 一方、スロットマシーンは溶けて灰になった。
「いつものバカガードでも防げ切れないだろうな。今のは……」 首領パッチや天の助が居たら涙目どころじゃないことを言う。 だが声色は緊張に満ちていた。ビュティが見てもボーボボが弱気だと察するだろう。
緑竜は、もう一体のカタアリに目を向ける。
(コ、コイツ……!!!)
嵌めやがった。 仕組みはよく分からないが、ボーボボを標的に仕立て上げる算段だったのだ。最初から。 理由?きっと誰でも良かったのだろう。 この凶悪な獣を誘導する条件さえ持っていれば、そいつらは生贄に過ぎないのだ。
「フッ……」
策謀を裏付けるように。 彼……シーカーは、もう一度笑った。
あとがき 絶賛発狂中のデストロイを利用してみる→コンフェと長い間一緒だった男性をとりあえず『旦那さま』と呼ぶ →疑いなくターゲットにした→サーセンwww とんだ悪戯っ子ですねぇ。

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