| [9568] Cage garden 8 |
- A・Y - 2007年12月26日 (水) 16時33分
美歌「さて、言い訳を聞きましょうか」 美音「以下のように垂れ流してます」
なんかいつもいつも金曜に投稿はパターン決まってるみたいでアレじゃないの というか冬休みなんて名ばかりのテスト対策・復習なんだし。ああー、けど見たい動画が多いわー、困るな;;
美音「……という駄目っぷりで」 美歌「後一歩でニートよね」
response to 宙さん 今何処が一番主軸になるかなって言われれば、そうかも。>カタアリ編 後ろはあんな感じです。あくまでノリだからガチになれるかも分かりませんw まああの症候群が挙げられるでしょうねー。無理もなし。 症候群が発症するのは赤い爪も原因です。 繰り返し繰り返し繰り返すことをして来ました。 反省も加えたけど肝心なことは最近まで変えなかった。そんな話。 他人事ですねぇ。まあ助言しなくても彼はしばらく思考をストップさせそうですが。 ……大事なことだから、焦らしたかったこともあります。 でもあんな発言されちゃね。もう抑えられないからね。(断片集のレス参照) 出した後は普通に体調崩さないように気をつけます。
美歌「そして今日も時間ギリギリでの投稿と」 美音「本当に、すみません。明日は朝早くから行くそうです」 リューサ「勉強・動画・執筆……全部両立するのって大変だね^^;」 美歌「一部さぼってるけどね。じゃあENTERっと」
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「楡松木蓮乃君のことは、私はよく知りません。最初に会ったのは何回目かの親睦会に出席した時の事です。……偶然でした」
親睦会と言っても、世間でよくある宴会はほぼ行わない。 主に華爪家の今後と反省を出し合いする評定会議だ。 大人達の堅苦しい話し合いに、傍流の子供は退屈でしかない。 それを気遣った兄に連れ出す形で、はすは始めて来た薔薇の間を探索した。
薔薇の間。華爪の邸から数百歩ほど離れた土地に、人目を忍ぶように、高い木々に囲われた塔。 何故か塔そのものを指して呼ばれている。由来は誰も覚えてないそうだ。 百数十年前の原罪四部第二楽章『破壊』の襲撃で大きな損害を出されたこともある。 その後修復された。元より変わらないように。 此処だけは、華爪家と共にあった。
入ってすぐの中央、階段の踊り場にて、家元の肖像画が掛けられていた。 青い髪を肩まで下ろし、薔薇と菖蒲と杏を描いた薄青の着物を優雅に着こなして、 鼻が高く、睫も目に付きながらも整ったその女性は、金色の強さと心広さを秘めた双眸が印象的だった。
その肖像画の前に、一人の少女が立っていた。 青い髪と、金色の双眸、表情は鬱気味だったが、画の人物と瓜二つなその顔。 無地だったが薄青の着物を着ていたのが、当時のはすを仰天させた決め手でもある。
「最初、肖像画から抜け出した家元様の幽霊かと思ってとても驚いて、怖かった。 けれど、彼女が生きている人間だと兄が教えてくれました」
浜木綿が妹を落ち着かせる為にささやかに抱いて、画の前の人物にはすの軽い紹介と、挨拶と詫びを述べた。 木蓮は、はす達を一瞥しただけで、なんの感慨も無かった者らしく、颯爽と階段上の闇へと去ってしまった。
「ちゃんと面識したのはそれから二年も経っていたと思います。 それまで遠くから時々、見るだけで。……本当に幽霊みたいな人でした。だから、苦手でした」
はすは木蓮の世話係に抜擢された。配膳を運んだり、着物を用意する程度だったが。 やはり家元と瓜二つの容姿をした木蓮を、ついつい凝視してしまう。 その度に、睨み返された。それからはなるべく木蓮のことを見ないようにした。 次第に、簡単な指示だけに応えるだけの……本当にそれだけの関係に留まった。
「代理家元様は、彼女について何も説明してくれません。元より、あの方が隠匿すると決めたものを私ごときが暴く道理もありません。 ただ、藤宮人様は……」
藤宮人は、彼女に積極的に交遊を求めていたようだ。 出来れば姉弟のように心許せる関係でありたいと、一族であり家族なのだから、と彼がそう言った。 特にここ最近はこまめに薔薇の間を通い、木蓮に話しかける姿を見たこともあった。
「兄の話を聞いただけで、詳しくは存じませんけど……親しい関係には、至れなかったと思います」
木蓮の方が、藤宮人を避けるような様子だった。傍目側にはよく分かる光景だったから。 それでも藤宮人は辛抱強く接触してした。しかし、未だ良い傾向にはならないようである。
以上です。とはすは自分の話せることを全て出したと、美歌達に締め告げた。
「ふーん……一応、ヒントにはなるのかしら?華爪家の内事情の」 「私は、あくまで傍流ですので……」 指の節を顎に付けながら美歌はほむほむと情報を咀嚼し、はすはおずおずと畏まった。 他に必要な……個人的に聞いておきたいことと言うと、やはり一つ。
「ところでさ、はすちゃんは菊之丞って人知ってる?薔薇百合菊之丞」 「薔薇百合菊之丞……?」 「あたしの知り合いでね。花使いなの。彼も華爪家の出身って聞いたんだけど」 (つーか、あんた達に取って大事な大地の『神霊』の宿主だけどね) とは、流石に空気を乱す重要発言になるので、ここではまだ伏せておくこととした。
「知らない……けど……聞いたことが…………えっと……」 視線を泳がせつつも、記憶の引き出しを探っている様子のはすに、美歌と美音は知っていたのかと意外に思った。 「……あるの?」 「そういえば……」
回想はまた藤宮人に戻る。
「子孫が……?」 「そうです!それもしっかり『神霊』を継承しているのです!」 「……何処から出た噂ですか、そんな根も葉もない話……」 「根も葉もちゃんとあります!確かに居るのです。 ……信じられないことは無理もありません。母上が隠していたことらしいのですから」 「代理家元様が?」
何か勘違いしているのではなかろうか。元々思い込みが激しいのが短所と云われる藤宮人だから。
「いいですか。この件はあなた以外には浜木綿にしか話していないことです」 「はい……」 「間違っても、滑らしても、口外してはなりませんですよ」 「はい。口の堅さには自身がありますので」
藤宮人が手招きをする。近寄れと指示しているらしい。 はすが顔を間近に寄せて、彼も少し屈んだ。 そして小声で話し始めた。
「……木蓮が、先日語ってくれたことです。どうやら母上経由の話らしく……」
やはり勘違いをしているのではなかろうか。とはすは思った。 大体、出所が木蓮という点だけで、信憑性の低さを示しているのだが。 しかし黙って耳を傾けることにした。気が許せる親族とはいえ、代理家元の息子の機嫌を損ねてはならない。
「家系図を見直しました。確かに家元様の孫に当たる箇所に薔薇・百合・菊の三つの花を持つ名がありました。 当然、故人扱いになっていましたが、もしも生きていたら……」
会いたい。 たったそれだけだった。 一族に戻したいとか、話したいとかは二番目か三番目にして。 ただ、会ってみたい。 真っ直ぐな藤色の双眸が強く強くその想いを示していた。
「……薔薇百合菊之丞。……藤宮人様は、きっとその人に会いに……」 「そうよ、そうに違いないわ!遊園地に行くって言ってたもの!其処に働いて住んでいるから!」 美歌ははすの両肩を掴んで揺らした。 まるで自分のことのように、はしゃいだ。 はすとしては疑念が多いが、美歌にとってはとても嬉しいことだった。
「これで疑問を一つ、解消出来ましたね」 「うん。でも、肝心なのはあんたが持つ疑問の方よ」 美音は微笑から真摯な面差しに切り替わる。美歌は、自分達の目的を忘れていなかったのだから。
リューサは一息を吐いた。 こちらの要求を、美音の目的を彼女達に伝えたことで、彼女の仕事に締め時が見えた。 けどまだ終わった訳じゃない。 木蓮の仲間……リーツの指定した時間、夜になるのを待たなければならないのだ。
「蟲守の深緑……なるほどね、きみは、あの時の人達の仲間ってことか」 リューサは頷き、帝国本領からの美音の言葉そのままに、質問した。 「あなた達は、何者なんですか?どんな目的があるんですか?その目的は、帝国にとって仇となる形ですか?……」 「一つ一つ細かく答えるのは、時間を取るわね。でも、教えてあげないってことはないわよ」
リーツは大仰そうに、だが控え目に、両手を広げた。自信に満ち溢れた目で、語る。
「私はリーツ。全ての虫獣を統べる『蟲守さま』。モクの村付近の深緑に住む虫獣を移動させたのは私よ」
リューサのスピーカー側から、美音が息を飲んだような音が感じられた。
「……出来れば、誰にも気付かれたく済ませたかったのよね。 本当は一ヶ月だけの検証にして、何事も無かったかのように、さっさと虫獣を元の場所に帰してあげたかった。 時効が二〜三ヶ月とリスクが高すぎたから、見つかってしまったのよ。 元々自信なかったしな。モクのお兄さんを欺くなんて。あの人頭が良くて、御爺ちゃんの次に勘が良いんだし」 「案外よく喋りますね……」 「あ…」
リューサの揚げ足取りが、これまた案外リーツの弁を引き下げた。
「とゆーわけで、今頃はモクの方にある深緑も元通りだから、安心しなさい」 「機械や管理棟の残骸は……?」 「緑の繁みが全てを覆い包んで無かったことにしてくれるわ」
不法投棄じゃないか。というツッコミは誰も入れなかった。
「そんなことはあなた達には問題じゃないでしょう?要は私らが敵か味方かってね。 なら答えは一つ。どちらでもないわ。とゆうか、私達は何所かと戦争するとかなんて髪の毛一本とも考えてませんので」
其処でリーツは両腕を輪にしながら腰に当てて、頭を下げる。 スカートの裾が長かったら、摘んでの優雅なお辞儀をしたのだろうか。
「信じられない……と言ったら?」 リューサの消さない疑念に、リーツは目元を軽く細め口元を軽く釣り寄せて返した。 「…もう、時間がないわね」 「そうだねぇ。そろそろ誰かが来るカンジ」 スマイルが相槌を打った。彼ならば姿を文字通り消せば難なく済むことだけれど。 「続きはお日様が引っ込んでからにしましょう。場所はこの塔の背後が丁度いいかしらん」
窓枠の外側に足を放りながら、もう一度だけリーツは振り返った。 この部屋の主に、挨拶がてらの一言を与えて。
「木蓮の方も、考えてね。けど、あんまり考え過ぎない程度にね」
木蓮は、さっきから……リーツが出した目的から、一言も口を出さずにいた。 悩んでいるのか、呆然としているのか、リューサの居る角度からじゃ、顔は窺えなかった。
こうして、夜を待っている。 リューサもまだまだ育ち盛りの子供。睡眠時間は多めに取っておきたい。 けれども侍女の仕事を怠けると周りから疑念を買われる。それは避けたい。 今夜、美雷辺りにもう一度ここへ潜入させることを、美歌達も念頭していた。
「あ…………だ、代理家元、さま……」
この邸の主の姿を目にした時だった。 悪寒が、その瞬間、した。
「スマイル、あなたって人は……」 「イッヒヒvゴメンゴメン、そんな怒った顔はいやだよぅ」 「今日なんの為に来たのか分からないじゃない」
スマイルがふざけるように謝っているのは、珍しいかごめが目を釣り上げた顔を見れたから。 けれど本気で怒らせるつもりもないから、間もなく平謝りはして置いた。 敢えて何をしていたのか聞かない辺りも、彼女のさり気ない人の良さが表れていたりする。
「でさ、ボク、出来れば、今日は夜まで居たいな」 「え?」 「かごめちゃんは先に帰って良いよ。出来ればユーリかアッシュ辺りを迎えに遣すと尚良いけど……」 「ユーリ様の足をわざわざ煩わせるの?それに、城の人はほとんど出払っているわよ」 「うぅん……」
スマイルにとっての選択どころは此処だった。 このまま残って首を突っ込み続けるか、かごめの安全の為に身を引くか。 自分一人だったら迷わず残ったんだか。かごめを巻き込み、かつ万が一危害を被ったりしたら……まず命が無い。
其処へ、廊下から侍女達の忙しない足音が耳に入る。 スマイル達が居座る部屋を通り過ぎる。どうやら賓客の彼らには関係ない事柄らしい。 疾風のように呟いた声が、スマイルの耳にはちゃんと聞こえた。
「これで、三件目の来客ね」 「今日は本当にお客様が多いですわ」
三件目の、来客?
「……」 「どうしたの、スマイル?」 「かごめちゃん。今からボクに離れないようにしてね」 「……え?」
――――これは、吉と出るか、凶と出るか。
「たぶん、これから面白いことになるから」
出来れば凶の方をと、妖族の中でも変わり者な彼は、笑みながら願っていた。
椿子と目を合わせたのは一度だけ。薔薇の間へ配膳を運んだ時。 今回で二度目。なんてことのない、廊下で散策中の通りがかり。 けれど、共通するものがあった。 不気味な、不安感を注がされる眼差し。 こちらからすれば、背後には蜘蛛の足のように鎌をもたげる蔓が見えるような。 他の侍女や庭師は一切気付かない。 妖しげに細められた双眸は確実にリューサだけに向けられている。
変装は完璧なんだ。筈とか思うな。猜疑を自分に向けた時点で変装は完璧じゃなくなる。 しかし、震え上がる目が、少女をじっと捉えていた。 穏やかな笑みを口元に添えながら。
あとがき 話が(ry でも本気で美味しく召し上がれる料理を作る為の香辛料として、フラグは大事なんだよなぁ。

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