| [9542] ESP element 16 |
- A・Y - 2007年12月03日 (月) 17時54分
凪「うーん、しばらく間が置くと思ってましたけど、また続きです」 モルフォン「思うままに書けるものを選んでいると、自然とこちらに傾きが…;;」 祐刃「発表するか分からないネタばかり書いてるしねー」 凪「あれ、紫さん達もこちらへ?」 紫「私達もしばらくこっちに出張るかもってことでー」
response to 宙さん そうですね、即死攻撃喰らっても即再生する人間が相手じゃないんですから。 表現間違えたかも。 ちなみに宙ちゃんへの連絡はここからリアルタイムで経由します。>千羽矢との 安置避けは初心者でも出来るのと上級者が芸術のようにこなすのと二種類あります。 レーフォがやったのは後者です。 テントウムシか迷ったのはここだけの話。
千凪「関係ないですけど、風神録やり始めました」 紫「魔理沙のレーザータイプ3watt高速は本当にバグかかってますねー」 祐刃「それでもALL厳しかったなぁ。さすがシリーズ最高難易度(旧作除く)」 モルフォン「細かい近況はまだありますが、ストック用にと」 凪「では、ENTER」
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其処は、緑が青々しく煌めく涼しい所だった。 海ではなく、空は隙間も見えない。 其処は静かで奥深い、宵闇の中だった。 冷たい本質をそのままに、仄かな眩しさが鮮やかさを加えて煌めく物影がある。 それは、人の息吹を持たない物独特の、人を避けるようで、引き寄せる煌めきを持っていた。
「もう採らないの?」 声が響く。 仄かな輝きを放つ結晶に、人の影が映った。
「ああ?採り過ぎんなって言ってたろ?」 最初のものより活発な声が響いた。
「そうだったね。君は精霊に関しては慎重だから」 「その言い方だと俺は精霊バカか精霊以外だとバカに聞こえるぜ」 「いや、君は全てにおいて平等に遠慮を持たないよ。精霊以外には、ほとんど君の糧にならないんだ」 「……そーゆー体になったからな」 「心もね。寧ろ生まれ形付いた魂から、精霊を求めている」 「いっとくが精霊にも、『光』・蓬莱人・カタアリその他化け物になるつもりはないぜ」 「そう、君が望んでいれば、君は人の、生きるもののままなんだから」
深い大気が流れた。 後者の呆れから来る溜息だった。
「相変わらず、深く考えたくないようなことばっかり言うな。普通人の癖に」 「訳判らんとか電波がとかよく言われる。だからその返し方は珍しくて、嬉しい」
前者が素直に微笑んだ。 座り込む影が向きを変えた。
「ところで、お客さんが来るよ。その前に帰ってきた」 「な……!?あれ程忠告したのに『光』を連れて来やがったのか!?あの野郎……!」 「まあまあ、身構えないで。皆穏やかじゃないか。様子を見てあげようよ」
「また……立派な精霊洞ですね」
反響する声は千凪のものだ。 緑青の光の元をモルフォン以外、食いつく様に眺めていた。 けれど、視線は固まっていない。 各々は見回す、時に妖しく、時に神聖な輝きを放つ精霊石を。
鉱山の一種としてこのような場所は点々と存在する。 精霊のことを知る知らないに関わらず見つけた探鉱者にとってはかなりの恵みものだ。 しかし精霊石は普通の宝石とは違う。 鉱石類との根本的な違いは発生するところからあり、精霊石は自然の息吹、生命力が宿った石なのだ。 生成される時間も短く、環境に良ければ一年以内に子供の掌ほどの塊を作れる。 この精霊洞もまだ1000年も経っていないのだ。 深い地質から何万年の時間を掛けて輝ける石となるものとは、明らかに自然の時間軸が速過ぎるものだ。
「……凪さん。精霊石を初めて見ますか?」 「え、ええ……?」
モルフォンに質問され、凪は曖昧に答えた。 凝視した緑青の宝石達。 エメラルドやサファイヤに似ているようで、違う。というか、こんな強い輝きを持つ宝石は見たことなかった。 ラークリが居たらきっと興奮してはしゃぎ回っていただろう。
「それはないと思います。あの赤い猫は精霊石を快く思ってませんから」 「え?」 「あ、心を読むようなことしてしまいました。すみません」 「いいえ。……なんだか私ってモルフォンさんにはお見通しですね」 「本当にすみません」 「いいえ、なんだか、懐かしくて、兄さんみたいで……」
言ってしまった。無意識に。 凪は慌てて別の言葉、別の関係ない事柄を音にしようと口を動かした。 けれど、直後の口は泡を食ったように、金魚の口のように無音で動く。 幸いだったのが、モルフォン以外の面子が頭から凪に関していなかったことだった。
「凄いなぁ。この洞の近くは「樹」と「水」が多かったから、その辺のマナコストばかり得てるんだね」 「ええ……私の精霊石もさっきから呼応してて、気持ちいいです……」 祐刃の分析に、紫がうっとりした声が返る。 かなり機嫌が良い人の顔だ。同時に少しほろ酔いした人に似ていて、危うい感じもするが。主に足元。
ゴンッ。
「あ痛っ」 「紫さん!周りは尖った岩のようなものなんですから、気をつけて」 まあ、注意が遅れた自分も悪いと付け加えながら。千凪は紫が打った脚を見る。 「大したこと無いわよ」 「精霊石が、引き寄せられたかもしれませんよ。だから見せて下さい」
千凪が紫の、平均よりやや丈の長いスカートを掴む。 直後にキッと睨む。モルフォンと祐刃へ。 男性陣は理解したらしく、すぐにそっぽを向いた。 それを確認して、スカートを捲り上げた。
凪ははしたない!と叫びそうになった。 が、飲み込んだ。 目を惹いたのは、少女の右太股に埋め込まれたもの。 緑色の、中には橙から黄色に瞬く粒を込めた、石だった。
「精霊石……なんですか……」 「見りゃ分かるでしょ」 「やっぱり、共振しています。此処が特に意識のない所だから大丈夫でしょうけど」 「あの、というか、そんな所に埋め込んでたんですか?」 「何処だと思ってたのよ?」 「モルフォンさんのように、胸元とか……」 「そんな場所だったら、私も胸見せなきゃいけないじゃない」
さっきの惚気さはすっ飛んだらしい、棘棘しい言葉になる紫。 不機嫌というより、恥ずかしいんだろう。誰とも目を合わさない顔がやや赤い。
「圧迫しなきゃいいんだよ。僕なんかお腹でまんま真ん中だけど、 T−シャツ一枚で上にジッパー付ジャケットとかコートを羽織れば「下着も取れって言ってんのかい!!///」
ちなみに祐刃は説明と同時に素肌を遠慮なく晒した。 まだ子供とはいえ、つい逸らしてしまう。そして一瞬だけ垣間見たものを焼き付けて、恥じる。 細い肉付きには、鈍く輝く鉛色の石が埋め込まれていた。
「……そういえば、凪さんは」 「ていうかいつまで見てんのよ千凪!貴女危ない人扱いするわよ!貴女の石の位置バラすわよ!」 「や、止めて下さい!!」 水をかけられるような驚愕にスカートを持つ手を放す。 「ただ疲労が濃いなって思っただけですよ!疚しい気持ちなんてあるわけないでしょう!?」 「どーだか。疚しいって言えば貴女の位置の方が疚しいわよ」
此処で初めて慌てる様子を見せた千凪。 紫は逆に調子付いたらしく、余裕を吹いてのすまし顔で、追い討ちを駆けようと勇み出た。 しかし度量が多過ぎた。という失敗をこの後踏む。
「ねぇねぇ、祐刃くんは千凪の位置気になる?」 「結構気になる……けど、いいの?」 「……!!」 「恥ずかしい位置なのよ〜、それが…」
……ゴッ
という音が聞こえたような気がした。 直後、千凪以外に、ちょっとした悪寒が走った。 一番ソレを強く感じたのは紫だ。 千凪は、先程より優しげな笑顔で言った。
「紫さん。やましいやましいって言う方が疚しいんですよ。私は貴女の体調を心配したんです」 「う、うん……」
間もなく、千凪が紫の両肩を捕まえ、引き寄せる。 息も吐かない速さで、その瞬間だけ異常な握力でしっかり掴まれ、顔を引き寄せられた。
「いいか、私はお前の幼児体型には一切興味ない!これだけは信じろ!そしてバラすな! もし破ったらこの薬を絶対飲ますからな覚悟しておけよおぉぉぉぉ……!!!」
また弾速に等しい速さで薬を取り出す。服の内ポケットのどれからしい。 そしてどんな薬なのかは敢えて聞かないことにした。同じく千凪の精霊石の位置も。 そう思わせる迫力が今の千凪から溢れ出していた。
「は、はい。ワカリマシタ、センナサン……;;」 「よし。それなら良いのです」
コロリと代わって現われた優しい笑顔。 やや荒れていたことが無かったかのような、丁寧な口調。 直撃していた紫はガクリとその場で脚を付け、項垂れた。
後で紫は語る。 「千凪は裏が居るの。なるべく彼女の前でふざけたこと。不愉快にするようなことはしない方がいいってこと、教えとくわ」
「ところでモルフォンさん、さっき何を言おうとしてたんですか?」 「え。……あー、その…………どうでもいいことだった、ような……すみません。忘れちゃいました」 「はぁ……」
モルフォンの案内は続き、一向は奥に進む。 やがて人影を見つけた。 何故だろう、目にするまで気配を全く感じられなかった。 精霊石に気を取られ過ぎていたのだろうか。
モルフォンが先ず手を挙げて振りながら早歩きで寄り、彼は腕だけを同じように返した。 金髪に緑色のサンバイザーを掛けた、全体的に暖かい格好をした青年が居た。 彼は精霊石の塊の一つに、腰掛けていた。 「紹介するよ、カジカさんだ」 「こんにちは。おっと、今はこんばんは。かな」
飴色の双眸に凪達を綺麗に移して挨拶した。 なんだろう、この精霊洞に置いて特に彼の傍が落ち着くような気がする。 10代くらいだろうか、とても穏やかな物腰から20代かそれ以上にも見えるような。
「カジカ……?」 「どっかで聞いたことあるような……」 紫と千凪、祐刃が首を傾げる。 どうやら彼らだけに共通する話題の人物だったらしい。 凪も少々考えてみたが、やはり知らない。記憶にない名前だ。 「あ!」 祐刃がようやく思い当たることを見つけたらしく、掌に拳を乗せる。 「カジカって、ひょっとして、あの精霊釣りって人の……?」
カジカが答える前に、別の人物が言った。 「俺が時々話してやってたろうが」 凪の見知らない男が、祐刃の後ろより。
正直、度肝を抜いた。 凪は癖と身構えたが、敵ではないとモルフォンが肩を押してくれた。 一方、紫と千凪は固まっていた。……戦慄により凍りついていた。
「やっぱり、君の教え子だったみたいだね」 のほほんと、穏やかな声を響かせるカジカという青年。彼にとっては微笑ましい光景らしい。
祐刃は振り向かなかった。 首に腕を絡ませられていて、それなりの力で、縛られていることも、ある。 「……ジェ、ジェ、ジェ……!!!」 「お前、定期検査をまた中途放棄したな?学部の女まで誘っていいご身分だな。ああ?」 「ジェード室長がなんでこんなところにぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!?!」
凪はこちらの名はすんなり記憶から引き出せることが出来た。 今日中に……というかついさっき聞いた名前だった。確か、緑の室長とか。
祐刃が悲鳴を上げながらなんとか逃れようとするのをしっかり捕らえ丸める青年。 はっきりとした緑の髪に青い髪が混じっている。 翡翠と例えそうな深い緑の瞳が、やけに印象的だった。
あとがき カジカ:ポップン11に登場。ジャンル名『リンセイ』洞窟を点々と巡る釣り師っぽい人。 今回は精霊洞と裏千凪さんを出してみました。
とりあえず、今年中にアルバイターになることは諦めた。 今優先するべきは整頓と勉強です。

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