| [9533] TIPS |
- A・Y - 2007年11月16日 (金) 19時22分
皆さん、今晩和。 しばらく投稿しなかった事柄に、作者と共に、頭を下げます。
今回は、本編復活の油差しになるように、カケラの物語を少々出します。 五つの物語とってはにはどれも些細な、でも重要かもしれない小話。 料理に例えたら、調味料みたいなものでしょうか。 コレに目を通すあなたが五つの物語に対してもっと深く、広く、興味持って、 そして楽しんで頂ければ、作者にとっても幸いでしょう。
さて、要点を伝えたら早々にそのカケラをお見せしましょう。 此処で長く話してだらけさせるのはいけません そろそろ、ENTERしましょう――――。
ibn・Prophete
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【CP:AC】
バーバロウスはいつも肝心な時だけ、余計なことをする。 それこそ故意なのかどうか分からない。結果としてこちらにとって有益になったことが記憶に多いのだが。 今回はどうだろう。奴が何処まで想定し、計算しているのか。 あの男が壊死しかけているのを踏まえてか。
あの人と云えば……『光』か。まさか奴らに関することを尋ねてくるとは。 そろそろ視て知る頃だと分かっていた。けど意外な部分から視始まったのはちょっと驚いた。 何れにせよ、これから視えて来るのは違いない。 そして知るんだろう。自分が戯れに喰っていた少年の正体を。
……驚くかな、怖がるかな。 嫌いになるかな、殺したくなるかな。 あの人にだけそうされるのはまだ耐えられるよ。でもみんなに伝わったら……。
賢明な男だ。常に距離の置き方を選んでいる。 都合の良い部分しか視ない輩の方だから、棘を避けて、蕾だけはちゃんと喰い続けてくれるのだろう。それは構わない。 僕のことを暴かれてももう遅い。その前に知られてしまったのだから。殺す必要もまるで無いのだから。
逆に、そもそも何故、彼を生かそうとしているのだろう。 **さまでもないのに。
生きててもよいのだ。 生き物は一度壊れたらそれで御終い。欠片を集めても、直るものは直らない。 私とは違うのだ。 生き物は尊い。私は生き物が愛しい。私は生き物を出来る限り守りたい。目の前に在るだけでも救いたい。
いやいや、それは良い子としての詭弁かも。 最もな理由があるでしょう。 例えば、**さまになるかもしれないから?
関係ない。それは違う。 僕は**さまが無くても関係ないんだ。 それなら今周りに居る人みんなが**さまになってしまう。 勿論**さまと同じくらいかけがえのない大切なもの。僕は彼らを失うことだけはしたくないのだ。 ……もうすぐ消えていっても。
あと一日保つか、保たないかも分からないんだ。 デストロイに破壊(こわ)されるか、『光』に消失(け)されるか、それとも他の要因に引導を渡されるか。 ……この一夜で決まるだろう。 だからその前に決めないと。
関係ない。関係ない。関係ない。 今更何を決めるものか、**さまは僕には必要ないのだ。 例え彼らと離れても、独りでも平気なんだから。
いやいや、全然大丈夫じゃないよ。 みんなを失ったらどうするの?周りから私に接してくれる生き物が居なくなっちゃったら。 拒絶させられたら追いかけることも出来ない。私は選択肢を選ぶことも出来ない。 怖いよ、厭だよ。 今のところあの人しか居ないよ。 私はやっぱり**さまが必要なんだよ。
関係ない。関係ない。関係ない。関係ない。関係ない。関係ない。関係ない。関係ない。関係ない。関係ない……。
――――もう、考えるのは止めよう。 今はただ、菊之丞を救出すること。彼の血を壊死の予防として手に入れること。 それだけだ。
良イ子ナンダカラ。
【造るものと再生するものたち】
「名前……これだけ、ですか」 拍子抜けと相応しい言葉が、パチャオの険しい双眸を益々攻撃的にした。 それを見てバーバロウス。やんわりと微笑み返す。 「いえいえ、充分な収穫でしたよ。よくやりました」 とりあえず誉めて置かないと、消滅間近になった彼の半身が立たないから。
「カホプ、カホプは助かるよね!?プティ!!」 元より無い体。精神だけ……幽霊を治す概念はかなり限られている。 けれど、彼女にとっては簡単な作業であった。今回の仲間の怪我は、予断も一寸の狂いも許されなかったのだが。 「……一先ずは。でも、しばらくは行動出来ないわね。本当に消滅寸前だったから……」
両腕の形は整えた。 後は力をじっくり蓄えればいい。安全な所で、ゆっくり休むこと。栄養を取ればもう少し早く回復する。 ……これだけを説明に書くと人間と同じ仕組みだから、笑えてしまう。
彼女が作った手は今は作り物。偽りの腕。 けれど時間が経ち、本体と融け合い接合すれば以前と変わらぬ一部と化す。義手ではなく本物になる。 人間に置き換えるなら、本人と同じ細胞の部品を創り合わせた。と言えば良いのか。
「ゲェムも、しばらく遊びに行っちゃ駄目よ」 「ウン、ゲェム、遊ぶノ、我慢スル」 いつもの笑顔とやや機械的で朗らかな声で、ゲェムは答えた。 カホプ程ではなくても傷は多く深く。頭や腕やツナギのスボンには白い絆創膏のようなものが貼られていた。
「良かったですね。プラスティカートが居てくれるのが、我がユニットの最も幸いとする点」
どこぞの皮肉人形より減らない口を、爽やかに出す彼。 楽しそうに手を振るゲェム以外は返事もせず視線を交わさなかった。
「お前達もよくやりました。さあ、『還りなさい』」
謝辞と宣告を与えられたのは二体のカタアリ。 リプレイ、繰り返すもの。 カット、切断するもの。 彼らは幽かに恐怖の色を顔に示して、けれど成すすべもなく消えた。 色のない影に呑みこまれ、少しだけ鈍い音を出しながら潰れていった。
リメンスはこの光景に目を伏せた。意識を閉じているカホプ以外も似たように、逸らす。 ゲェムは逸らしはしなかったが、身震いはしていた。本能は意味を察していた。
「……しかし弱りましたねぇ。カホプとゲェムが行動不能となるのは」 「パチャオ一人でもやってやるよ」 「いや、見るだけで構いませんよ。ただの釣りですので」
フッ……とほくそ笑みながら。 バーバロウスは扇子を開き、自らの頬を軽く扇ぐのであった。
【お喋り雀達のさえずり】
三人の歳若い娘達があれこれとお喋りを興じていた。 主人の見下すような目や侍女頭のおっかない目がまず届かないところだから出来る。する。 時と場所を選んでから、公私をキッチリ分けること。 侍女というものは大抵こういうものだ。
「藤宮人様が浜木綿さんを連れて外出した件。本当は家出じゃないかしら」 「有り得ない話でも無さそうよねぇ、状況からして」 「浜木綿さんが強引に連れてったのかしらん。それとも藤宮人様かしらん」 「もしかしたら、駆け落ちかもしれないわよ」
キャー!と黄色い悲鳴が上がる。 慌てて一人が騒ぐ二人を嗜める。
「ちょっとちょっと!冗談でも代理家元様の耳に入ったらとんでもないことになるわよ!!」 「そうでした」
コロコロと別の話題に切り替える。 話の種は尽きないものだ。
「そうそう、アレ、信憑性が増してきましたよ」 「アレって『家元様の幽霊』?まだそんな根も葉もない噂が流行ってるの?」 「噂じゃないんだってば。……ここだけの話、薔薇の間に隠れ住んでいるらしいって」 「薔薇の間……神霊を祀る場所であり、家元が寝床とされるべき処。 けど、今じゃ邸の外れで隔離域。ほとんど人気もない古びた塔じゃない」 「あそこは浜木綿さん達親族くらいしか行けないのよね。会議とか開くのも必ずあそこだけだし、ね、怪しいじゃない?」 「確かに……もし、百数十年前に死んだ『家元様の幽霊』が居るとすればねぇ……」
一つの塔へと、目を向ける。 中庭からならよく見える其処。 多くの樹木が守護するように、或いは覆い隠すように囲う、一つの塔。
「精霊の四大元素『大地』を継がせる前に散った家元様。さぞ無念だったでしょうね」 「もしかしたら、守護精霊と化して、『大地』を取り戻すまで華爪家を維持しているのかもしれませんよ」 「あらまぁ、よくそうそう美談にまとめられること」 「怨霊だったら怖いじゃない」
それからキャッキャッとはしゃぐ様。 こうしてお喋り雀達は、次の給仕の時間まで花を咲かせていた。
【藤宮人と浜木綿、乱入までの経緯】
菊之丞様が出かけていると聞いて数分後のことでした。 私は、向かった先が何処なのか全く見当も付かない事に気付いてしまったのです。
「そりゃそうでしょう……」 「ん……なら、この入り口を見張りましょう!菊之丞様がお帰りになったところを偶然鉢合わせるのです! それまで目立つようなことしないようにするのですよ。さっきの口煩い部下に見つかったら敵いませんよ」
其処で私は機転を働かせます。 散歩から帰る所を出会い頭にする……つまり、待ち伏せであります。 私には肖像画がありました。菊之丞様当人かどうか確認することは出来る筈です。 先程の部下に見つからないよう気を配りながら、遊園地の周辺を張ります。
「……ん?」 「来ましたか、浜木綿」 「いいえ。ただ…………藤宮人様、あの女性を」
四人組でした。歴史関連の本と似たような軍服の男に、私達と似たような和服の女。それと幼い少女が二人です。 浜木綿が指したのは、和服の女の方でした。 彼女は何処かで見たことがあります。
「確か、厳島の傀儡師だった筈……」 「うん。……成る程、既に菊之丞様と接触していると考えて、矛盾な点は無いと思います」 「ですよね。そこで彼女を通して我々のことを伝えるのはどうでしょう?」 「仲介役か」 「ええ。ただ、どうも様子が変ですね。……曇りが見える」
少女の片方……黒髪の子がさっきから顔を擦って腫らしている。泣き止まないようだった。 軍服の男が手を挙げる、先程の従業員が駆け寄る。一言か二言交わして別所へ向かう。
「彼らの宿舎へ向かいますね。どうします、藤宮人様」 「追いましょう」 「え?;;」
本気で真っ正直に追いかけよう、と思いました。 菊之丞様は見当たらないけど、ただならない雰囲気。勘ですが、放っては置けない何かかあったのです。
「展望所です。行儀悪いですが、あそこから入りましょう」
私は外であることに関わらず、躊躇なく技を使いました。 華爪家特有の、植物を操る能力。常時携帯する種を撒いて、手元にある間に念じ、芽吹かせる。 芽吹けさえすれば、後の成長はこちらが呼吸するよりも早い。二階以上の高さに届く蔓と化す。 蔓のおかげで楽々と上に登れました。 身体能力的にまだまだ修行不足でしたので、浜木綿に手助けされるような形で。 ……自分の蔓の上で足を滑らせかけた、我ながら情けない。
「大勢の声が聞こえますね」 「食堂か。会議室代わりとしちゃ丁度いいかもな」
この後、菊之丞様が誘拐された件は間もなく知りました。 最初の方は、まだ黙って聞いていられるものでした。 けど、だんだん内容が逸れてきて、誰か分からないけど、疑い合うという事態になったことに、 腹が立ってきて、我慢できなくなった私は飛び出したのです。
【ホーミーについて】
「ご紹介改めて、ホーミーと申します。どうかお見知りおきを」
人間にしては綺麗過ぎる姿勢で、けれども機械にしては少し落ち着きのない様でお辞儀する少女。 正体は機械なのだが、妙に人間的だった。 それが俺が彼女に感じた印象。
俺とA・Yとホーミーの三人だけになって一刻経った頃に、ホーミーが気になっていた俺に気付いて、 彼女の主人が紹介を促したのだ。 こちらが名乗り返す前に、彼女は続けて言った。
「クリムゾン様ですね。お嬢様を御守り通す方として、お嬢様にとても信頼される御方」
台詞だけ見ると嫌味があるかもしれない。けれど彼女はハキハキとした口調だ。寧ろ尊敬の念がある。 「もしかしてお嬢様の…………あ、で、出過ぎました。申し訳ありません」 高調としていた態度が、急に静まる。 何を考えてたか想像に難くないが、それにしても、機械でも上気すると頬を赤く染めるんだな。
彼女の視線に先に居た主人は、フフフ…と笑っていた。
「エレメントドールっていうロボット……カタアリよ。精霊人形って名前らしく精霊力が原動力なの」
A・Yの手短な話を纏めると。 ホーミーは前々から屋敷の地下格納庫(あったのかそんなの…)に潜んでいたらしい。 元・奉仕用のロボットをある伝手と事柄で引き取り、対エレメンツ級まで改造したそうだ。
「待った。お前一人で弄ったのか?この子を?」 「うん。大体は。流石に一人だけじゃ無理なところは手伝って貰ったけどね」 「数字と記号は嫌いじゃなかったっけ……」 「うん。全然駄目。でも、それとものつくりは別だと思うよ」
要するに、さわり程度にしろA・Y工業技術を持っていた。という話だ。 意外だった。文章は好きでも記号は8ケタ以上を10秒間眺めるだけで酔うくらい嫌いな癖に。 それに、機械とか、生き物と感じられない物質は全部土に埋めるような奴なのに。 もっと詳しく聞きたいが今回は抑えておこう。
ホーミーは、色々な都合があって合って今まで顔を出せなかった。眠るように過ごしていた。 屋敷の様子は時々覗いてたそうだ。だから俺のことも知っていたという。 ある期限まで出てはならないという契約があったが、今回の件でいてもたってもいられなくなった。 ――――という事らしい。
「以前にも似たようなことがありましたよね!私約束しました!また何かお嬢様の身に同じことが起きたら」 「命令違反も承知。延長期間だろうが知ったこっちゃない。にして、今日ここに戦闘モード解禁したメイドロボが降臨ってワケ」 「嬉しそうだな」 「あら、だってそういうところが可愛いじゃない」
のほほんとした顔で言うA・Y。 そうだ。彼女はホーミーみたいなものが好きなんだ。 単なる人形より、自我の強い猫とか、頭が固いだけの木偶より、主人を本当に思い遣る犬とか。 ……猫といえば。
「……ところで、ラークリは、知っていたのか?」 当然ホーミーのことだ。 が、当人はやや困惑さと後ろめたさを混ぜたような顔を浮かべる。 「ホムンクルスの方ですね。互いの存在は知ってましたが……」 「そういえば、まだ口を利いてなかったわねぇ、あなたたち」
ちなみにラークリはこの場から離れた。 先程のティネート達が振った騒動の場所へさっさと向かったからだ。
「……魔力、戻ってきたか?」 「んー?後十分くらい?……早く落ち着きたいわ〜」
今、帰路を歩いている俺達。 飛べば早い。移送方陣を使えばもっと早い。 だが、どちらとも彼女の力が回復してない。 なら休めばいい。 それでも、歩きたいと言い出したのは、冷たく強い風に靡かれたいと申したのは、A・Yだから。 ふと深呼吸をしたA・Yに、俺はホーミーの話題から浮かんだ疑問を投げた。
「ホーミー以外にも、居るのか?」 「うん。今、ラークリの保護者役として着いてった子と、鳥鍋を用意してくれるだろう子の、二人。 あの子らもやっと狭い格納庫から出させられて、ホッとしたわ」 「片方は命令違反した私を処分するつもりだったと思います」 「バカね。んなわけないじゃない。アイツラだって人形であっても木偶じゃないんだから」
日が沈む直前の、最後の逆行でよく見えなかったが。 ホーミーの頭を撫でるA・Yは、とても優しい顔をしていた。
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珍しく、本題の後にレス返し
response to 宙さん あうあう、凪さんは弄り過ぎてる感が出てきてここもちょっと迷う理由。 モルフォンと離別してもいいけど、すると話が進まなくなっちゃうので迷ってたのです。
リーツが空気を利用したんでしょう。最初から連れ出すつもりです。 まだ出てないキャラです。名前と設定とデザインだけは確定してます。なんか大事なものが抜けてるような。 美歌達の目的も単純だしなぁ。ついでに拾えるものは拾っとけっていう貧乏精神ならあるので、 面倒にならない程度まで聞いとくでしょ。
まあその前に書かないとねorz
更にレスは待って(ry
最近感情の起伏が変だ。 ていうか涙腺が変だ。汗が出っ放しで体力奪われている。 何も考えない単純作業していた方がいいかもしれないと、部屋の模様替えに手伝う。

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