| [9527] Cage garden 7 |
- A・Y - 2007年10月19日 (金) 18時05分
リューサ「なんかかなり日数が空いちゃったんですけど……どうしたんですか?」 美歌「寝てた」 リューサ「え?;」 美音「或いは絵を描く気分だった」 リューサ「…………」
response to 宙さん こりゃ発泡酒だったら引っかからなかったな(あれ? そろそろミスティーションの上級キャラも固まってきたのでw はい、五章初めての明確なリンクです。ここで話してないのも送るかも、ていうかヒントのつもりかも。 神猫告白は脱出後のネタとして既に在りましたのだー。些細な笑いになればそれで良かったなのです。 この章では最後までセットというプロットです>凪さん&モルフォン 宙さんが気に入らないのなら少し考えます。
美歌「活字を見たくないって時期がたまに来るのよ。まぁ、よく勝手に病んでるから」 リューサ「病弱なんですね……」 美音「主に精神がね。それじゃあ、ENTERです」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「楡松木蓮乃君……!?」
はすが明らかに、大きな動揺を見せた。 こちらの目的を正直に打ち明かしたのは正解だったようだ。
「知ってるのね?」 「……し、知りま「知ってるのね?」…………あ……あの……」
知らないとは言わせない。 その態度、その反応、その顔が「木蓮を知っています」と答えているのだから。 口だけ嘘を吐いて、その場限りで焦らすなんて許さない。 美歌はもう一度言った。強く睨むような眼差しを与えながら。
「知ってるのね?」 「…………はい……」
はすは金魚ように口を数回開閉しながら答えた。 すっかり怯えてさせてしまった。 大人気ないことしてしまったかな。と、自分の頭を掻かない程度に梳かす。
その時、華爪邸のリューサが侍女頭に呼ばれた。 ある場所への配膳らしい。 通信機越しから知ったはすの、ますます冷静さを失いそうになる顔を、見逃さなかった。
「配膳係って、何処の?」 「それは……」
普通の侍女なら足を踏むことすら許されない場所だ。 華爪家の血縁しか入れない所。 そして、美歌達の目的が、其処にある。 ならばはすは、これ以上ない獲得材料だったとも、言える。……偶然だが。
「木蓮に会うのね」
疑問ではなく、確信して美歌は言った。 はすの……何かを頑なに守ろうとする沈黙こそが、裏付けた。
美音はリューサに場所をさり気なく確かめるよう促す。 断ることも出来るが……不信感を買うだけだ。 というかこのチャンスを逃すのはただの莫迦だ。
リューサの想定より早く順調に、目的に向かって行く。 とんとん拍子に進めても、急に落とし穴へ足を踏み外すかもしれない。 独りきり程、危険が近いものは無いのだ。 ささやかなものでも、警戒を欠かすことはやはり致命的である。
例えば、 人気が全く無い渡り廊下にて、突然囁かれた声とか。
「何やってるのかなぁ?」
リューサは悲鳴を上げなかった。否、上げられなかった。武器を出す間もなかった。 両手は配膳に塞がれてたのと、相手が若干早かったから。 間もなく見えない手が、彼女の口を覆ったのだ。
「駄目駄目、こんなところでキャー言っちゃあ」
だがリューサは冷静に正体を見破る。 ちょっと考えればすぐに誰か分かった。 姿を消せる芸当があり、かつ、今この邸に居るもので該当する人物と言えば。
「……スマイル…さん……」 「おっとぉ、そんな人の評価を下げるような目は傷付くなぁ。そりゃ悪戯は好きだけどぉ」
人じゃない妖族が、視える前から笑っていた。 『Deuil』のベース担当、スマイルは種族こそ特定不明(ミイラ・ゾンビ系が最も有力)だが、 服ごと姿を透明化させる能力が有名だった。ライブ中でも散々披露しているからだ。 まさかこの能力を駆使して女子によからぬことをしてんじゃないかと、捕まった一瞬考えたのが、彼への軽蔑の目の意味。
「しないしない;;驚かしたのは悪かったから、その目は傷付くから止めてよ〜、はすちゃんにバケてる誰かさん」 どうやら、変装を既に見破っているようだ。 彼は正直に、此処に来る前に本物のはすを乗せた車を目にしたことを言った。 根拠も無いのにあれがはすだったと決めつけて。 こちらが幾ら誤魔化しても押し通すらしい。
「……なら、何故そのことを家元達に黙って……?」 「伝えてもボクには何の面白いことにならないも〜ん。それよりも、イイ事思いついちゃったから」
包帯越しでもよく分かる端正な顔を、ズイっと近付けながら彼は言う。 こんな間近で見られるなんて、ファンの女の子なら卒倒するだろう。 現にリューサも魅了されそうになるのを必死で抵抗していた。バクバク鳴る心臓を伝えられていそうだ。
「あのね、君達、面白いことしようとしてるでしょ、ボクも混ぜてよw」
虚を突かれた。わざと言ったのかそれとも天然か。 おかげで、とりあえず冷静に戻れたリューサが、淡々と返事する。
「……面白くないかもしれませんよ」 「イヤイヤ、面白い。だってボクが前々から気になってることに、君が突っ込もうとしてるんだから」 「……前々から?」 「うん。このお家の秘密。ボクの親友の為にボクが知っとこうかなって。 アイツも気になってしょうがないだろうに、足を運ばないからねぇ」
イッヒッヒ、とスマイルは独特の笑声を漏らす。
美歌は少し考えたが、すぐスマイルの同行を認めることに判断した。 彼を信用する気持ちと疑わしい気持ちは半々だ。とりあえずこちらの邪魔さえしなければ良い。 ただの愉快犯かもしれないし、暇潰しだろうとも思う。 通信機には気付いてるかもしれないが、指示しているのが何者かまでは知らないだろう。 もしリューサに危害を加えようとすれば、変装を解くことを命ずるしかない。その後は……その時考える。
そして、木蓮と対面した。 リューサは勿論初対面だが、通信機から美音の緊張が伝わってくるようだった。 声くらいしかあちらにとって判断する材料がないが、美音が会った木蓮と同一人物と、確定したようだった。
灯りを点けない、日の光をほとんど入れない部屋の中で、長椅子に静かに腰掛ける女性がそうなのだろうか。 背が高く、中性的な顔立ちをしているが、線の形から女性なのだろう。 すぐ追い出すつもりだったのだろう、こちらとしてはなんとか食いつなごうとした。
ところが、木蓮にあっさりと変装が看破されてしまった。 些細なミスだ。けれど致命的だった。 はすが通信機の向こう側から代理家元の呼び名の重要さを説明した時にはもう遅かった。
直後のこと、スマイルがとんでもない行動を起こした。 いや、彼がしたことはこちらへの好機かもしれないが。 まさか部屋の一隅に固められてた観葉植物に、人が隠れていたなんて。
そして、今に至る――――。
「人を呼ぶ?呼んだらボクも怒られるだろうねぇ。お客様としての礼節超えちゃってるしぃ。ああかごめちゃんが怖いなぁ」
スマイルは楽しそうにこれからの想定を語った。挑発しているのか、遠ざけているのか。 名を表す顔を変えぬまま、彼は続ける。
「でもねぇ、人を呼ぶんなら、この子のこと、説明しなきゃいけないんじゃないの?」 「…………」
黙っているのは木蓮だけではなかった。リューサに、観葉植物の後ろに隠れていた少女。 彼女の格好は明らかに華爪家の人間ではなかった。 何処かの魔法の森の妖精のような服装。質素に見えるが品の高い容貌にも見える。 何者?自分又はスマイルのように何処からか忍び込んだのか。 木蓮とどういう関係か。スマイルが捕まえたことが仇になるかそれとも……。
木蓮は動けなかった。顔はあくまでこちらの優勢と示すようにだが。 リーツのことで判断を迫られている。
確かに、彼らを捕らえる際にリーツは確実に目に付く。 リーツのことは椿子も知っている。 しかし勝手に華爪家に侵入したこと、木蓮に虫獣付きで会いに来たことが分かれば、今以上に厳重な監禁生活になるだろう。
リーツとは今以上に会い難くなるだろう。 なにより、彼女達にこれ以上の迷惑を及ばせたくないし……。
逆に考えた。視点を変えてみる。 この曲者達を放っておくと不利になる点はあるか? 今、華爪に忍び込む意味は……。
……おそらくない。
木蓮のことが外に知れて困るのは華爪家くらいだ。この程度の食いつくのはとんだ酔狂者だろう。 他に強いて挙げるならマルガリータ帝国の一部分が関わっていることぐらい。詳細は知らない。 案外はすに化けた曲者は帝国の関係者かもしれない。だとしたら木蓮に接触するのはとんだ見当違いだ。
……そもそも華爪家がどうなろうと木蓮の知ったことではないのだ。 いっそのこと曲者を見なかったという考えが出てきた。 そして結論が決まり、口を開こうとした木蓮だった。
「はいはい」
ところが、空気を変えたのは木蓮ではなかった。スマイルでもリューサでもなかった。 スマイルの手を振り払ったリーツだった。
「焦らすような言い回しって苦手。中身があるようでないなら尚更ね。 見つかると困るのはお互い様でしょ。此処で」
両拳を腰に付けながら、部屋に居る者達を見回しながら憤然に等しい態度でリーツは言う。
「それじゃあ、お互い見て見ぬ振りでも通すかい?」 「良い案ね。私は一向に構わないわよ」
口元を綻ばせたが、目はまだ笑っていない。 寧ろここより決意をあらわにしたような眼差しをする。
「目的は一番最初に話した方がいいわね。それが礼節ってものよ」 「その礼節って誰が決めたんだい?」 「私」
きっぱりと不敵に言い放ち、すかさず拍子良く、彼女は正直に告白した。
「迎えに来たの。そこの木蓮を。ね」
木蓮には、理解出来なかった。 唐突な告白だったから、という問題ではない。 手を、差し伸べているリーツが、何を言ってやっているのか分からなかった。
「頼まれたよ、彼に」
空白になった紙に大事な一句を書き添え直すように、リーツは言った。 木蓮の意識が正常に戻る。一人の青年の面影と共に。
「彼が……願ったのですか?」 「うん」 リーツはすんなりと頷いた。
リーツからすれば、最初から申したかった用件だった。 木蓮が此処に居ても意味は全くない。「大地」の神霊が無い華爪家以下に。 此処を抜け出す例えも、簡単な話。 窓を開けて、ダイダイに乗れば、誰かの文句が聞こえる余裕もなく空へ逃げ出せる。 追っ手をやる暇も与えない。移送方陣のアイテムですぐに彼女の本当の居場所へ連れて行けるのだ。
檻は、とっくの昔に開けてあったのだ。 あとは中に居る人の気持ち次第だから。
あとがき またしても話進んでないなぁ。無理やり伸ばしているような感じと受け取られそうな。

|
|