| [9403] 猫被りの実験 序 |
- 宙 - 2007年06月28日 (木) 23時41分
その器官には一体何が詰まっているのだろうか
赤い管がはり巡らされている
それはソレの全体をくまなく、太いものから細いものまで
管の中に流れているのは――本来ならばある筈だが、眼前にあるものには何もない 空だ せいぜい入ってるならば“入ってしまった”空気だろうか 別にあってもなくても展示する分にはどうでもいいのだろう
客はまばらにいる その客足は途絶えた事がないという 一体どんな理由から来てるのかはわからない 勉強のためかもしれないし、単なる趣味かもしれない 共通してるのは嫌々ではない事だ 嫌だったら絶対に来ない。此処は人を若干選ぶ
男は赤い管をそう大して興味も無さそうな目で見ている 自分の琴線に触れない まぁ、こういうのは嫌いではないし。別にいいのだけれど 彼が此処に来たのは1つに学部の団体行動、もう1つは何かに急かされる様に 前者の理由はいいが、後者はよく分からない 分からないが、別にいい こういうのも悪くない
ふと男はある所に辿り着いた 周りの様子をどうやら意識の外に置いていたらしい いけねぇなあ、そんな感じで改めて周囲を見る―――と
絶句した
―――――美しい
まず湧きあがった感情はそれ 美しかった。琴線に触れた 己の琴線で素晴らしい音が奏でられるように 心音が大きくなったのは気のせいか? 興奮。アドレナリン 魅入られていくのがわかる 吸い込まれていく 興味が湧いた
―――――ほぅ
神秘的だ、この器官は実に神秘的だ この器官が自分の中にあるというだけで歓びに満ち溢れる それなのに未だこの器官は神秘の――謎というベールにそっと包まれている 嗚呼そのベールをこの手で剥ぎ取りたい 問題が生じる?知るかそんなもの 倫理?存在は知っている、それがなんだ どうせ研究とは知的好奇心と恐怖心と倫理観の天秤で成り立っている どこかで折り合いをつけ、どこかで諦め、どこかで押し通す 結局は個人次第
「・・・あら?今日は先客がいたのね?」
振り返るとそこには1人の女性 自分と同年代だろうか?それにしても若々しい 童顔と、準じた体型。そして仕草 全てわかった上でやっているのだろうか。それはどうでもよいが
「貴女も興味があるのか?」 「えぇっ!なんだかわからないけどいいと思ってね・・・・・・貴方もでしょ?」 「好きになるのに理由なんていらないからそれは当然か」 「あら、いい事言うじゃない。気に入ったわ。名前教えてくれる?あたしは烏丸魅宇」 「私は――――――」
それが最初の出会い 互いの名をその器官―――脳の展示物の前で教え合った それがこの物語のハジマリである
次は19年前になる――――
続
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消失のレス返しですよ。
*A・Yさん 消失といえば奴です。最大最強最悪の反則キャラ。我ながらそう思う(・・・) ロスト自体最近出来たキャラです。それっぽいのはありましたが。 目の特徴は実はロストの特徴ではないのです。『宿主』の特徴。 ロストは唯脱色させるだけですし。外見は。 一緒にいた人と何モノなのかは・・・あ、延びた(爆)
しばらくこれとSHネタの不定期投稿になるんじゃないかと思われ。 後者のネタはまだあるのですよー(半笑い)

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