| [9342] ESP element 6 |
- A・Y - 2007年05月06日 (日) 19時30分
モルフォン「大分ご無沙汰させました……」 凪「まだ一ヶ月も経ってないから大丈夫かと、思いますけど……」
response to 宙さん 全くですよねー、二週間も経ってるがなorz
火事起こすなという話でもある。そうしたら手榴弾より火炎放射器を引っ込めろというツッコミが来ますが。 暗黒世紀の話も幾つかあるんですよね。夢小説として(え?) そんなストレートに言っちゃ駄目だよ、これからの菊のことを考えると(以下ネタバレ自粛) バーバロウスのビジュアルイメージはこの時でやっと固まりました。 メルブラのワラキアに逆裁の霧人氏がソフトに混じったような感じで。 本隊はまったりです。さりげないギャグを担当させました。
モルフォン「スランプしていたという訳ではないんですけど……いや、暇な時にほとんど寝転がってる辺りスランプか」 凪「後付け設定に悩んでいたのではないでしょうか」 モルフォン「私には、相変わらず夢コンへのネタに唸っていたようにしか見えませんでした」 凪「そっちですか!?!;;」 モルフォン「とりあえず、出来たものは投下しておくべきですので」 凪「ENTERします」
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「……また歌が聞こえます」 「本当?ボクには聞こえないや」
凪達の現在地、A・Yがまず居ると思われる場所は。 ただの白い世界。 或いは何もない世界。 それくらいしか言葉に説明出来ない。
その世界に音は一つしかなかった。 いや、声……もとい歌だった。
――丘の上で 一人座ってる 古ぼけた娘が 丘の上で 一人座って 街を見下ろす――――
突入する前と相変わらず、酷い変調をする歌声だった。
――その横で 忙しげに アンテナ 売りが 娘が頼む 仕事の為に 商品の組み立て
結構 イイ人 だったから 恋して あげても よかった ヨカッタ♪ 結構 イイ人 だったから 好きに なっても よかった ヨカッタ♪ ド ロ ロ の ノ
歌声は、突然消えた。 ブツリ……とまるでラジオのスイッチを切ったように。
「……!歌が止まった……?」 「なんだって……」
『お客さん、お客さん』
また唐突に、別の声が聞こえた。 声質はさっきまでの歌の主にとても近い。けれど違う声。 話しかけるようにして。
『こちらを向いて下さるか?』
凪達が驚きながらも向けた視線の先には、二体の人形が居た。
『私は影帽子』 帽子を被った人形が言った。
『わたしは綺羅星』 素頭に笑顔の人形が言った。
『さあ 今の ワタシは ど っ ち?』 そして締めくくりの言葉を、両方が同時に言った。
二体の人形は正反対の方向へと行き去った。
「…………今のは一体……」 「どっちがアタリかハズレってことじゃないの」 呆気に取られた凪に対して、ラークリは憮然だ。 モルフォンとクリムゾンは黙り込んでいる。前者は特に意見はないから口出さないのだろう。 だが後者は別の点に引っかかりを感じているようだ……主にあの人形達に対して。
問題はどちらを追うか、それとも両方を追うか。 結論はとてもあっさりと出た。両方を追うことに決めた。 その為に二手に別れることに。
「ボク、綺羅星の方向へ向かう。どうせクリムゾンもそっちの方が気になるんでしょ」 「そうだな……」 「凪って言ったっけ。君って影帽子にしか会ってないから、あっちを追う方を進めるね」 「あ、はい……でも待って下さい!」
声のトーンを後半で大きく張り上げながら、凪は手を上げて尋ねた。 何事。と吃驚していたラークリ達は耳を傾けたり。 「……そもそも、なんですか?あの人形とか、カゲボウシとかキラボシって一体…」 けど出てきた質問の内容にやや憮然となってしまった。 そういえばそれに関しては何も言わなかったなぁ。と、ラークリは渋々と説明する。 「ああ。……簡単に言うとね。ボクがいつも『魔女様』って呼んでるのが影帽子であって。 綺羅星はなんつーか……血嫌い人殺し嫌いカタアリ嫌いで星好きの電波娘」 「つまり……二重人格だったんですか?!あの人!?」 「平たく言うとそうじゃない?」 「そうじゃない?って……;;」
こんなんでいいだろう。こんなんでいいのか。 彼らの意中は説明した当人と微妙にすれ違っていた。 しかし、ただひたすら目的地へ急ぐことを一番に考えるのは、共通している。
「とにかく、ボクはこっち行くね」 言うが早いかラークリはさっさと先へと、目を向けて足も駆け出していた。 「……影帽子を頼んだ」 クリムゾンは凪達に一つ頭を下げてから、ラークリの背中を追った。
しばらくは凪とモルフォンの二人で、影帽子の人形が向かった先を行く。 道らしい道なんて分からない。とにかく真っ直ぐ進むしかない。 やがて、この世界に変化が訪れた。
「……敵ですね!」 足を止め、身構えた。
現れたのは。 囀るような笑い声。 薄い……この白い世界では輪郭くらいしか判断できない姿と色をした者達。 背丈は子供くらいだった。ほとんどは。
「カタアリ……!!」 モルフォンは驚愕しながらも、自らの精霊力を展翅させた。 緑青に煌めく力が放出される。 真っ直ぐに突き刺す、巨大槍のような光が色のない影を打ち消す。
「凪さん!……え!?」
モルフォンはすぐさま凪の援護もとい救助に向かおうとした。 が、その心配もあっさりと風に払われた。
「……え?あの、今のが、カタアリなんですか……?」 凪本人も、拍子抜けした顔を向ける。 話には聞いた事があるが、遭遇したことはなかったので。そもそも見るのも初めてだったから。 「ああ……きっと幻なんだろうね。凪さんの真拳技でも消せたということは……」
間もなく、新手のカタアリ達がこの世界に浮き上がるようにして、現れる。
「でも、幻だからって油断しない方がいい。彼らの敵意や殺意に当たったら、痛そうだ」 「そうですね」
行く手に出るのはカタアリばかりではなった。 現れたのは、先程の、影帽子の人形。 『来るがよい。よよいのよい♪』 唐突にそう言って来て、人形はまた浮かんでは、並ならない速さで先に行く。
「案内のようですね……」 「…………?」
この時凪は、微妙な違和感がした。 アレが影帽子……星纏いの魔女を模した人形なら、あんな風におどけた口調をするのだろうか。
「――――リプレイ、リプレイ、リプレイ」 「――――カット、カット、カット」
ここは白い世界。 闇のない世界。 影など意味のない世界。 其処で同じ言葉だけを紡ぎ続ける影が、二つ。 ほんの少しだけ、色の付いている存在。
少し距離置いた所には、座り込んで暇を持て余す影達が居た。 こちらは色鮮やかな四つの影。
「……さて、ようやく暇潰しが来たな」 「来タ?ダレ?」 「遊び相手が来たってことだね」 「遊ビ相手?遊ブ?」 「そーゆーこと」 「二方に分かれたな。……彼女本体の方は、私一人で充分だろう」 「え……カホプ一人で大丈夫?」 「問題ない。それより影の方を取られないことが重要だ。……任せたぞ」 「オーケイ。……そっちこそもし何かあったらすぐこっちに云えよ?」 「了解した」
そうして一足先にと、紫色の影が、消えた。
「さて、個人的な問題は、お前と組むことだな……」 「カホプ?遊ベナイ?」 「カホプは別の所に行くの」 「皆デ、遊ベナイ……哀シイ」 「だけど充分楽しい筈だよ」 「アノ子達モ、遊ブ?」 「あいつらはずっとああするだけだよ。遊びには使えないな」 「使エナイ……」
続いて青、赤桃、緑の順に影が消えた。
「――――リプレイ、リプレイ、リプレイ」 「――――カット、カット、カット」
後に残った灰色の影達は、ただただ同じ言葉を繰り返す。
「……フッ、雑魚だね!」 ラークリ達の行く手にもやはり、カタアリの幻が障害物として現れていた。 けれど彼らには足止めにもならない。
「こんなモノを出して……拒絶しているのか?俺達を」 「そりゃ結構な引き篭もりだこと!でも予想の範疇じゃないの、これくらい」 「……前回よりは梃子摺ると思ったけどな」 「ボクもね、けどこんなの……っ!」 準備運動にもなりゃしない。そう続けるつもりだったラークリの口はある物を見て中断された。
それは、この空間に入ってから最初に見た人形の片割れ。 次に気付いたのは。 その人形を持つ女性の手。 人形の模範になった人物その人……A・Yだった。 背中をやや丸め、蹲まっていたから、彼女の黒髪に気付くのに一足遅れた。 妙な感じもした。まるでこの瞬間まで見えなかったような。 ともあれ、クリムゾンは一先ず安心の息を吐いて駆け寄る。
「綺羅星、無事か」 「違う…!」 クリムゾンに対しての彼女は叫んだ。 拒絶するように。だけど弱々しい声で。
最初、興奮しているのかと思った。 「落ち着け綺羅星……………?」 クリムゾンはよく見た。 目の前に居る女性が何者かを。 自分がよく知る彼女のことを、よく思い出から重ね合わして。
「まさかお前は」 「そうだ……私は影帽子だ」 「え……」
クリムゾンよりも唖然としたのはラークリだった。 此処に居たのは、綺羅星と見せかけた影帽子。
――――という事は。
「しまった……!!!」
とんでもないことになる。
『よく来たな。歓迎するぞー』 「見つけましたね……影帽子……さん?」
凪が挨拶すると同じく、山高帽子の人形を拾った手。
クスリ、とその女性は笑った。 今まで見たこともなかった魔女の笑顔に、凪は少々驚いた。 「……アハハー。こんなの、ちょっとした、フェイク。だよ」 影帽子の人形を弄り遊びながら、その少女は朗らかに、笑った。
――――違う。明らかに、影帽子ではない。
この瞬間、凪とモルフォンは全てを察した。 凪を庇うように、モルフォンが前に乗り出す。 盾代わりになってくれた彼の腕の影から、凪は聞いた。 目の前に居る女性へ。
「貴女は……貴女が……綺羅星……さん…?」
ニッと悪戯子供のような、とても凄惨で、とても無垢な笑みを浮かべて、彼女は答えた。
「ハジメマシテ……でもって、さようなら」 「え……?」
一瞬、何を言ったのか、凪には分からなかった。 彼女の掌から光が篭るのも、唖然とした顔で見た。
「……丁度、始まるか」 薄い茶髪と紫の服の狩人が、群青色の双眸を少し細めながら呟いた。
彼は、着いて早々にある判断した。 もう少し距離を取ること。 余波に巻き込まれない為に。
「さあ、アナタ達――――」
凪はまだ何も行動を起こせなかった。
モルフォンが精霊力を展開させる。
同時にA・Yから……
「 お ほ し さ ま に な あ れ ! ! ! !」
強烈な光と弾幕が、放たれる。
あとがき たすけにきた なぎたちを えー・わいが おそって きた! ▼ 何この区切り方?しかもポケモン風味に。 早々次回求めるなら希望どうぞ。

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