| [9338] 殺戮遊戯 STAGE 5 |
- 夕闇色紫 - 2007年05月02日 (水) 21時05分
入ってみれば其処は一般的な和室だった。
ただ、無駄に広いと言う事だけを除けば、だが。
「ひっろーい。愁五ー、あの巻物持ち帰っていいかな？」
「あれは掛け軸だ。というか人のものだぞ。」
あぁ、なんか‥‥。
す、と紫が上座の座布団に座った。
「それでは、皆様、まず始めにご挨拶申し上げます。
”御五宅”夕闇色家の頭首、夕闇色紫でございます。」
頭首と言うにふさわしい貫禄と見事なお辞儀。
「次に自己紹介致します。
僕が、御五宅、雨宮家頭首、雨宮宙になります。」
一人称が”僕”だが、少女と見ても良いだろう。
こちらも優雅なお辞儀。
「しつこいようだけど自己紹介するわね。
御五宅内の一家、久世家の頭首、久世黒猫よ。」
今度は敬語ではない。
それでも充分に貫禄の在る礼をしてみせた。
「さて、私も挨拶しますね。
御五宅頭首の一人、A.Yです。」
これで４人、だろうか。
後一人。後一人。
今まで挨拶した４人の顔が、ショートカットの女性の方へ向く。
１８位の少女だろうか。
そして、彼女は一歩さがりまた深々とお辞儀をする。
「初めまして、御五宅三日月家頭首。
三日月 朔葉（みかづき さくは）と申します。」
彼女の顔が上がった瞬間、ふと久耶子は思った。
”これこそが御五宅だ”、と。
次はA.Yが口を開いた。
「それでは、貴方達が今居る世界。橋国について説明致します。」
皆がつばを飲む。
「この世には、白界（はっかい）と黒界（こっかい）が存在します。
そして、その白と黒が交わると”グレー”となり、反発しあいとても強大な力を生み出します。
その白界と黒界の狭間にあったのが”救いの橋”と呼ばれる物があります。
ところが、何時の日かその”救いの橋”は次第に脆くなり‥‥そして。
白界と黒界が衝突したのです。
これにはとてつもない力が生まれました。その衝撃で狭間にある閉鎖空間が生まれた。
これが我らが”橋国”なのです。お分かりですか？」
うんうん、と美歌が頷いた。
「それじゃぁ、貴方達はどうやって‥‥？」
「それは私が説明するわ。」
紫が声を出す。
「此処は元々、人なんか存在しなかったのよ。
だけど、私たちは”呼ばれた”と言う事になっているの。
その中でアリッサ＝柚木はこの閉鎖空間に一度だけやって来て、その後元の世界に戻ったわ。
これはごくごく稀なケースね。
彼女には橋国の危機を察知できるような本能も持っていたようだから意思疎通は一応出来る事になるわね。」
「え‥‥？それじゃぁ僕たちは今どうなってるんですか‥‥？」
美音が訊いた。
「そうね、精神だけこちらに来ているんじゃないかしら？
元々アリッサの作った道具は精神だけをテレポートさせるらしいし。
だから貴方達の肉体は今、植物人間状態か意識不明ね。
私たちは”呼ばれた”から肉体もこちらに来ているけどね。
ほら、なんか集団失踪事件とか無かったのかしら？」
「‥‥‥あ。」
愁五が何かを思い出したらしい。
「姉様や、皆が失踪した‥‥って事件は。」
「ねえさま？」
「私の事、ですよ。」
朔葉が笑った。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥へ？」
「元々私と愁五は異母兄弟です。ついでに愁太も来ていますけどね。」
愁太とは愁五の弟の事、である。
新事実発覚。
「あー、一度黙ってくれるかしらー？」
黒猫が机を叩いた。
かなり爆弾ちっくな音。
辺りはしーんと。
「次は貴方達が置かれている状況よ。私が説明してやるわ。」
黒猫が相変わらずの態度で言った。
「そして、その中で私たち”御五宅”が橋国をおさめる事になったの。
何か決めごとが会った場合には私たちが決めるの。
そしてまずは白界と黒界の説明ね。
白界とは貴方達のすんで居る所‥‥。いわゆる銀河系。つまり宇宙ね。
そして黒界とは魔族やらなんやら。つまり非人間の宝庫って事。
私たちはもう既に魔族の血を何故か引き継いでるから能力？みたいなのが使えるの。
そして、橋国での罪人は全て黒界の牢‥‥。に入れられて其処で裁かれる。
で。此処には”寿”という女性が居たのね。そうね、私たちくらいかしら？
彼女は色んな悪事をしたわ。盗人からはたまた人を殺めて。
彼女は黒界の牢に入れられた筈なの。最近それが脱獄して。
私たちは血染めの滓共の処理に手を焼いてる訳。
その滓っていうのは、彼女が人を殺めた際にコントロールする器具‥‥えぇと確かミスティを入れたのね。
それを発動させたのが滓。これがコピー可能だから一杯居るのよねー。」
黒猫は難しい事を一期にいってのけた。
宙が立ち上がった。
「それじゃ、ご案内するよ参加者様達？力を授かりにね。」
彼女はフッと笑った。
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