| [9217] Cage garden 2 |
- A・Y - 2007年03月20日 (火) 18時33分
美歌「通称「華爪家編」!ようやくスタートよ!」 美音「前置き担当は僕ら姉弟とリューサさんに任せます〜」 リューサ「今回あたし出番ないけどねー」
response to 宙さん 最初の内だけだったと思う。 あんまりな展開はまだ始まってませんけど。(どの編の誰に対してかは伏せる) 微妙にリアルな数字のショタペドの方が感心より不気味さを感じられそうで。 あと一世紀前の時代を知っている設定が欲しいこともあるので。 橙色だからダイダイ。またもそのまんま。孫娘の真意も名前もまだまだ。 透さんは蟲守さま関連に突っ込んでからやや子供化してると思う。 そう、第二のアレ。おいっちにぃ、さんしぃ。
美歌「蝶と花って良い組み合わせよねw」 美音「作者も一番好きかもっていう感じ」 リューサ「でも自然の描写の修行不足が否めないのよねー;」 美歌「少しは腕が上がって欲しいわー。じゃ、ENTERねw」
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華爪家。 屋敷より庭園が大きく占める場所。 この敷地内ならば何処に目を通しても、花々が華麗に咲き誇っている。 世界各地の、四季折々の花達が凛と佇んでいた。
その家に、ある帝国からの使者達が訪れた。 天使歌姫MIKAELと、そのマネージャーである。
一人の妙齢の女性が客間にて正座する。 彼女は一寸の乱れもない辞儀をして迎えた。 「あなたが、この家の主人ですね」 「左様でございます。わたくしこそ、華爪流の代理家元。名を寛和桜椿子と申します」 「カンナサクラ……ツバキコさん。で、呼んで良いでしょうか」 「宜しゅうございます」 美歌は、紙袋からあるものを机にと出した。餞別品だ。 「どうぞ。とある菓子店の、自慢の一品です。お茶に合うかと」 『fffff』と読めない文字……寧ろ模様のような店の名前と共に包装されていた。
「今日は、どういったご用件でございますか? ……こんな花しかないような所に、わざわざ足を運んで頂くということは、何か理由があるのでございましょう」 とてもゆったりとした、それでハッキリとした喋り方をする女性だ。歌うようにとはこのことか。
美歌は単刀直入に聞いた。 「そちらのご子息が二人、無断外出したまま帰ってこないそうですね」 美音は一瞬だけ眉を潜めた。 今回は時間稼ぎが主目的、その質問は二番か三番に回る筈だが。 だが回りくどいことをするのが苦手という、彼女らしくもある。 ので、しょうがないなぁと美音は姉の好きにさせた。
対して、華爪家の代理家元は、思ったより穏やかな反応だった。 「お恥ずかしい……もうお耳に入れられてございましたか」 苦笑していた。困った風にはほぼ感じられない。 「分かりますよ。何故捜索願いを出さないんですか」 「それは、単なる公務のご迷惑になると、思いまして……」 「体面を気にしてたんですか?」 「はぁ……そういった解釈をさせているのでございます?」 「だって家出したんじゃ……ん?」
ここで何かがすれ違っていることに気付く。 椿子はぼんやりとした表情で、緑茶を啜ってから、答えた。
「……先に言うべきでございましたね。息子らは、無断外出はしてません。ちゃんと言伝を置いて行きましたよ」 「……こ、言伝?」 「箱入り息子でしたからねぇ。男子らしく、外の世界を一度飛び出して、眺めとこうと思いましたのでしょう。 せめてこの母に一言、その旨を云っても良かったのに。書置きには、必ず帰ると、力強い筆で書かれてましたわ」 穏やかに続けた言葉故に、美歌達も現状をよく理解出来た。 (家出じゃなかった……?!)
確かに噂はあくまで噂であり、確証ではない。 ここの子息が消えただけで、家出かどうかまだ聞いてなかった。 美歌はジッと椿子の目を見た。 やや睨むような目に、椿子はやんわりと微笑み返す。 ……嘘を付いているようには、見えない。
「…あ、あの、差し出がましいようですが。目的地は?心配してないってことは、向かう場所も書置きに……」 「ああ……都会の何処かだと思います」 「何処かって?何処ですか?公共の名前くらいなら」 「名前ですが……わたくし、英文字が苦手でございまして。名前もこの菓子屋に似てたような……」 「そ、それは私も読めません;;ぶっちゃけ」 「そう、ぶっちゃけ分からないのでございます」
でも、若者がよく集まる所とか、有名な場所かと、侍女達がそう言っていたのを覚えていたらしい。 「確か……遊園地?だったと思うのでございます」 息子もまだまだ遊び盛りな歳らしい。可愛らしいことだと、椿子は微笑ましく言った。
「そうですか……こちらが大げさに受け取ってしまった。それだけだったんですね」 「まあ……帝国の姫さまに心配させてしまったことは、わたくし達も反省することでございます。 ご迷惑をお掛けしました」 「いえ;;こちらこそ、すみませんでした」 互いに頭を下げた。
華爪家の今を統べる主は、予想より協力的だった。 門前払いまでは流石にないだろうと思ってたが、最初に執事とかが出て取り繕うのに苦労するかと思った。 おかげで手間はかからなくて済んだ。 ただ、美歌がマルガリータ帝国の姫だと勘違いされてないだろうか。 確かに美歌は皇帝と親しい仲だし、歌姫と呼ばれているが、皇室の人間ではない。
「あの、二つだけ、聞きたいことが」 玄関にて。美音が尋ねた。 椿子はわざわざここまで見送りしてくれた。 「なんでしょうか。わたくしの存ずることならお答えしますが」 「薔薇百合菊之丞のことです」 その瞬間、初めて椿子の顔が歪んだ。 「……いえ、もう何度も尋ねられたことなので」 言い換えれば、やはりか。ということだ。
「何故、彼を此処に呼ばないんですか?」 「……申し訳ございません。こればかりは、いくら帝国の姫様や、そのお付きの方にもお答え出来ません」 「せめて理由だけでも「美音」……お姉さん……」
美歌が、美音の腕をそっと掴んでいた。 無理にゆさぶっても何も出ないだろう。 椿子は頑なに、答えないのは、雰囲気だけで悟った。 もっと直接的にぶつけることも出来たが、それは、銃口を突きつける行為に等しい。 華爪家との衝突や確執はまだ避けたい。
「……すみません」 美音は苦虫を潰すような顔を浮かべたが、すぐに切り替えた。 「では、最後の質問になりますが」 咳払いをして、思い切って尋ねた。 「楡松木蓮乃君を、ご存知ですか?」
「…………どこぞの歌舞伎役者でございますか?」 「は?」 「確かに、わたくし共は幾つもの花の名を持ちますが。植物ならなんでもという訳ではございませんよ」 クスス、と椿子は笑った。 「楡や松など、花は咲かさぬ木の名前は一族外でございますよ」
そして、最後の質問は終わった。
「あの人が嘘付いてるって感じはしないし……隠し事はあるみたいだけどね」 「嘘なら一つ付いてますよ。最後で」 「……木蓮のこと?」 「ええ。さすが一族、同じ反応をしてくれた。 菊之丞さんの時は誤魔化しようがなかったから、ああいう態度を取ったんでしょうが……」
当たり障りなく。顔にも表さず。自然に知らないと言い切れる。 そんな嘘が出る直前の、あの雰囲気は。 「あれは、ハッキリとした拒絶です」
まず、美歌達の方は今日の役目を終えた。 収穫は表面的なものでしかないけれど。
「……さーて、あっちは成功したかしら?……美雷ー?」 美歌が一台の車に声をかけた。 運転席の窓から一本の腕が伸びて、あるサインを出す。 拳を作り、親指だけを上に向けていた。 「……成功した、みたい、ですね……;;」
美音は微妙な心境から、汗を流していた。 そして駆け込んだ二人はまず、助手席を確認した。
あとがき 礼儀作法のことを予習しないで書いたから一部おかしいかもしれない;; あー;撫子選手権みとくんだったぁ;;

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