| [9158] 誘いの黒、迷いの夢。 始まった奇襲 |
- 雷 - 2007年03月14日 (水) 22時15分
『夢斬り』の戦いは、一生終わらないのかもしれない。
人が『ヒト』で在り続ける限り―――――。
でも、戦いをい止めちゃいけない。
人は『ヒト』として生きていくべきだから。
*
人のココロに住む「恐怖」。「恐怖」は人のココロを媒介にして 成長する「マヤカシ」を生む。
「マヤカシ」には、2段階ある。
ひとつは、人のココロを乗っ取り、意のままに動かす 『身体媒介』。 この状態であれば、力も弱く、『夢斬り』は「マヤカシ」とヒトを断ち切ることができる。
そして、もうひとつ――――『精神媒介』。 これは、『身体媒介』のもう一段階上の「マヤカシ」。 コイツは―――自我を持つ。 『身体媒介』では、体を操ることはできるが、自我はない。 『精神媒介』では、元の人間とは違う、独自の自我を持つ。
さらに―――『精神媒介』になってしまうと、『夢斬り』は 倒せない。いや、倒せるのだが、「マヤカシ」と一体になってしまったために、媒介になった人間も消し去ってしまうのである。
だから、その状態にならないために、『夢斬り』がいるのだ。
*
夢斬り組織『誘(いざな)いの黒』はそこに在った。
活動内容は、唯一つ、『マヤカシを消し去ること』。 精神媒介になる前に、ヒトを救うことだ。
「だーかーらーっ!とりあえずこの街に泊まろうって言ってるぢゃんっ!」 「…五月蝿い。」 「まあ…いいんじゃないの…皆一緒だし…」
数人の若者。彼らが『誘いの黒』のメンバーである。
「町外れは危ないって!獣とかさぁ…恐怖湧いてくるから! マヤカシ生まれちゃうよ!」 そんな心配をするのは、長い髪が印象的な彼女、鳳蘭 黒鳥 (ホウラン クトリ)だ。彼女は、夜に街から出ないほうがいいと 考えているのであろう。
「大丈夫だよぉ♪みんな一緒だしっ!」 明るい口調と紅い髪が印象的な少女は、星月 林檎。可愛らしいが、かなりの実力だったりする。
「…もう俺は何でもいい…」 「…………同意。」 テンション低めな二人。神猫と黒猫である。
「…月、どうする?」 「…僕に意見を求めないで…噛み殺すよ?」 (怖ッッッッ!) 敬介に蓮咲 月(ハスザキ ゲツ)。その言葉と共に月の羽織った 学ランがゆれた。 しっかし、皆さん月の威圧感に押されまくりですv
「俺は大丈夫だぞっ!朝まで起きてて見張りするし!」 「テンション高いね…雷月丸…」 気合たっぷりの赤帽子 雷月丸と、それにツッこむのは、 真っ黒な姿の切裂 斬(キリサキ ザン)。
「あのぅ…蓮の機嫌も悪くなってきたし…そろそろ決めない?」 「…もう夜の6時なんだけど…」 必死でみんなをまとめる如月 睦海。彼女は、機嫌の悪い 新月 蓮の心配をしていた。
しばらく彼らは、宿を探そう、街を出ようと話し合っていたが、 黒猫の一言「ってか、この話し合う時間が不必要。」で 皆のやる気も消え、今夜は町に泊まることになった。
「じゃ、私手続きしてきまーす!」 明るく言い放って、ベリチーはホテルのフロントに小走りしていった。
「…あれ?月は?」 人数確認をしていた睦海は月がいないことに気がついた。 「ああ…多分明日の朝には帰ってくるよ」 蓮はそれだけ言って、鍵を受け取り、部屋に入った。
「………。」 神猫は、その会話を黙って聞いていた。
*
「…みんな揃っておままごとみたいに…何がしたいんだろ…」 多人数行動が嫌いな月は、このように独りで散歩をすることも 多い。
「………マテ」 闇そのものの、低い声。 月は振り向くこともしない。 「………マヤカシか?」 後ろに居たのは、金髪の美しい少女。 「オマエハユメキリダロ…ユメキリハオレタチヲコワス… ダカラオレガオマエヲコロス…」
「くだらないね…噛み殺していいよね?」 「フッ…ソンナコトモイマシカイエナイゾ…」 「しゃべっていても仕方ないからね…さっさと片付けちゃおうかな?」 そういうと、いつのまにか月の腕にはトンファーが在った。月の夢斬り道具「霧雪」である。 そして、何も言わずに炎をまとった錘を発射した。 これに当たれば、マヤカシは消えるはずである。 マヤカシは錘にこそ当たらなかったが、炎に当たった。 「舐めてかかるからだよ…マヤカシの分際で…」
月はマヤカシに背を向け、歩き出した…。 「マテ…マダオレハタオサレテナイゾ!」 マヤカシ少女は、月に襲い掛かった。小さなナイフで斬りつけた のである。 「ぐっっ…」 「ハハハハハハハハハハハハハ…ハハァ…ナメテカカッタノハオマエダ!」 高笑いをするマヤカシ。しかし、それでひるんでいるマヤカシに気づいた月は直接トンファーに衝いた棘を突き刺した。
油断していたマヤカシは、黒い煙を出して消えようとしていた。 媒介になっていた少女は、石田畳の上に倒れこんだ。 「ナゼ…マヤカシヲケスンダ…」 「最後にそんな台詞?くだらないね…」 そう言ったが、月はもう一度振り返って言い放った。 「お前たちは恐怖そのものだ。恐怖が人を超えちゃいけないんだよ」
それだけ言って、今度こそ倒れこんだ少女に背を向けて宿の方向へ歩き出した。
(でも…なんだったんだろう…あのマヤカシは確かに僕の炎を 喰らったはずなのに…なぜ消えなかったんだ…)
そこまで考えた月は、一度立ち止まった。
(精神媒介が一撃で倒せない――マヤカシが強くなっている!?)
月のこの予言は、これから起こることそのものであった。
*
「あーあ…私のお気に入り精神媒介ちゃんが倒されちゃったか…」
手に持ったビーダマをコロコロと転がす、着物の少女。
「まぁいいか!マヤカシはいくらでも生み出せるんだもん! この『闇お伽の鏡』があれば…」
少女の独り言とともに少女のそばの鏡も怪しく光った。
・続く・
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どもども、雷です。 この前アンケートした、「誘いの黒、迷いの夢。」の小説 を書きました…描きましたが…なんだこのひどい小説…。 とりあえず今回は皆さんの紹介と、設定が私のツボだった 月君のバトルってことで。 あ、あと敵キャラさんの気配とかですね。(最後のトコロね! ちなみに、中盤あたりにちょこっとだけ出た、林檎ちゃんと ベリチーちゃんは、どっちもオフ友のキャラです。 あ、斬ってやつと黒鳥は、私のオリキャラです。 この小説は、一気にみんな出すのは難しいかもしれないですけど、できるだけカッコイイバトルを書いていこうと思います! でわでわ…週1ペースくらいですけど頑張ります!

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