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- A・Y - 2007年03月13日 (火) 14時38分
凪「はい、まずは私が主役の物語から投下します」 モルフォン「ちゃっかり自分が主役だと思ってるのね」 凪「え?;;違いましたか?;;」 モルフォン「間違ってはないけど。出ずっぱりになることは確定かな」
response to 宙さん 自キャラのみ了解しました〜。確かに多いもんね……。 風真さんの裏設定了解。いつかその辺も利用させて貰いますよっとw モルフォンはエレメンツ編の主力キャラになります。言うと思ったよw>蛾とポケモン両者
夢幻さんが見た夢にはちゃんと意味も原因もあります。ちゃんと伏線回収出来ればいいなーと思ってます。 誤り続けてもしょうがないけど、それでも心から謝りたいんです。 菊は下手に動かない方がいいと思いますよねー。でも大人しく出来ない。レムママに萌えるからいいんです。(主に私が) 似たものカップルだねwww
あら?似たような詩文でも考えてらっしゃったのかしらん。 ちなみにデストロイの独白の前の詩文も彼女からってことで。名前も追記しました。 知らせを受け取ったのは男性です。 移動手段は敢えて省きました。この二人なら乗り物とか使わないだろうなと想像付きますが。
モルフォン「ちなみに私のモデルの蝶はこれですよー。つhttp://www.portnet.ne.jp/~trip/morpho0.htm 蛾じゃないんですよ」 凪「名前の響きはポケモンからで合ってるんですよね」 モルフォン「そういうことです。それでは本編に」 凪「ENTERです」
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前触れはなさそうであった。 けれどその一日もただ怠慢に過ぎていくだろうと思った。 凪の前に、夢で見たのと同じ蝶が横切るまでは。
凪は咄嗟にその蝶を追いかけた。 幻のように儚げで、美しい蝶だった。 白緑色の翅の傍に、水色の翅が寄り添うように付く。 同じようにして、橙色、赤桃色、紫色、純白色、漆黒色の蝶々が。 まばらに輝く虹が生まれる。 それに乗り込もうと、飛び込もうと、実は何も考えずに、凪は走った。
蝶々と凪はやがてある場所に辿り着いた。 森の中だ。人気が全くない。ひっそりとした静寂が包む世界。 その世界を彩るように、蝶々はそこに安らいでいる。
凪はあの白緑色の蝶を探した。 他の蝶も幻想的な美しさを持つ、魅力的な蝶だが、今はあの蝶が一番必要なのだ。 果たして見つかった。 凪がこちらに気付いたのを待つように、飛び立つ。 「待って!」 再び、追いかけっこ。
随分と奥に進んだと思う。 けれど蝶々の姿は耐えない。 何処までも幻想的な世界なんだろう。 其処に飛び込んだ凪は、自分以外の人間を見つけた。 白緑色の蝶はその人物の手に止まった。
限りなく薄い紫の髪。サファイアのような青い瞳。 服は青を基調とした、やや古風な西洋もの。 手足が女のように細く、顔も女性的だが、男性だと凪は一目見て分かった。
その人は、モルフォンと名乗った。 そして、凪に会いたかったと言って、探しに行こう。と誘った――――。
「……あの、探しに行くって、何を……?」 「気付いてないの?あの呼び声を」 「呼び声……?」
凪は耳を澄ましてみた。 けれど、聞こえるのは、ささやかな風が、梢を揺らす音くらい。 誰かの声なんて聞こえないと、凪は首を横に振った。
「そうか……君は、まだ目覚めてない、というか、気付いてないんだね……」 「どういうことでしょうか?」 「まず、精霊って知ってる?」 「いいえ……御伽話の存在でしょう」
凪の答えに、モルフォンは手を挙げて、降った。 全体的に緩やかな、優しい動作だった。 それが合図だったかのように、蝶々が舞った。 奏でるように重なるように煌びやかに。 織り成すのは、虹色の光達。
「これが、精霊だよ」 「あ……」 凪の間近に、あの白緑色の蝶が寄って来た。 そっと、両手を伸ばす。 覆うように、包むようにして、凪は、蝶を捕まえた。
その時に見えた。 白い修道服を着た女性を。 黒髪に飴色の目。 前頭部に石のような黄色く輝く何かが埋め込まれている。 彼女は一人遊びをしていた。 人形を二体、それぞれの手に持って。 右手には黒い山高帽子で、無愛想な顔をした人形。 左手には笑顔で、頭に黄色い一点模様があった、持ち主とそっくりな人形。 けれど人形は二体共、彼女を模したようによく似ていた。 その人形達と語り合うように、時折歌いながら、一人、遊んでいた。
寂しい光景だった。
気付いたら、白緑色の蝶は、凪の手から消えていた。 凪にはそれがとても悲しく感じられた。涙が出そうなくらい。 兄の面影が、その瞬間に強く強く感じたから。 けれど、その蝶は兄ではなかった。当たり前のことだけど、無性に空しかった。
「大丈夫?」 モルフォンがそう言った。その声のおかげで、凪は現実に戻れた気分がした。 「いいえ……なんでもありません……」 凪は目元を拭って、今見たものについての意見を述べた。 「あの女性は……A・Yさん?でも、何処か違う……」 「君が知っているのは影帽子だからね。今見たのは綺羅星だよ」 「あなたは……」
モルフォンの横から新たな人物が登場した。 翠色の髪は自由に伸ばすも背中まで。目と服は赤い。 この少年の名はラークリ。 星纏いの魔女A・Yの使い魔で、赤い子猫との異名もある。 こちらは凪との面識はあった。
「なるたけ手短に説明するとね、まず魔女様がちょっとピンチなんだ。それで精霊を通して各地に信号を送ってるの」 ほぼ無意識に、やってね。とラークリは付け加えた。 「じゃあ、この呼ぶ声はA・Yさんの……え?」 凪は自分の耳を疑った。 さっきまでは風と梢の音しか聞こえなかったのに。遠いところからの声が、ハッキリと。 モルフォンはゆっくりと頷いた。 「聞こえたでしょう?だから、君の力を貸して欲しいんだよね」 「……私に出来ることが、あるんですか?」 「はい。君にしか出来ないこと……それは、風を読み、時間を先読みする力です」
モルフォンのその言葉に、凪は衝撃を受けた。どんな不意打ちよりも酷かった。 「ま、待って下さい!確かに私は風を操るし、それに基づいた真拳使いでもあります。 けど、風を読むなんて……そんな力……そんな能力は、私じゃなくて……」 凪は、それ以上の言葉が続けられなかった。 風を読む力、それは、風真の力であって、凪にはないのだ……。
「いや、出来るよ」 それを遮るように、言ったのは、モルフォンだった。 「今の君なら、出来る」 彼は、凪の一歩手前まで近寄って、目を真っ直ぐに見て、ハッキリと言った。
どういうことなのか。 彼は、まるで風真のことを知っているような口ぶりだった。 そこに深入りする勇気は、この時の凪にはなかった。
「……まだ、わからないならそれでもいいよ。今は、君が必要なんだ。A・Yさんを見つける為に」 「私が、必要……」 「一緒に、来てくれませんか」 モルフォンは掌を空に向けるようにして、凪に差し出した。 「お断りしても構いません。それが貴女が決めたことなら」 断る理由、そんなの、ないかもしれないし、あるかもしれない。 魔女達のこともよく知らないし、精霊のことも、今初めて会ったモルフォンのことなんて更に知らない。
けれど。 彼は、彼達は、凪を必要だと言ってくれた。 なにより何故だろう、彼達と深く関わりたい。 例え、この選択に後戻りが出来なくても。
そして、凪はその手を取った。モルフォンは優しく握り返してくれた。
「……よしっ!決まったなら善は急げってね!!」 ラークリは勢いよく腕を振り上げた。
「君、飛べる?」 「あ、はい、風を使って少しくらいは……」 「そうか……。なら、私の手に捕まっていれば、大丈夫そうだね」 そういってモルフォンは翅を広げた。
青い櫛型が背中から上へ伸び、下へ伸びるように現れ、薄い光の膜が広がり、二対の翼となる。 羽ばたく時に漏れる微かな光の粉も、鱗粉のようで、まさに蝶のようだった。 同じくラークリも、こちらは赤い翅だった。 初めて見るものに、凪は素直に感歎の溜息を吐いた。
「――――さあ、行こう」
風を感じた。
翅が羽ばたく。
木々が揺らめく。
風に乗るように、浮くようにして、飛ぶ――――。
あとがき 序章の補足、それから初陣って感じで書きました。

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