| [9143] 紡がれし調べ page.67 |
- 宙 - 2007年03月12日 (月) 21時32分
ビュティ達は非常階段に出た 「天の助君、此処から飛び降りるよ!」 「えぇ!?正気かよビュティ!!」 「この種を発芽させて成長させるから!」 「確かにビュティならそれができるけど・・・・・・」 「私を信じて!」 「いや、オレが心配なのはビュティなんだけど」 天の助はそう言って、「あ、ビュティがいいならいっか」と思い覚悟を決めた 「降りよう!せやっ!」 「たぁっ!」 地平までは遠い わざわざ階段を上ったのだ そして2人は―――飛び降りた
飛び降りた直後すぐにビュティは菊之丞から貰った種を取り出す (――――間に合って!) もし失敗すれば下にいる天の助が自分の全体重と重力を受ける 仮に彼が無事だとしても、自分も助かるまい 種に力をこめ、強く念じる (――――割れて育て!) そして投げる
ピシッ 種にひびが入る むくむくむくと急激に成長し始める 「・・・・・・アサガオ?」 正体は朝顔 しかも、桁違いの大きさだった あっという間に成長した朝顔の蔓に巻かれて2人は助かった 葉の上に着地する 「ボーボボ達・・・・・・大丈夫かな・・・・・・」
* * *
「う゛ぉ゛ぉ゛い。・・・・・・テメェ、何モンだぁ?」 スクアーロが対峙しているのは右頬に刺青のある銀髪の少年 青い瞳は挑戦的に此方を見つめている ニヤリと楽しそうな笑みを浮かべながら ナイフを右手に握っている ナイフ自体には何の仕掛けもない ただそれが何処からともなく出てきたり、それを余りに器用に使う少年 そちらの方が気になる かなりの手練だ ナメてかかる気は毛頭なかったが、さらに気を入れないと殺される
「えー?オレのこと?・・・・・・あ、そっか。まだ名乗ってなかったっけ。銀河、霧碕銀河だぜ?」 何故疑問符がつくのだ いや、それよりも 「・・・・・・霧碕ィ?あの殺し名の?」 「あ、知ってんだ」 ケロリとして言う少年にスクアーロは正直驚いた 霧碕の存在は裏世界にいるならば誰でも知っている 恐怖、畏怖、嫌悪、憎悪の対象 それらの代名詞とも言われる 『霧碕に似ている』との台詞は最悪の言葉だ 決して言われたくない。たとえどんな者であっても 棚に上げた反応だと言われても構わないがそれだけはご免被る どんなファミリーであっても! どんな暗殺集団であっても! 最大級の侮辱を意味するのだ 仕事でも任務でも何でもない、ただ「なんとなく」で動く殺人鬼集団 それと一緒にされては――――
「あー、そーだそーだ。ねぇそこの兄ちゃん、ヴァリアーって知ってる?」 「あ゛ぁ?」 何を言おうとしている? いや待て。霧碕が動く理由はもう1つある そちらは確か――― 「兄貴がさー、『妹』がヴァリアーの奴にこっぴどくやられたって言ってたんだよ。そのための報復しに此処にきたらしいんだけど」 冷や汗が流れた 心当たりもある 「でもさー・・・オレ、ヴァリアーの存在すら知らなかったんだよね。だからどんな奴だか知らねぇんだ」 そんな事が・・・・・・あるのか しかしこの少年は何が言いたい? 不思議とスクアーロは動けなかった 怖気づいているのか、そうではないのか
と、ゆーわけで
少年の声が続いた 同時に手に違和感を感じた
「―――――っ!!」 「あー・・・なんだ義手かぁ。結構すげーな」 スタッと銀河は着地する 今の一瞬でスクアーロの義手は切り落とされていた 丁度脆い部分を狙われていた 義手だ、という事は気付いてなかったらしいが 「まーいっかぁ。そうそうさっきの続きだけど」
「とりあえず会う奴片っ端から殺してくことにしたんだ」
再びナイフが一閃する
* * *
ほぼ自由自在に変化する刹那の右腕 氷でできている事はギガは勿論把握済み 攻撃を仕掛ける度にかち割る すぐにその度補給するからキリがない 要するに、互いに決定打は浴びせていないのだ
「ったくよぉ・・・・・・うぜーじゃんお前!」 「いや、語尾に「じゃんじゃん」つけてるお前に言われたくないね?v」 ククッと刹那は笑う それは完全なる嘲笑 ギガの殺意は段々と着実に上がっている もっとも殺意が増したとして、何かが特に変わるわけでもないが
「ぜってー許さねーよ・・・・・・絡みつけオブジェ共!」 「!?」 ガシッ ヒシッ 刹那の両腕に奇妙な物体がしがみ付いた モノクロの、はっきり言って気色悪いぐにゃりとしているものが 「――――そのまま折っちまえよ!」
ばきり
「つっ・・・・・・!!」 両腕が綺麗に折れた 間髪置かずにギガの手が刹那の首を掴む 「が・・・はっ・・・・・・」 「このまま捻じ切ってやろーじゃん・・・・・・」 ニヤリとギガは心底悪そうに笑った いつの間にか奇妙な『オブジェ』と呼ばれたモノは消えていた 彼女の右腕も綺麗に消えている 「どっしよっかなー?命乞いでもすればぁ?」 ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべる すると苦しそうな表情だった刹那が、フッと軽く笑みを浮かべた 「その表情、アンタにピッタリだね・・・・・・」 「言い遺す事はそれだけかァ?なら終わりにしてやるよ・・・・・・!!」
それっきり、ギガは全く動かなくなった
ある筈のない刹那の右腕がギガの胸の辺りに当たっていた
しっかりと静止したギガの腕からするりと抜け出す 「あー・・・上手くいった。それにしても苦しかった」 喉を押さえながら刹那は平然と言った 「わざわざ左腕犠牲にするまでもなかったなー、こんな奴に」 ちらりと一瞥を停止したギガに向けた そして刹那は平然と歩き出す 落ちた腕には目もくれない
歩きながら自分の右腕を見る それはまごう事無き本物の腕 「まさかこんな奴の為になるとはね・・・・・・ハハハ」 今までずっと使ってきたのは、紛い物の腕 氷で出来た偽の腕 山本武に斬られた腕も、今回使い捨てていた氷の腕と同じ 流石にバレるとまずいので今までは回収してきたが 手応えが妙なのは当たり前 本物の生身の腕ではないのだから 本物は今まで服の中で曲げてずっと温存していた 『歪み』の中のみ、それを自由にしていた 隻腕というものに慣れるために、敢えて外界ではずっと曲げていた
先程ギガに施したのは、『絶対零度』 『凍る』というのは物体運動が停止された時に起こる副産物 凍る事はあくまで二次的なもので、本来は唯モノを停止させる 物体運動の完全な停止 それを彼に施したのだ 二度と動けないように原子を固定させる 刹那はまだ、それを右腕で、しかも相手に密接しないと行えない だが彼女の師は―――射程距離に入れば行える そう、物体運動停止に長けていた
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*A・Yさん トマトはあまりしっくりこないんです。 だって果汁が全然赤くないじゃないですか。果肉もそんなに赤くないし。 えー、西瓜は結構お約束でありますが。 「脳みそボーン♪」でも面白そうでしたが(ネウロネタ) 戦闘型が非戦闘型に負ける方が凄い虚しいですし。

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