朝、港を出てすぐのところに10隻ほどの船が固まっているのが見えた。
ヒトが数人浮いているのが見えた。
船がひっくり返ったのかと思い、急いで行ってみると
1匹の弱った、(多分)ゴンドウクジラが必死に浮いていた。
まるい頭を突き出して、呼吸をするのがやっとのよう。
操船しながらミチコさんに
「海に入って見てみるかい?」と聞いたら
「いやだ、これではみんなで囲って追いつめてるみたいだよ・・。」と。
確かにそうだな。
それでも、一刻も早く誰か助けてあげて。とか、
元気になってくれるといいな。とか、
僕は思わない。
生き死には毎日のように目にするし
結局いつか死んでしまう。
そいつの死ぬ時の尊厳を大事にさえしてあげれば。
ずいぶん泳ぎ回ってきた外洋の事とか
家族のことなんかも、クジラなら思い出すんじゃないかな。
そんなことをゆっくり考える時間が大事なのではと。
その場を離れて少し船を走らせると
鮫が水面を泳いでいるのが見えた。
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