高校3年の春。
俺―長谷祐樹は藤宮香織と恋人になった。
周りからは祝福されはしたものの正直恥ずかしくて仕方なかった。
そして、香織も異性と付き合ったことがない為どう対応していいか分からないようにも見えた。
でも、普段と変わらない。
一緒に学校に行って、会話をして、手を繋いで、たまにお互いの家に遊びにいったり、デートをしたり、屋上で弁当を食べたりしている。
「祐樹くん///っご飯食べよっ!」
顔を赤く火照らせた香織が俺を呼ぶ。
「///っ(かわいい)うん。食べようか!」
俺も少し照れながら後を付いていく。
「おい!お前ら付き合って3か月だろ?いい加減慣れろ!」
相変わらず無表情で愛想なく桐生は言ってくる。
毎日こんな感じで俺は充実している。
一点のことを除けばだが…
「おい、香織。こいつまた鼻の下伸ばしてんぜ?でれでれしすぎなんだよ。てか、なんでこいつと付き合ってんだよ?」
「何でって、好きだからだよ?」
「///っ」
「香織ちゃん、言うね〜」
隣で山岸が言う。ちょめちょめと殻かってくる。
「はぁ…」
こいつは一。俺の嫌いなやつ。何かカッコいいぜオーラ出しまくっている。
山岸は香織の3人目の友達。明るいがのほほんとしており、何かと抜けている。
「もう、家族になっちまえよww」
と、桐生。これには俺も香織も照れる。
「結婚しろってこと?」
俺と香織は声を揃えて話す。
「そこまで息ピッタリなんだろ?―案外、お似合いなんじゃないのか?」
桐生が続けて話す。周りも同情し、頷く。
家族になってしまえば日記も関係なくなるわけか。つまり一生忘れることなく覚えているというわけだ。
「でも、祐樹くんとはいずれそうなるかも///」
「おっ、香織ちゃんからプロポーズするの?」
「今の発言は大した言いぐさだな。」
そんな話をしている間にベルが鳴り響く。
俺たちは急いで弁当を片付け、教室へと足を運ぶ。
教室がわいわいと騒がれている中教師が戸を開け、入ってくる。
「席つけー!授業、始めるぞー!!」
数学。俺にとって天国か地獄かと問われる長い一時間が始まる。
そして、これから彼女―藤宮香織との生活も始まるのだ。