アニメ投稿小説掲示板
ようこそいらしました。ここはアニメ関連の投稿小説掲示板です。 ルールとしては ・何のアニメか記載すること です。また投稿する際の注意点を読んでおいてください。
ホームページへ戻る
ホラー系の話が好きな方、読んでくれるとうれしいです。
登場人物持田哲志中島直美岸沼良樹篠崎あゆみ持田由香篠原世以子鈴木 蘭森繁朔太郎宍戸結衣刻命裕也冴之木七星オリジナルキャラクター斧正ひのき 文芸学園百瀬加奈 如月高校
(回想)―先生、あの子は本当にいつもの優しい子に戻ってくれるのでしょうか?―そのために今、全力を尽くして頑張っているんですよ。もうひと踏ん張りです、奥さん。―でも、私にはどうしたらいいか。やっと仕事が安定して時間が作れたと思ったら直美があんなんだから。―どうですかね。気分転換に出かけたりするのは……。―…分かりました。直美に説得してみます。階段を上がる音を聞いて、直美はピタリとも動かず、そのままベッドの端に立っている。「直美、入るわよ。」母親の声が聞こえても直美は返事を返さなかった。ゆっくりと部屋のドアを開け、直美のいる方に歩いていく。「……」無口に済ます直美に全く覇気などなかった。ただ、毎日同じことを繰り返す。そんな感じ。「明日、気分転換に散歩をしないかな、直美ちゃん。」「……」相変わらず無口な直美は振り向いて、口をパクパクし始めた。「で…て……け…」「えっ……。」何を言ったのかわからなかった。「出ていけー!」「直美ちゃん!ママはあなたが心配で……。」「私はおかしくない。他のみんながおかしいのよ!」そう言って私は暴れた。床をドタバタ蹴った。壁も蹴った。跡が壁に残る。微かに壁がぼこぼこになっていた。「直美ちゃん!」
私はこれから始まる恐怖に耐えきれなかった。私は文化祭前夜。友達の世以子と幼馴染の加奈を家に泊めることになり、一気に家は賑やかになった。学校とはまた違った一緒にいる時間を楽しんだ私たちは、時間も早く感じて食事をしていた頃だった。世以子が急に私の口にから揚げを運んできた。「はい、あ〜ん。」えっ、と冗談混じりに言うと、世以子は私の口に本当に運んできた。私は、口を開けて、世以子からもらったから揚げを旨そうに食べた。「あなたたち、仲がいいのね。フフ」いつも静かな食卓は二人の友人で満たされ、笑いのある食卓になっていた。「明日は文化祭だし気合入るね〜」間から加奈がそう言って、明日の文化祭の気合を私達に入れてくれたんだ。そして、私たちはお風呂に入っていた。3人で体を流しながら、私たちは時間さえも忘れていた。この2人がいなかったら私はこんなに楽しくなかったかも。私はずっと一緒にいたいって心から願っていたんだ。それなのに、悪夢は文化祭の後の儀式から始まったのだった。そして、私たちはそろそろ寝ようと2階に上がった。それでもなかなか寝付けず、喋っていた。「世以子、ベッドの横に布団あるのに、ここにネルの?」「この暖かいし、この方がいいよ。」直美が寝返りをしたら、世以子が落ちてしましそうだ。とにかく気を付けよう。そして、待ちに待った朝が来た。
文化祭当日。私は朝から不吉な予感が胸を過っていた。何かとても嫌なことが起きるような気がして…。『デヴァヴ』って言うんだっけ?前にも似たようなことがあったような。そんな気がして。この時からあんな儀式をやらなければよかったんだ。哲志の言う通り、辞めていれば、こんな事にはならなかったんだ。文化祭を終えた私たち。やはり片づけを済ませ、9人の生徒が残る。だめ、みんな帰らなきゃ。でも、話が切り出せない。声が出ない。苦しい。皆、死んじゃう。「それでは、転校してしまう、宍戸結衣さんに、離れていても一緒にいられる≪幸せのサチコさん≫のおまじないを掛けます」先生が人型の代紙を取り出した。そして、それを残っている皆でちぎる。しばらくの沈黙の後、ドアがガタガタと揺れた。誰だ!?そう思った瞬間。哲志の妹、由香だった。「お兄ちゃん、傘忘れているよ。」この子も犠牲者となる一人になってしまう。そして、由香が入ってきた時、準備が整ったと言わんばかりに、「ちょうど、こんな雨の日だった。」雷雨とともに流れ聞こえてきた少女の声。そして、突然の停電。床が暗闇で見えなくなった時―見えなくなったんじゃない。空間的に穴が開いて、吸い込まれたのだった。しばらくして私―直美は周りの状況に気が付いた。
そこは見たこともないような古い校舎。ただ立ち尽くす。腰を強く打ったのか。腰が痛い。直美は腰を抑えながら、立ち上がる。「みんな〜!!誰か、いないのー?」ありったけの声で叫ぶ。届くはずもないのに。分かっている。ここは「天神小学校」だ。あの代紙はこの事件を引き起こした大きな鍵で使い捨ての駒に過ぎない。私は精神が狂ったように笑いこんだ。アハハハッ!ハハハッ!ギャーハハハッ!ヒッヒヒッヒャヒャッ、ハッ!皆、死ぬ!アハハハハッ。還れない。カエレナイ。かえれない。カエレナイ!ゲヘッ。オエッ。ハァハァ。私のこの様子を見て、目の前にいた世以子はただ愕然としていた。「ガハッ、オヘッ。世以子!いたんだ。ゲホッ。」口の中がおかしい。何か喋りたいのに。喉に何か詰まっている。髪の毛?誰……の?「皆、生きて帰りたいのに、あなたは、皆、死ぬって!あなたは私の知る直美じゃない!」凄い形相で目つきを悪くした世以子が私から離れるように走り去っていった。―世以子、そっち言っちゃダメ!私は声にならない叫びでそう言った。届かない。と―。激しく学校が揺れ始めた。かなり強い地震。その場の雰囲気がガラリと変わる。行けなくなった場所。行けるようになった場所が激しく分かれる。とにかく進んでみよう。まず、私は保健室に立ち寄った。死体がベッドの上に眠っていた。その死体の周りにハエがうろつく。その死体を調べると、男子で名を府長敏明と書いてあった。蒼空学園の3年生。先生が座る椅子の前、机には写真があった。痩せて細くなったがりがりの先生だった。男性。その横をスッと横切る影を私は見逃さなかった。「だれ〜!?もう嫌だ!こんな場所!誰か、助けて!!!」声にならない叫び。私はどうかしたような様に力の限り叫んだ。誰ひとり返事すらしない。鮮血に染まったこの学校。「ハァハァ」息を切らす。私を余所にゴソゴソと動き出す影。「誰!そこにいるのは誰!?」「キャハハ!バレちゃった?アハハハッ!」小学生くらいだろうか。髪の長い少女がこちらに歩み寄る。だが、何かいい気がしない。この女から血の匂いがする。辺りを地に染めたのは彼女だろうか。「迷いこんだラ最後、あなたの友達トあなたハ「確定運命」二より死ぬことニなる。ギャーハハハッ!助けて、殺さないで〜。アハハハッ!運命には抗えない。皆死ぬんだよ!前より、残虐で惨い死に方をしてね。楽しみだナ!」そう言うと、彼女はスッと消えてしまった。(…今の、サチコだわっ!世以子が殺される!)助けなきゃ…?助けなきゃ…!助けっ!
他の皆が死んでしまう。「確定運命」で抗うことさえ許されはしない。まだ真実は知らないが、追々真実を知るだろう。彼女がこうなってしまった理由を。そして、皆を死なせたりはしない。必ず、日常を取り戻すんだと意思を堅くする。―無駄なのにネ。そう聞こえた気がする。急がないと世以子が危ない。私は少しも油断出来ないと痛感したのだった。2階に続く階段を上がると、一本のろうそくがあった。火が付けっ放しで私はそれを拾った。それに加え、「マッチの箱」が落ちていたのを知り、ろうそくの火を消し、あまり消費しないようにすることにした。―キャーーー!助けて。直美、直美!助けっ!世以子の声が聞こえたと思うと、急に声は途絶えた。急がないと、世以子が殺られる。そう思って走った。だが、直美の足に誰かが捕まり、倒れてしまったのだ。倒れた直美は引きずられ教室に持っていかれてしまった。「きゃっ!痛い!イタイイタイッ!痛い!!」穴が開いている廊下を擦られ、木片が皮膚を突き刺す。流れ出る血の音がピチャピチャと繰り返されるだけだった。やっと体に自由が戻り、立ち上がり辺りを見回す。だが、暗いためにろうそくを取り出し、マッチ箱からマッチを取り出し、火を付けた。すると、辺りが明るくなるとともに目が慣れるのに少し時間が必要だった。そして、ぎょっとした。生きている者とは全く違う者が目に映されたからだった。私はこの教室から走り去るように出て行った。そして、さっき声がした方向を歩いていくことにした。廊下を歩いていると、3−Aの教室が目に止まった。そこに世以子がいる気がして。
教室を覗いたが、腐乱死体が散らばっていた。世以子がこんな場所にいるわけないと私は、教室を出たんだ。ここ天神小学校では、様々な人々が呼び寄せられ、死んでいる。私たちもこの二の舞になるかと思うと、途端に気持ちが悪くなる。私はそんな気持ちを堪えて、廊下を歩き続ける。サチコと出会ってどのくらい歩いただろう。恐らく、世以子はまだ生きているとは思うが、そろそろ記憶が疼き出す。世以子が危ない。「世以子〜!どこなの〜?ねぇ、一人にしないでよ!」叫ぶ私の声は到底届かぬ程小さかった。ここでは、サチコの思い通りになってしまうのか?でも私は運命を知っている。救い出せる運命が見える。今度こそ絶対に助けてみせる。私はお母さんから貰った『お守り』に誓ったんだ。今度こそ守れる…そんな気がして……。どれくらい死体を見たか私はわからなくなっていた。でも、女子トイレにはたどり着いた。(ここの三番目に世以子がいる!)こじ開けるようにドアを開けた私は驚愕した。やっぱり、思ったとおりだった。世以子は首を吊って死のうとしていた。「…世以子!今、助けるから!」私はお守りに尋ねる。(どうしたらいい?母さん!)私はふと思いつく。肩車だ。だが、その先に果てない悲しい運命が見える。それを阻止するため、先ほど階段のワイヤーを切った。私は考えるよりも先に世以子の体を抱き寄せ、肩車をして、苦しさから解放させた。ゆっくりと息をさせるように指示する私を世以子は指示に従ってくれた。そして、制服のポケットにお守りを入れてあげる。「……直、美?直美なの?」「そうよ。私よ…」私は心から喜んだ。運命を抗ったのだ。そこへ―。『キシシッ!助かっちゃったカ?『確定運命』ニしてなかったノかな?アハハッ!嬉しい、お友達との再会は?アハハハッ、エーハハハッ!』「うるさいな!あんたが世以子を殺すことになるのに、血を美味そうに飲んで!」『アハハッ!記憶を消しておくべきだったナ!まあ、次で殺すから精々足掻きナ!フフッ、アハハハ―!ギャハハハッ!ヘヘッ!』コープスパーティー〜激〜完
登場人物鈴木 蘭森繁朔太郎斧正ひのき百瀬加奈※今回の犠牲者です。
文化祭当日。私達のクラスでは喫茶を開いていた。その準備に手間を取ったけど、楽しかった。その後、片づけを終えた私達は、委員長さんの『幸せのサチコさん』のおまじないをしようと誘い出てきたのである。持田くんが必死に止める間もなく、私達は出された形紙を引きちぎっていた。すると、床に穴が開いたと思うと、私達はその穴へ吸い込まれるように落ちていったのであった。そして、辿り着いたのは、ある学舎。周りにいた直美さん、世以子さん達はどこへ行ったのだろうか?心配になったが、どこかも知らないこの空間で捜す事にしたんだ。「痛っ……!」目が覚めて、深く刺さるガラスの破片に私は驚いた。どうしてこんな目に……。胃がキリキリ痛む。痛みに耐え、立ち上がりまず森繁を捜す事にした。よく辺りを見ると、保健室があった。この傷を治療したいと思ったけど、保健室に入りたくはなかった。何か嫌な予感がしていて……。
私は嫌がるように保健室前の廊下を歩く。辺りに散らばる死体をあまり見ないように。と、一体の死体の真上に人魂を発見した。『…此処に誘われた、新たな犠牲、者か…』「きゃっ!」驚いて振り返る私を見て、苦笑する。『君はまだ、覇気があるようだね。その勇気、絶対に捨てないで。それと思いやりを捨てないように…―ここでは、すべてがなくなるからな。気をしっかり持て!後、サチコに出会ってはいけない!死が確定してしまう!』そう言い残して、人魂は消えた。人魂を見たのは初めてだった。死体といい、人魂といい、サチコといい一体何の冗談なのだろうか?だが、不思議と私には冗談に思えなかった。ひとだまが 消えるのを確認すると、そこに古びた鍵が落ちていた。「この鍵に合う部屋に行けって…?」そう頭に直接聞こえた気がした。中々辿り着かない。この鍵に合う部屋。そして、全身に覚える違和感。血の気が引いて頭に上ってくる。痛い。目が充血して、頭が痛い。緊張感だけが抜けないこの地獄のような学舎から早く出たいとしか考えがつかない。もうがむしゃらだった。死体に付いていた名札を確認するところ、まだ私の友人は死んでいないことが理解できた。みんなで生きて帰るのだから、死んだとは絶対に認めない。諦めの掛かった私の脳裏は、友人というワードに救われた。そして、私は再び歩き出す。この先に待ち受ける運命を抗うために…!!
人魂に渡された『古びた鍵』を握り締める。絶対にこの天神小学校から脱出すると誓う。皆で。全員揃って。ここから脱出すると。そして、また部屋を探した。すると、まだ見ていない保健室にピタリと当て嵌まったのである。入りたくなかったがために調べなかった唯一の場所。ここに何が待ち受けているのか。「…気は進まないけど。入るしかない、よね」自分に問いかけてその部屋に入る。そして、そこには二人の姿があった。「直美っ!起きて!」ベッドに寝ている直美を慌てて起こす世以子。嬉しさで滲み出る涙を繭は抑えた。今までの憎悪感が嘘のように消えていた。一人という恐怖感が消えて嬉しさが出る。「二人ともずっとここにいたの?」廊下を進むより怪我をしている直美を寝かせておこうと世以子が試みたのだった。だが、それは、繭が嫌な予感をしていた頃にはこの二人も歩いていたと言う。やはりあの嫌な予感は当たっていたのだ。この形紙が知らせてくれたのかもしれない。「他のみんなはいないの?」繭の言葉に世以子は顔をしかめた。「それが、私達だけ。他はこの学校の別次元にいるって人魂から教えてもらったよ」でも、出会えてよかった。嬉しさが込み上げてお互抱きしめ合いながら涙を浮かべる。「よし、そろそろ進もう!」きっとまだ、生存者はいるはず。私はそう信じていこうと思った。死体が散ばっていても私は希望を捨てない。あのとき人魂に言われたことを忘れてはいけない気がするから。
登場人物森繁朔太郎刻命裕也斧正ひのき百瀬加奈宍戸結衣
一体の死体に動きを止め、写真に収める。俺は何をしているのだろう。こんな画像消してしまえよ。いや。ここから生きて脱出してからだ。(ふふっ!どうしたらここまでいいように死体を再現できる。これは彫刻刀で首を切られた跡か。しかし、この子の死のデッサンは最高傑作だ。くくっ!俺が見惚れるのも無理はない。)だが、このまま見ていては始まらない。先を進むか?とその時だった。「誰かいるのか?」透き通った低い声が隣の教室から響いてきた。ガラガラと開ける茂った音が静寂した廊下に響いてくるのがわかる。「君は何をしている?」見られたか。携帯に残した画像。「いや。証拠でも残そうかと思ってね。この場所は恐らく異空間だ。とても危険な臭いがするからな。警察に届けたほうがこの子の成仏に繋がるかもしれないからね。」「そうか。それは君に任せるとして。僕は友人を捜しているんだ。友人が片足を切ってしまってそのまま足を捜していたら、ここで君と出会ったわけだ。」平気で血に埋れた片足を肩に担いで話すこの少年は何者なのだろう?出来れば、あまり行動をともにしたくないな。「僕も友人を捜しているからな。出来れば君も友人も捜す都合があるなら協力してほしい。」「ふっ。そういうことか。なら分かったよ!」名を聞くと、刻命と言うらしい。俺は刻命と協力して友人を捜すことにした。どれくらい歩いただろうか。もう死体を見るのも慣れてきた。ただそうそう何回も死体を見ていると気分も悪くなる。様々な死体。首が折れている死体。失血死、ショック死、見ているだけで大体の死様が分かる。ただ保健室近くの廊下に異様な者を見つけてしまった。青くボヤッと光る男の子の霊。下を眺めながら体育座りをしている。近づいてはいけないと思い、後に引き返した。だが、その男のいる先の廊下から結衣先生の声がした。何かとてつもない叫んでいるかのような声、俺はこの幽霊に怯え、先を進むことさえ愚か先生を助けに行くことさえ許されなかった。
俺にはできない。許されることもない。この先にいるだろう先生は、目の前の男の幽霊によって道を塞がれていた。「くそ!どうしたらいいんだよっ!?」俺はその辺の木片を蹴る。足に弾かれて宙を舞う木片は男の幽霊の隣にある階段にまた弾いてバタっと音を立てて倒れた。「森繁くん?とか言ったか。落ち着いて何か方法を考えよう。何か、あるはずだ!」こいつリーダーシップ気取りやがって。「そうだな。埒が空かないし何か手段を探そう」俺は刻命の言うようにその何かしらの手段を探そうということで再び歩き出した。2階の廊下の突き当りを進んだ俺達は、「錆びかけた鎖」「風水の魔よけ」を手に入れていた。だが、鎖に鍵が掛けられていた。その鍵がどこの鍵かはわからないが、鎖につながれていたために重くて鍵を穴に差し込むのができなかった。鎖を何とかすることを考えた俺達は、絡まれている鎖を少しずつ解いていたんだ。何分経っただろうか?数時間、数日。だが、俺達は早くも合流して此処から帰る事しか頭になかった。鎖から取れた鍵を手に入れ、俺はこの鎖も一応持つ事にした。何か役に立たないかと思い。前のなけなしの記憶を信じて……。
「錆びかけた鎖」「古びた鍵」「風水の魔除け」この三つが今与えられたキーワード。俺達が迷い込んだ此処―天神小学校。刻命と俺は階段脇に座る男の幽霊との対峙に悩まされていた。「さっきのアレを使ったらどうだ?」刻命が口を開き、俺はアレを思い浮かべる。(…―風水の魔除け、か?)そう思い、俺は風水―聖水をその幽霊に掛けた。『…ううぅうううう!』もだえ苦しむように倒れ込む男は消えていなくなった。そして、俺達はようやく宍戸先生の場所へ行くことができるとその時思っていた。「ハァハァ…此処は一体何なの!?」驚きに声が震える。全てに私は驚く。司君。こういう時初恋だった彼に会いたいと強く願う。だが、こんなところにいるわけがないだろう。私は死体が並ぶ廊下を歩いていた。声にならない叫びの代わりに涙があふれ出る。生徒に見られたら笑われると私は涙を堪えた。「森繁く〜ん、繭ちゃ〜ん、直美さ〜ん、世以子ちゃ〜ん!」生徒の名前を呼びながら歩き、捜す。だが、声すら愚か足音さえ聞こえてこない。―無人の校舎。私はここから出れないのだろうか?でも、私がこんな弱気だと…。『出れるさ!きっと、お前なら!』ふと司君の声がした。『俺は昔ここを出たんだ。方法なら知っている。お前なら出れる。だから、絶対に形紙の切れ端をなくすなよ。これは生と死に繋がるヒントだ』直接頭に響いてくる声は司君そのものだった。その時だった。青い光に包まれて少女が一人現れた。その後の反動に大地震。学校が崩れてしまうと思うほどの激しい揺れに耐える。この校舎自体だけが揺れている。これは“呪いの校舎”アンデッドスクール!?とでも言うの。昔、聞いたことがある篠崎ヨシヱ、篠崎サチコの失踪事件。校舎にいるはずの二人はなぜか発見されなかった。『ちょうどこんな雨の…できご…だった…わ』青い光が近づいてくる。『私はこの校舎の渡り廊下から雨を眺めるのが好きだった。』―でも。痛快していく彼女の記憶の物語を聞いていると、私は激しい頭痛に耐え切れず倒れてしまう。それにあちこちから血の気が引いて、頭がずんずん重くなる。体の四方が痛くなり、血が噴射する。私は傷口を押さえる様にそのまま気絶していた。遠のく意識の中、足音が響いてくる。誰かがこっちにくる。えっ?森繁君と後?誰だっけ?
遠のく意識の中で声だけが耳に響いていた。怪我をして動けなかった私を捜してくれたのか。「……先生!しっか…ろよ!」途切れ途切れに聞こえる声に意識を戻す。ゆっくりと目を開けると、そこには森繁と名も知らない少年が立っていた。「君の先生が見つかって良かったな。」「ああ。まさかここにいるとはな。だが、怪我をしているみたいだな。さっき包帯拾ったよな。あれ使えるか。」「そうだな。ちょっと汚いが、仕方がないだろう。」女性にとってあまり汚い医療道具だったが、この非常時だ。仕方のないことだった。怪我は大したことはなかったし、歩くことにも支障はなかった。治療を終えた俺たちは一刻も早くここから歩き出した。「ごめんね。先生、足手まといで……。」「そんなことないよ、先生。頑張って出ようぜ!」「そうだ。私、赤い服の少女に会って聞いたのだけれど、世以子ちゃんが亡くなったそうよ。」驚愕だった。真実。突如告げられた真実に俺は胸を打たれた。
クラスメイトの死を受け入れられない森繁。頬を伝って冷たい水が流れ出た。全員揃ってこの呪われた校舎から抜け出すつもりだった最初の約束は最後に死という重い運命から逃げられず幕を閉じた。そんなことがありながらも決して諦めた訳ではなかった。「……俺達だけでもここから脱出して、ちゃんとこいつらを見送ろうぜ!」それがどこかも知らない場所で亡くなった魂を癒すことになれば。再び、出口を探すことになり、先生の足の状態も徐々に回復に向かっているようだった。刻命、森繁、宍戸先生は、それぞれ部屋を調べていた途中に、森繁がふと『古びた鎖』を見つけてた。その鎖に結ばれていた二人の生気のある人間を見て、森繁は別行動の二人を呼び掛けた。「おい!ここに生存者がいるぞ!」その声に本当か!と微笑み浮かべる先生と刻命の姿が見て取れた。「この鎖が邪魔で取れない―何か方法はないのか?」と辺りを見回す森繁に渡されたのはペンチだった。「これを使え。そこの棚で見つけたんだ。」そのペンチで鎖を徐々に曲げ、解いていく。二人はまた襲われているのかと勘違いをし、体を振って暴れる。その姿に。「大丈夫よ!今、森繁君が助けてくれるから!」その優しい先生の声に力が抜けるようになり、二人はそのまま動かなくなった。鎖を解いて、間もない時間で意識を取り戻した二人は、どうやら在学中の高校生だったようだった。「助けていただいてありがとう、ございます。俺、斧正ひのきです。こっちが同級生で幼馴染の」「百瀬、加奈、です。あの、ありがとう、ございました。」二人の自己紹介などが終わった後、俺達は四人揃って歩き出した。この怖い禍々しい雰囲気から逃れるために。「ああ〜あ……。おい、木偶の坊、お前の獲物が消えた、ぞ★次は鬼ごっこか?えぇ!!―捜せ、木偶の坊!地獄の底まで、な。うふふっ!ココカラ、逃ガサナインダカラ、ナ?!」『ウゥウウウウゥゥゥ!』背後から聞こえた声に、俺達は一斉に振り返った。図体の良い男がこちらに斧を投げてきた。半ばぎりぎりで避けたことを余所に何やら外したといわんばかりに『おしい〜』とその背後から少女の声が聞こえてきた。「その獲物をわ・た・し・にちょ〜・だい★」「お前が…この校舎の支配者?サチコ?」(…おい、どうしたんだよ、俺?なんでコイツ知ってんだよ?)「…おい、どうしたんだよ。俺。何で?コイツ知ってんだ?」声を揃えて真似てきた少女に俺はふと思い出した。「そうだ。会ってるんだ…。コイツに、みんな、コイツにあってるんだ…」それで、俺は首が最後に飛ばされて死んだんだ。その言葉に沿って現れる首の痣。それはだんだん広がり、はっきりしてきた。「そんな……俺、死んでたのか…もう決まってイたのか?俺のミライ覇?」プシューーーーーーー首が落ちてくるのがよくわかる。俺の体。目が何か眩む。痛い…。これがアノ時の感情か?俺、帰れないのか。ごめんナ。母ちゃん、父ちゃん。繭。最後に会いたかったけど・・・。もう、会えなイかラ。皆はここから出るんだぞ。俺みたいに死んだりするなヨ。------------------FIN-----------------------
テスト期間中の合間の短編小説でした。次の犠牲者は、ゼンインです!最終回、ミライこの校舎に入った者にミライは存在しない!
--------------------追憶-------------------- ―呪われた校舎からの脱出― ―死体で発見した同級生― ―並べられた不可思議な語句― ―篠崎サチコ、篠崎ヨシヱの正体― ―見慣れない光景、地震で変わる道筋― ―……意思を持ったかのような校舎……―それが能力者の家系が作り上げた呪いの校舎。天神小学校。ある儀式を行うことで現れる世界。そこに引きずり込まれた俺達は伴う犠牲に悲しみの気持ちを表しながら、今生きて戻ってきた。あの事件から5年が経った今では、俺―持田哲史の通っていた如月学園が廃止されるということで会社の有休を使い、里帰りをして来ていた。皆も集まるということもあり、俺は一足先に如月学園に着いていた。(……もう廃止なのか。5年前と少しも変っちゃないのにな……)自分が通って、卒業した母校がなくなるのは余程悲しい結末だった。だが、決まったことで仕方のないことだった。「おい!哲史、じゃね?」向こうから4人の集団が近づいてきたのが分かった。「先生!変わってないじゃない!」「変ったわよ。もう子供も生まれて、家庭持って大変なんだから。」「先生、結婚したのか?―あぁ、司って人だっけ?」昔聞いた先生の初恋の人。その人と結婚したみたいだった。幸せなんだな。きっと今生きてれば、あいつらも……事実上元々いなかった人間されているが、俺達だけでもその存在を忘れないようにしていたから。「お茶でもしながら話ししようよ。」
喫茶店での会話が続く。昔話をしながらゆっくり飲み物を飲む。その昔話に一切触れなければ……。“運命”は変えられたのだろうか。「天神小学校、か。」「俺達、危険を伴いながら生還したんだ……。」そして、同級生に犠牲者が出たこと。その犠牲者は最初からいない存在になる。篠原世以子、岸沼良樹、森繁朔太郎の三人の犠牲者を生んだ。助けられらかった不甲斐無さにこの5年間どれほど苦しんだことかわからない。ただ、その5年間で俺は会社のエリートになった。こんなことあいつらに自慢できないなんて。同窓会なんてそれぞれの自慢大会じゃないか。こう、楽しいこととか苦しいこととか話したり、笑いあったり…。そんなことも許されないのか。天神小学校で出会った謎の少女と女性。篠崎サチコ、篠崎ヨシヱ。彼女らは恐らく家族と見て間違いはなかった。そして、その他にも難点があった。彼女達の目的。話し合った結果、俺達は、当時の事件を調べると共に、死んだクラスメイトが少しでも安らかな思いになるように励むことにしたのだった。白桜駅。そう呼ばれるようになったには、一つの伝説がある。桜が白く咲いたことや、その村には人の怨念から白色の桜しか咲かないという伝説。元を辿れば、篠崎家があるということ。超能力家系に育った篠崎家は、村である問題を起こしてしまう。それから篠崎家は家庭も学校関係も崩壊していった。白桜駅に着くと、迎え出たのは、何とも怪しい感じの老婆だった。「この先に山奥には行ってはならん。お主らの命に係わる。」そう言われた。まるでこれからその山奥に俺達が行くのを予測しているかのように。気味が悪くなったあゆみは、その老婆を押し倒す。「何、気味の悪いこと言うのよ。何なのよ、あなたは!?」「…私は篠崎フミヱ、ヨシヱの婆じゃ。あの呪われた小学校の謎が知りたいのじゃろう?話してやるからあの山奥だけには行くな。」「…山奥には何があるの?」「それをこれから話すのじゃ。」そう言って、後をついてくるように促すと先におばあさんは歩き出した。着いたのは、神社だった。白桜神社。そこの中でおばあさんが待つように言った。お茶やお茶菓子を持ってきたおばあさんは、私たちをなんとしてでもあの山に行かせたくはないらしい。せめて、それが何でなのか言ってほしいけど。「あの山には、篠崎家があった。村から貶され、仕方なくそこの山奥に家を建てた。それから現在にいたるが、そこにある姉妹が訪ねてきた。お主らと同じく天神小学校から生還した者からの幾つかの質問を答えてもらいにきたんじゃんろう。だが、ヨシヱとサチコはそいつらを殺してしまったんじゃ。しかし、もう10年も前に家を取り壊したからな。ヨシヱもサチコも家もないはずなんじゃが、何故か死体も発見されないまま、事件は迷宮に終わった……―だから、山奥だけには行ってほしくなかった。真実を知れば、殺される。それが我が一族に定められた決まりなのだからな。ほれ、分かったらお帰り。私は殺したくはない。それが一族の決まりであったとしても、わしの気分の変わらぬうちにさあ御帰り……。」優しく微笑み言うおばあちゃんを見て直美はふと早く帰らなければならないという思いに襲われた。「―帰ろう。帰らなきゃ今日はヤバい気がする。」直美のその言葉に4人は恐ろしくも同意し、駅に戻ろうとした。ふと、哲史は嫌な気配を感じ、その場所に振り向くと、ボゥと光る家が目に焼き付かれていた。
本来存在しないはずの屋敷。それが、今目の前に建っている。それだけで背筋に冷風を感じる。ここは天神小学校と違う妖気。そう篠崎あゆみが訴える。できるなら早く此処から去りたい。帰りたい。お婆さんが行くな≠ニ言った意味が自覚できた。それでも、真相を確かめるために足を動かす。お守りの塩をポケットの中でギュッと握りしめる。すると、心なしか安心した。―よし、行くぞ! もう何年も人が住んでないこともあり、辺りには蜘蛛の巣などが天井のあちこちにあった。それに血生臭い!玄関を去り、二階へと足を進ませるが、階段の中腹辺りで一階から足音がしてきた。「えっ?誰もいないんじゃ?」小声で直美が言うのを哲史は聞いていた。「そのはずだけど……」あゆみが階段から一階を覗き込む。すると、血相変えて言葉を発した。「隠れて!ヨシヱとサチコがこっちに来る!」哲史と直美と刻命が後ろを振り向く瞬間、階段を走り昇る音が聞こえてきた。あまりの驚愕に急いで襖に隠れる。もう少し遅かったら見つかっていた。いや、確実に殺されていた。俺達は無事に戻った人間。そんな奴らを生かして返せるかよ。まして真相を知った人間を牢獄から逃がすわけもないだろう。ここは、あいつらの縄張り。俺達は所詮迷い込んだ動物に過ぎない。襖から地下に続く道を発見した。金庫のように小さな空洞は人一人ずつがやっと通れるくらいの広さだった。中は予想外に広かった。この空洞にいればまず安心だろう。なんとなくそんな気がする。 -book of shadows-「そうよ!篠崎家に伝わる魔本が此処にあるのよ!」いきなり形相を変えて、あちこちを探しまくる篠崎あゆみ。その姿はなくした大事な物を捜す人のようであった。「おい、そんな騒ぐとバレ――」もうバレていた。「手遅れだヨ〜。皆この巣窟で殺してやるヨ!」「そうだヨ、サチコ!殺してしまいナ!狂った世界をぶっ壊しちゃなヨ!」「揺れよ、…鎮魂の魂。滅びよ、死を持って。我に従い、我を守れよ―シビダレ・ニシノ・マカラチニ!」「何!book of shadouwsを従える女が―われらの家系の生き残りがなぜ此処に……。」雄叫びを上げ、消えていく、鎮魂の魂そのもの。そして、篠崎あゆみは術者に帰ってくる呪いにより、その場に倒れこんでしまった。
真相こそ掴めなかったものの事は終わりを告げた。篠崎あゆみは気絶はしていたものの命に別状はなく、病院で数日休暇を取れば問題はないそうだ。この四人で未来を繰り広げられた。犠牲者は、その後病院で気を取り戻し、あの残虐な記憶はすべて消えていた。―俺達は埋まった時間を取り戻したのであった。