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アニメ投稿小説掲示板

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ルールとしては
・何のアニメか記載すること
です。また投稿する際の注意点を読んでおいてください。

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[1374] BLEACH さら - 2011/10/09(日) 11:46 -

オリジナルキャラクターです!
恋BLEACHを描いていきたいです。


*新キャラ*

・颯真 優貴(ソウマ ユキ)

髪は黒いショート。目が赤い。
クールな性格だが仲間思い。
ルキアの心友。
山本元柳斎の義理の娘的存在。


・斬魄刀「颯坐(フウザ)」

解号「牙をたたせ」

黒く巨大な虎のよう。解号すると小さくなり、クナイのようになる。
口にくわえて戦闘する。
ソール・ソサイティで一番切れ味がするどい。
少しでも触れると、深く傷を負わせる。

・雷牙
・地雷


卍解「从刀颯坐(ジュウトウフウザ)」

・百花雷

[1376] @ さら - 2011/10/09(日) 12:58 -

空は青いけど…―――


深い森の中…――


「優貴ー! どこだよぉー!!」

怖い…。
優貴、どこ?

「修兵…大丈夫?」

泥だらけの顔をした女の子、優貴。
何もない貧しい世界で出会った少女。
手にはいっぱいの木の実。

「私から離れるなって、言っただろ?」

「だって…優貴ぃ…速っい…グスン」

僕は……泣き虫だ。
まるで、僕が女の子みたいだった。
いつも優貴は、僕を守ってくれる。そばにいてくれる。
それが、当たり前だった。

「泣くな…男だろ?」

頭に手を置いて、なでてくれるのが嬉しい。
身長は、やや僕のほうが低い。
でも、そっちのほうがいい…。

そっちのほうが、落ち着く――――



「…うわぁー!!」

バシャーンッ!―――

「ったく…修平のばか。魚が逃げただろう?」

優貴の言葉が悔しくて、また泣く僕。

「うっぅ…うぅ…」

「……ふぅ…ほら、」

白い細い手がゆっくり差し伸べられる。
いつも、僕はこの手につかまってる。

「修平、泣くなって」

「…うぅ…っん…」




空は暗くなって―――

二人で採った木の実や魚を、たき火を囲み食べる。

「…なぁ、修平」

たき火の煙で、優貴の顔はよく見えない。

「……んー??」

魚を食べながら、ふと返事をする僕。
おいしいなぁ。
今日はごちそうだね。

「……私は多分…死神に連れていかれる」

手が…止まった。
いま…なんて言ったの?

「……え」

「修平…私の力……分かるだろう?」


私の力

時々優貴は…急にうなり始めて、苦しそうになる。体から黒いオーラみたいなのが出てきて、それを優貴の体を覆いつくす。
一瞬、何かの動物みたいな声がする。
僕は…何度か、襲われた。


「死神は…私が危険な存在だと、私を捕まえに来る…。それに、これ以上修平を傷つけるわけにはいかない」

僕はちらっと、自分の腕を見た。
何ヶ所か消えない傷が…まだある。
これは、優貴に……。

「…そんな!! 優貴がいなくなったら僕は……」

涙がポロポロとまた流れ出す。
やだよ…。ずっと、ずっと一緒だったんだ。
なのに…?

「私も…嫌だよ。でも……」

自分の胸を抑え、一つ涙を流した。
初めて見た…。優貴が泣いてるところなんて…。

「じゃ…じゃあ! 逃げよう!!」

「…え…」

「僕と一緒に逃げよう!! 死神が来る前に」

涙を拭って、優貴の腕を掴んだ。
今、気づいたんだけど…。
僕はいつも掴まれてばっかりで分かんなかった。
優貴の腕は…こんなにも細いってことを。

「…修平」

「僕が優貴を守る! だから逃げよう!」

「……だめなんだ…。死神の気配を感じる…」

目を閉じて、耳をすませる。

「近づいてきてるんだ…」

風か、小動物か…
草が少し動くだけで怖くなる…。

「でも!! 頑張って走れば大丈夫……」

赤い瞳…その瞳の中に僕は写っていて…。
少しぼやけて写ってる…。
それは……優貴の目から、涙が流れてるから…。

「…修平…お前は逃げろ。私と一緒にいたら、お前も危険な存在だと………う″ぅっ!」

また……この悪い感じ……。
優貴の体から、黒いオーラが流れ出る。

「…にげ…ろっ!!!」

苦しそうに言う優貴。
あたりに優貴のうめき声が響く。
それは…まるで怪物のようだった。

「ゆぅ…き……!!」

「あ″ぁぁぁぁぁ!!!!」

怖い……
怖い……

また……

優貴に襲われた記憶が蘇る……。

『やめてー!!!』


怖い……


「いたぞ! ここだ!!!」

声が聞こえたと思うと、黒い服を着た人達が、一斉に出てきた。
刀を抜いて、僕たちを囲む。

「あ…あぁ…ああ……」

頭が真っ白になった。
もしかして、この人達が……死神?

「そこの子供! いますぐそいつから離れろ!」

そいつって…優貴の……こと?

「い……嫌だ!!!」

声が震える…。
この人達は…なんなんだ……。

「そいつをよく見てみろ!! そいつは……化け物だ!!」

化け物

ゆっくり…隣にいる優貴を見た……。
黒い大きな塊……。
ゆっくりと…動く……。

「…ゆ………」

言葉が失った…。

大きな黒い……虎…?
牙が長く…黒い雲をまとっている……。
黒い…電気?

すべてが黒に染まった……化け物…。

「…ひぃっ…!…逃げろガキ!!」

腰が抜けたって言うのかな……。
怖い……。
これは、優貴じゃない…。

化け物だ…

足が…動かない……。


すると……―――


「……うぅぅぅぅ」

低い声…大きな口と牙が僕に迫ってくる…。
恐怖で声も出ない…。

「やめろ!!!」

死神が一斉に…襲い掛かってくる。

体が…浮いた。
服を掴み、僕を大きく投げ飛ばす。
そのとき…少し聞こえたんだ。

さようなら

って――――


死神の刀が、形を変えて…化け物に襲い掛かる。
血が噴出した。その血は…化け物の……。
いや、優貴……でしょ?

「ウァァァァァァアアァァアァァァ!!」

奇妙な悲鳴をあげ…化け物は倒れた。
一切…化け物は反撃しなかった。
ずっと……僕を見ていた。

それから…優貴は死神に連れて行かれた……。
最後に見たのは…光の綱で運ばれていくところだけ…。
あれは確か、「鬼道」だと優貴は言っていた…。



「……ゆ………き」

あれから…その後僕はどうしたんだろう……。
泣きつかれて……寝てしまった……。
優貴がいない…初めての夜だった……。

[1377] A さら - 2011/10/09(日) 14:50 -

痛い…

苦しい…

寒い…

悲しい…

寂しい…


修平―――


「…ちょっと……あんた、大丈夫か?」

鉄と土のにおい…。
…誰かの声……。

「まだ…子供じゃないか」

「かわいそうだな…」

何人も…いる?
かすかに目を開けた……すると―――

「あ、あんた…大丈夫か?」

白い…着物?
死神ではない。
ここは……檻の中…?

「びっくりしたぜー。なんでお嬢ちゃんだけ、檻の中なんだろうなぁー」

「ひでーもんだぜ、なぁ?」

「あぁ」

「そうだな」

なんだ…?檻の中にいる、動物を見るよな目…。
私は……?

「みなさん、こんにちわっす」

明るい声……。
…誰?
白い着物の人達が道を作る。
その道を通ってきたのは…―――

「…!!」

黒い…着物。
死神……だ。

だめだ…殺される……。

「あ…君がこの前来た、新しい子っすねぇー」

顔がよく見えない…。
死ぬ……ものか!!

「…お前……なにするつもりだ」

「…おっと…そんな怖い顔しないでくださいよ」

私は…生きているのか?
なぜ…殺さなかった? 

死神……

死神……

殺してやる。
そうだ…私の力なら、こいつらに勝てる…。
そして、修平を迎えにいこう。
こいつらなんか……殺して……。

「だめっすよ」

「…!」

「殺すなんて…あなたは自分の力をコントロールできていないんだから」

こいつ……!
私の考えていることを…!!

「…きれいな瞳っすね。いい色だ」

そう言って…私と一緒の檻の中へ。
私と同じ目線にまでしゃがみ込み、手を握った。

「…ちょっとだけ……僕の話、聞いてみませんか?」

温かい手だ……。
優しそうな顔……。心が…安らぐ。

だから…か…?

「………うん」

思わず、頷いてしまった。




死神は檻から出し、洞窟の中を案内した。
私は…ここにいたのか?
ここは……何なんだ?
死神には殺されると思っていたが……。

「ここは、蛆虫の巣と言います」

「蛆虫の…巣?」

「はい、『危険分子だ』と判断されたものが集められている囚人達の巣です」

「…危険…分子……」

「…君は小さいのに、頭が良いっすねー」

罪を犯したわけでもなければ、そのまま放置するわけにもいかない…。
そんな者達の巣…。

「君の中には強大な化け物がいる。それを、斬魄刀の力にして、君が操るんです。君はきっと…強くなる……」

斬魄刀…?
昔…聞いたことがある。
でも…よく覚えていない。

でも…あの刀だ。
私を切った……あの死神達の…。

「つまり…なんだ?」

「君は……死神になったほうがいいっす」

「…!」

私が…死神?

「なにを!「君は…」

「さっきも言いましたが…強くなる」

まっすぐ…私の目を見て言った。
いつも…怖がられていた瞳…。
真っ赤な瞳。
それを…こいつは褒めてくれた。

「僕を信じてください」

死神を信じるなんて……嫌だ。
でも…この力をコントロールし…また、修平と……。

「お前…名前は?」

「浦原喜助っす!…えーっと…」

「颯真優貴だ…………喜助さん……














            死神になります」

[1388] B さら - 2011/10/10(月) 22:49 -

ここは…なんて辛い生活だろう。

喜助の許可で私は檻から出てもいいと言われた。

「興奮しない限り、優貴さんの力は発動しない」

と喜助は言った。
興奮とか…私が幼いから、きっと簡単に説明したんだろうな……。
ここは、どこへ行っても同じ風景。

周りは嫌な感じの奴ばかり…。
霊圧って言葉を喜助から教えてもらった。
喜助は何度か来てくれて、私の話相手になってくれた。


修平は…どうしているだろうか?

心配になって…喜助に助けを求めるが、喜助は、「もう少しの辛抱」と言った。


ここでは、死神は斬魄刀を持ってはいけないと言われているらしい。
だから喜助は刀を持たず、危険な状態で来る。


だから…――――

時々、囚人達に襲われたりしている。


でも……喜助は強い。



「喜助…お前、隈できてるぞ?」

「いやぁー!昨日も研究してて…でも、優貴さんが……」

「優貴でいいよ…。てか、そう呼んでくれよ」

「え?あーそうっすか?じゃあ…優貴で」

喜助といると…どうも心が早く動いて痛い…。
体温がいつもより2度は上がっているんじゃないかってぐらい…熱い。


時間はかかったが……分かった。


たぶん私は………喜助のこと――――









それから、何ヵ月後―――


「優貴さん、やっと抜け出せますよ……」

眩しい…。
たくさんの死神と…白い羽織を着た女の人。その隣には喜助。
私は喜助の力で、蛆虫の巣を抜け出せた。

「ほぉー…想像していた子より、ずいぶん可愛い子じゃな」

「でしょでしょー夜一さん」

…どうやらこの人は、夜一さんと言うのか…。
他の死神達は、あの人に深く頭を下げている…。
あの人は…一体?

「……喜助」

と、喜助の着物の裾を少し引っ張った。

「ん? どうしました?」

しゃがみこみ、私の口元に耳を傾ける。

「なぜ、あの女の人だけ白い羽織をしてるんだ?」

「あぁー。あの人は、二番隊の隊長なんです」

「……隊長?」

「はい。優貴が真央霊術院に入ったら、色々分かりますよ」

「真央…霊術院」

「死神になる学校です。その学校を卒業したら、死神になれるんすよ!」

「お主は今からそこに行くんじゃ。私が頼んで、今すぐ入院できるよう頼んだ」

「……ありがとうございます」

「…良い子じゃ!」

乱暴に、私の頭を撫でる。
細くスラっとした体…。綺麗な髪。
こんな美人が、隊長なのか……。


森を抜け、真央霊術院に移動となった時―――

私の周りを死神で囲んだ。

「……っ」

怖くなった…。

あの夜を…―――
思い出す……。

「…あのー夜一さん」

「なんじゃ?」

「僕、優貴の隣に行っていいすか?」

「ん?いいぞぉ。じゃが、小さい子に鼻の下伸ばすんでないぞ」

「なんですかそれ!」

そう言って…―――
喜助は私の右で歩いてくれた。

胸が高鳴る。
首を思い切り上に向けなければ顔が見れない。
なんて…高くて、遠い。

だから、少し嫉妬する。


あの隊長さんは…喜助とよくお似合いで――――







森を抜けると、綺麗な建物がたくさんあるところへ出た。

「…ここが、尸魂界っすよ」

そう喜助は呟いた。

あたりをよく見ると、死神がたくさんいる…。
でも、私と同じ歳の人なんて……いない。
もちろん…修平はいない。

「さぁ、こっちっす」


尸魂界―――

ここで私の、新しい生活が始まった。

[1389] C さら - 2011/10/11(火) 10:11 -

「おい…あいつなんだよ?」

「まだ子供じゃん! 私達よりぜんぜん歳下だし…」

「ここもなめられたもんだなぁ…」

生徒の陰口…―――
クラス分けの試験は私はしなかった。
私のクラスは2組だ。

死覇装ではなく、男女では色が違う着物を着た。
少し、大きい…。


「おいテメー」

天井から声がしたと思った。
上を向くと、体が大きい男子生徒が私を睨んでいた。

「なんでテメーみたいなガキがこんな所にいんだよ」

「…………」

私は…もう色んな大人から怒鳴られてる。
村から村へ、窃盗を繰り返してきたのだから。
こんなことじゃ、どうも怖くなれない…。

「無視してんじゃねーぞ!!」

そう言って、私の頭を手で掴んだ。
私の小さな頭は手の中に納まってしまう。

だが―――

急に生徒は手を離した。

「や、やめなよぉ! そいつの瞳、気持ち悪い!」

「あ…あぁ……変な霊圧だ……」

化け物を見るかのような瞳―――
この赤い瞳のせいか…?


なぜ、人は私を怖がる?


修平は……なぜ、私を怖がらなかった?

喜助は……なぜ、あんなにも私に優しい?









なぜ……だ?








「破道の三十一、赤火砲!」

周りから、そんな声が交互に耳に入る。
手から赤い玉が、大きな音を立て的に向かう。
死神が用いる霊術の一つ。私を…縛った術でもあるのか……。

「すごぉーい! 的に当たったじゃーん!」

「でしょー!」

的に当てた人達は、互いに褒めあっている。
じゃあ…そうすればいいのか?

「次っ!」

私の前にいた女子生徒がいなくなる。
前に立ち、的へと手を突き出す。

「破道の三十一…」

周りと同じく、手から赤い火魂が音を立てる。
的に届かず、地面に落ちる人もいれば、的にかする人もいる。

私も…―――


「赤火砲」


ドォォォォ!――――



「な、なんだ!?」

黒い煙が、私達を覆う。
かすかに見えたのは、的はなくなっていた。

「っす…すげぇ…」



でも…―――

逆効果だった。



「あの子…気持ち悪い……」

「あぁ…」

廊下やクラス…―――
私の居場所は、ない。


「はぁっ!」

木刀が床に落ち、音が響く―――

「一本!」

組み手で男子生徒に勝っても―――

「気持ち悪い…」


そんな声は消えない。

じゃあ、私はどうすればいい?
どうすれば…あなた達は、私を受け入れてくれるのだろうか…―――




でも、それでもいいと思える時がある。


「で、どうすか優貴? 死神のお勉強は♪」

「………あぁ…いいんじゃないか……」

たまに、喜助は遊びに来てくれる。
そのたびに、私達は屋根の上で、月を見ながら何気ない話をする。

「……どうしたんすか?」

「……いや、私がどんなに成績を残しても……周りは認めてくれない…」

屋根の上に寝て…月をじっと見つめる。
なんだか懐かしいんだ。
よく、修平が眠れない夜は、二人で月を眺めた。

「この赤い瞳のせいか…妙な霊圧のせいか…」

「……あなたを見ている人は、きっといます」

「………そうか?」

「はい、少なくとも私は見ていますから」


そんなさりげない言葉に…胸が痛くなる……。


「がんばれ」


そう言って…大きな手は私の頭を撫でてくれた。
暖かくて…嬉しかった。

[1390] D さら - 2011/10/11(火) 11:14 -

私も早く、喜助に追いつきたい。
歳は追いつかないから…せめて、一緒の所にいよう。

早く…卒業しよう。

周りの目なんか気にせず、私は早く早くと卒業を目指した。

「斬」「拳」「走」「鬼」

高め続けた。

早く、早くと―――

そして、死神になったら修平を
迎えに行こう。




そんなある日だった―――

「喜助…遅い」

いつものように、屋根の上で喜助を待つ夜。

すると…――――
白い羽織…が目の前に現れた。

「いやぁーすいません!」

白い羽織…―――
背中には「十二」と書かれていた。

「……喜助…お前……」

「あ…優貴は知らなかったっすかね?僕、隊長になっちゃったんすよ」

「……すげぇ…」

うまく…言葉が見つからない。
喜助は、隊長になった。
彼は…もっと、もっと遠くへ行ってしまった…。

「…お前は…どこまで距離を伸ばすんだよ…」

「…は、はい?」

「……いや、なんでもない」


少し悔しくて……言えなかった。

「隊長就任、おめでとう」なんて……。

私も、死神になったら護廷十三隊に入る。
そして十二番隊に入って…喜助のそばにいる。

いたい。


「いやぁー僕、似合わないでしょ?」

「…ぷっ…そうだな」


だから、待っててくれよ…―――















小さい幸せだった…喜助―――

それがいま、なくなろうとしていた。


数ヵ月後―――


「喜助……また遅い」

少し久しぶりだ。
最近、喜助は何かの研究でしばらく会えないと言っていた。

すると今日…地獄蝶が私の元へきた。

「…喜助だ」

今日、会えますよ

久しぶりに、喜助と話せる。
嬉しかった。

「しかし……」

なにか…妙な感じがする…―――
いま、何かが…起こっている

なにが…ある?


その夜―――

いくら待っても、喜助は来なかった。

「……喜助?」

知らなかった。
喜助の身に何が起こっているかなんて……。
ただ…いやな霊圧を少し感じた。

それだけだった。


その夜だけじゃない。



あれから喜助は……




二度と現れなかった―――

















数年後―――


私は、真央霊術院を最短で卒業することができ、
その実績で、護廷十三隊に入隊することができた。

籍はもちろん、喜助の十二番隊と決めている。

しかし…久しぶりに会うのは緊張する…。

寂しさとか、悲しさじゃなくて…心配だった。
あの数年前に感じた、霊圧は…なんだったのだろうか?

新品の死覇装。
まだ、新しい匂いがする。
そして…―――出会った刀、「颯坐」
腰に付け、初めて護廷十三隊へ―――


でもまずは…―――

護廷十三隊の総隊長の元へ。
そう隊長に呼ばれ、部屋の前へ。

「…失礼します」

実は…総隊長が誰なのか、まだ知らない。
ガチャっと音がし、広い部屋の中へ―――

「……颯真 優貴」



……え…―――


目の前が真っ白になった…―――



「お…お前……」

「…総隊長に向かって「お前」などとは…随分しつけがなっておらんな……」


山本元柳斎重國…―――


「……祖父…」




何十年前…―――

こいつは……!!!




「………お前が総隊長だったとはな…」

「ずいぶん大きくなったな……まぁ、わしはお前の成長を見るために呼んだのではない」

「……くっ…」

相変わらず…むかつくじじいだ…。

「お前…希望の隊が十二とは言うが…お前はそこに向いてはいない」

「…なっ!!!」

「なぜ、お前は十二番隊に入りたいのだ…?」

「…十二番隊隊長、浦原喜助隊長の下につきたいからだ」

「浦原……喜助」

「…あぁ……」

数年ぶりだが……きっと喜助は私を覚えてくれている。

そして、ちゃんと言う。
「隊長就任、おめでとう」と。




「浦原喜助は……いない」




………!!!!

いま…こいつは……なんて?



「な…嘘を言え! 喜助は十二番隊の…」

「奴は尸魂界を追放された」


………追放!!??

なぜ喜助が!?


なぜ……!

この数年間の間に……なにがあったんだ!?


「一体、何があったんだよ!!??」

「口を慎め!!!」

「…………」

「浦原喜助のことは、もう禁句とされておる…。部外者に話すことは許されない」



なぜ……!!

なにも言ってくれなかったんだ……


私は喜助の……何だったんだ………!!!



「お前の真央霊術院での実績を眺め、お前は私の隊、一番隊への入隊を勧める」


……喜助は………もう……いない……。


寂しさ、悲しさ、辛さ


それがいま…憎しみに変わった―――



「……はい」


憧れの十二番隊…―――

憧れのあなたの隣…―――









優貴〜!



そうなんすか?



いやぁ〜













君はきっと…強くなる……














もう、さよならだよ…――――

[1391] E さら - 2011/10/11(火) 15:37 -


優貴…

行かないで…―――


「お…おい……お前、大丈夫かぁ?」

「生きてるかな?」

かすかな声…。
ゆっくりと…まぶたを開けた。

「あ、目開けたぞ!」

ぼやけながら、ハッキリ写る人…。
誰…?

「…ん…」

重い体を起こし、まぶたをこすった。
目の前にいたのは、僕と同じ歳ぐらいの人達で、僕を囲んでいた。

「……え…誰?」

きょとんとしている僕に、優しく話しかけてくれた。

「お前さ、もしかして一人なの?」

「だったら、俺らの仲間になったら?」

よく見ると、着物はぼろぼろで僕と似ていた。
この2人も…一人だったの?
優貴以外の人達と、仲間になったことがなかったから…嬉しかった。

「………うん」

「よっしゃ! お前、名前は?」





















「……檜佐木修兵」
















「そっかぁ…そいつ、死神に連れて行かれたんだな…」

「かわいそうだなぁ…」

「殺されたのか?」

「ううん…分かんない……。でも、殺されてはないと思う」

「え?なんで分かんだよ」

「……いや…遠くに、優貴がいるような気がするから」

この胸の中に…いると思うから。
そう確信して、寂しい気持ちを抑えた。











虎彦と牛次との生活は、すっごい楽しい

二人が元々住んでいた家は、少しボロかったけど、なかなかの家だった。

「おーいいくぞぉー!」

「おーう! 修平はー?」

「いいよー!」

三人一斉に川に飛び込み、魚を捕まえたり、
誰が一番木に早く登れるかなど…。
男の子らしい遊びをしてたくさんして過ごした。

「よーいっ…どん!」

おいかけっこは、僕の得意中の得意。

「修平は速えーなぁ…」

そう言って、虎彦は地面に腰を下ろし、息を切る。
だって当たり前。僕と優貴は…いつも走っていた。


このガキー!

泥棒ー!!


『修平! 逃げろ!』


生きるために、走っていた。



「…修平?」

「…あ、」

「なにボッーとしてんだよ! 行くぞ」

「…おう!」

そのおかげなのか…僕は少し、男らしくなったと思う。




でも、夜になるとたまに…――――


『修平、大丈夫か?』


やっぱり、優貴を思い出す。

僕のお母さんみたいで、お姉さんみたいで…。
ずっと、一緒にいてくれた人。

優貴を思い出すたんびに、涙が溢れる。


優貴、いまなにをしているの?

大丈夫?

どこか痛くない?




会いたい…―――














たくさんの日々が流れた、ある日―――


「なぁなぁ、今日はもっと奥の森に探検しに行かねーか?」

牛次が、木の棒をぶんぶんと振り回し言った。

「お! 面白そう!! 修平も行くだろ?」

「森って…大丈夫かよ?」

「大丈夫だって! なんか出たら、俺がこれで倒してやるからよ!」

「それただの木の棒じゃねーかよ」


子供の冒険心に心が揺られ、僕達はいつも遊んでいる森の奥深くへと入った―――


ここで、僕の運命が変わったんだ―――

[1397] F さら - 2011/10/16(日) 01:01 -

奥へ、奥へ…――――

一歩、一歩…足が進むたび、胸がザワザワする。
この胸騒ぎはなんだろう…?

楽しみとか…そうゆうの?

なんか違う…―――



なんか……―――




嫌 な 予 感 が す る …











二人の笑い声が、だんだん遠くなる。

足が重くなる。

僕だけが感じる、この嫌な感じ……―――


「…待って」


似てるんだ。


「二人とも待て!!」


あの時と…―――




…にげ…ろっ!!!















ギャァァァァァァ!!!――――




「「「!!!」」」

一斉に声のするほうを向く。

「…………」

声が出なかった。
白い仮面を被った、でかい化け物…。

……あれは…いったい……


「うわぁぁぁぁ!」

「なんだあれ!」


でも、ひとつだけ……わかる。


「……ろ」

僕達は……こいつに、殺 さ れ る

「逃げろ!!」

震える声を必死に出した。
足が…重い…。
逃げろ、逃げろ、逃げろ…。

殺される。

「修兵! あれなんだよ!」

「いいから逃げろ!」

三人一斉に、先へ向かって走る。
でも、長い舌のようなものを伸ばし、追いかけてくる。

僕ら子供の足じゃ……逃げられない。


「……う、うわぁ!…あぁ……あぁぁぁ!」

死にたくない恐怖。
怖い恐怖。








いつも怖いときは……―――


優貴が…手を差し伸べてくれた……。




ねぇ……優貴はこんなとき、どうするの?



わかんないよ…。
教えてよ…。

僕……何もできないよ。


「優貴……」


必死に叫んだ…。
もしかしたら、優貴が助けてくれるかも…。


修兵!


僕は…いつも優貴の背中を……見ていた。


逃げろ

って……。


僕は、たくさん逃げてきた。


誰も……守れない。


「うわぁぁ!!」


虎彦…―――


「うあぁぁ!」


牛次…―――



大切な人を……―――

守れない…


















なんて、嫌だ。








「……うぅ…」

足を…止めた。
立っている感覚がしない。
今にも大声を出して大泣きしたい。

でも……

守らないと。

「こい! 化け物!!」

近くにあった、太く大きな木の棒を掴み、襲い掛かってくる舌に思い切りぶつけた。
しかし、何度も襲い掛かってくる。

でも…これなら食い止められる。

「早く逃げろ!」

そうだ。
そうだった。

優貴は……いつもこうして、僕に逃げろと言っていた…。

そうでしょ? 優貴…―――


「なにしてんだ! 早く!」


その瞬間―――

舌が僕を巻きつけ、仮面…あれは顔なの?
顔の近くへ持っていき、大きく口を開けた―――

こいつは…僕を食べる気なんだ……。

殺される……。

怖い……。


「…あ………あ……」


死にたく……ないよぉぉぉ!!














一瞬…―――

風が吹いた―――


気がついたら、僕は地面にいた。


薄っすら目を開けると―――


「やれ!」

…白い…服?
あれは…羽織。

背中には九の数字が。

その人の声で、一斉に刀を持った人たちが化け物を倒した。

………この人達は……?

よく見ると……みんな黒い着物を着ている。


………死神?


「……おい坊主」

この人は、他の死神に命令していた。
きっと、リーダーなんだろうなぁ。

「早く逃げろ。ここは危ない」

「…………」

何もいえなかった。

ただ……かっこいい。

胸に書かれている6と9の数字。
この人達は……かっこいい。

ただ、それだけ。


あっという間の出来事だった。
その人たちは一斉に消えた。

……………あれが死神?


僕の心の中に憧れというものが湧き出てきた。




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