ゾイド系投稿小説掲示板
自らの手で暴れまくるゾイド達を書いてみましょう。
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ヘリック共和国とネオゼネバスの大戦争も両軍の激しい消耗により一時休戦という形で終わりを告げた。しかし、ヘリックとネオゼネバスとガイロスの力が弱まったそのチャンスを各地の先住民や反乱勢力が逃すはずがなかった。中央大陸、暗黒大陸でいままで3国の制圧を受けていた小国などがめきめきと力を付け始め、領地を拡大し始めたのである。まさにそれは惑星ziの戦国時代とも言うべきものだった。そして、その戦乱渦巻く世の中で治安が悪くなり、盗賊などの物騒な者たちが現れるのは当然のことである。しかし、中央大陸の東側の一部を治める小国、ラウラレディアはその盗賊による被害で苦しんではいなかった。
「〜〜♪」ラウラレディア王国の城下町で一人の若い男が人が行きかう道のど真ん中を気分良く鼻歌を歌いながら変わったあるき方で進んでゆく。そして、不意に「酒場」と看板に書かれた家の前に止まると、その家に入る。中は人の笑い声や叫び声でいっぱいだった。その男はカウンターの席に座り店員に「生ビールをジョッキで一杯」と頼むとまた気分良く鼻歌を歌い始めた。「だかだかだかだかだかだかだん!」景気良い太鼓やラッパの音が辺りに響き渡る。そこは城の処刑場。ラウラレディア王国が盗賊の被害を受けない理由に、名の高い盗賊などをわざわざ処刑場で処刑し、国民や他の盗賊などにみせつけ、ラウラレディアに盗賊が来ないようにしているためという理由がある。そして、今まさにそれがやられようとしているのはヘルフ・へブリフルームというまだ21歳の盗賊である。このヘルフは各地の国の官邸などを襲い多大な金を奪ったり皇帝を襲ったりしたかなり名高い盗賊であり、それによって潰された国も少なくない。だが、ヘルフは部下などがいない。たったもう一人、相棒のセルハルト・サルクと2人だけで数々の悪行をこなしてきたのである。不意に太鼓やラッパの音楽が鳴り止み、縛り付けられているヘルフたちを見る群衆の中から数人の男が剣を持ってでてきた。処刑執行人である。そして、今まさにヘルフが処刑されようとしたそのとき、群衆の後ろから巨大な何かが現れその何かは一瞬にして縛り付けられているヘルフの元に近づくとその何かから一人の人間が出てきた。出てきたのは、そう酒場でビールを頼んだあの男、セルハルトである。そして、何かとは深緑の狼型ゾイドエヴォリューションウルフであった。そしてセルハルトは何秒も立たないうちにヘルフノ縄を解くと二人でエヴォリューションウルフのコクピットに乗り込み、そのままどこかへいってしまった。そんな様を群集やその場にいたすべてのものがただただ呆然と見ていた。
おお!なんだか始まり方からもう面白そうですね。Ziの戦国時代ですか・・なんだか今の世界情勢と似てますね。それにしても小説の書き方もお上手ですしもう言うことなしです。これからもよろしくお願いします。
「はぁはぁ、はぁはぁ」数人の子供たちがホエールキングの離陸場でそこの警備員たちに追っかけられている。彼らはいつもここで警備員たちを困らせている悪がきたちだった。と、いうのもこの子達は孤児院の子供たちでいつも孤児院から抜け出してきてはこの離陸場で警備員たちと追いかけっこをして遊んでいるのだ。少なくとも、子供達はそう思っているらしい。そして、その子供たちは口が開いている1機のホエールキングを見つけ、その機体に入っていった。「探せー!緑の狼型ゾイドと黒髪の男と青い髪の男だ!必ず見つけて捕まえるのだー!」太い声が処刑場の中に響く。ラウラレディア王国の王、ファルト・ラウラレディアである。その声に反応し、処刑場の中があわただしくなり、何十人ともいうべきラウラレディアの兵やゾイドが街中を走っていく。そのころ、セルハルトたちは離陸場のすぐ前の森林の中に光学迷彩を張りながらいた。「あったあった。まじかで見るとやっぱでかいなぁ」エヴォリューションウルフのコクピットの中で黒髪の若者が叫ぶ。セルハルトだ。そして、セルハルト達の目の先にはラウラレディアのゾイドである証拠でもある紅いカラーリングに白い模様がついたホエールキングが並んでいた。実は、セルハルトたちが盗賊に対して罰が厳しいラウラレディアに自らはいっていった本当の目的はラウラレディアが今現在惑星Ziじゅうの国の中で最も強いといわれるホエールキングを所持しているため、そのホエールキングを1機奪いたいというものがあったのだ。「さて、と。早く頂戴してトンずらするか。」「といったってどうやって取るんだ?警備が厳しいようだけど。」これはヘルフだ。「まぁみてなって。俺に考えがある。」そういうとエヴォリューションウルフを砲撃形態に変え、右側にあるホエールキングに向かって何度か砲撃を繰り返す。すると、当然のごとく警備していたゾイドや兵たちはそのホエールキングに向かい、一部のものはセルハルト達のいる森林に入ってきた。「小説とかでよくあるだろ?こういうの」と、セルハルトはヘルフに振り向くと冗談交じりにウインクしてまた正面に向き直ると機体を反対の左側にあるホエールキングに向かって動かした。セルハルトの計算どおり、こっちのホエールキングには警備のゾイドや兵たちがいなくなっていた。光学迷彩をやっているため、警備員たちはセルハルトたちが左側のホエールキングに向かったことは知る由もない。一機のホエールキングの前に行くと、そのホエールキングの口は入ってくださいといわんばかりにあいていた。実は、これもセルハルトの計算のうちで、あらかじめ整備中のホエールキングを見つけてから砲撃したのだ。そして、すべてはセルハルトの計算どおりにことが進み、無事ホエールキング内部にセルハルトたちは入ることはできたが・・?
中央大陸オリンポス山。かつてこの山はプロトタイプのデスザウラーの内部核崩壊により、死の山と化した。その死の山の内部に、一つの秘密基地があった。「セルハルト・サルクが動き出した模様です」その秘密基地のある一室で玉座に座っている男に一人の兵士がひざまづきながら報告する。「ほう。場所は」玉座に座っている男が兵士に聞く。「ラウラレディア王国の国境線上を奪ったホエールキングによって逃走中とのことです」「なるほど。今どこに向かっているか、わかるか?」「はっ。おそらく国境を越えた先にある『ハルコフト帝国』かと。」「そうか。では、そっちに刺客を送りたまえ。生きたまま捕らえよ。連れのものは殺せ。追ってこられると面倒だからな」「承知いたしました」そう兵士がいい、瞬きをしたときにはその兵士はいなくなっていた。そのころ、ラウラレディア城姫室。「姫、危険です。今回ばかりは我が精鋭部隊にお任せを・・」「いやよ。あたしだって戦って盗賊たちをこの手で捕らえたいのよ」「し、しかし・・。」姫と呼ばれているのはラウラレディア王国の王の娘であるセリナ。もうひとりはその執事だ。「いい?あたしは誰がなんと言おうとこの手で盗賊を捕らえにいくんだから」「はぁ・・わかりました。しょうがありませんね。」その言葉に執事はとうとう折れるが「私もついていきますよ」と、条件を出した。そのころセルハルトはホエールキングに乗っている荷物を調べていた。「結構食いもんがあるな。お、これもうまそうだ」そんな様を荷物の影から見つめるちいさな影が5つ・・。「あぁ・・本当にうまそうだな」「そうじゃないでしょ。あたしたち盗賊に奪われたホエールキングに乗ってるのよ?どうやって帰るのよ」「いいじゃないか、おもしろそうだぜ。世界中を大冒険!ってな」この子供たちはさっきまで離陸場で警備員と追いかけっこをして(少なくとも本人たちはそう思っている)遊んでいた子供たちだった。「そこのガキ。お前らもこのパン食うか?」子供たちの声が聞こえたのか、子供たちになれなれしく話す。その声に驚いた子供たちはあわてて逃げようとするがいい逃げ場所がない。その間にセルハルトが来て子供たちを捕まえてしまった。「お前ら、俺たちの仲間になりたいか?」子供たちを捕まえたセルハルトは子供たちをつれてホエールキング内の食堂に来ていた。「あぁ!なりてぇ。盗賊ってすんげぇおもしろそうじゃん」「ちょっとハル、盗賊になることがどういうことかわかってんの?」「そうだぜ。人のもの盗んだりひところしたりすんだぜ」「そうだよ。でも食い物はほしいなぁ」「そういう問題じゃねぇだろサブ!」子供たちはそれぞれハルと呼ばれた子に異議を唱える。その意見に対してハルは「盗賊が皆悪いやつとは限らないだろ。いい盗賊だっているはずだ」と答えるが当然他の子供たちは納得できない。そんなとき、部屋中にけたたましい警報音がなった。それとほぼ同時にヘルフから放送があり、「レーダーに敵を確認した。どうやら追っ手らしい。かなりの数だ。早く来い」とセルハルトに告げる。その声でセルハルトも急いで司令室に向かった。子供たちは恐怖で金縛りにあったように動かないが一人だけ、あのハルだけはセルハルトのあとについていって司令室にかけていった。−司令室−「バスターイーグル10機、ザバットが20機、そのうち1機は有人機だ。あとは見たこともないブロックスのプテラノドン型ゾイドが1機。かなりの部隊構成だ。」ヘルフがセルハルトに告げる。「ホエールキングについている武装で先制攻撃だ。なるたけ落とせ。」セルハルトがヘルフに瞬時に命令する。その声に応じてヘルフはビーム砲の全照準を追っ手の機体に向け発射した。ビーム砲はまっすぐラウラレディアのゾイドたちに向かうがほとんどはよける。しかし、それでも数機の無人ザバットは落ちる。「7機落とせた。まだまだきついな」さすがに武装強化されたホエールキングとあってか以外にも多く落とせたがまだまだ敵は多い。そんなとき、遅れてハルが司令室にやってきた。「お前、危険だ。早くどっかに隠れてろ」セルハルトが怒鳴るがハルは一歩も引かず、「俺だって戦う」というと開いていたイスに座る。「どうする?セルハルト」それを見かねたヘルフが聞くが当のセルハルトはしょうがないといった顔つきでハルを見ていた。
ラウラレディア王国。まだ都会化が進まず、どこか地球の中世末期のような雰囲気が漂うこの国の国境線上の荒野で激しい飛行戦が行われていた。「ちゅどぉぉん!」バスターイーグルの激しい砲撃の雨がセルハルトたちが乗っているホエールキングに直撃する。さすがにこたえたのか、ホエールキングの装甲にはゾイド1機ほど入れそうな穴が開いていた。「かかれぇぇ!」セリナの執事の声だ。これはセリナが率いた精鋭部隊であった。セリナの執事の声に反応してバスターイーグルとザバットたちはホエールキングに開いた穴に次々と入っていく。しかし、そんな痛手を負っても墜落しないというその強度は流石惑星Zi一強いホエールキングといったところである。ホエールキング内部に入ったザバットやバスターイーグルは内部で待ち伏せしていた深緑の狼型ゾイドに次々と破壊されていた。そう、セルハルトとその愛機エヴォリューションウルフだ。狭い内部では飛行ゾイドの動きは制限される上、バスターイーグルなどの大型の火器しか装備していない場合、格闘力も十分に発揮できず、しかも大砲は自分のほうにダメージが来るため、使用できないのだ。しかし、エヴォリューションウルフのように小さな火器をたくさん装備している機体はこういう戦いが得意なのである。「ふぅ」一通り入ってきた無人ザバットやバスターイーグルを破壊し終え、砲撃によって開いた穴のところから外を見てみると、有人ザバットがあのプテラノドン型ゾイドをかばうようにして飛んでいるのが見える。なんだろうとセルハルトが見ていると突然有人機のザバットのほうが突撃してきた。「姫はこの私が命に代えても守る!!」「はぁ?何いってんだよ」突然入ってきた強制通信に思わず首をかしげる。その間にも有人ザバットが近づいて来るためセルハルトは気を変えてスナイパーキャノンの発射ボタンを押した。セルハルトは翼の付け根を狙って海に落とすつもりだったが、そのときは狙撃が得意なセルハルトとしては珍しく、コクピットを貫いてしまった。当然ながらパイロットは死亡。このことからプテラノドン型ゾイドに乗っていたセリナの心に怒りをつけた。「いやぁぁぁぁ!」悲鳴を出しながら今度はセリナが突撃してくる。「おいマジかよ」セルハルトは少し戸惑いながらスナイパーキャノンの照準をセリナの乗っているプテラノドン型ゾイドの翼の付け根にあわせ、操縦桿のボタンを押す。今回ばかりははずさず、弾はまっすぐ翼の付け根に向かっていき、見事に命中した。片方の翼を失ったプテラノドン型ゾイドは当然下の荒野に向かってまっさか様に落ちていき、ホエールキングは既にラウラレディアの国境を越えていた。
「でっけー!」「なにあれ、すごーい!」『わぁぁ・・・』子供たちが大きいビルや車を見てはしゃぐ。セルハルトたちは気を新たにラウラレディアの隣国、ハルコフト帝国の港町に来ていた。といってもここは、ハルコフト国内の中でも特に都会化が進み、港町とは呼べないほど発展しているが・・。早速子供たちは探検を始め、走っていってしまった。「いいのか?これで」「あぁ、あいつらには未来があるからな。俺たちといると何かと面倒が起きてしまう。ここなら治安もいいから大丈夫だろう。セルハルトとヘルフが子供たちを見送りながら言った。「さて、俺たちも楽しむか。」「あぁ、そうだな」そういうと二人も歩き出した。「あれですね」「あれですな」「あれよね」『発見!セルハルト・サルク!』「でもどうします?あの人そう簡単に行きそうにないですよ?」「ふっふっふ、俺にいい考えがあるぜ」「え?何々?」「ごにょごにょごにょごにょ」「あ、それいいねぇ、悪役っぽくて」「いけるわよ」建物の影から覗く3つの影がセルハルトたちを狙っていた。「さて、まずはハラでも満たすか」「そうだな」セルハルトたちが表通りをゆっくりと歩いていると、突然2人の黒ずくめの男とパーマをやりすぎというくらいかけた女が道をふさいできた。「あん?」セルハルトが不思議に思うと女が前に出てきた。「ふふふ、セルハルト・サルクね。これをみ・・」「どこのレストラン行く?」「やっぱ洋風だな」女が話してるのにもかかわらず、セルハルトたちは二人で話しながら3人を通り越していってしまった。「ち、ちょっとまちなさいよ。まってよ。」女は二人をあわてて引き止めると、「普通こういうときは『何で俺の名を知っている』とかいうでしょ。」と慌てふためきいうが、「別に。」といってそのままあるいていってしまった。「あぁ、あれだあれ」しばらくすすんでレストランを見つけ。入ろうとするとまた黒ずくめの男と女が出てきた。そしてまたもや女が前に出てきて、「あたしたちの名を聞きた・・」といおうとするがセルハルトは「邪魔」といってレストランに入ろうとする。それを黒ずくめの男が何とか引きとめ、女が言葉の続きを話した。「あたしたちの名はダルト団。あなた、セルハルトに用があってきたのよ」「っ・・ダルト団・・・だと!?」ダルト団という名を聞いてセルハルトがその足を止めた。「お前ら・・まさか・・」「ふふふ・・これをみなさい」女が「パチン!」と指を鳴らすと、黒ずくめの男たちがでてきた。その手には・・泣き叫ぶハルたち子供の姿があった。「ついてきなさい、さもなくば・・」女が言うと、子供たちを捉えている男たちがポケットから銃を取り出して、子供たちの頭に銃口を当てる。「子供たちが死ぬわよ」女が不適に笑った。「ち・・・いいだろう。だが、そいつらには手を出すな。」「えぇ、いいわよ。だけど・・」彼女の言葉に反応して、子供たちを捉えていない黒ずくめの男がセルハルトの隣にいるヘルフに銃を向け、「ヘルフ・へブリームには死んでもらうわ」女の声と同時に男が銃を撃った。しかし・・・「あたらないよ」いつの間にかヘルフは銃を撃った男の首にナイフをつけていた。「ま、そういうことだ。ってことで俺だけ連れてけ。」「くっ・・わかったわ・・・。ついてきなさい。」女がそういうと、男は子供たちを離し、女についていき、セルハルトは黒ずくめの男に縄で縛られ、ついていかされた。「ふふ・・・」残されたヘルフは以外にも微笑していた・・。
『お連れいたしました!』暗い部屋のなか、3人がセルハルトをつかみながら暗がりにいる”誰か”に敬礼をした。そしてその部屋から出て行く。「おいおい、随分乱暴な真似してくださるなぁ。 ゲリオス」残されたセルハルトが”誰か”に話しかけた。「相変わらずだな。セルハルト。」ゲリオスとよばれた”誰か”が返事をする。「で、なんのようだ?ダルト団幹部であるあんたがおれみたいな”野蛮人”を呼び出すなんて。まさかまた・・」「察しがいいな。そのまさかさ。」ゲリオスがセルハルトの言葉をさえぎって即答した。それを聞いてセルハルトが舌打ちする。「今度こそ、教えてもらうよ。キーラの居場所を。」「へっ。だからしらねぇっつってっだろ。全く。」それをきいて今度はゲリオスが舌打ちをする。「こうなったら力づくでも教えてもらおうか。」ゲリオスがそういったかと思うといきなり部屋に明かりが灯り、部屋の唯一の扉からは黒ずくめのがっしりとした体格の男が何人も現れていた。「へ、おもしれぇ」そういっていとも簡単に縄をナイフで切ると、自由になったてでナイフを持ち、次の瞬間一人の黒ずくめの男に切りかかっていた。「いかせてくれよ!」「そうよ!いかせて!あたしたちだって・・」「俺たちだって助けてもらったんだ!恩ぐらい・・」必死の形相の子供たちの中心には20代ほどの青年がいる。「だめだ。それにあいつは大丈夫だよ。よっぽどのことじゃないとくたばらない」「でも・・」いま彼、ヘルフはセルハルトを救うためホエールキングに乗り込もうとしたところをハルたちに自分も行かしてくれとせがまれているのだ。「だめったらだめだ!!」激しいわがままについにヘルフがきれた。「・・・じゃぁな。」そういうとホエールキングに乗り込み出発する。・・が。「へっへーん。」「な、お前ら・・」ホエールキングの操縦室には既にハルたちが乗り込んでいた。ずだぁぁん!「ふぅ、どんなもんだ?」セルハルトが最後の黒ずくめの男を床に叩きつけ、手を「ぱんぱん」とはたきながらゲリオスに勝ち誇ったように聞いた。「っく・・・」ゲリオスは反対に悔しそうにうなる。「ま、結局無駄だったってことだな。」セルハルトの冷ややかなこえがゲリオスに突き刺さる。「じゃ、おれは帰らせてもらうぜ。」そういって出口の扉に向かう。だが、「これでもそんなことがいえるかな?」振り向くとゲリオスの手には銃が握られていた。「脅しか?馬鹿かお前は。俺を殺しちまったらどうにもなんねぇだろ」「お前はキーラの居場所を知らないんだろ」一間置いて、「あぁ、しらねぇな」そういったときには激しい銃声があたりをうめつくしていた。「ふん、だから・・」「だから?」はっとしてゲリオスは前方をちゃんと見た。なんと、目の前にはまたしても勝ち誇ったような目をしたセルハルトが立っていたのだ。「おまえ、どうして・・」「ナイフではじいたのさ。このナイフは特別刃が硬いからな。」「こうなったらもういっか・・」言葉の途中で何かが彼ゲリオスのすぐ右側の空気を切った。ゆっくりと振り向く。そこには深々と壁に刺さったナイフがあった。そして気づいたときには赤と白の色をしたホエールキングが現れ、セルハルトはそれに乗りどこかに去っていた。
「はぁ…はぁ…」1人の女性が果てしない荒野を彷徨っていた。かつてはドレスのような豪華な服のようにも思えたが、今はやつれ、ところどころが破けている。数km後ろにはテラノドン型のゾイドが倒れている。その数km先の上空には1機のホエールキングが…。「ふぅ。さすがヘルフだな。あのタイミングで飛び込んでくるとは。」そういってセルハルトは操縦桿を握っているヘルフの肩を叩く。だが、「はぁ…。まぁ、それはいいんだが…」ヘルフの返事はなぜか暗い。セルハルトが不思議がっていると…。「どん!」いきなりセルハルトは背中を強く押された。それと同時に子供たちの無邪気な笑い声…。「な、お前ら…」振り向くとそこにはハル達5人の姿があった。「はぁ、気がつくとついてこられてたんだ。まったく。」ヘルフが悪態をもらす。「まさかついて来られてるとはな…。お前たち、俺たちは人を殺して者を奪う盗賊なんだぞ?なんでついてきた。」そのセルハルトの問いに子供たちは口々に「だって助けてくれたから」とか「お兄ちゃんたちは悪い盗賊なんかじゃないんだ!」と答えを返す。更には「仲間にしてくれるって言ったじゃん」と鋭い突込みをかますものもいた。その反応にセルハルトは「わかったわかった。乗せてくよ」と頭を抱えながら返す。そしてまるでその場から逃げるように「ヘルフ、現時点は?」と質問の相手を変えていた。「現時点は中央大陸のちょうど東らへん。このまま行けばラウラレディア王国に戻ることになる。」「そりゃ好都合だ。よし、南下しよう。東方大陸へ上陸する」「東方大陸?」「ちょっと知り合いがいてな。」「なるほど。じゃあ、進路をな…」ちょうどその時、レーダーにひとつの反応があった。「これは…人?」「きゅおぉぉぉぉぉ」風の音を交えながら、一機のホエールキングがその女性の目の前に降り立った。そのホエールキングを一目見て、女性は目を見開いた。ところどころにある砲撃のあと。特徴的な白の模様。それは間違いなく彼女の執事の仇が乗ったホエールキングであった。そして、それを見た瞬間、彼女は今までの疲れも忘れて駆け出していた。それをみてセルハルトたちは「向かってきますよ。入れるか?」「入れてやれ」と短い会話を交わす。そして、彼女の向かっていたドアが突然開きだす。「!…く…なめてるの…?」そういいながら彼女はドアに忽然とはいっていった。「…子供?」彼女が入った部屋は操縦室だった。2人の青年と5人の子供がいる。そして、青年のうちの一人は…。「セルハルト!」「んぁ?」セルハルトが間抜けな返事を返す。「く…じぃの…執事の仇!」「っな」突然突っ込んできた女性のこぶしをひょいとかわす。「その声…確かあの突っ込んできたテラノドンゾイドのパイロットだな。そしてその顔、服装…ラウラレディアのいとしの姫セリナ様って所か」そういいながらセリナの蹴りと拳の連打をひょい、ひょいとかわしながら少しずつ後退していく。そして、いよいよ彼の後ろは壁になってしまった。「はぁ、はぁ」セリナはだいぶ疲れた様子をしながら服のポケットから一つの折りたたみ式ナイフを取り出した。「げ、姫様が何でそんなものを」「うるさいっ!」同時に振られたナイフの横一撃をセルハルトはかがんでかわす。同時に懐から一瞬にして同じく折りたたみ式のナイフを取り出すとひゅっ、と投げつけた。ナイフはセリナの右手にあるナイフに当たり、反動で2つのナイフはセリナの手を離れ、セリナが驚いて隙を見せたその隙にセルハルトは一瞬にして壁を離れると、再びナイフを取り出し、またも一瞬にして投げつける。そして、セリナが「はっ」とした瞬間には彼女は服の端をナイフにさされ、彼女の体は壁についていた。「殺して!殺すのよ!」セリナが壁にナイフで押さえつけられ、離れることはできない。ホエールキングは既に東方大陸に向け、再び出発していた。「なんであんなことをした?」セルハルトがセリナに問う。「あなたが執事の仇だからよ。執事はあたしにとって毎日面倒を見てくれたある意味の第2の親みたいなものだった。それなのに…」「ならなんであんな戦場にいた」「それは、あなたたち盗賊をこの手で倒すためよ!」「ふざけるな!」突如セルハルトが怒鳴り声を上げる。「執事の仇?それがなんだ!自分が死ぬほかの仲間が死ぬその覚悟がないでなんであんな戦場にいたんだ!そんなやつに仇だのいう資格はねぇ!」「覚悟ぐらいできて…」「だったら今すぐ帰れ!そして報告するんだ!執事は死にました。盗賊は東方大陸に逃げました。ってな!」そういってセルハルトは操縦室を抜け、自分の部屋へと帰っていった。子供たちが呆然とそれを見つめている。ヘルフはそれを黙って見ていた。
「ほほぉ…奴が…か。」「は、…様。」「あ〜ら。ゲリオス。せっかくのチャンスを逃しちゃったの?しかも頭に血が上って殺しちゃおうとしただなんて。あたしたちの中で一番弱いといわれているだけはあるわ。ふふふ」「うるさい!貴様は黙ってろ!」真っ暗闇の部屋の中、5人の男女が並んで立ち、そしてその前には一人の男が玉座に座って5人の会話を黙って聞いている。「で、どうする?奴らの居場所はわかっているのか?」「ふん、それぐらい把握はしている。」5人のリーダー格と思われる男の言葉に対してゲリオスが返す。「あら、ゲリオスにしては以外ね。」「だから貴様は黙ってろというに。」「はぁ…。相変わらず下品な言葉遣い。まぁいいわ。今回はあたしが言ってあげる。」「なんだと?」「久々に面白そうだし。ふふふ、セルハルト…待っていなさい。」それを5人の中の右端のほうにいる少年が不気味な目で見つめていた。「くくく、僕のウルフ…。待っていてくれよ…。」「ふゥ…」自室のベッドの中でセルハルトは小さいため息をつくとポケットからあるものを取り出した。発信機だ。これをもってダルト団にわざとつかまることでダルト団の支部基地を把握し、さらに発信機の発する電磁波をヘルフにたどらせて救出してもらうことであんな荒業ができたのである。その発信機をどこかに放り投げるとセルハルトは物思いにふけながら静かに眠っていった。「ねぇ…」「ん?」壁に押し付けられたままになっているセリナがホエールキングを操縦しているヘルフにいった。子供たちは既にヘルフに与えられた部屋に戻っていた。「あのセルハルトとかいうのは何が目的なの?」「目的?」「なんか…あれじゃぁただ盗賊をしているようには思えないわ。まるでただ盗んでいい思いをすること以外に目的があるみたい…。ねえ、教えて?あいつは一体…」「あいつは…。俺にもよくわからない」「ぇ?」「ただ、平和を愛している。」「な、なんで平和を愛している人がわざわざ盗賊なんか…」「あいつは盗賊をやりながらいろいろな国の総帥なんかを殺してるだろ?あいつはそうやって国の数を減らして最終的に戦争をなくすのが目的なんだ。」「だったら盗賊なんてやらなくても…。それにただ人を殺すなんて新たな争いを作るだけだわ」「あいつはほめられるのが嫌いなんだ。それに俺たちが殺しているのは国民に嫌われたり、何か悪行をしている国の総帥に限ってやっているんだ。だからそういうことはない。」「…ごめん、あたし…」「気にするな。それにあいつもそんな気にしてはいないさ。」「そう…。」そういうとセリナは一息ついた。「で、どうする?」ヘルフが口を開いた。「え?」「ついていくか、それとも戻るか。」「…あたしは…あたしも平和を愛してるわ。だからついていく。それにあなたたちはただ平和を作ろうとしているんじゃないと思う…。なにか、なにか大きな力に立ち向かっているというか…」ヘルフはそれを聞くと一瞬目をそらしてから「そうか、わかった。セルハルトにはそう伝えとくよ」といってセリナの服の端に刺さっている数々のナイフをはずして自由にしていく。そして最後のナイフをはずした瞬間、突然ホエールキング内に振動が走った。「ぅああ、なんだっていうんだ!」ヘルフはバランスを何とか保ちながら悲鳴を上げる。「きゃぁ!」セリナは思いっきりバランスを崩してその場に倒れてしまった。「なにがあった!」いつの間にか現れたセルハルトがレーダーを確認しに走る。まさにその時、突如として強制通信が入った。「ふふふ。Hello♪はじめましてね。セルハルト・サルク…。あたしはダルト団5人集の一人、蒼白の人魚、シエル。早速だけどあたしたちと一緒に来てもらえるかしら?」「ダルト団5人集か…。ちっ。しつこい野郎だ。誰がついていくかよ!」「ふふふ。そういうかと思ったわ。予想通りだとは思うけど、力づくできてもらうわよ」そういうとシエルと名乗った女は強制通信を切り、ホエールキングの真下、つまり海面から2回目の攻撃を開始した。
「ずどぉおん!」ホエールキング内に大振動が起こる。シエルの愛機が放った砲撃によって起こった振動だった。「機体後部装甲一部負傷。移動にはまだまだ問題ない範囲だ。」「ちっ。好き勝手やってくれるぜ」ヘルフが現状況を説明し、セルハルトが悪態をつく。そのとき、またも振動が起こった。「く、後部エンジンに一部損傷あり。移動に少々支障がおきるな…。これじゃぁ」「しょうがない。エヴォリューションウルフで出る。お前はそのまま全速力で移動させといてくれ。」「わかった。」そういうとセルハルトは司令室を出て走って格納庫に向かっていった。「…あ、あのあたしは…。」セリナが残ったヘルフに聞いた。「……とりあえず子供たちの世話でも。」「ふふふ、このままじゃあのホエールキング、堕ちちゃうわね。」海面からシエルが独り言を言う。彼女の愛機は蒼と白のトビウオのような姿をした海戦用ゾイドだった。「ふふふ、これで終わりよ。もう一回そのひれのさきから特殊な高出力ビーム砲を放とうとしたその時、頭上から一筋の弾丸が落ちてきた。「!」間一髪、反射能力でその弾丸をよける。弾丸の飛んできた方向をみると、そこにはスライド式格納庫からこちらにむかってスナイパーライフルで狙いをつけている深緑の狼型ブロックス、エヴォリューションウルフの姿があった。「そう簡単には終わらせねぇよ」そういうとセルハルトは連続してスナイパーライフルを放つ。ぴたりと狙いを付けられた弾丸はシエルの愛機を少し掠めながら海中へと吸い込まれていった。「ち、やはり機動力は並じゃないか…。」「ふふ、このエレメントフィッシュの機動力に敵うかしら?」そういうと彼女はエレメントフィッシュを一瞬海面からジャンプさせたかと思うと頭部の後ろにある砲口から異様に太いビームを発射した。「なんだあれは。ちっ!」セルハルトはそういうといそいでスライド式格納庫を元に戻していく。。直後ビーム砲がスライド式格納庫の側面をかすめ、その上のホエールキングの装甲に直撃、その装甲をかなり広い幅に渡って溶かした。「…なんつう威力だ…」「さぁ、どうするのかしら?ふふふ」「ちっ…。」その時、どこからともなく飛行ブロックスが現れたかとおもうと数え切れないほどの爆撃をエレメントフィッシュに向かって始めだした。「きゃぁ!一体なんだっていうの」そういってシエルはたまらず機体を海中へと持っていく。『さぁ!今のうちにエンジン全開で逃げるんだ!ここは私たちがどうにかする』その飛行ブロックスからセルハルトとホエールキングの司令室に強制通信が入った。「誰だお前は。」セルハルトが冷たく返す。『ゼルディニクス社長の命令、といえばわかるかな?』「な、なんだと!?」セルハルトの口調と顔色が同時に変わった。『ともかく話は後だ。早く先へ』「…わかった」セルハルトはヘルフに早くいくように通信するといまだに爆撃している飛行ブロックスのほうを見つめていた。
「お久しぶりだなぁ!セルハルト君!」黒髪の男がセルハルトに握手を求めた。セルハルトもそれに応じる。―ここは東方大陸ゼルディニクス(ZerDiNix)社の本社ビルの社長室である。セルハルトたちはあれから別の飛行ブロックスの誘導でここまできていた。その時間約5時間。強化されたホエールキングでなら当たり前だった。途中から爆撃をした飛行ブロックスも後ろからやってきたが自己紹介はせず、ただ誘導していただけだった。その途中夜があけたがそんなことは気にせずセルハルトたちはおきていた。あれが常人だったらもうへとへとで気ゼルしていただろう。「んで、この人は誰?」セルハルトの後ろにいた5人の子供の一人、ハルが全く礼儀のかけらもない言葉でセルハルトに質問した。「お前なぁ…。まぁいい。この人はZ・D・N社というゾイドをつくる会社の社長で、ズラルハ・ゼルディニクスさんという。」その言葉に後ろにいた4人の子供たちとセリナとヘルフが納得する。「ふーん。じゃぁ偉い人なんだな。」「まぁ、な。」その時、後ろのドアが開いた。そこから一人の男が出てくる。セルハルトやズラルハ同様の黒髪に紅い瞳を持ち、顔は整っている。「任務、完了いたしました。」といって彼は敬礼する。その声には聞き覚えがあった。「お前、さっきの」それに真っ先に気づくセルハルト。「紹介が遅れたね。私の名はエルフェス。」「彼は社の防衛部隊の隊長なんだ。この頃は企業争いも激しくなってきてね。防衛部隊も必要になってきてなぁ。」「…なるほど。任務ってのはあのシエルとか名乗った奴の迎撃。」「そういうことだよ。さすがセルハルト君だ」といってにっこりするズラルハ。しかし、セルハルトは言葉とは裏腹に納得してない表情だった。「ところで、セルハルト君。その子供たちと綺麗なお嬢さん、かっこいいお兄さんを私たちに紹介してくれないかな」ズラルハが気づいたように言った。「あぁ。そういえば紹介してなかったっけな…。」と思い出したように返すセルハルト。「まず、かっこいいお兄さんが俺の相棒、ヘルフ。お嬢さんは中央大陸にある小さい国、ラウラレディア王国のお姫様であられるセリナ様。っで、この子供たちはそのラウラレディアのお子様。名前は…」「俺はハル!」銀髪の元気そうな少年、ハルが手をあげる。「あたしはリナ」今度は茶髪、長い髪を持つ女の子が。「アルフだ」ぶっきらぼうに言ったのはオレンジの髪を持つ少年である。「僕はサブ」といって太めの男の子が手に持ったぽてちを口へと持っていく。「…エイナ」最後は赤い髪のおとなしそうな少女だった。「とのことだ」その言葉にズラルハは再び笑顔になる。「随分愉快そうな仲間を連れているなぁ。ま、君が何故お姫様やラウラレディアの子供たちをつれているのかは聞かないようにしておくよ」「ああ。そうしてくれるとありがたい」ズラルハの言葉にセルハルトが答える。「さて、君たちも長い旅路で疲れただろう。部屋を用意した。休むといい。」そういってズラルハが部屋を出て行く。一同はそれの後についていった。ただ一人、エルフェスを残して。「ここだ。」『うわぁー』ズラルハが案内した部屋に感嘆の意を示す一同。そこは20畳ほどの大広間。真ん中にはどでんと長テーブルがおいてある。「ここはいわゆるリビングだよ。ここで食事をとったりしてもらう。このほかにここの部屋も用意した。子供たち5人には1つの大きな部屋を用意したがね」「すっげぇー」とハルが部屋の中を見回す。「さて、次は個人の部屋のほうの案内だな。ついてきなさい」再び一同は歩き出した。―社長室―「ピーーーーー」不意に室内にコンピューターの発する音が鳴った。「コピー完了。やっと手に入れた…。エヴォリューションコアのデータを。次はウルフの解析だな…。もう少しで…完成する。カオスが…。ククク…」誰もいないはずのその場所で彼、エルフェスはズラルハ専用の大量のデータが入ったパソコンの画面を見ながら意味深げな言葉を放っていた。手には1枚のフロッピーが握られている。「これで…閣下の野望実現への道がまた一歩開かれた…。くっくっクック。ククク…はーっははっはっはっは」その高笑いがズラルハの耳に届くことはなかった…。
はい、かなりお久しぶりの投稿です。一気に今まで書いた分を全部投稿しました。一読願えれば幸いです^^ヒカルさん>始まり方からですか!ありがとうございます。戦国時代と今の世界情勢…確かに類似しているところもあるかもですね。最初自分は日本の戦国時代を元にしたんですが…なるほど。そういう考え方も。小説の書き方はいまだ自信がないんでそういってもらえると安心します^^