タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ pastmission 推薦 |
SF |
一年半前。
スモーリヌイ旧修道院。
応接間。
古いソファにゆったりとくつろいでいる青年。
その前にお茶を置く女性。
「…どうぞ」
「どうもどうも」
「御主人様が留守で申し訳ございません…」
「知ってるよ。従兄貴に呼ばれてるんだろ」
「なら何しに?」
「可愛い妹の様子を見に来ちゃいかんのか?」
「…怒っていないの?」
「怒るんならこの前の時にやってるさ。この前にも言ったが、もう親父も御袋たちもいないんだ。俺たちが青筋立てる理由が今更一体どこにある?」
「この前も言ったけど、あれから私は…」
「やめろ! おまえの非行なんか昔から馴れっこだ。それにこの半年の荒れ様は知ってるだろう。おまえを非難できるような連中なんか、そうそういるもんか」
「…」
「それにしてもよくもここまで綺麗に出来たものだな。あの不法占拠連中どもも、この屋敷の使用人にしてしまったのには驚いたが」
「あの御方の…そしてミンのおかげです」
「なるほど。あの二人のコンビなら、そのくらいやれそうだな。脅しにしろ宥めにしろ」
ひょいと指に引っ掛けてカップを口に寄せる。
「おまえにお茶を入れてもらうなんて初めてだが…こりゃいけるわ」
それを見ながら、ポツリと呟く女性。
「…お兄様…」
途端にブーっと吹き出し、思い切り咳き込む青年。
「ゲホ、ゲホ…ど、どうしたんだ一体! 急にそんな言い方…今までどおりの『ラス』でいいぞ『ラス』で…」
急いでハンカチで拭き零しを拭う女性。
いかにも言い難いという感じの、モジモジとした調子で。
「あ、あの…あのね、ラス…」
「ん? どうしたソフィ?」
「ラスって…あの…その…ま、まだいないわよね…あ、あのこ、婚約者とか…」
その意味を図りかねて、少しばかり考え込むが、すぐに大笑いを始める青年。
「あーははは! そうか! おまえ! 今度は『お姉様』が欲しくなったのか! それも! 『年下』の!」
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JIN 2019年07月12日 (金) 22時15分(84) |
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