タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ MEMORY−6 剣と刃 Z |
SF |
「ドロシー! どうしてここへ!?」
(戦力不明の敵を、騎士団長一人に当てさせるわけにはいきません!)
「勝手な事を…」
と、言いかかって慌てて止める。
確かに、彼女たちが来なければやられるところだったのは間違いない。
それに、かつてはマリーの命令に散々逆らいまくった自分ではないか。
彼女たちを叱責する資格が一体どこにある。
それに実に見事までの彼女たちの戦いぶり。
相手の接近攻撃を防ぐため、あくまで上空からの距離を置いての攻撃を主体。
相手を森に逃げ込ませず、あくまで広場の中心に釘付けにしての包囲戦術。
いかに射撃下手とはいえ、どうも自分はいささか剣技に拘り過ぎていたかもしれない。
それでも見事なまでの回避ぶり。
避けられない弾丸は、巧みに刃渡りの厚い長剣で受け止めるなど、本体への直撃をあくまで阻止する、その動きの速さ軽やかさは、まさに華麗の一言。
(あの長剣、刃が厚いのは、むしろ防御のため?)
しかし先ほどでの戦いも含めれば、どんなに持ってもフィラーに限度が来る。
実際に、疲労も手伝ってか、いささか動きに鈍さも見え始めている。
「もしもし! 聞こえますか! バーンスタイン嬢! これ以上の戦闘は不可能です! 投降して下さい!」
飛び込む声。
(騎士団長! そんな! もうすぐで倒せます!)
「黙ってドロシー! フィラーが限界なのは分かってます! どうか投降を! 粗略には扱いません!」
とにかく聞き出したい事は山ほどある。
北ユーラシアではいま何が起こってるのか。
そしてナイトオブリングスとは。
そして彼女自身の正体は。
(…)
入る通信。
明らかに相手からだが、妙にボソボソした感じ。
「え? なに? なんです!? 聞こえません!」
(…ろせ…)
「え?」
(…ころせ…コロセ…殺せ…)
訥々としてだが、まるで地獄の底から響いてくるかのような声。
それと共に、微妙に変化しているように見える機体の動き。
いかに超人的とはいえ、ついさっきまでの動きは確かに「人」の物。
しかし今ではむしろ別の何かの動きになりつつ見える。
そう。まるで「獣」のように。
そしてその機体の中。
カッと見開かれる両目!
その中に浮かぶ、赤い紋章!!
「殺せー!!」
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JIN 2019年06月29日 (土) 17時22分(81) |
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