（…ニュースをお知らせします。昨夜。ペンドラゴン内部にてルルーシュ皇帝陛下に対する暗殺未遂事件が発生の模様。主犯はレオナルド・バーンスタイン侯爵。それと組する多くの貴族がその場で誅殺され、その家族や係累の多くが現在捕獲連行されてるとの事です…）


（おい。聞いたか。バーンスタイン家の娘がまだ生きてるそうだぞ）

（あれ？　確かアラスカに逃げたんじゃなかったっけ？）

（あれは長女の方だろ。俺が言ってるのは二番目だ）

（バーンスタインに次女がいたのか）

（ああ。どこぞの誰かに産ませた隠し子で、それに悪逆皇帝暗殺の手伝いをさせたらしい）

（それで生き残ったのかよ）

（慰み者にされたんじゃないか。きっと）

（いやいや。自分から身体を差し出して命乞いしたのかもよ）

（ありうるありうる）



かつて耳に入った、様々な噂が脳裏に蘇るオルドリン。


そのモニターに移る異形のＫＭＦ。

グレイルを前に、武器を構えるまでもなく、ジッと立ち尽くしている。


「…貴方は…もしかしてバーンスタイン家の御令嬢？」

意図せぬまま吐き出される、オルドリンの問い掛け。


それに対し。

（…そう…私は…レオナルド・バーンスタインの娘…）

通信機に入ってくる静かな声。

（…エミリオ…そして…）

ボソボソとした口調だが、妙にハッキリと耳に入ってくる。

（…ナイトオブリングスの…ナイトオブ…ジーベン！！）


最後の声と共に、二本の短剣を引き抜き、猛然と正面に突っ込んでくる異形のＫＭＦ「ファタ・モルガーナ」！


ＭＶＳを抜き、すかさず応戦するグレイル！


全身を駆使し、まさに舞やダンスを踊るかのように、斬り込みを掛け続けるファタ・モルガーナ！


剣だけでなく、時には腕や脚が飛んでくる！

それも刃仕込みの！


それを右に左にかわしながら、次第に後退して行くグレイル！


その激しい打ち合いの中、やがて森の中の広場に飛び出す二体！