タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ PROLOGUE 血の聖夜 Z |
SF |
狭い室内で続けられている激闘。
出口の扉を背にして、異様な風体で身構える少女。
美しかったドレスは自ら切り裂かれ、髪の毛は激しく乱れ切っている。
そして窓からは月明かりが射し、その姿を凄絶なまでに映えさせている。
「コロセ!」
両眼を赤く光らせ、まるで野獣のように躍動して踊りかかる少女!
その手の短剣をかわし、すかさず背負い投げを掛ける騎士!
しかし次の瞬間、いきなり両足を払われ、ベッドに引っ繰り返る!
「今です! エミリー様!!」
いつのまにか部屋の中にいて、騎士の両足首を掴み押さえているメイド!
さっきと逆に、今度は自分が仰向けにベッドに押さえられる騎士
立ち上がろうとするや、その首にガッキリと掛けられる両手!
その上に圧し掛かる魔女のような少女。
「…コロセ…コロセ…コロセー!!」
まるで悪鬼のように掛けられていく、万力のような力!
必死で返そうとするが、見る見る内に全身に広がる痺れと脱力。
(う…う…)
次第に遠のく意識と視界。
その中で逆に浮かんでくる一人の姿。
((…スザク…スザク…))
(ね、義姉さん…?)
今と同じく、ベッドの上から見下ろす姿と視線。
しかしその身体には一糸もまとわれてない。
そしてその両手はしっかりと今のように、組み敷いた少年の首に掛けられている。
((ねえスザク…死のう…このまま一緒に死んじゃおう…そうなれば…そうなればこのまま…このままずっと…一緒に…))
遠くに過ぎ去る姿。
そして急速に戻っていく現在。
(だ、だめだ…いまはだめだ…義姉さん!!)
その瞬間、目に浮かぶ赤い紋章!
((生きろ!!))
その次の瞬間、凄まじいまでの力が漲り、身体の上の相手を跳ね飛ばす騎士!
「ウグッ!!」
「キャアー!?」
同時に掴んだままの足から弾き飛ばされるメイド!
その勢いのまま壁に叩き付けられ、昏倒する!
「…俺は…俺は…生きる!!」
正気の風体でないまま、互いにしばし睨み合う騎士と少女。
あたかも二匹の野獣同士のように。
そしてその如何にも互いに掴みかからんとする時、突如、外から響いてくる凄まじい悲鳴!!
「なに!?」
一瞬にして元の表情に戻る騎士。
そしてそれを他所に、昏倒したメイドを即座に拾い上げる少女!
そのまま部屋の窓を叩き割って、外に飛び出す!
「しまった! ううっ…」
さかさず追おうとする、さっきまでの激痛が響いて咄嗟に動けない。
「…こっちだ!」
向きを換え、慌てて部屋の外に走り出す!
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JIN 2018年08月10日 (金) 23時05分(7) |
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