タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ PROLOGUE 血の聖夜 X |
SF |
周囲の様々な囁きを他所に、優雅かつ優美に続いていく軽やかな円舞。
その中で次第に相手に対し、過ぎし日の追憶を重ねていく騎士。
((もう…仕方がありませんね、スザクってば))
((も、申し訳ありませんユーフェミア様。どうも自分にこういうのは…))
((貴方はいつも自分一人が恥を掻けばと思ってるから駄目なんです。しっかりしないと恥を掻くのは私ですよ。そうお考えなさい))
((は、はい…))
((今度の式典の最後はダンスパーティーなんですよ。しっかりなさい))
((イ、イエス・ユア・ハイネス…))
気が付けば、いつのまにかテンポが速くなってきている曲調。
自分の手に重ねられた相手の力も次第に強くなってきている。
そして回転しながら、いつしか皇帝の方に急速に近づいていく。
その次の瞬間、急速に止まる音楽!
「来たか!」
その回転の勢いのまま、皇帝の方に飛び掛からんとする庶出の令嬢!
片方の手を振り解くが、片方は四つに組まれたままでガッチリと固められ床に投げ出される!
「!?」
押さえ込まれる前に身体のバネで跳ね上がり、即座に両脚で相手の首を挟んで投げる令嬢!
「なに!?」
しかし転がる勢いに相手を巻き込、そのまま広間の横に突き当たる騎士!
その動きの中で組まれたままの片手同士は全く離れない!
そのまま立ち上がるや壁に押さえようとするが、たまたま外開きの扉だったので、そこが開いて廊下に転がり出す!
「くっ!?」
不味い。
狭い廊下ではすぐにぶつかり、得意の大跳躍は出来ない!
それに対し、いかにも慣れているかのように、身体を巧みに封じて逆に抑えにかからんとする令嬢!
さっきまで騎士から固めていたはずの手も、いつしか相手に固められている!
(なんて腕だ!? ジヴォン卿どころか、エニアグラム卿よりも上!?)
廊下での揉み合いの末、遂に別の部屋に転がり込む両者。
(しかし…)
押さえ込まれかかった時、巴投げの要領で投げ飛ばし、そのまま手近のベッドの上にガッシリ押さえ込む!!
「流石に…体力としては…エニアグラム卿には及ばないようだな…」
互いに荒い息を吐き合う両者。
端から見れば、まるでレイプ寸前にも見える。
「さあ…」
尋問を始めようかという、その時。
「…ロセ…」
「何?」
「コロセ…コロセ…コロセ!」
信じ難いような『力』が漲り、上の騎士を思い切り跳ね飛ばす令嬢!
その勢いでようやく外れる片手同士!
「何?」
狭い部屋ながらギリギリの空中回転で膝着地する騎士。
信じられないとばかりに見据える、相手の前でユラリと起き上がり、自らの手でドレスをズタズタに引き千切るや、壁に飾られていた短剣を引き抜き構える令嬢。
「コロセ…コロセ…コロセ…」
その目に浮かぶは赤い紋章!
「まさか…ギアス!?」
「コロセ!!」
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JIN 2018年08月10日 (金) 23時00分(5) |
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