タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ intermission 模範 |
SF |
北欧連合スウェーデン自治州。
首都ストックホルム。
「世界軍事情報」本社。
作業室。
様々な情報交換が飛び交う。
「おい。聞いたか。ブリタニアが徴兵制を廃止し、完全な志願兵制に移行するそうだ」
「ほお。やはり各国の懸念を避けるためか」
「だろうな」
「『黒の騎士団』は許可したのか」
「あれは単に指揮権の統一だけだ。戦力の上限や配分は超合集国評議会が行うが、その内実は各国任せだ。もちろんブリタニアが再度侵攻を行うような事が出来ないようにはするだろうがな」
「ブリタニア自身も今はそんな余裕はあるまい。とにかく前の大戦での消耗が一番激しいのはブリタニア自身だ。たとえ本土に攻め込まれていなくとも、人的資源の消耗はまさに壊滅的だからな」
「ブリタニア以外の国々の本音としては、むしろこの機に乗じて一気に本土に攻め込みたいところか」
「そりゃそうだが、そうなると手負いの野獣に思い切りやられるぞ」
「そう。いくら今は表から引っ込んでるとはいえ、まだブリタニアにはシュナイゼルとコーネリアの両輪が健在だ。下手に動けば『帝政復活』の可能性すら出てくる」
「第一『ブリタニア以外』といったところで一枚岩なわけじゃあるまい」
「そうだ。どいつもこいつも他の国に火中の栗を拾わせようとするはずだろう」
「それで美味しいところだけ頂くってわけか」
「それこそが主権国家じゃないか」
「まあ。とにかく今度のブリタニアの『完全志願制』というのは、やはり現在流入中の元の名誉ブリタニア人も含むのか」
「そうなるだろう。むしろそのための変更とみるべきだ」
「手っ取り早く職にありつくには、まずはとにかく軍だからな」
「そういえば既にブリタニアはそうした部隊があったそうだな」
「ああ。『名誉ブリタニア人も含めた実験的な混成精鋭部隊』の発想は、既にシャルル大帝の末期に生まれている。推進したのはシュナイゼルだそうだが、例の悪逆皇帝もそれには手を付けていない。むしろ実戦には投入せず、温存させる方向すら取っている」
「確かむしろ現在は『部隊』を超えて『軍団』のレベルにまで発展しているそうだが、このまま行けば『軍』の域にも達するか」
「各国の有為な人材を集めた精鋭軍か。旧帝国崩壊の結果、ようやくそれが生まれるとは皮肉な話だ」
「そうなれば各国の人材の外部流出に歯止めが掛かるか。ブリタニアで使われてはたまらないと」
「さあな。より捻くれるだけなんじゃないのか」
「しかし『自ら使えぬ人材は殺せ』が政治世界の鉄則だ。それを怠って滅んだ例すらあるんだからな」
「商君やプリンツ・オイゲンとかだな」
「だがそれを口には決して出来まい」
「それこそ『たとえ死んでも』って奴か」
「ああ。他人が死んでくれてる間はな」
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JIN 2019年02月17日 (日) 21時09分(46) |
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