タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ intermission 経済 |
SF |
スイス自由共和国連邦。
チューリッヒ。
マルカル銀行チューリッヒ支店。
「それでリトアニアからの搬出は予定通りだな」
「はい。ポーランドからの妨害が予想されるだけに、北欧連合経由で何段階にも」
「よし。到着と同時に指定口座への送金を行え」
「は。それにしてもヴェランス大公家があそこまで回復できたのは、この秘密ルートがあったとは意外でした」
「例の決戦でフジ鉱山が破壊されたため、世界全体でサクラダイト需要が逼迫したからな。ストック分を使い切れば、新たな需要を補えるだけの量はシベリア鉱山しかない」
「だから現物と引き換えに、外貨調達の協力をしたわけですか」
「綺麗事を言ったところで、モノがカケラでも手に入るわけじゃない。腕づくで取り返せるだけの力もないしな。少なくともフジの再鉱が軌道に乗るまでは、あそこからの供給がとにかく必要なんだ。それは末端の連中も同じだ。見て見ぬふりよ。それにあそこには他にも貴重なレアメタルが多くある。むしろ今まで以上の開発によって多くの成果が上がるはずだ」
「それにしても大丈夫なんですか。これで力を付けたあそこの連中がまた攻め込んでくるような事は」
「あそこの力関係はかなり面倒だからな。たとえティベリウスの奴が皇帝になったところで、維持がやっとで、外に攻め出すなんてとても無理だ。それにあいつは馬鹿じゃない。こんな面倒くさいユーロピア本土なんかに直接首を突っ込むより、距離を取って『金の卵を産む鶏』をやらせるだろうさ」
「今のヴェランス大公とはお知り合いで?」
「ああ。以前に奴が密使で来てたときにな。女の趣味はイマイチだったが、ビジネスのパートナーとしてはなかなかに話せる面白い奴だ」
「それにしても貴方様がここまでわざわざ乗り出されるとは」
「意外かい?」
「正直言いまして。ヨアン頭取」
「まあいろいろと面白くなってきたからな。それこそ女や酒よりも」
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JIN 2019年01月24日 (木) 10時19分(39) |
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