タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ intermission 大族 |
SF |
サンクト・ペテルブルク郊外。
某別荘。
何やら会談中の模様の数人。
「それで。アレウスの奴、最近はバーンスタイン家のメイドと仲が良いのか」
「妾はともかく、メイド風情と一緒に出来るか」
「いっそメイドの主人とくっつけるのはどうだ。メイドと込みで」
「待て待て。いくら『バーンスタイン家』とはいえ、相手は母が誰とも分からぬ庶出だぞ。我がアレキサンダー一族の正嫡との釣り合いはとれまい」
「まあそうだな。むしろ庶流の誰かの息子でも婿に押し込んでやれば良いというケースだな」
「同感だ」
「アリューシア家はどうだ。年恰好も近そうだし」
「相手は傍流とはいえ旧帝国の帝室だぞ。もし旧帝国系の連中と組まれたら、むしろこちらが良い様にされかねん」
「あの性格だしな」
「ヴェランス大公家には適当な令嬢がいないしな。結局どこを取っても帯に流し襷に短しか」
「となればやはり一族の中に求めるしかないか」
「それもとにかく早くだな。アレウスにもしもの事があれば、次の男系は…」
「デムーラン伯爵家のクロードか。しかし奴ではどうも」
「たとえ奴が個人的に有能でも、あそこからでは一族全体の統率が取れんぞ。今でさえフェルトナーとヴァイトランドの両子爵家の仲が悪いというのに」
「フェルトナー出のファシリアとしては、傘下のヴラド男爵家のグリシーヌを推してるようだが」
「あれか。まあ一族有数の美人なのは認めるが、どうも中身の方がな」
「まあ。たとえアレウスの生母とはいえ、この前の私生児騒動で発言力を失ってるがな。アレウスも断絶状態だそうだし」
「一族融和のためならヴァイトランドのアリアナかパトリシアになるか。あちらも乗り気のようだが」
「直接な縁組が問題なら、むしろクロックシュタイン伯爵家のヴィクトールの娘がより適当なんだが」
「幼すぎる。アレウスには早く子をもうけてもらわねばならん。こうなったらたとえ娘であってもな」
「まあとにかく我らアレキサンダー一族が旧帝国以来の政治力を持っていられるのも全体で団結を保っていられるからこそだ。それが分裂しては力を失う」
「それも今の不安定な状況ではな」
「それにしてもアレウスめ。こちらがあれこれ悩んでるというのに何を考えてるのか」
「あるいは一族内の合意形成が出来るのを待ってるのかもな」
「根負けして反対が出難くするためにか。確かにそれは賢明かもだが」
「それにしても限度があるぞ」
「いっそ『ドミニオン』でも使わせてみたらどうだ。アラスカ経由ならまだ入手できるだろう」
「候補者全員に使わせて、先にデキた相手と娶わせるか」
「まあそれなら文句も出難いだろうが」
「よせよせ。アレウスも馬鹿じゃない。とっくに警戒している。下手をすればむくれるぞ。あいつには責任感もあるが、反骨も人一倍だ」
「やれやれ。そういえばアレウスの名付け親でもある、ヴラトゥカの意向はどうなんだ?」
「それとなく当たってみたが、どうやら『本人の好きにさせろ』で放置らしい」
「ほう。てっきりヨリを戻した『義妹』の頼みで、グリシーヌを推してるかと思ったが」
「それとこれとは別らしい」
「まったく。いつもながら昔から手の焼ける女だ」
「そういえば。卿も昔ヴラトゥカに肘鉄を食らった一人だったな」
「言わんでくれ」
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JIN 2019年01月24日 (木) 10時15分(37) |
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