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タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ  PROLOGUE 血の聖夜 V SF

 天井に輝くシャンデリアをはじめ、とにかく豪壮な飾り付けの施されている大広間。

 巨大な長方形のテーブルの最上座に座り、以下に居並ぶ数多くの貴族たちからの歓待を受けている白基調の服の男。

 神聖ブリタニア帝国。第九十九代皇帝。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。

 もっとも現状ではまだ自称の段階だが、他の皇族で他に後継を主張する者は未だに無い。


 そのすぐ脇に座るは皇帝新鋭騎士ナイトオブゼロ枢木スザク。

 そしてその反対側にはフードガウンの謎の女。


 その前には切り分けられたばかりのケーキが並べられており、また多くの豪勢な料理も並び置かれている。

 もちろん名だたる多くの名酒も。



 「それにしても。我が屋敷にはるばるお越しとは、真に光栄でございますな。皇帝陛下」

 「いやいや。先月の宮中での感謝祭では侯爵に大きな世話になっているからな。これは当然の返しだ」


 他愛の無いような社交辞令が繰り返され、様々な歓談が進められている。


 「で。皇帝陛下の今後の国内平定の御予定は?」

 「面従腹背の連中は取り敢えず置いておけば良い。力さえ示せば尻尾を振ってくるだろう」

 「それはそれは」


 その中でも引き締まった顔で周囲を絶えず見つめ回しているナイトオブゼロ。そして相変わらず顔を見せぬまま、自ら注文した特製ピザを齧っているフードの女。


 「そういえば皇帝陛下。実はこの度紹介したい者が一人おります」

 「ほう」

 「入って来なさい。エミリア」


 広間の扉が開き、すっと入ってくるドレス姿の一人の少女。

 皇帝や騎士と同様、少女というにはいささか大人びているが女というにも幼い印象。

 確かに美しいが、雰囲気としてはどことなくか細く儚げな物もある。

 そしてその後ろに従うメイドが一人。


 「紹介します。私の娘の一人。エミリアです」


 その紹介に応じ、無言で会釈するドレスの少女。

 恐れ入っているという感じではないが、明らかかつ異様なくらいに線が細い。


 「ほう。侯爵の御令嬢は先月御紹介のエリーゼ嬢だけだと伺っていたが?」

 「ははは。これは御手厳しい。お分かりでしょう。よくある話ですよ」

 「そうだな。失礼。そういえばエリーゼ嬢は?」

 「申し訳ござません。先日風邪を拗らせまして、玉体に触るかと重い、今日は外させていただいております」

 「それはお気の毒。しっかりと養生されてほしいとお伝えいただきたい」

 「これはこれは。真にもって光栄であります」

 
 意味ありげな会話の交わされる中、一瞬、その視線が交差する少女と騎士。

 「…」

 「…」

JIN 2018年08月10日 (金) 22時54分(3)
 


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