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ロングでノベルな掲示板

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タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ  intermission  屈辱 SF

北欧連合スウェーデン自治州。

首都ストックホルム。


「世界軍事情報」本社。


最上階CEO室。


巨大なスクリーンに映し出されているグランベリー。

賛否双方の声を浴びながら、フジの発着場から飛び立つ。


それを見ている一人の女性。

「グリンダ騎士団北へ、か。いよいよ『雪と氷のカーテン』を超えるわけね」


それに応ずる秘書風の青年。

「グリンダ騎士団が出向けば、現地の流浪貴族どもなど、鎧袖一触ですよね。コードウェルCEO」


それに対し咎める様な目付きを作る女性。

「流浪貴族? 鎧袖一触? 誰がいつそんな事言ったの?」


「え。でもどこでも言ってますよ。北ユーラシアの吹き溜まりに追い詰められた時代遅れの連中って」


「誰か確かめたの。それ?」


「え。でもそうとしか考えられないじゃないですか。旧帝国の後ろ盾も失い、二年間もあんな極寒の僻地にいるんですよ」


「ほんの十何年か前も、あんたみたいな事言ってた連中が一杯いたわ。未開の新大陸の逃亡貴族。その結果はどうだったかしら?」


「え、すると『雪と氷のカーテン』の向こうには何かあると」


「それは分からない。確かに最初は自暴自棄で荒廃した時期もあったみたいだけど。一年前のデボンシャー事件の後、あそこに再び注目が集まった時、その時には侵入困難の『壁』が既に作られていて、中の様子を見る事は出来なくなっていたわ」


「それにしても、現在世界最精鋭のグリンダ騎士団ならば、中に何があっても大丈夫でしょう」


「そうね。今の世界で彼らの右に出る実戦経験者はいない。ある意味ではだからこそ送り込まれたのかもね。超合集国連合に。この前の件の事もあるし」


「『この前の件』?」


呆れたという感じの女性。

「相変わらず鈍感ねえ。アルフレッド。三ヶ月前にあったでしょ。西太平洋でのブリタニア本国への移民船襲撃事件」


「ああ。確かハワイ本部のグリンダ騎士団が救援に向かったんでしたよね。到着前にかなりの犠牲も出ましたが」


「そう。それが『超合集国決議に基づかない越権行為』だってのが非ブリタニア諸国で問題になったのは知ってるわよね」


「ええ。確かそれに対してジヴォン騎士団長が猛然と噛み付いたんでしたよね。『人道的行動だ』『見捨てれば良かったというのか』『そもそも海賊対策の決議を何度も要請したのに一向に可決してくれなかったではないか』って。それにしてもどうして超合集国は移民襲撃の海賊対策になんで及び腰なんです」


「要するに。その移民が『ブリタニア本国を目指す元の名誉ブリタニア人』だからよ」


「よく分かりませんが」


「あのねえ。知ってるでしょ。いま日本を始めとするブリタニア旧帝国の元植民エリアの多くで起きてる元の『名誉ブリタニア人』の排斥運動」


「はい。それは知ってます」


「それに対してブリタニア本国が受け入れを表明したわよねえ」


「はい。確か提唱は、以前の『旧エリアへの無償援助』と同じく、CRCのナナリー代表だとか」


「そう。ブリタニア本国としても長年の戦争で疲弊していただけに、その人的資源を補充する意味でも好都合という判断もあったみたいだけど、それがむしろ面倒な事になってるのよ。前の『無償援助』が逆に『永久賠償』要求を引き起こしたのと同じに」


「と、いいますと?」


「いい。『名誉ブリタニア人』ってのはね。ブリタニアに征服される前は中産以上の社会階級の出が多かったのよ。つまり国においては学歴も高い頭脳層になるってわけ。それを追い出すって事は国全体のポテンシャルの低下につながるのよ。しかもそれだけじゃなくその頭脳力が今度はブリタニア本国においてプラスになれば差し引き倍のマイナスになるってわけ」


「じゃあ。排斥なんかしなければいいじゃないですか」


「それが出来れば苦労は無いわよ。元の抵抗派は国家の名誉のためにも恭順派を処罰しなければならないと主張するし、『勝ち組』は尚更にタチが悪いし。そんな連中に突き上げられて、抵抗派出身の扇首相も手を焼いてるらしいし」


「『勝ち組』って?」


「それも知らないでよくここに就職できたわねえ!? あんた! まあいいわ。要するに『前の大戦は反ブリタニア陣営の完全勝利と自力解放』だから『賠償を払え』という空想主義者の事よ」


「ええ!? そんなことないでしょ! だってブリタニア旧帝国に一度も勝ってないじゃないですか! 二度のブラックリベリオンだって最後は旧帝国に押し返されたし! あのフジ(第一次ダモクレス)決戦だってブリタニアの反主流派と組んでも負けたし!」


「そう。そして辛うじて勝ったかといえるマドリート(第二次ダモクレス)決戦にしても、その中核は今のグリンダ騎士団。要するに反ブリタニア陣営は一度も勝てず、辛うじてブリタニア同士の内戦の勝利に一枚噛ませてもらったに過ぎない。この事を現した台詞がいま流行ってるわよね」


「ええ。オール(ALL)・ウェイズ(WAYS)・ブリタニア。もしくはオールウェイズ(ALWAYS)・ブリタニアですか」


「そう。あの例の文句の捩りだけど、なかなかにシャレた表現よねえ。『全ての道はブリタニア』そして『常にブリタニア』。『すなわちどう転んでもブリタニアに益する道しかなく、ブリタニア抜きの世界もまたありえない』。ある意味では元の文句よりエゲツがないわよねえ」


「実際そうじゃないですか。ブラックリベリオンを率いた『最初のゼロ』もブリタニア人だったとすれば尚更そうなります」


「それを承知だから、ブリタニアに逃れようとする高等移民など、むしろ海賊にでも殺された方が良いってわけよ。もちろん口には出せないけどね。それにもう一つ」


「もう一つ?」


「彼らが暗に移民抹殺を願う理由は、国を追われた移民たちが何時の日かブリタニアの力を背景に戻ってくる事を恐れてるからよ。その中からあの『ナイトオブゼロ』のような超弩級の人材が出ない保証も無い。まあもちろん今のブリタニア本国はそれを否定しているけどね」


「そんな事が」


「今の超合集国連合の上の連中はどうだったのよ。一度は国を出て戻った連中じゃない。連中自身が国を出されて、出してくれた相手に感謝なんかして大人しくしてたってんの? そういうことよ」

JIN 2018年12月20日 (木) 23時27分(28)
 


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