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タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ  MEMORY−2 新グリンダ騎士団 Y SF

「無礼者ー!」

鋭い声と共に、恐るべき跳躍で前方の赤毛の女性に向かって飛び掛る黒い影。

飛び掛られた相手と共に倒れ込み、思い切り床に組んず解れずになる!


「ああ!?」

「ドロシー!?」

「なんてことを!?」

「…」


慌てて席を離れ、自分たちの筆頭騎士を相手から引き剥がす、グリンダ騎士団幹部三人。

その腕の中で激しくもがきながら喚きまくるドロシー。

「放せー! あの女は、あたしたちの騎士団長を侮辱したんだぞー!!」


更に騒ぐ彼女を抱えながら、なんとか席に戻る三人。


それを横目で見つめながら、いささかも動じず正面の相手に正対し続けるオルドリン。


「なるほど。これが貴女方の求められる『証』ですか?」


「遺憾ながら。そうなりますね」


「私たちは一年前、合集国決議に基づき、ブリタニア本国内の帝国復権派を討伐しました。それでは不足だったんでしょうか?」


「貴女方が復権派を完全に殲滅でもしていれば違っていたんでしょうが。あいにく貴女方は中核を叩くだけで残りの多くをアラスカから北ユーラシアに追いやるだけで済ませてしまった。今はそこが問題になっているというのです」


「だから中華連邦の側に立った解決に協力する事で、私たちがあくまで超合集国連合の側に立つ事を示せと」


「超合集国連合の設立理念から言えば、北ユーラシアはあくまで『ブリタニアによって蹂躙され不当に占領された地域』です。もはや消滅した旧ユーロピアの部分はともかく、中華連邦の部分について無視するわけには参りません」


「そこに問題のツングースカがあれば尚更に、ですか?」


「そうです」


毅然と答える議長。

しかし改めて席に腰掛け、天井を仰ぐかのような溜息を付き。

「要するに。現在の『超合集国連合』自体に最大の問題と矛盾があるのです…」


その一言に驚く周囲。それに構わず話を続ける議長。


「『超合集国連合』は元々、当時のブリタニア旧帝国に対抗し圧倒するという理念と目的で作られた物です。最終的にブリタニア自体をも組み込むという事など誰も考えも承知もしていなかった。おそらくは当時の提唱者自身でさえも…」

遠くを見るかのような表情。

「…せめてもし悪逆皇帝が北ユーラシアについても何らかの明確な形を残してくれていたら話は違っていたかもしれません。しかし彼は何も残さずにあそこについては曖昧なままで去ってしまった。曖昧にする事が目的だったのか。それとも全く現在のような問題が生じるとは考えていなかったのか。今では図りようもありませんが」


「もし知ってるとすれば『彼』ですか。それについて『彼』からは何と?」

探るような質問のオルドリン。


それに答える議長。

「何も。である以上、我々としては我々の『ルール』に従ってやっていくしかありません」

いささか忌々しげな感じの口調。あれはいつもそうだとばかりの。


ようやく席を立つオルドリン。

それに習って席を立つ残り四人。


「では現地に向かいます。今回の超合集国決議に基づきまして」


「お願い致します」


「貴女方がブリタニアを過去から現在に掛けて憎み続ける理由は分かります。しかし分かっていただきたいのはただ一つ。たとえどれだけブリタニアを憎もうと、それのみによって貴女方が決して向上するというわけではない事を」


「肝に銘じましょう」

その言葉と共に立ち上がる議長。

それに続く首脳たち。


そして正面で向き合う二人。


まず騎士団長。

「超合集国、万歳!」


そして返す議長。

「グローリー・トゥー・グリンダ!」



儀式は終わった。

JIN 2018年10月13日 (土) 21時14分(26)
 


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